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3話 セックス、してください
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とりあえず家に連れてきたにはいいけれど、あまりにもゴミの匂いで臭いし、汚れている。折角の綺麗な髪と顔が、勿体ない。連れてきたはいいけれど、彼はぐったりしていて、あの時のように反応がない。
「大丈夫?体調悪いのか?」
そもそも、ゲイドール。なにを原料に動いているんだ?全裸だけど、どこかに電池をいれるところとかあるのか?そもそもこんな大きな素体を電池で動かすわけないか。
「……とりあえず、俺もこれからお風呂入るつもりだったし、一緒に風呂入るか」
そういって、全裸の彼をまたおぶって、自分の狭い風呂場へと連れて行った。脱衣所に彼を座らせ、自分は素早くジャージを脱ぐ。彼を優しく抱きしめて、脱衣所の扉を開け、風呂の浴槽を背に、座らせる。
「風呂の椅子に座らせるのは、危ないかもしれないな、ぐったりしているし……このまま洗うか」
まずは、顔から。
「顔を拭くけど、大丈夫?あったかいタオルで優しく拭くからね」
タオルを温かいお湯で濡らして、顔を拭いた。汚れがとれると、驚く程端正な顔立ちが露わになる。童顔で、まつ毛が長くて、鼻がすっと高くて、唇は小さくて、さくらんぼのようにぷにぷにだった。目を閉じているので、なんだかいけないことをしているような気分になる。
「次は身体を拭くけど、嫌だったら言ってね」
次に身体。彼の体は細くて柔らかくて、俺が高校の時に想像していた好きな相手の体に似ていた。ドキドキする、まずいかもしれない。全裸の俺と、全裸の彼。男二人で浴室で2人きり、動かない彼の体を優しく拭く俺。大丈夫なのか、これ。
「いや、これはあれだ、違う、応急処置というか!」
意味のわからない言い訳が、浴室に響いた。ただ彼を綺麗にしているだけだ。足の指の間や、腋毛一本生えていない綺麗な脇の下、そしてうぶ毛一つ生えていない白いうなじ。
「あれ」
髪に隠れていて気付かなかったけれど、うなじの後ろにはバーコードのようなものが入っていた。製品番号のような数字も。
「070……」
70番目に作られたということだろうか。その時俺は、一瞬彼の名前が浮かんだ。簡単な語呂合わせだが、早川優という元々の名前があるが、持ち主は自分で名づけ親になって好きに呼んでいいとCMで言っていた。
「ナナオ、ってどうだろう」
俺は、うなじを優しく拭きながら、彼を呼んでみた。
「ま、前の持ち主に名前を決められているかもしれないけれど、これからは宝丸ナナオって、俺の家ではそう呼んじゃだめかな、名前ないと不便だろうし」
そういうと、少しだけ彼が笑った気がして、俺は優しく彼の頭を撫でた。
「ナナオ」
猫のような毛が、水にぬれてつるりと指からすり抜けていく。丁寧に身体を洗って、自分はささっとシャワーを浴びて、2人で狭い湯船に入る。俺の肩に、ナナオが頭をもたげてきた。
「ナナオ、大丈夫か?」
ナナオは、俺の首元に顔を寄せた。
「……クス、してください」
「え?」
「セックス……してください」
「大丈夫?体調悪いのか?」
そもそも、ゲイドール。なにを原料に動いているんだ?全裸だけど、どこかに電池をいれるところとかあるのか?そもそもこんな大きな素体を電池で動かすわけないか。
「……とりあえず、俺もこれからお風呂入るつもりだったし、一緒に風呂入るか」
そういって、全裸の彼をまたおぶって、自分の狭い風呂場へと連れて行った。脱衣所に彼を座らせ、自分は素早くジャージを脱ぐ。彼を優しく抱きしめて、脱衣所の扉を開け、風呂の浴槽を背に、座らせる。
「風呂の椅子に座らせるのは、危ないかもしれないな、ぐったりしているし……このまま洗うか」
まずは、顔から。
「顔を拭くけど、大丈夫?あったかいタオルで優しく拭くからね」
タオルを温かいお湯で濡らして、顔を拭いた。汚れがとれると、驚く程端正な顔立ちが露わになる。童顔で、まつ毛が長くて、鼻がすっと高くて、唇は小さくて、さくらんぼのようにぷにぷにだった。目を閉じているので、なんだかいけないことをしているような気分になる。
「次は身体を拭くけど、嫌だったら言ってね」
次に身体。彼の体は細くて柔らかくて、俺が高校の時に想像していた好きな相手の体に似ていた。ドキドキする、まずいかもしれない。全裸の俺と、全裸の彼。男二人で浴室で2人きり、動かない彼の体を優しく拭く俺。大丈夫なのか、これ。
「いや、これはあれだ、違う、応急処置というか!」
意味のわからない言い訳が、浴室に響いた。ただ彼を綺麗にしているだけだ。足の指の間や、腋毛一本生えていない綺麗な脇の下、そしてうぶ毛一つ生えていない白いうなじ。
「あれ」
髪に隠れていて気付かなかったけれど、うなじの後ろにはバーコードのようなものが入っていた。製品番号のような数字も。
「070……」
70番目に作られたということだろうか。その時俺は、一瞬彼の名前が浮かんだ。簡単な語呂合わせだが、早川優という元々の名前があるが、持ち主は自分で名づけ親になって好きに呼んでいいとCMで言っていた。
「ナナオ、ってどうだろう」
俺は、うなじを優しく拭きながら、彼を呼んでみた。
「ま、前の持ち主に名前を決められているかもしれないけれど、これからは宝丸ナナオって、俺の家ではそう呼んじゃだめかな、名前ないと不便だろうし」
そういうと、少しだけ彼が笑った気がして、俺は優しく彼の頭を撫でた。
「ナナオ」
猫のような毛が、水にぬれてつるりと指からすり抜けていく。丁寧に身体を洗って、自分はささっとシャワーを浴びて、2人で狭い湯船に入る。俺の肩に、ナナオが頭をもたげてきた。
「ナナオ、大丈夫か?」
ナナオは、俺の首元に顔を寄せた。
「……クス、してください」
「え?」
「セックス……してください」
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