298 / 625
似たようなことが
しおりを挟む
私(村上義清)「『他家の手伝いなどせず、領地獲得を目的としたいくさをせよ!』の要求が強くなってくるわな。」
春日虎綱「はい。武田家では過去、信虎様追放の原因となっています。」
私(村上義清)「うちと諏訪が信虎と手を結んで、幸隆のところを攻めた時のことだな。」
春日虎綱「はい。このいくさにより利益を得たのは殿と諏訪だけでありました。亡き晴信様の功績が大きかったにもかかわらず。」
真田幸隆「頃合いを見計らってうちの身内を抱き込んだんですよね。」
春日虎綱「要領の良さだけはその時から変わりありませんからね。」
真田幸隆「確かに。」
私(村上義清)「俺への不満を述べる場では無いと思うのだけど……。」
春日虎綱「このような不満が武田家中に充満し、これを受けた板垣様や甘利様。そして飯富様が晴信様を擁立。信虎様追放に動いたのでありました。その直後、信虎様時代の外交方針を転換。諏訪氏並びに殿との関係を断絶。諏訪から南信濃。佐久から海野平へと兵を進めていくことになりました。自らの領地の獲得を目的として。これらのいくさに勝利した結果、これまで頭打ちとなっていました家臣の収入は軒並み増えることになったのでありました。これは譜代の家臣だけではありません。山本勘助のような新参の者にも適用され、足軽大将にまで出世を果たしたのでありました。かく言う私もその恩恵に与り、志賀城を任される立場になることが出来たのも晴信様の戦略があってのこと。信虎様時代の方針でありましたらどうなっていたでしょうか……。
家臣からすれば『収入が増える。』
他家で燻っているものからすれば『あそこで活躍すれば、きちんとした地位と報酬を得ることが出来る。』
となりましたら家臣の忠誠心並びに仕官を求めるものが増えて来るのは必定のことであります。これら優秀な人材に支えられ、武田家は更なる発展を目指し外征を続けていったのでありましたが……。」
真田幸隆「うちが武田に待ったをかけた。」
春日虎綱「はい。晴信様や板垣様。それに甘利様と言いました領地拡大を推し進めていましたかたがた並びに山本勘助始め、野心に満ち溢れ成功を手にし始めていました新規の者がこのいくさで討ち死にしたばかりでなく、折角獲得しました権益の全てを失った武田家はこれまでの領地獲得を目指す方針を一変させ、甲斐並びに佐久の内政に注力することになったのでありました。ありましたが先程も述べましたように甲斐の国は必ずしも豊かな国ではありません。豊かにするためには多額の費用と労力。それに時間を必要とします。正直割が合いませんし、つい先日まで槍働きをしていたものの全てが民政に長けているわけではありません。」
春日虎綱「はい。武田家では過去、信虎様追放の原因となっています。」
私(村上義清)「うちと諏訪が信虎と手を結んで、幸隆のところを攻めた時のことだな。」
春日虎綱「はい。このいくさにより利益を得たのは殿と諏訪だけでありました。亡き晴信様の功績が大きかったにもかかわらず。」
真田幸隆「頃合いを見計らってうちの身内を抱き込んだんですよね。」
春日虎綱「要領の良さだけはその時から変わりありませんからね。」
真田幸隆「確かに。」
私(村上義清)「俺への不満を述べる場では無いと思うのだけど……。」
春日虎綱「このような不満が武田家中に充満し、これを受けた板垣様や甘利様。そして飯富様が晴信様を擁立。信虎様追放に動いたのでありました。その直後、信虎様時代の外交方針を転換。諏訪氏並びに殿との関係を断絶。諏訪から南信濃。佐久から海野平へと兵を進めていくことになりました。自らの領地の獲得を目的として。これらのいくさに勝利した結果、これまで頭打ちとなっていました家臣の収入は軒並み増えることになったのでありました。これは譜代の家臣だけではありません。山本勘助のような新参の者にも適用され、足軽大将にまで出世を果たしたのでありました。かく言う私もその恩恵に与り、志賀城を任される立場になることが出来たのも晴信様の戦略があってのこと。信虎様時代の方針でありましたらどうなっていたでしょうか……。
家臣からすれば『収入が増える。』
他家で燻っているものからすれば『あそこで活躍すれば、きちんとした地位と報酬を得ることが出来る。』
となりましたら家臣の忠誠心並びに仕官を求めるものが増えて来るのは必定のことであります。これら優秀な人材に支えられ、武田家は更なる発展を目指し外征を続けていったのでありましたが……。」
真田幸隆「うちが武田に待ったをかけた。」
春日虎綱「はい。晴信様や板垣様。それに甘利様と言いました領地拡大を推し進めていましたかたがた並びに山本勘助始め、野心に満ち溢れ成功を手にし始めていました新規の者がこのいくさで討ち死にしたばかりでなく、折角獲得しました権益の全てを失った武田家はこれまでの領地獲得を目指す方針を一変させ、甲斐並びに佐久の内政に注力することになったのでありました。ありましたが先程も述べましたように甲斐の国は必ずしも豊かな国ではありません。豊かにするためには多額の費用と労力。それに時間を必要とします。正直割が合いませんし、つい先日まで槍働きをしていたものの全てが民政に長けているわけではありません。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
信濃の大空
ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。
そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。
この小説はそんな妄想を書き綴ったものです!
前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる