旅行先で目を覚ましたら村上義清になっていた私。そんな私を支えることになったのがアンチ代表の真田幸隆だった。

経済封鎖

　三好が野田福島のほか。池田を押さえる事により、得る事の出来る利点。それは……。



春日虎綱「三好の目的は西からの人と物の流れを堰き止める事であります。摂津には西国の物資の積み上げ及び京への搬送を一手に引き受ける拠点尼崎があります。そこから淀川を遡り、京へと荷物が運び込まれる事になっています。その淀川の入口に位置するのが野田であり、福島であります。ここを今三好は押さえています。

　しかしそれだけでは不十分であります。京への行き来は淀川だけではありません。そうです。陸路であります。勿論、水運に比べ運ぶ事の出来る量は限られて居ますが、金に糸目を付けなければ、人海戦術で対応する事も不可能ではありません。ただその際、必ず通らなければならない要地があります。それが池田であります。

　勿論、京が三好陣営であれば問題はありません。今の野田。今の福島。そして今の池田が三好方である事はむしろ歓迎すべき事案であります。しかし今、京の地は、実際のところはわかりませんが三好とは仲の良くない足利義昭が居を構え。彼を支えているのは三好を追放した織田信長であります。

　さてどうなるでしょうか？答えは１つであります。経済封鎖であります。京を干上がらせるべく荷物を尼崎で停めてしまう事であります。三好は今、その拠点であります尼崎の掌握に乗り出しています。」

真田幸隆「戦況の方は？」

春日虎綱「いくさにはなっていません。」

真田幸隆「即座に降伏した？」

春日虎綱「いえ。尼崎の者共が、三好を引き入れたものと思われます。」

私（村上義清）「そうなると、西国からの物資は……。」

春日虎綱「はい。京への流入は止まっています。そして三好の目的はそれだけには留まりません。京のみならず畿内は今。信長陣営が牛耳っています。その中には、尼崎を必要としない地域も存在しています。そうです。河内と和泉であります。ここには２つの大きな拠点があります。天王寺と堺であります。特に堺は三好の撤退後、信長の直轄地となっています。ここを奪い返す。ないし封鎖する事が出来なければ、今回の経済封鎖は不十分なものとなってしまいます。そこで活きて来るのが野田、福島を押さえている事。そして舟戦を得意としている事であります。」

真田幸隆「大和川を遡って、海と川から堺を封鎖する……。」

春日虎綱「はい。信長は将軍様を通じ、河内の畠山昭高に兵を動かす事を指示したのでありましたが……。」

真田幸隆「三好に先手を打たれてしまった？」

春日虎綱「はい。畠山は今。身動きを取る事が出来ない状況に追い込まれています。」