上 下
328 / 625

反撃

しおりを挟む
私(村上義清)「もしかして(義秋は)『信長が来る!』と触れ回っているのでは無いだろうな?」

春日虎綱「そこまでのことは定かではありませんが、近日中に大軍と合流し京に入ることを宣言しているのは確かであります。」



 8月。三好勢が近江に進出。足利義秋が居る矢島の対岸に位置する坂本に進出。



真田幸隆「まぁ。そうなりますね。」

私(村上義清)「で。戦況の方はどうなっておる?」

春日虎綱「義秋の奉公衆(家臣)が迎撃し、退けることに成功した模様であります。」

真田幸隆「その時、六角はどのような対応を執ったかわかるか?」

春日虎綱「(伝令の文を眺めながら)文書にはありませぬので、特に動きは無かったと思われます。必要が無かった。気付く前に奉公衆が方を付けてしまったとも言えますし。」

真田幸隆「気付いていたが動かなかった可能性もある?」

春日虎綱「文書からではわかりませぬが。ただ背後に六角が居ることが義秋様と奉公衆の安心感となっているのは事実であります。」

真田幸隆「しかし三好が近江に入ったにしてはあっさり退いたとは思わないか?」

春日虎綱「確かに。」

真田幸隆「近江は六角の勢力圏にある。しかもその六角が保護。次期将軍はこの人と思っている義秋を狙うと言う事は、三好が六角に宣戦布告したことを意味している。」

春日虎綱「そうですね。」

真田幸隆「にしては、奉公衆に追い返されるだけの兵しか近江に送り込まなかったのは不思議な事では無いか?」

春日虎綱「そうですね。場合によっては六角が兵を挙げ、(三好を)追いやった勢いそのまま京に雪崩れ込まれる危険性も十分考えることが出来ますからね。」

真田幸隆「京に入ったところを逆に叩こうと考えていたのだろうか?」

春日虎綱「あそこ(京)で守るのは難しいと言われていますからね。」

真田幸隆「そうだよな……。」

私(村上義清)「ところで義秋はどうしている?」

春日虎綱「今は踏ん張りどころと矢島で信長の到着を待っているところであります。」

私(村上義清)「そうなると信長も兵を動かしている。と言う事か?」

春日虎綱「はい。小牧山を出立し、濃尾国境の川を渡ったのち斎藤龍興と合流。近江で浅井。更には六角を加え義秋様の居る矢島に馳せ参じるとのことであります。」

私(村上義清)「それまで持つかな?」

春日虎綱「全ては三好次第になると思われます。あとは……比叡山がどうでるか。義秋様を次の将軍と見るか?それとも三好が推す人物を後継者と考えるかによって情勢は変わって来るかと思われます。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた

中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■ 無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。 これは、別次元から来た女神のせいだった。 その次元では日本が勝利していたのだった。 女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。 なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。 軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか? 日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。 ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。 この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。 参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。 使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。 表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜

雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。 そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。 これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。 主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美 ※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。 ※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。 ※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。

暁のミッドウェー

三笠 陣
歴史・時代
 一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。  真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。  一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。  そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。  ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。  日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。  その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。 (※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)

信濃の大空

ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。 そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。 この小説はそんな妄想を書き綴ったものです! 前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!

高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?

俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。

処理中です...