旅行先で目を覚ましたら武田勝頼になっていた私。どうやら自分が当主らしい。そこまでわかって不安に覚える事が１つ。それは今私が居るのは天正何年？

吉田城

跡部勝資「ここからは吉田城、伊奈城の攻略方法について考えていきます。まずは吉田城から。」

山県昌景「ここに吉田城の図があります。吉田城は平城で、北を豊川で守られた半輪郭式の後ろ堅固の城。豊川すぐ南に本丸を擁し、川の無い三方向からの侵入に備えるべく二の丸に三の丸を構築。各丸の周りに土壁と外堀が配されています。大手門は東。」

馬場信春「二連木から見て正面か……。」

山県昌景「はい。これは当時、牧野氏。正しくは今川氏と対立していた戸田氏が拠点の１つとしていた二連木城を狙うべく築城した。二連木から守るのでは無く、二連木を攻める意志。挑発の意味があったと考えられます。」

跡部勝資「そこから攻める事は？」

山県昌景「弱点であるのは紛れもない事実であります。ただ……」

内藤昌豊「他の場所に兵を割く必要が無いように見える。」

山県昌景「はい。北を川に守られ、他の三方向は惣構え。相当な兵力差が無ければこれらを突破する事は出来ません。」

内藤昌豊「徳川は大手門だけを意識していれば問題無い？」

山県昌景「間違いありません。」

跡部勝資「力攻めに出た場合どうなりますか？」

山県昌景「城門に近付いた所を鉄砲と弓矢による攻撃を受け、怯んだ所で城門を開き追い散らして来る事が想定されます。」

内藤昌豊「城内の兵糧と弾薬の備蓄は？」

山県昌景「重要拠点でありますので。加えて吉田城から下流の豊川は徳川が押さえています。故に物資の補給並びに兵の交代は可能な状態にあります。」

跡部勝資「となりますと兵糧攻めは不可能？」

山県昌景「先に干上がるのはこちらになります。」

跡部勝資「城内部の将の様子は？」

山県昌景「内応を仕掛けています。しかし亡き酒井忠次の遺志を受け継いだ者共であります。そこに赤坂における徳川信康の戦いぶりが加わりました。現状、吉田城内で我らに靡く者は居ません。」

跡部勝資「そうなりますと吉田城を攻略する事は難しい？」

山県昌景「多大な犠牲を覚悟の上、大手門並びに南と西の惣構えに総攻撃を仕掛ければ不可能ではありません。ただそれだけの事をしても城を攻略出来る保証はありません。無謀ないくさを仕掛けるべきではありません。」

跡部勝資「二連木を固くする方が？」

山県昌景「吉田城攻略に要する人の損失と物資弾薬の損耗を考えました場合そうなります。」

跡部勝資「敵を城から誘い出す手立ては？」

山県昌景「挑発行為は繰り返しています。わざと二連木を開ける事も行っています。しかし吉田城に動きはありません。三方ヶ原の経験が彼らを自重させていると見て間違いありません。」