212 / 318
小浜景隆
しおりを挟む
小浜景隆は元々、今の三重県鳥羽市小浜町に本拠地を置く小浜衆の頭目。伊勢国司北畠家に属し、伊勢湾において北畠の海賊集を束ねていた人物。そんな彼に転機が訪れたのが織田信長の伊勢侵攻。主である北畠は信長の軍門に降り、後ろ盾を失った小浜景隆に追い打ちを掛けたのが織田信長に呼応した九鬼嘉隆の働き。志摩統一を目指す九鬼との争いに敗れた小浜景隆は伊勢湾を追われたのでありました。
そんな小浜景隆に声を掛けたのが、丁度その時期駿河に進出した武田信玄。海の無い甲斐信濃を本拠地とする武田家が初めて海のある駿河を手に入れた事により、必要に迫られたのが……。
山県昌景「海の防衛でありました。当時は北条氏康と対立している最中。伊豆相模に拠点を構える北条には当然の如く水軍があるのに対し我らは……。」
為す術無し。
山県昌景「このまま好き勝手にやられるわけにはいかない。さりとて我らには舟戦の方法を知る者がいない。そこで目を付けたのが岡部貞綱を始めとした今川の水軍衆。その岡部貞綱が亡き御館様の命を受け、水軍衆の更なる拡充を模索していた丁度その時……。」
伊勢を追われたのが小浜景隆。
山県昌景「でありました。彼はこれまで我が水軍には無かった大型の安宅船を所有。北条との和睦が成立した事も手伝い、我らの遠江進出の一助となっています。」
穴山信君「ただ駿河遠江で今、彼に与える役目は無い。仕事が無いと言う事は収入を増やす事が出来ない。彼は伊勢から多くの者を引き連れて来ている。伊勢時代に比べれば当然実入りを減らしている。某か新たな役割を与えなければ。と考えていた。」
跡部勝資「そこに三河での苦境が伝わって来た。」
穴山信君「困っている理由が海となれば、彼を用いない手は無い。元々小浜は伊勢の海を束ねていた人物。一国の海を任せて問題は無い。加えて徳川に水軍が存在しないのに対し、彼は安宅船を持っている。事舟戦で負ける事はあり得ぬ。想定はこれに留まらぬ。彼は伊勢国司北畠と繋がりが深い人物。今は織田の軍門に降っているが当主具教は健在。養子になっていた信雄が織田の当主を継いだ事に伴い……。」
監視の目が緩んでいると聞く。
高坂昌信「我らの大きな目的の1つに本願寺の再興があり、その候補地の1つが長島にあります。長島は尾張伊勢の国境。北畠具教の持つ影響力並びにその具教との繋がりを持ち、伊勢の海に精通している小浜景隆の力は必要不可欠であります。」
跡部勝資「その橋頭保を築く意味合いも兼ねて?」
高坂昌信「はい。彼を伊奈へ移動させるのであります。」
そんな小浜景隆に声を掛けたのが、丁度その時期駿河に進出した武田信玄。海の無い甲斐信濃を本拠地とする武田家が初めて海のある駿河を手に入れた事により、必要に迫られたのが……。
山県昌景「海の防衛でありました。当時は北条氏康と対立している最中。伊豆相模に拠点を構える北条には当然の如く水軍があるのに対し我らは……。」
為す術無し。
山県昌景「このまま好き勝手にやられるわけにはいかない。さりとて我らには舟戦の方法を知る者がいない。そこで目を付けたのが岡部貞綱を始めとした今川の水軍衆。その岡部貞綱が亡き御館様の命を受け、水軍衆の更なる拡充を模索していた丁度その時……。」
伊勢を追われたのが小浜景隆。
山県昌景「でありました。彼はこれまで我が水軍には無かった大型の安宅船を所有。北条との和睦が成立した事も手伝い、我らの遠江進出の一助となっています。」
穴山信君「ただ駿河遠江で今、彼に与える役目は無い。仕事が無いと言う事は収入を増やす事が出来ない。彼は伊勢から多くの者を引き連れて来ている。伊勢時代に比べれば当然実入りを減らしている。某か新たな役割を与えなければ。と考えていた。」
跡部勝資「そこに三河での苦境が伝わって来た。」
穴山信君「困っている理由が海となれば、彼を用いない手は無い。元々小浜は伊勢の海を束ねていた人物。一国の海を任せて問題は無い。加えて徳川に水軍が存在しないのに対し、彼は安宅船を持っている。事舟戦で負ける事はあり得ぬ。想定はこれに留まらぬ。彼は伊勢国司北畠と繋がりが深い人物。今は織田の軍門に降っているが当主具教は健在。養子になっていた信雄が織田の当主を継いだ事に伴い……。」
監視の目が緩んでいると聞く。
高坂昌信「我らの大きな目的の1つに本願寺の再興があり、その候補地の1つが長島にあります。長島は尾張伊勢の国境。北畠具教の持つ影響力並びにその具教との繋がりを持ち、伊勢の海に精通している小浜景隆の力は必要不可欠であります。」
跡部勝資「その橋頭保を築く意味合いも兼ねて?」
高坂昌信「はい。彼を伊奈へ移動させるのであります。」
0
お気に入りに追加
31
あなたにおすすめの小説
転生したら捨てられたが、拾われて楽しく生きています。
トロ猫
ファンタジー
2024.7月下旬5巻刊行予定
2024.6月下旬コミックス1巻刊行
2024.1月下旬4巻刊行
2023.12.19 コミカライズ連載スタート
2023.9月下旬三巻刊行
2023.3月30日二巻刊行
2022.11月30日一巻刊行
寺崎美里亜は転生するが、5ヶ月で教会の前に捨てられる。
しかも誰も通らないところに。
あー詰んだ
と思っていたら後に宿屋を営む夫婦に拾われ大好きなお菓子や食べ物のために奮闘する話。
コメント欄を解放しました。
誤字脱字のコメントも受け付けておりますが、必要箇所の修正後コメントは非表示とさせていただきます。また、ストーリーや今後の展開に迫る質問等は返信を控えさせていただきます。
書籍の誤字脱字につきましては近況ボードの『書籍の誤字脱字はここに』にてお願いいたします。
出版社との規約に触れる質問等も基本お答えできない内容が多いですので、ノーコメントまたは非表示にさせていただきます。
よろしくお願いいたします。
稀代の大賢者は0歳児から暗躍する〜公爵家のご令息は運命に抵抗する〜
撫羽
ファンタジー
ある邸で秘密の会議が開かれていた。
そこに出席している3歳児、王弟殿下の一人息子。実は前世を覚えていた。しかもやり直しの生だった!?
どうしてちびっ子が秘密の会議に出席するような事になっているのか? 何があったのか?
それは生後半年の頃に遡る。
『ばぶぁッ!』と元気な声で目覚めた赤ん坊。
おかしいぞ。確かに俺は刺されて死んだ筈だ。
なのに、目が覚めたら見覚えのある部屋だった。両親が心配そうに見ている。
しかも若い。え? どうなってんだ?
体を起こすと、嫌でも目に入る自分のポヨンとした赤ちゃん体型。マジかよ!?
神がいるなら、0歳児スタートはやめてほしかった。
何故だか分からないけど、人生をやり直す事になった。実は将来、大賢者に選ばれ魔族討伐に出る筈だ。だが、それは避けないといけない。
何故ならそこで、俺は殺されたからだ。
ならば、大賢者に選ばれなければいいじゃん!と、小さな使い魔と一緒に奮闘する。
でも、それなら魔族の問題はどうするんだ?
それも解決してやろうではないか!
小さな胸を張って、根拠もないのに自信満々だ。
今回は初めての0歳児スタートです。
小さな賢者が自分の家族と、大好きな婚約者を守る為に奮闘します。
今度こそ、殺されずに生き残れるのか!?
とは言うものの、全然ハードな内容ではありません。
今回も癒しをお届けできればと思います。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
異世界転移は草原スタート?!~転移先が勇者はお城で。俺は草原~
ノエ丸
ファンタジー
「ステータスオープン!」シーン「——出ねぇ!」地面に両手を叩きつけ、四つん這いの体制で叫ぶ。「クソゲーやんけ!?」
――イキナリ異世界へと飛ばされた一般的な高校ソラ。
眩い光の中で、彼が最初に目にしたモノ。それは異世界を作り出した創造神――。
ではなくただの広い草原だった――。
生活魔法と云うチートスキル(異世界人は全員持っている)すら持っていない地球人の彼はクソゲーと嘆きながらも、現地人より即座に魔法を授かる事となった。そして始まる冒険者としての日々。
怖いもの知らずのタンクガールに、最高ランクの女冒険者。果てはバーサーカー聖職者と癖のある仲間達と共に異世界を駆け抜け、時にはヒーラーに群がられながらも日々を生きていく。
最強すぎて追放された【最強】スキル持ちの最強魔剣士、〈最強〉を目指して最強に険しい道を進み真の最強に至る
土偶の友
ファンタジー
冒険者パーティ〈至高の剣〉に所属しているシュタルは最強である。
【最強】スキルを持ち、最強に至るために日々努力をかかさない。
しかし、最強を求め戦っていたシュタルに、パーティメンバーは追放を言い渡す。
子供の頃に共に最強になろう。
そう誓いあったはずの仲間だったが、長年の月日は彼らの考えを変えていた。
これからAランクの魔物のファイアードラゴンを倒そうとしていた時にだ。
他の仲間もシュタルと一緒に強大なドラゴンを倒すことなど出来ないと言う。
悲しみを味わいながらも、シュタルは1人追放されることを受け入れる。
しかし、ドラゴンのせいで困っている人がいる。
後ついでに最強と証明するためにドラゴンを討伐する。
そう決めたシュタルは1人ドラゴン討伐に向かう。
その途中、1人の逃げる少女を見つけ助ける。
そんな彼女を連れてドラゴン退治、更には彼女を捕まえようとしていた奴隷商もあっさりと倒し、囚われていた奴隷達も救う。
「最強とは俺の事。殺せるものならやってみろ」
既に最強の男の最強に至るため、そして最強であることを世界に知らしめる戦いが今始まる。
他サイトにも投稿しています。
聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜
みおな
ファンタジー
ティアラ・クリムゾンは伯爵家の令嬢であり、シンクレア王国の筆頭聖女である。
そして、王太子殿下の婚約者でもあった。
だが王太子は公爵令嬢と浮気をした挙句、ティアラのことを偽聖女と冤罪を突きつけ、婚約破棄を宣言する。
「聖女の地位も婚約者も全て差し上げます。ごきげんよう」
父親にも蔑ろにされていたティアラは、そのまま王宮から飛び出して家にも帰らず冒険者を目指すことにする。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる