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今切
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春日虎綱「今切が無ければ水軍を気にしなくても良いのでありますが……。」
浜名湖は元々淡水湖で、琵琶湖よりも京から遠い事から遠津淡海と呼ばれ、遠江の語源となったと言われています。
春日虎綱「全く海と繋がっていなかったわけではありませんでしたが、今に比べれば川の流れの向きを変える場所を使って侵入を防ぐ事が出来たのでありましたが……。」
明応の地震とそれに伴う大津波のため、砂堤が決壊。当時の交通の要衝であった橋本宿は、その後に発生した高潮の被害もあり復活を諦めるなど大きな被害を出すと同時に、浜名湖は海の水が混じり合う汽水湖に変わり、その境目に位置するのが今切の地。往来には渡し舟が必須の交通の難所でありましたが……。
私(村上義清)「海で船を操れる連中にとっては活動しやすくなったとも言えるのかな?」
一時期、知多半島から渥美半島に掛け勢力を誇った戸田氏は遠江の今の三ヶ日にも進出。その際、彼らが使ったのも汽水湖になった浜名湖の水運。ただ遠江に手を出した事により、今川に目をつけられた事が戸田氏苦難の歴史の始まりともなったのでありましたが……。
私(村上義清)「もし今川が今切を突破して浜名湖に入って来たらどうなる?」
春日虎綱「一応、浜名湖北の陸路につきましては海から離れていますので、今川の船に湖を占拠されたからと言いましても三河との連絡を断たれる事はありません。ただ1つだけ海に近い場所があります。それが気賀であります。つまり家康が今切と気賀を失う事は東は天竜川。西は浜名湖から挟み撃ちに遭うばかりでなく、三河からの供給も断たれる事になります。それもあってでありましょう。家康が気賀の民に対し厳しく当たるばかりでなく、立て籠もった者全てを亡き者にしたのは。」
私(村上義清)「二度と刃向かう事が出来ないように。」
春日虎綱「はい。ただやり過ぎた所もあります。此度のいくさで亡くなった者の身内も多いでしょうし、家康の側に付いた者の中にも不安を覚えた者も居るかと思います。」
私(村上義清)「そこに武田や今川がやって来て『免訴』の触れでも出そうものなら。」
春日虎綱「はい。気賀における徳川の支配など吹き飛んでしまいます。」
私(村上義清)「その気賀の民の中には、井伊谷の事を良くは思っていない者も居る?」
春日虎綱「はい。皆龍潭寺を通じ手厚く弔ったのではありましたが、『お前ら(井伊谷)が裏切った事が原因だからな。』『お前らが家康を道案内しなければこんな事態には陥らなかったのだからな。』と思っている者は少なからず存在します。ある意味仕方の無い事ではあります。」
浜名湖は元々淡水湖で、琵琶湖よりも京から遠い事から遠津淡海と呼ばれ、遠江の語源となったと言われています。
春日虎綱「全く海と繋がっていなかったわけではありませんでしたが、今に比べれば川の流れの向きを変える場所を使って侵入を防ぐ事が出来たのでありましたが……。」
明応の地震とそれに伴う大津波のため、砂堤が決壊。当時の交通の要衝であった橋本宿は、その後に発生した高潮の被害もあり復活を諦めるなど大きな被害を出すと同時に、浜名湖は海の水が混じり合う汽水湖に変わり、その境目に位置するのが今切の地。往来には渡し舟が必須の交通の難所でありましたが……。
私(村上義清)「海で船を操れる連中にとっては活動しやすくなったとも言えるのかな?」
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私(村上義清)「もし今川が今切を突破して浜名湖に入って来たらどうなる?」
春日虎綱「一応、浜名湖北の陸路につきましては海から離れていますので、今川の船に湖を占拠されたからと言いましても三河との連絡を断たれる事はありません。ただ1つだけ海に近い場所があります。それが気賀であります。つまり家康が今切と気賀を失う事は東は天竜川。西は浜名湖から挟み撃ちに遭うばかりでなく、三河からの供給も断たれる事になります。それもあってでありましょう。家康が気賀の民に対し厳しく当たるばかりでなく、立て籠もった者全てを亡き者にしたのは。」
私(村上義清)「二度と刃向かう事が出来ないように。」
春日虎綱「はい。ただやり過ぎた所もあります。此度のいくさで亡くなった者の身内も多いでしょうし、家康の側に付いた者の中にも不安を覚えた者も居るかと思います。」
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