190 / 625
罠?
しおりを挟む
真田幸隆「御館様。上杉輝虎が関白様と憲政を連れ越後に帰国しました。」
私(村上義清)「古河城はどうするんだよ?」
真田幸隆「もしもの時に備え上野に兵を残しています。」
私(村上義清)「いや去年それをやって大変なことになったのだろう。」
真田幸隆「確かに。」
私(村上義清)「藤氏はどうしている?」
真田幸隆「北条に対抗するために擁立された手前氏康に降ることは出来ませんし、自前で対抗するだけの力を持っていませんので。」
私(村上義清)「古河城に留まっている?」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「氏康はどうしている?唐沢山城救援の兵を出していたはずだが。」
真田幸隆「今は兵を収めています。」
私(村上義清)「なぜ?」
真田幸隆「北条の中に、今回の上杉の行動に解せぬことがあるようでありまして。」
私(村上義清)「輝虎が越後に帰ったことにか?」
真田幸隆「それもありますが、それ以上に関白様の動きについてであります。」
私(村上義清)「古河城を離れたことについてか?」
真田幸隆「はい。『唐沢山城を攻め落とすことが出来なかっただけで何故!?』と……。」
私(村上義清)「しかし古河城は最前線。そこに関白様を置いておくのは危険と言えば危険だと思うのだが。」
真田幸隆「それでしたら上杉方で固められている上野の厩橋城に藤氏共々連れて行けば問題無いと思います。」
私(村上義清)「にも関わらず藤氏は危険な古河城に残された。」
真田幸隆「加えて関白様と憲政が関東を去ってしまいました。」
私(村上義清)「それに輝虎も加わって……。『どうぞ古河城を攻めてください。うちが擁立した藤氏を好きなようにしてください。』と言っているようなものだな。」
真田幸隆「それを氏康は気にしているようであります。」
私(村上義清)「『罠が仕掛けられている。』と言う事か?」
真田幸隆「はい。『関白様と憲政と共に山を越えた輝虎は、実はまだ上野に留まっているのではないか?』と見ています。」
私(村上義清)「氏康が古河城に向け兵を進め、城を取り囲んだ瞬間に上野から輝虎が襲い掛かる?」
真田幸隆「『古河城に見捨てられた思われていた藤氏は実はそうでは無く、多くの上杉兵に守られており、その兵が城から討って出ることにより北条方を挟み撃ちにしようと企んでいる。』と見ているようであります。」
私(村上義清)「実際のところはどうなんだ?」
真田幸隆「殿が(輝虎の居城)春日山に顔を出せばわかることかと思われます。」
私(村上義清)「(稲の)収穫が終わるまで騙し通すことが出来れば良いのだが……。」
私(村上義清)「古河城はどうするんだよ?」
真田幸隆「もしもの時に備え上野に兵を残しています。」
私(村上義清)「いや去年それをやって大変なことになったのだろう。」
真田幸隆「確かに。」
私(村上義清)「藤氏はどうしている?」
真田幸隆「北条に対抗するために擁立された手前氏康に降ることは出来ませんし、自前で対抗するだけの力を持っていませんので。」
私(村上義清)「古河城に留まっている?」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「氏康はどうしている?唐沢山城救援の兵を出していたはずだが。」
真田幸隆「今は兵を収めています。」
私(村上義清)「なぜ?」
真田幸隆「北条の中に、今回の上杉の行動に解せぬことがあるようでありまして。」
私(村上義清)「輝虎が越後に帰ったことにか?」
真田幸隆「それもありますが、それ以上に関白様の動きについてであります。」
私(村上義清)「古河城を離れたことについてか?」
真田幸隆「はい。『唐沢山城を攻め落とすことが出来なかっただけで何故!?』と……。」
私(村上義清)「しかし古河城は最前線。そこに関白様を置いておくのは危険と言えば危険だと思うのだが。」
真田幸隆「それでしたら上杉方で固められている上野の厩橋城に藤氏共々連れて行けば問題無いと思います。」
私(村上義清)「にも関わらず藤氏は危険な古河城に残された。」
真田幸隆「加えて関白様と憲政が関東を去ってしまいました。」
私(村上義清)「それに輝虎も加わって……。『どうぞ古河城を攻めてください。うちが擁立した藤氏を好きなようにしてください。』と言っているようなものだな。」
真田幸隆「それを氏康は気にしているようであります。」
私(村上義清)「『罠が仕掛けられている。』と言う事か?」
真田幸隆「はい。『関白様と憲政と共に山を越えた輝虎は、実はまだ上野に留まっているのではないか?』と見ています。」
私(村上義清)「氏康が古河城に向け兵を進め、城を取り囲んだ瞬間に上野から輝虎が襲い掛かる?」
真田幸隆「『古河城に見捨てられた思われていた藤氏は実はそうでは無く、多くの上杉兵に守られており、その兵が城から討って出ることにより北条方を挟み撃ちにしようと企んでいる。』と見ているようであります。」
私(村上義清)「実際のところはどうなんだ?」
真田幸隆「殿が(輝虎の居城)春日山に顔を出せばわかることかと思われます。」
私(村上義清)「(稲の)収穫が終わるまで騙し通すことが出来れば良いのだが……。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
信濃の大空
ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。
そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。
この小説はそんな妄想を書き綴ったものです!
前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる