194 / 625
良かれと思って
しおりを挟む
私(村上義清)「まだ(関白が輝虎の居る越中に)移動中の可能性もあるだろ?」
真田幸隆「そのことなのでありますが、今回の件。関白様が輝虎に宛てた手紙により発覚しました。」
私(村上義清)「置手紙か何かか?」
真田幸隆「それでありましたら出発地点が(輝虎の本拠地)春日山でありますので、どの船を使ったのかを掴み、追い掛け。引き戻すよう手配すれば済む話なのでありますが、どうやら今回の手紙は関白様が京に戻られてから認めたそうであります。」
私(村上義清)「輝虎が越中に向かったのが7月で。」
手紙が届いたのは8月11日。
私(村上義清)「結構な強行軍だったな……。」
真田幸隆「手紙が届いた瞬間。春日山では『えっ!関白様越中では無かったの!?』と大騒ぎになったとか。」
私(村上義清)「だろうな。しかし関白も酷いことをやったよな。留守と世話を頼まれた奴らが、このあとどんな目に遭わされるのかわかってやっているよなあいつ……。」
真田幸隆「結果的に逃亡の手助けをしてしまったものもいるでしょうし。」
私(村上義清)「外出の許可を出したばかりか、船の手配もしてしまった。」
真田幸隆「当然、関白様の護衛の任務も命じられていたと思われます。」
私(村上義清)「『これはコッソリ越中に行って、輝虎を驚かせるためだから。』と言われてしまったらどうすることも出来ないからな……。」
真田幸隆「船も輝虎が商売で使っているような正式なものでは無いものを用意させたかもしれませんね。」
私(村上義清)「『費用はこっちで持つ。あとのことは私から輝虎に伝えておくから心配なく。』」
真田幸隆「本来居るべき場所である京に戻るなりネタばらし。」
私(村上義清)「『騙された!』では済まないだろうな。春日山の連中は……。」
真田幸隆「関白様の世話が出来るものとなりますと、当然朝廷とのやり取りが出来るような教養のあるもの。加えて越中遠征に帯同していないと言うことは槍働きでの出世は難しい人物が務めたものと思われます。そんな彼らからしますと、今回の世話役は立身出世の願っても無い機会。関白様の要望に最大限応えるべく励んだ結果が……。」
私(村上義清)「どうするんだろうな。輝虎は?」
真田幸隆「関白様に追っ手を差し向ける?」
私(村上義清)「そんなことをすれば輝虎がどうなってしまうのかわかっているから、関白はあんな行動をとることが出来たのだろうに。」
真田幸隆「関白様に騙された留守居役ですよね。」
私(村上義清)「怒った輝虎が何するか……。」
小田原城を攻め落とせなかった輝虎は、行く先々で八つ当たり的な略奪を繰り返しながら退却。
真田幸隆「朝廷とのやり取りが出来る人材は貴重でありますので、命が。とはならないと思います。ただ出世につきましては……。」
真田幸隆「そのことなのでありますが、今回の件。関白様が輝虎に宛てた手紙により発覚しました。」
私(村上義清)「置手紙か何かか?」
真田幸隆「それでありましたら出発地点が(輝虎の本拠地)春日山でありますので、どの船を使ったのかを掴み、追い掛け。引き戻すよう手配すれば済む話なのでありますが、どうやら今回の手紙は関白様が京に戻られてから認めたそうであります。」
私(村上義清)「輝虎が越中に向かったのが7月で。」
手紙が届いたのは8月11日。
私(村上義清)「結構な強行軍だったな……。」
真田幸隆「手紙が届いた瞬間。春日山では『えっ!関白様越中では無かったの!?』と大騒ぎになったとか。」
私(村上義清)「だろうな。しかし関白も酷いことをやったよな。留守と世話を頼まれた奴らが、このあとどんな目に遭わされるのかわかってやっているよなあいつ……。」
真田幸隆「結果的に逃亡の手助けをしてしまったものもいるでしょうし。」
私(村上義清)「外出の許可を出したばかりか、船の手配もしてしまった。」
真田幸隆「当然、関白様の護衛の任務も命じられていたと思われます。」
私(村上義清)「『これはコッソリ越中に行って、輝虎を驚かせるためだから。』と言われてしまったらどうすることも出来ないからな……。」
真田幸隆「船も輝虎が商売で使っているような正式なものでは無いものを用意させたかもしれませんね。」
私(村上義清)「『費用はこっちで持つ。あとのことは私から輝虎に伝えておくから心配なく。』」
真田幸隆「本来居るべき場所である京に戻るなりネタばらし。」
私(村上義清)「『騙された!』では済まないだろうな。春日山の連中は……。」
真田幸隆「関白様の世話が出来るものとなりますと、当然朝廷とのやり取りが出来るような教養のあるもの。加えて越中遠征に帯同していないと言うことは槍働きでの出世は難しい人物が務めたものと思われます。そんな彼らからしますと、今回の世話役は立身出世の願っても無い機会。関白様の要望に最大限応えるべく励んだ結果が……。」
私(村上義清)「どうするんだろうな。輝虎は?」
真田幸隆「関白様に追っ手を差し向ける?」
私(村上義清)「そんなことをすれば輝虎がどうなってしまうのかわかっているから、関白はあんな行動をとることが出来たのだろうに。」
真田幸隆「関白様に騙された留守居役ですよね。」
私(村上義清)「怒った輝虎が何するか……。」
小田原城を攻め落とせなかった輝虎は、行く先々で八つ当たり的な略奪を繰り返しながら退却。
真田幸隆「朝廷とのやり取りが出来る人材は貴重でありますので、命が。とはならないと思います。ただ出世につきましては……。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
信濃の大空
ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。
そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。
この小説はそんな妄想を書き綴ったものです!
前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる