333 / 625
呆気なく
しおりを挟む
私(村上義清)「厩橋が北条方になったとなると(利根川)西岸の箕輪城も持たないかもしれないな。」
真田幸隆「義信が現状。余地峠しか使えませんので大規模に兵を展開する事が出来てはいませんが、(箕輪衆にとって)頼みの綱とも言える高広が氏康に鞍替えしてしまった動揺は大きいかと思われます。」
私(村上義清)「かと言って奴ら(箕輪衆)が上杉方である以上、うちが兵を出すわけにはいかぬ。」
真田幸隆「下手をしますと上杉、北条、武田の三者を敵に回すことにもなり兼ねませんし、何より箕輪衆が皆。殿が入って来ることを望んでいるわけではありません。」
私(村上義清)「そうなると内山峠と碓氷峠を固めるしかないか。」
真田幸隆「はい。尤も輝虎にとって厩橋は重要拠点でありますので、すぐに兵を動かすと思います。」
喜多条高広の離反を知った輝虎は即座に越境。高広を破り厩橋城並びに東上野の奪還に成功したのでありました。
私(村上義清)「呆気ないな……。」
真田幸隆「これまで北に対する備えが必要無かった城でありますので。」
私(村上義清)「氏康はどうしてたの?」
真田幸隆「まぁ輝虎が関東に入って来ましたので。」
私(村上義清)「(高広は)騙されたって事?」
真田幸隆「……そういうものですよ。」
私(村上義清)「消息は?」
真田幸隆「本人は無事脱出することが出来、氏康の配下として働く事になった模様であります。」
私(村上義清)「良かったのかな?悪かったのかな?」
真田幸隆「少なくとも上野が氏康の物になるまでは仕事があるでしょう。」
私(村上義清)「その後は?」
真田幸隆「氏康に越後を狙う野心があれば新たな仕事が与えられることになるでしょう。」
私(村上義清)「もしそうで無かったら?」
真田幸隆「言わぬが花でありましょう。」
私(村上義清)「しかし喜多条が北条方となったとなると、上野への侵攻速度が速まることになるな。」
真田幸隆「はい。義信の(越後領内外に対する)計略も激しくなると思われますし、箕輪衆の動向も気になります。」
私(村上義清)「輝虎がずっと上野に居ることは出来ないとなると、代役を立てなければならない。その全ての任にあたっていた高広が北条に寝返ってしまった。彼と同等。それ以上に上野に明るい人物は……。」
真田幸隆「憲政が居ますが。」
私(村上義清)「本気で言ってる?」
真田幸隆「彼には知識もあり、経験もありますが。」
私(村上義清)「お前も奴の下に居たことがあるだろう?」
真田幸隆「ありますよ。」
私(村上義清)「どうなるか分かっているだろう?」
真田幸隆「えぇ。その時は、武田北条のいくさ疲れを狙うまでであります。ですので輝虎も彼を派遣する事は無いでしょう。」
真田幸隆「義信が現状。余地峠しか使えませんので大規模に兵を展開する事が出来てはいませんが、(箕輪衆にとって)頼みの綱とも言える高広が氏康に鞍替えしてしまった動揺は大きいかと思われます。」
私(村上義清)「かと言って奴ら(箕輪衆)が上杉方である以上、うちが兵を出すわけにはいかぬ。」
真田幸隆「下手をしますと上杉、北条、武田の三者を敵に回すことにもなり兼ねませんし、何より箕輪衆が皆。殿が入って来ることを望んでいるわけではありません。」
私(村上義清)「そうなると内山峠と碓氷峠を固めるしかないか。」
真田幸隆「はい。尤も輝虎にとって厩橋は重要拠点でありますので、すぐに兵を動かすと思います。」
喜多条高広の離反を知った輝虎は即座に越境。高広を破り厩橋城並びに東上野の奪還に成功したのでありました。
私(村上義清)「呆気ないな……。」
真田幸隆「これまで北に対する備えが必要無かった城でありますので。」
私(村上義清)「氏康はどうしてたの?」
真田幸隆「まぁ輝虎が関東に入って来ましたので。」
私(村上義清)「(高広は)騙されたって事?」
真田幸隆「……そういうものですよ。」
私(村上義清)「消息は?」
真田幸隆「本人は無事脱出することが出来、氏康の配下として働く事になった模様であります。」
私(村上義清)「良かったのかな?悪かったのかな?」
真田幸隆「少なくとも上野が氏康の物になるまでは仕事があるでしょう。」
私(村上義清)「その後は?」
真田幸隆「氏康に越後を狙う野心があれば新たな仕事が与えられることになるでしょう。」
私(村上義清)「もしそうで無かったら?」
真田幸隆「言わぬが花でありましょう。」
私(村上義清)「しかし喜多条が北条方となったとなると、上野への侵攻速度が速まることになるな。」
真田幸隆「はい。義信の(越後領内外に対する)計略も激しくなると思われますし、箕輪衆の動向も気になります。」
私(村上義清)「輝虎がずっと上野に居ることは出来ないとなると、代役を立てなければならない。その全ての任にあたっていた高広が北条に寝返ってしまった。彼と同等。それ以上に上野に明るい人物は……。」
真田幸隆「憲政が居ますが。」
私(村上義清)「本気で言ってる?」
真田幸隆「彼には知識もあり、経験もありますが。」
私(村上義清)「お前も奴の下に居たことがあるだろう?」
真田幸隆「ありますよ。」
私(村上義清)「どうなるか分かっているだろう?」
真田幸隆「えぇ。その時は、武田北条のいくさ疲れを狙うまでであります。ですので輝虎も彼を派遣する事は無いでしょう。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
信濃の大空
ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。
そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。
この小説はそんな妄想を書き綴ったものです!
前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる