旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

ジョーカー氏真

　兵を損ねる事無く駿府に入った徳川家康。手元には先日まで駿府を統治していた今川氏真。興津川の向こうには、家康と同じく今川氏真の要請に応じ馳せ参じた北条氏政。興津江尻に武田義信の命を受けた穴山信君が駐屯しては居るが、防衛を任務としているため駿府に攻め込む可能性は低い。駿府統治に向け、これ以上無い好条件下にある徳川家康。……なのでありましたが……。



春日虎綱「錦の御旗となる今川氏真の人気が全くありません。」

私（村上義清）「将軍もそんな感じだったような？」

春日虎綱「信長のような経済力が家康にあれば対応も可能かと思われます。」

私（村上義清）「そうだな……。信長は敵が多いとは言え、個対個となった場合信長に勝つ事が出来る勢力は居ない。」

春日虎綱「加えて畿内に勢力を拡げようと考えている者。奪還しようと試みている者は居ますが、畿内を制圧しようと考え。行動しているのは信長しか居ません。大半は将軍様の要請を利用して、自らの権益を維持する事が出来れば善しと考えています。

　一方の駿河につきましては、本格的に領土を狙っているのは全軍を甲斐に戻した武田義信。再び駿河に兵を進める事になります。前回以上の規模で以て。仮にその時家康が駿府に居た場合どうなるでしょう？駿河の国人は今川氏真の下に集結するのでしょうか？あり得ません。天竜川東岸の家康に従った国人はどのような行動に出るでしょうか？天竜川西岸に居る徳川の動きを封じる行動に出る危険性が十分にあります。全勢力で向かって来る義信を、家康は駿府に駐屯して居る自らの手勢だけで対応しなければならなくなります。

　ここでの勝ち負けについてはやってみなければわかりません。わかりませんが、家康が義信を圧倒する事は難しいと言わざるを得ません。仮に勝つ事が出来たとしても甲斐に兵を進める余裕はありません。徳川の国力が必ずしも強力では無い事に加え、本拠地からの補給もままならない状況にありますので。まだそれなら良いのかもしれません。興津川の向こうの氏政は、氏真と懇意の関係にありますので。問題は負けた時であります。」

私（村上義清）「天竜川渡るまでは安心出来ないからな……。」

春日虎綱「一応、大井川を渡れば氏真の忠臣朝比奈泰朝が居ます。」

私（村上義清）「もし氏真が討たれでもしたら……。」

春日虎綱「流石の朝比奈も武田に降るのでは？」

私（村上義清）「家康の首を土産に。」

春日虎綱「あり得る話であります。」

私（村上義清）「と考えていくと、家康は氏真を手放したい？」

春日虎綱「はい。『とっとと』であると思われます。そして今の駿府からも撤退したいと考えていて間違いありません。」