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4章
2 森の中で…
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朝になりネリーはルカよりも先に目が覚めた
たき火が今にも消えそうになっていたのでネリーは朝食用の火を焚くため薪を取りに行こうとルカを起こさないように静かに立ち上がった
ネリーが近くで薪拾いをしているとどこからか風に乗って甘いような香りが漂ってきたので彼女は薪を拾うのをいったん止め香りのする方へと行ってみる事にした
森を進んで行くと開けた場所に綺麗な野の花が咲き誇る湿原がありそれを見た彼女は感動し息をのんだ
しかしそれが間違いのもとになろうとはこの時彼女は思いもしなかった
ネリーがルカに見せるため花畑の花を摘んでいると後方から騒がしい音が聞こえてきたので彼女はとっさに近くの茂みに身を隠し様子を窺った
しばらくするとそこに縄と棒を手にした数人のいかつい男たちがぞろぞろと通りかかった
(魔女狩り!?)
その集団を見てネリーは恐怖に後ずさると這ってその場を移動した
上手く切り抜けられた彼女は急いでルカの所へ戻ろうと来た道を走ったがあまりに焦っていたので道を間違え、比較的低い崖から足を滑らせ下へ落っこちてしまったのだった
「痛…」
ネリーは落ちた際に膝を擦りむいたらしく泥で汚れた傷口からは血がにじみ出て非常に痛々しそうだった
彼女は歩けるか不安になりながらも立ち上がると数歩歩いて足の状態を確かめた
幸いなことに痛みは傷からのものだったので彼女はほっと胸をなでおろした
「よかった…歩ける…でもどっちに行けばいいんだろう…」
ネリーは近くにまだあの男たちがいるかもしれないと思い、大声でルカを呼ぶことすら躊躇い途方に暮れていた
その時、横の茂みから足音が聞こえたので彼女は酷く驚き飛び上がった
しかし茂みをかきわけ出てきた人を確認したとたんネリーはへなへなとしゃがみ込み安心したように顔を緩ませた
そう、それはネリーもよく知るゲルハルト本人だったからだ
「なんだ…ゲルハルトさん、びっくりしたよー…」
ゲルハルトは驚いたような表情でネリーを見る
「ネリー?こんな所で何をしてるんだ?ドレスに血が…怪我でもしたのか?」
ゲルハルトはネリーのドレスに血が付着していることに気付き慌てて駆け寄るが何かに気付き伸ばした手を引っ込めた
ネリーはルカから悪魔よけの護符を貰っていた、悪魔である彼はそのことを感じ取ったのである
「あ、この崖から落ちゃって…擦りむいただけみたいだから大丈夫ですよ」
ネリーはドレスを少しまくり上げ膝の傷を見せながら舌を出し笑って見せた
「少し待ってろ」
彼はそう言うとその辺の草をかきわけ、ある草を見つけるとその葉を数枚むしり取り持っていた荷物から水筒を取り出すとそれらを彼女に手渡した
「その水で傷の汚れを洗い落としたらその葉をもんで傷口に当てがうんだ…」
彼はそのように言うと着ていたマントを引き裂き、これも使えと布切れをネリーに手渡した
「あ、ありがとうございます…」
ネリーはこないだ会った時と比べなれなれしさのない彼をぽかんと口を開け見ていたが、彼に言われたとおりに傷口を洗浄すると葉をもんで傷口にあてがった
「どうして君がこんな所にいるんだ?ルカはどうした?」
ゲルハルトは怪我した足に布を巻き付けるネリーの隣に腰かけると、それをただ見つめながら聞いた
「あ!そうだ!魔女狩りの事ルカに知らせなきゃ!」
ネリーは思い出したように立ち上がり慌てふためく
「魔女狩り?」
ネリーがゲルハルトに事情を説明すると、彼がルカの所まで連れて行くというのでネリーはゲルハルトの後をついていくことにした
「そういえばゲルハルトさんはどうしてここにいるんですか?もしかしてお家がこの辺とか…?」
ネリーはこんな物騒な森で彼が何をしていたのか気になり聞いてみた
「さん付けじゃなくていいよ、まあ…そんなとこかな…実はあれから君たちの事が気になってね、俺も行ってみようかと思ってここを通ってたら偶然居合わせたってわけさ」
ゲルハルトはそう言いながらネリーに微笑みかけた
「そうだったんですか…」
ネリーは彼の今までに見たことのない優しい眼差しにとくんと胸がときめいた
そうして話しながら歩いているうちにネリーは自分が薪を集めていた道に出たのでルカのもとに走って戻った
しかしそこには荷物もなくルカもいなかったのでネリーはへなへなと座り込んでしまった
「どうしよう…ルカ先に行っちゃったのかな…それともあの人たちに…」
ネリーは今にも泣きそうになりながら言った
ゲルハルトは近くの藪を木の枝でかきわけ何かを探し始めた
そして何かを見つけた彼はネリーを呼ぶ
そこにはルカとネリーの荷物が隠すように置かれてあった
「荷物をここに置いていったってことはまだこの辺にいるってことだ」
ゲルハルトはそう言うと近くの岩に腰かけ火打石を使って火を熾すとパイプをふかしはじめた
「じゃあ探さなきゃ!魔女狩りの人たちに捕まってしまうかも…」
ネリーは不安そうにそう言うと周辺を探しに行こうとした
「待てよ、今探しに行ったってすれ違いになるだけだ…ここで待っていれば確実だ
それにルカはたかが人間がかなうような相手じゃないってことは君が一番知っているだろう?」
ゲルハルトは落ち着いた口調でそのように言う
「そういわれてみればそうだけど…」
ネリーは少し納得したように彼の横に腰を下ろしため息をついた
「いい子だ…」
ゲルハルトは煙を吐き出しながらネリーに微笑みかけた
その頃ルカはというと森の中ネリーを探していた
(あのバカ、なんで一人でいなくなるんだ)
ルカは怒っていたが本心はネリーの事が心配でしかたなかった
しばらく歩くうちに彼は彼女の落ちた崖の下で足を止める
地面にまだ新しい血痕が付着していたからだ
「あいつの血か…?」
ルカは不安そうな表情でそれを見たが、近くのぬかるんだ道に足跡があるのを見つけそれを辿って行くことにした
たき火が今にも消えそうになっていたのでネリーは朝食用の火を焚くため薪を取りに行こうとルカを起こさないように静かに立ち上がった
ネリーが近くで薪拾いをしているとどこからか風に乗って甘いような香りが漂ってきたので彼女は薪を拾うのをいったん止め香りのする方へと行ってみる事にした
森を進んで行くと開けた場所に綺麗な野の花が咲き誇る湿原がありそれを見た彼女は感動し息をのんだ
しかしそれが間違いのもとになろうとはこの時彼女は思いもしなかった
ネリーがルカに見せるため花畑の花を摘んでいると後方から騒がしい音が聞こえてきたので彼女はとっさに近くの茂みに身を隠し様子を窺った
しばらくするとそこに縄と棒を手にした数人のいかつい男たちがぞろぞろと通りかかった
(魔女狩り!?)
その集団を見てネリーは恐怖に後ずさると這ってその場を移動した
上手く切り抜けられた彼女は急いでルカの所へ戻ろうと来た道を走ったがあまりに焦っていたので道を間違え、比較的低い崖から足を滑らせ下へ落っこちてしまったのだった
「痛…」
ネリーは落ちた際に膝を擦りむいたらしく泥で汚れた傷口からは血がにじみ出て非常に痛々しそうだった
彼女は歩けるか不安になりながらも立ち上がると数歩歩いて足の状態を確かめた
幸いなことに痛みは傷からのものだったので彼女はほっと胸をなでおろした
「よかった…歩ける…でもどっちに行けばいいんだろう…」
ネリーは近くにまだあの男たちがいるかもしれないと思い、大声でルカを呼ぶことすら躊躇い途方に暮れていた
その時、横の茂みから足音が聞こえたので彼女は酷く驚き飛び上がった
しかし茂みをかきわけ出てきた人を確認したとたんネリーはへなへなとしゃがみ込み安心したように顔を緩ませた
そう、それはネリーもよく知るゲルハルト本人だったからだ
「なんだ…ゲルハルトさん、びっくりしたよー…」
ゲルハルトは驚いたような表情でネリーを見る
「ネリー?こんな所で何をしてるんだ?ドレスに血が…怪我でもしたのか?」
ゲルハルトはネリーのドレスに血が付着していることに気付き慌てて駆け寄るが何かに気付き伸ばした手を引っ込めた
ネリーはルカから悪魔よけの護符を貰っていた、悪魔である彼はそのことを感じ取ったのである
「あ、この崖から落ちゃって…擦りむいただけみたいだから大丈夫ですよ」
ネリーはドレスを少しまくり上げ膝の傷を見せながら舌を出し笑って見せた
「少し待ってろ」
彼はそう言うとその辺の草をかきわけ、ある草を見つけるとその葉を数枚むしり取り持っていた荷物から水筒を取り出すとそれらを彼女に手渡した
「その水で傷の汚れを洗い落としたらその葉をもんで傷口に当てがうんだ…」
彼はそのように言うと着ていたマントを引き裂き、これも使えと布切れをネリーに手渡した
「あ、ありがとうございます…」
ネリーはこないだ会った時と比べなれなれしさのない彼をぽかんと口を開け見ていたが、彼に言われたとおりに傷口を洗浄すると葉をもんで傷口にあてがった
「どうして君がこんな所にいるんだ?ルカはどうした?」
ゲルハルトは怪我した足に布を巻き付けるネリーの隣に腰かけると、それをただ見つめながら聞いた
「あ!そうだ!魔女狩りの事ルカに知らせなきゃ!」
ネリーは思い出したように立ち上がり慌てふためく
「魔女狩り?」
ネリーがゲルハルトに事情を説明すると、彼がルカの所まで連れて行くというのでネリーはゲルハルトの後をついていくことにした
「そういえばゲルハルトさんはどうしてここにいるんですか?もしかしてお家がこの辺とか…?」
ネリーはこんな物騒な森で彼が何をしていたのか気になり聞いてみた
「さん付けじゃなくていいよ、まあ…そんなとこかな…実はあれから君たちの事が気になってね、俺も行ってみようかと思ってここを通ってたら偶然居合わせたってわけさ」
ゲルハルトはそう言いながらネリーに微笑みかけた
「そうだったんですか…」
ネリーは彼の今までに見たことのない優しい眼差しにとくんと胸がときめいた
そうして話しながら歩いているうちにネリーは自分が薪を集めていた道に出たのでルカのもとに走って戻った
しかしそこには荷物もなくルカもいなかったのでネリーはへなへなと座り込んでしまった
「どうしよう…ルカ先に行っちゃったのかな…それともあの人たちに…」
ネリーは今にも泣きそうになりながら言った
ゲルハルトは近くの藪を木の枝でかきわけ何かを探し始めた
そして何かを見つけた彼はネリーを呼ぶ
そこにはルカとネリーの荷物が隠すように置かれてあった
「荷物をここに置いていったってことはまだこの辺にいるってことだ」
ゲルハルトはそう言うと近くの岩に腰かけ火打石を使って火を熾すとパイプをふかしはじめた
「じゃあ探さなきゃ!魔女狩りの人たちに捕まってしまうかも…」
ネリーは不安そうにそう言うと周辺を探しに行こうとした
「待てよ、今探しに行ったってすれ違いになるだけだ…ここで待っていれば確実だ
それにルカはたかが人間がかなうような相手じゃないってことは君が一番知っているだろう?」
ゲルハルトは落ち着いた口調でそのように言う
「そういわれてみればそうだけど…」
ネリーは少し納得したように彼の横に腰を下ろしため息をついた
「いい子だ…」
ゲルハルトは煙を吐き出しながらネリーに微笑みかけた
その頃ルカはというと森の中ネリーを探していた
(あのバカ、なんで一人でいなくなるんだ)
ルカは怒っていたが本心はネリーの事が心配でしかたなかった
しばらく歩くうちに彼は彼女の落ちた崖の下で足を止める
地面にまだ新しい血痕が付着していたからだ
「あいつの血か…?」
ルカは不安そうな表情でそれを見たが、近くのぬかるんだ道に足跡があるのを見つけそれを辿って行くことにした
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