上 下
50 / 318

連絡はするが

しおりを挟む
跡部勝資「はい。謙信が頼みとしているのが常陸の佐竹義重であります。佐竹義重は同じ常陸の小田氏治を破り常陸の大半を手中に収めたばかりでなく、陸奥にまで勢力を拡げています。加えて義重は下妻、多功において北条氏政自身が出馬したいくさに二度に渡り勝利した人物であります。」

高坂昌信「上杉謙信が佐竹義重に期待するのはそれだけではありません。先程跡部が述べたように義重は陸奥に勢力を伸ばしています。相手は蘆名であります。蘆名の本拠地は会津。謙信の本拠地である越後の東に位置しています。」

私(武田勝頼)「佐竹と蘆名を戦わせることによって、会津からの脅威を取り除こうとも考えている?」

跡部勝資「はい。」

私(武田勝頼)「義重が氏政を追い払った時期は?」

跡部勝資「元亀2年の事であります。」

私(武田勝頼)「その時、北条と上杉の関係は?」

跡部勝資「下妻の時はまだ氏康が存命中でありましたので、同盟関係は続いていました。しかし多功の時は微妙な時期にあたります。」

私(武田勝頼)「2つのいくさに際し、謙信は兵を出していない?」

跡部勝資「ありません。」

私(武田勝頼)「義重は謙信の事をどう思っている?」

高坂昌信「北条が関宿を囲った時、謙信は兵を進める事はありませんでした。理由は

『関東の諸将が動かなかったから。』

でありますが、それに対する義重の考えが伝わっています。」

私(武田勝頼)「教えてくれ。」

跡部勝資「『お前(上杉謙信)が動けば勝手について来る。』」

高坂昌信「『要は(謙信は)北条と戦いたくは無いのであろう。』

と。その後、謙信は義重との面会を求めて来ました。これに対する義重の本心は?と言いますと。」

跡部勝資「『持ち上げておきさえすればそれで良い。どうせあいつが後生大事にするのは都の位だけしか無いのだから。』」

高坂昌信「このように申していたとの事であります。」

私(武田勝頼)「そんなこと言って大丈夫なのか?」

跡部勝資「『今、義重を亡き者にしたら誰が北条の暴走を止める事が出来るのか?西を目指す謙信の背後の安全。蘆名の目を西に向けさせないようにする事が出来るのは誰であるのか?それを知った上で、成敗するならして下さい。』

であります。」

高坂昌信「勿論、謙信とのいくさを義重は望んではいません。いませんが、謙信が二度と関東に入る事が無い事も義重は知っています。謙信の関心は北陸にありますし、上杉と北条が同盟を結んでいますので。それにも関わらず

『北条を牽制してくれ。』

と言うのでありましたら、それ相応の支援を約束して下さい。佐竹が欲しているものと言えば勿論、鉄砲と弾薬であります。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

マムシの娘になりまして~悪役令嬢帰蝶は本能寺の変を回避したい~

犬井ぬい
ファンタジー
戦国時代に転生し、織田信長の妻になりまして!? **************** 歴女でもなければ乙女ゲームをやったこともない、ポンコツ女オタクの私は、転生したら戦国時代で美濃のマムシの娘・小蝶姫になっていた。そして、すでに織田信長と婚約していた……。 日本史知識はゼロだけど、唯一わかってるバッドエンド「信長と本能寺で焼死」だけは嫌なので、幼少期より鍛えた拳で本能寺の変を回避します!だっていつの世も、筋肉は裏切らない! ……と思ったらやっぱり乙女ゲームの世界!?ヒロインが来たってことは、悪役令嬢婚約破棄断罪エンド確定ですか!? ※歴史改変を拳と筋肉で解決することしか考えていない暴力令嬢・帰蝶が、打倒明智光秀のために明智光秀を仲間にしたり、唐揚げで徳川家康を攻略したり、斎藤義龍に腹パンしたりするお話です。 【次回更新予定】  本編9月中は毎日更新予定!  登場人物紹介…随時(最終更新2022.1.30) ****************ご注意**************** ※主人公視点。タイトル【】は他者視点で進みます。 ※わかりやすくするため、呼称はできるだけ諱、幼名に様付けなど通りの良いものを採用しております。 ※小説家になろう、カクヨムで先行連載中。pixivにも掲載中。

転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉ 攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。 私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。 美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~! 【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避 【2章】王国発展・vs.ヒロイン 【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。 ※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。 ※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差) ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/ Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/ ※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

序盤でボコられるクズ悪役貴族に転生した俺、死にたくなくて強くなったら主人公にキレられました。え? お前も転生者だったの? そんなの知らんし〜

水間ノボル🐳
ファンタジー
↑「お気に入りに追加」を押してくださいっ!↑ ★2024/2/25〜3/3 男性向けホットランキング1位! ★2024/2/25 ファンタジージャンル1位!(24hポイント) 「主人公が俺を殺そうとしてくるがもう遅い。なぜか最強キャラにされていた~」 『醜い豚』  『最低のゴミクズ』 『無能の恥晒し』  18禁ゲーム「ドミナント・タクティクス」のクズ悪役貴族、アルフォンス・フォン・ヴァリエに転生した俺。  優れた魔術師の血統でありながら、アルフォンスは豚のようにデブっており、性格は傲慢かつ怠惰。しかも女の子を痛ぶるのが性癖のゴミクズ。  魔術の鍛錬はまったくしてないから、戦闘でもクソ雑魚であった。    ゲーム序盤で主人公にボコられて、悪事を暴かれて断罪される、ざまぁ対象であった。  プレイヤーをスカッとさせるためだけの存在。  そんな破滅の運命を回避するため、俺はレベルを上げまくって強くなる。  ついでに痩せて、女の子にも優しくなったら……なぜか主人公がキレ始めて。 「主人公は俺なのに……」 「うん。キミが主人公だ」 「お前のせいで原作が壊れた。絶対に許さない。お前を殺す」 「理不尽すぎません?」  原作原理主義の主人公が、俺を殺そうとしてきたのだが。 ※ カクヨム様にて、異世界ファンタジージャンル表紙入り。5000スター、10000フォロワーを達成!

処理中です...