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第一章 始まり、それは希望と後悔
十九話 レンゲの能力
しおりを挟む夕飯を食べ終わった後、二人は部屋に戻って眠りについた。(もう一つ部屋を部屋を取ろうとしたがレンゲに拒否られた挙句、床で寝ようとしたらそれも拒否られたので仕方なく添い寝。ロリコンじゃないよ)
この数ヶ月で付いたいつも通りの時間に目が覚める。
「……ふぁ、よく寝た。ん?なんかいつもより暖かい、ってそうか。レンゲがいたんだったな」
「……ん~……すぅ、すぅ……」
非現実的な美人レベルに異世界感を感じながらレンゲを起こさないようにベットから降りる。
音を立てないようにいつも通り日課のストレッチをしていると。
「……んん、うん?あれ?ここは……あ、そっか……。」
レンゲがまだ夢現のこっちを見て何かを思い出したようだ。
「おはようレンゲ」
「……うん、おはよう」
まだ意識がはっきりしてないのかゆったりと返してきた。
「……何してるの?」
「ん?ああ、これは日課のストレッチでね。毎朝欠かさないようにしてるんだ。」
ちなみにこのストレッチは、前世でテレビか何かでストレッチが~みたいなことを聞いてから何日かやってみたら、いつのまにか日課になっていた。
「……私もやる」
「え?マジ?」
いきなりのことで少しびっくりしたが、健康にもいい(気がする)ので前世で色々調べて俺流に考えたストレッチをレンゲにも教えた。
「さて、レンゲちゃん。今後のことなんだが「レンゲでいい」……へ?」
「……ちゃんはいらない。レンゲでいい」
大人しいレンゲが食い気味に放った言葉におどろいたが、すぐに追加の言葉で理解する。
「わかったよレンゲちゃ……いや、レンゲ。これでいいかい?」
「……ん!」
レンゲが元気のいい笑顔で頷く。
可愛いなぁと思いつつ、話を戻す。
「え~と、改めて聞くけど、レンゲちゃんって『鬼人族』なんだよね?」
「……っ!……うん」
レンゲは少し怯えた様子で答えた。
「あっ!大丈夫だよ。別にそれを言いふらしたり種族に関して君を悪くするつもりはないから」
「……わかってる。ごめんなさい」
「あ、いや。謝らなくても……」
少し空気が悪くなってしまった。仕方ないので話を進めることにする。
「レンゲってなにか戦える力って持ってるかな?」
「……戦える力?」
「うん。今後何をするにも、結局お金が必要だからね。手っ取り早くお金を稼ぐには冒険者が一番なんだ。もちろん、無かったら無かったで他のことを考えるけど」
「……なるほど」
レンゲは少し考える素振りを見せたあと、いくつか質問をした。
「……冒険者って登録が必要?」
「うん。後、自分の名前と種族は必ずではないけど書かなきゃならないかな。聞くところによると契約魔法まで使ってるらしいぞ」
契約魔法とは、その名の通り契約する魔法で契約を破ると破った者は罰を受ける魔法だ。
ちなみにこの魔法には五段階でレベルがあり、そのレベルによって契約の詳細を詳しくでき、無理矢理の解除も難しくなり、罰も厳しくなり、下手をすれば死に至ることもあり、その魔法を使うための魔法道具はレベルが上がっていくと高くなっていくなるらしい。
つまり、最高ランクは金持ちの大商人や貴族や王族が大金を動かす時に使ったりするらしい。
「……顔は見せないとダメ?」
「う~ん。もしも指名手配犯とかが冒険者になろうとして顔を隠して入ったら行けないから、見せびらかす必要は無いけど一回だけでも見せないとダメかもね」
「……そう、わかった。私も冒険者になる」
どうやら冒険者になる決断ができたようだ。
「なるってことは、なにか力があるのかい?」
「……ん。少しの間使ってないけど、鬼人剣術と『鬼雷術』っていう雷魔法が使える」
ドヤっという感じでレンゲは能力を教えてくれた。
そのまま雷魔法と言わないあたり、普通の雷魔法とは違うのだろう。
ちなみに、二日前にもしれっと使いだした魔法にはお察しの通り種類がある。
一般的に魔法の種類はあ『火』、『水』、『風』、『光』、『闇』の五種類であり、そこから派生して『雷』、『氷』、『植物』、などが存在する。
他にもその種族だけにしかない力もあり、代表的なのはエルフだけが使える『精霊魔法』だろうか。
「なるほど。ちなみにどんな戦い方をするんだ?」
「……口で説明するより、見たほうが早い」
「たしかに、それもそうだな。じゃあ先に冒険者登録しに行くか!」
「……ん!」
話が終わった後、身だしなみを整えて食堂で朝ご飯を済ませる。
「……おいしい」
「だろ!ここの飯は安くてうまくて最高なんだぜ!」
チップを置いて宿を出る。周りから少し好奇の視線を感じたが、無視してギルドに向かった。
ギルドの中に入りいつも通り受付に向かう。
「あ、ナルミさん!おはようございます!ん?そのこは……あ、もしかしてナルミさんが保護してるっていう子ですか?」
「おはよう、ララさん。ええ、その通りです。実はですね、この子を冒険者登録しようとおもいましてね。」
「えっ!?そんな小さい子をですか!?」
「……む、子供じゃない。歳は16。もう立派なレディ。」
「だ、そうだぞ。登録できないかな?」
「うう、できますけどお……じゃ、じゃあ何か戦う力はあるんですか?」
どうやらララさんは自分より小さい子が魔物と戦うのが許容しずらいらしい。
「……ん、ある。」
そういいながらレンゲは右手の人差し指をララさんに向ける。
「へ?……ひゃっ!?」
ララさんは驚いたように背中をそらせる。
その時に強調される部分に目が行ってしまったのは仕方ないと思う。
どうやら雷魔法で静電気でも使っていたずらしたのかもしれない。
「……どう?」
「どう?って聞かれましても……うう、なんだか背中がむずむずしますぅ。……そういえば、ただただデカいだけの魔法を使う人より細かい技を使える人のほうが技術的にすごいって聞いたことがあります。……わかりました。仕方がないのでみとめます。けれど無茶だけはしないでくださいね!」
「……ん、わかってる」
本当にわかっているのかわからないが、何となくララさんとレンゲが仲良くなっている気がしたのでよしとしておこう。
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