上 下
347 / 625

信頼していた

しおりを挟む
 将軍を目指す足利義秋が頼みにしていた人物の1人が、かつて兄義輝のために上洛した上杉輝虎。その輝虎は……。



真田幸隆「輝虎についての動きが2つあります。1つは(越後北部)揚北の本庄繁長が(出羽国)庄内の大宝寺と結び輝虎から離反。これに対し輝虎はまず大宝寺を降し本庄を孤立させた上、殲滅に向け動いています。そしてもう1つが越中であります。」

春日虎綱「また神保でありますか?」

真田幸隆「神保が輝虎に刃向かうだけの力はありません。ただ越中の一向宗は輝虎の事を面白く思っては居ない様子。しかし彼らも単独で輝虎に戦いを挑む事はしません。」

春日虎綱「ならば表向き平穏は保たれているのではありませんか?別に輝虎が越中に兵を容れているわけではありませんので。」

真田幸隆「そうだったのだが……。これまで越中の上杉方に立ち、神保の勢力衰退に伴い相対的に力をつけることになった椎名があろうことか一向宗と手を結び輝虎の下を離れる事になった。」



 椎名家当主康胤は上杉輝虎が関東に在陣している際、上杉の居城春日山の留守を任させるなど輝虎から厚く信頼されていた人物。



春日虎綱「椎名に不満など無いでしょう。」

真田幸隆「確かに。誰かが(本庄、椎名を)嗾けたと思われます。」



私(村上義清)「ん!?俺じゃないぞ。」

真田幸隆「確か殿は飛騨から越中の一向宗と連絡する手筈を考えられていたと聞いておりましたが。」

私(村上義清)「吾妻整備でそれどころでは無いし、むしろ輝虎にはもっと関東を見て欲しいと考えている。」

真田幸隆「そうです。」

私(村上義清)「何を正解したのだ?」

真田幸隆「輝虎が関東に目を向けて欲しくは無い人物が此度の動きに関係しています。」

私(村上義清)「一向宗も関わっているとなると……。」

真田幸隆「そう。義信であります。昨年北条改め喜多条高広が氏康に降りました。この事により一見上野は武田北条有利になったと思われます。しかし実際はどうでありましょうか?これまで高広に任せ切りにしていた輝虎が関東に目を向ける事になりました。その結果、輝虎の勢力は再び上野を越え下総にまで回復しています。加えて我らも上野に入り、沼田防衛のため態勢を整えているところであります。氏康はまだ良いでしょう。関東が本拠地であり、既に確固たる地盤がありますので。一方の義信はどうでしょう?上野南部に通じる細い峠道しか使う事が出来ないため成果を挙げることはまだ出来ていません。今、輝虎に攻め込まれたらひとたまりもありません。そこで義信は高広同様上杉勢力の端を任せている人物に手を回し、輝虎が関東に入る事が出来ぬよう仕向けたのであります。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた

中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■ 無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。 これは、別次元から来た女神のせいだった。 その次元では日本が勝利していたのだった。 女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。 なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。 軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか? 日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。 ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。 この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。 参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。 使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。 表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜

雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。 そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。 これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。 主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美 ※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。 ※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。 ※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。

暁のミッドウェー

三笠 陣
歴史・時代
 一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。  真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。  一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。  そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。  ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。  日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。  その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。 (※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)

信濃の大空

ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。 そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。 この小説はそんな妄想を書き綴ったものです! 前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!

高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?

俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。

処理中です...