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追加条項

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 翌年。



真田幸隆「殿!如何なされました?」

私(村上義清)「信長から急な呼び出しがあってな……。」

真田幸隆「とうとうあの事が露見してしまいましたか?」

私(村上義清)「ん!?何のことだ?」

真田幸隆「いえ。何もありませぬ。」

私(村上義清)「そう言う事では無いし、身に覚えは……。」

真田幸隆「天竜川の件がありますよね。」

私(村上義清)「(不安にさせないでくれる……。)」

真田幸隆「信長と言えば殿。」

私(村上義清)「どうした?」

真田幸隆「将軍様と信長が和睦したそうでありますね。」

私(村上義清)「天皇の手前。形式上ではあるけどな。」

真田幸隆「将軍様が頭を下げた?」

私(村上義清)「条文をまだ読んでいないな。」



 真田幸隆に春日虎綱からの文を渡す村上義清。そこに記された内容は……。



真田幸隆「10対0でありますね。」

私(村上義清)「だろ。」



 殿中掟追加条項

1、将軍が大名に書状を出す場合は、必ず信長の副状を添える事。

2、将軍がこれまでに出した命令は全て無効とする事。

3、たとえ将軍に対し貢献したとしても将軍にその原資となる物が無いのであるから、恩賞は全て信長の領地から供出する事。

4、天下の全ては信長に任せたのであるから、信長は将軍に相談する必要は無い。信長の裁量で成敗して構わない事。

5、天下の安定と天皇家への奉仕は将軍の責務である事。もしそれらを怠った場合、信長は将軍に対し失格の烙印を押すと同時に成敗する事。



以上の5点について足利義昭と織田信長は同意します。

 

真田幸隆「将軍様は、よくこれに同意しましたね。」

私(村上義清)「せざるを得なかったと言うのが実情だと思うけどな。それにあと……。」



 織田信長。管領代に就任。



私(村上義清)「足利義昭の家臣に対しても影響力を行使する事を鮮明にしておる。」

真田幸隆「信長の言葉は将軍様の言葉であるが、将軍様の言葉は必ずしも将軍様の言葉とは限らない。そうなりますと自動的に彼らが足を運ぶ事になるのは信長の方となるのは必定。」

私(村上義清)「もし将軍が信長と袂を分かつ決断をしたとしても、将軍になるためには天皇の承認が必要となる上、天皇家の財布と安全保障を握っているのは織田信長。彼を脅かす事は天下を乱す事であり、天皇家を脅かす事にもなるため、信長から成敗される対象となる。将軍と言えども賊将であり、朝敵となる。そんな義昭を匿おうと思う勢力が居るのかどうか……。」

真田幸隆「『黙って印鑑押してろ。』と言う事ですな。」
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