245 / 318
膠着
しおりを挟む
足利義昭の策略も手伝い織田信雄は現在、石山には本願寺が。その協力者が紀伊に。西から毛利。北からは上杉に圧迫され、そのいくさに尾張の佐久間信盛が駆り出されている。西上を試みるには絶好の条件が整っているのでありますが……。
穴山信君「そのためには是が非でも徳川を屠らなければなりません。」
私(武田勝頼)「はい。」
穴山信君「我らは先のいくさの結果、豊川流域を領国ないし中立とする事に成功しました。」
私(武田勝頼)「はい。」
穴山信君「徳川領は東西に分断され、あとは各個撃破を試みる段階に入っています。」
私(武田勝頼)「しかし掛川に浜松。そして岡崎を攻略する目途は立っていない。」
穴山信君「確かに。今すぐ尾張へ進出する事は難しい状況にあります。」
私(武田勝頼)「はい。」
穴山信君「対織田を考えた場合、美濃へ兵を動かす事も可能であります。しかしそこは敵兵多く、突破は容易な事ではありません。加えて美濃は織田の本拠地。状況によっては全てを棄て、美濃に兵を集中させる可能性もあります。迂闊に手を出す事は出来ません。」
私(武田勝頼)「その通りです。」
穴山信君「攻めるなら尾張から。」
私(武田勝頼)「そうではあるのだけどな……。」
穴山信君「それでは上杉や毛利に先を越されてしまう?」
私(武田勝頼)「うむ。」
穴山信君「折角進んでいる徳川家臣に対する調略を活用したいと考えている?」
私(武田勝頼)「そうなのではあるが……。」
穴山信君「皆にそれを止められてしまった。」
私(武田勝頼)「それもあるのだが……。」
穴山信君「正直な話。止められて良かったとお思いではありませんか?」
私(武田勝頼)「いや。進出するのであれば尾張からと考えている。そのためにも三河遠江を手に入れ必要がある。それは変わらない。」
穴山信君「それは自前の兵で。でありますか?」
私(武田勝頼)「何を言わせたいのだ?」
穴山信君「山県から
『刈谷と知多に居る旧水野旧久松の家臣の取り込みを指示された。』
とありました。と言う事は当地を治める事になった場合。尾張への進出を試みる際、それらの担い手として殿は考えられている。間違いありませんね?」
私(武田勝頼)「想定はしている。」
穴山信君「そこに徳川の家臣も加えたいとも考えられている?」
私(武田勝頼)「難しいがな。」
穴山信君「殿。」
私(武田勝頼)「如何為されましたか?」
穴山信君「この事について私に考えがあります。」
私(武田勝頼)「どのような?」
穴山信君の献策を聞く武田勝頼。
穴山信君「少し時間を下さい。殿の願い。叶える事が出来るやもしれません。」
穴山信君「そのためには是が非でも徳川を屠らなければなりません。」
私(武田勝頼)「はい。」
穴山信君「我らは先のいくさの結果、豊川流域を領国ないし中立とする事に成功しました。」
私(武田勝頼)「はい。」
穴山信君「徳川領は東西に分断され、あとは各個撃破を試みる段階に入っています。」
私(武田勝頼)「しかし掛川に浜松。そして岡崎を攻略する目途は立っていない。」
穴山信君「確かに。今すぐ尾張へ進出する事は難しい状況にあります。」
私(武田勝頼)「はい。」
穴山信君「対織田を考えた場合、美濃へ兵を動かす事も可能であります。しかしそこは敵兵多く、突破は容易な事ではありません。加えて美濃は織田の本拠地。状況によっては全てを棄て、美濃に兵を集中させる可能性もあります。迂闊に手を出す事は出来ません。」
私(武田勝頼)「その通りです。」
穴山信君「攻めるなら尾張から。」
私(武田勝頼)「そうではあるのだけどな……。」
穴山信君「それでは上杉や毛利に先を越されてしまう?」
私(武田勝頼)「うむ。」
穴山信君「折角進んでいる徳川家臣に対する調略を活用したいと考えている?」
私(武田勝頼)「そうなのではあるが……。」
穴山信君「皆にそれを止められてしまった。」
私(武田勝頼)「それもあるのだが……。」
穴山信君「正直な話。止められて良かったとお思いではありませんか?」
私(武田勝頼)「いや。進出するのであれば尾張からと考えている。そのためにも三河遠江を手に入れ必要がある。それは変わらない。」
穴山信君「それは自前の兵で。でありますか?」
私(武田勝頼)「何を言わせたいのだ?」
穴山信君「山県から
『刈谷と知多に居る旧水野旧久松の家臣の取り込みを指示された。』
とありました。と言う事は当地を治める事になった場合。尾張への進出を試みる際、それらの担い手として殿は考えられている。間違いありませんね?」
私(武田勝頼)「想定はしている。」
穴山信君「そこに徳川の家臣も加えたいとも考えられている?」
私(武田勝頼)「難しいがな。」
穴山信君「殿。」
私(武田勝頼)「如何為されましたか?」
穴山信君「この事について私に考えがあります。」
私(武田勝頼)「どのような?」
穴山信君の献策を聞く武田勝頼。
穴山信君「少し時間を下さい。殿の願い。叶える事が出来るやもしれません。」
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
武田義信に転生したので、父親の武田信玄に殺されないように、努力してみた。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
アルファポリス第2回歴史時代小説大賞・読者賞受賞作
原因不明だが、武田義信に生まれ変わってしまった。血も涙もない父親、武田信玄に殺されるなんて真平御免、深く静かに天下統一を目指します。
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
彼の名はドラキュラ~ルーマニア戦記~ ヴラド・ツェペシュに転生したら詰んでます
高見 梁川
ファンタジー
大学の卒業旅行でルーマニアの史跡を訪れた俺はドラキュラの復活を目論むカルト宗教の男に殺されたはずだった……。しかし目覚めて見ればそこはなんと中世動乱の東欧。「ヴラド兄様……」えっ?もしかして俺ドラキュラですか??
オリジナル小説
偽典尼子軍記
卦位
歴史・時代
何故に滅んだ。また滅ぶのか。やるしかない、機会を与えられたのだから。
戦国時代、出雲の国を本拠に山陰山陽十一カ国のうち、八カ国の守護を兼任し、当時の中国地方随一の大大名となった尼子家。しかしその栄華は長続きせず尼子義久の代で毛利家に滅ぼされる。その義久に生まれ変わったある男の物語
女神を怒らせステータスを奪われた僕は、数値が1でも元気に過ごす。
まったりー
ファンタジー
人見知りのゲーム大好きな主人公は、5徹の影響で命を落としてしまい、そこに異世界の女神様が転生させてくれました。
しかし、主人公は人見知りで初対面の人とは話せず、女神様の声を怖いと言ってしまい怒らせてしまいました。
怒った女神様は、次の転生者に願いを託す為、主人公のステータスをその魂に譲渡し、主人公の数値は1となってしまいますが、それでも残ったスキル【穀物作成】を使い、村の仲間たちと元気に暮らすお話です。
チート生産魔法使いによる復讐譚 ~国に散々尽くしてきたのに処分されました。今後は敵対国で存分に腕を振るいます~
クロン
ファンタジー
俺は異世界の一般兵であるリーズという少年に転生した。
だが元々の身体の持ち主の心が生きていたので、俺はずっと彼の視点から世界を見続けることしかできなかった。
リーズは俺の転生特典である生産魔術【クラフター】のチートを持っていて、かつ聖人のような人間だった。
だが……その性格を逆手にとられて、同僚や上司に散々利用された。
あげく罠にはめられて精神が壊れて死んでしまった。
そして身体の所有権が俺に移る。
リーズをはめた者たちは盗んだ手柄で昇進し、そいつらのせいで帝国は暴虐非道で最低な存在となった。
よくも俺と一心同体だったリーズをやってくれたな。
お前たちがリーズを絞って得た繁栄は全部ぶっ壊してやるよ。
お前らが歯牙にもかけないような小国の配下になって、クラフターの力を存分に使わせてもらう!
味方の物資を万全にして、更にドーピングや全兵士にプレートアーマーの配布など……。
絶望的な国力差をチート生産魔術で全てを覆すのだ!
そして俺を利用した奴らに復讐を遂げる!
公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)
音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。
魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。
だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。
見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。
「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる