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山県昌景「信綱に外いくさを仕掛けるよう指示したと言ったよな?」
高坂昌信「はい。」
山県昌景「信康は岡崎から長沢に向かって……。」
高坂昌信「一本道であります。」
山県昌景「少なくとも赤坂を抜けない事には……。」
高坂昌信「分岐点はありません。」
山県昌景「五井が御油に出て来ているとなると、信康の目的地は牛久保?」
高坂昌信「その通りであります。」
山県昌景「信康が攻めて来ていると言う事は、徳川の主力が来ていると考えて間違いない?」
高坂昌信「はい。」
山県昌景「その信康を外いくさで。と言う事は、信綱に正面から受け止めよう指示している?」
高坂昌信「その通りであります。」
山県昌景「兵の数で見た場合は……。」
高坂昌信「信康自らとは言え、秋山が足助から睨みを利かせていますので全てを兵を連れて来る事は不可能であります。」
山県昌景「少なくとも兵数の均衡を保つ事は出来ると算段している?」
高坂昌信「えぇ。」
山県昌景「そうなると気になるのが……。」
標高差。
山県昌景「信康は岡崎から入って来る。我らとの境目から五井が入った御油までの全てが……。」
下り坂。
武田と徳川の境目となっているのは現在の愛知県豊川市と岡崎市の境で標高が100mを越えるのに対し、五井松平が入った御油の標高は約30m。その間約8キロ。ひたすら下り道が続く事になります。
山県昌景「要所要所で伏兵を配し、横槍を入れようと考えている?」
高坂昌信「長沢や萩には兵を残しますが、基本は街道筋に兵を配すよう指示しています。」
山県昌景「最前線は信綱?」
高坂昌信「いえ。信綱への指示。信康の侵入を阻止し、岡崎に追い返す事自体に変更点はありません。信綱が得意とする先制攻撃や境目向こう側でのいくさは禁じています。故に信康と相対すのは我が配下であります。」
山県昌景「信綱は……。」
高坂昌信「私が派遣した部隊の更に後ろで待機するよう指示しています。」
山県昌景「信綱の得手は?」
高坂昌信「信綱の父真田幸隆同様攻め弾正であります。」
山県昌景「お前の配下は?」
高坂昌信「逃げ弾正は私一人でありますが配下の者は違います。攻める事が出来なければ守り抜く事は出来ませんので。しかしこれまで能動的に攻めると言う経験をしていません。故にどうしても受け身になってしまう事を否定する事は出来ません。」
山県昌景「最前線で慣れない攻めいくさを強いられるお前の配下と、その後ろで何もする事が出来ない攻めいくさを得意とする真田信綱。それこそ……。」
互いの足を踏み合ってはいないのかい?
高坂昌信「はい。」
山県昌景「信康は岡崎から長沢に向かって……。」
高坂昌信「一本道であります。」
山県昌景「少なくとも赤坂を抜けない事には……。」
高坂昌信「分岐点はありません。」
山県昌景「五井が御油に出て来ているとなると、信康の目的地は牛久保?」
高坂昌信「その通りであります。」
山県昌景「信康が攻めて来ていると言う事は、徳川の主力が来ていると考えて間違いない?」
高坂昌信「はい。」
山県昌景「その信康を外いくさで。と言う事は、信綱に正面から受け止めよう指示している?」
高坂昌信「その通りであります。」
山県昌景「兵の数で見た場合は……。」
高坂昌信「信康自らとは言え、秋山が足助から睨みを利かせていますので全てを兵を連れて来る事は不可能であります。」
山県昌景「少なくとも兵数の均衡を保つ事は出来ると算段している?」
高坂昌信「えぇ。」
山県昌景「そうなると気になるのが……。」
標高差。
山県昌景「信康は岡崎から入って来る。我らとの境目から五井が入った御油までの全てが……。」
下り坂。
武田と徳川の境目となっているのは現在の愛知県豊川市と岡崎市の境で標高が100mを越えるのに対し、五井松平が入った御油の標高は約30m。その間約8キロ。ひたすら下り道が続く事になります。
山県昌景「要所要所で伏兵を配し、横槍を入れようと考えている?」
高坂昌信「長沢や萩には兵を残しますが、基本は街道筋に兵を配すよう指示しています。」
山県昌景「最前線は信綱?」
高坂昌信「いえ。信綱への指示。信康の侵入を阻止し、岡崎に追い返す事自体に変更点はありません。信綱が得意とする先制攻撃や境目向こう側でのいくさは禁じています。故に信康と相対すのは我が配下であります。」
山県昌景「信綱は……。」
高坂昌信「私が派遣した部隊の更に後ろで待機するよう指示しています。」
山県昌景「信綱の得手は?」
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山県昌景「お前の配下は?」
高坂昌信「逃げ弾正は私一人でありますが配下の者は違います。攻める事が出来なければ守り抜く事は出来ませんので。しかしこれまで能動的に攻めると言う経験をしていません。故にどうしても受け身になってしまう事を否定する事は出来ません。」
山県昌景「最前線で慣れない攻めいくさを強いられるお前の配下と、その後ろで何もする事が出来ない攻めいくさを得意とする真田信綱。それこそ……。」
互いの足を踏み合ってはいないのかい?
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