113 / 625
伝令
しおりを挟む
いくさが想定とは異なる塩尻峠で始まったことに困惑する高遠頼継の陣に村上義清からの伝令が。
伝令「申し上げます。此度のいくさ。殿自らの手で小笠原長時を討ち果たすとのお達しあり。故に手出しは無用であります。」
『村上に出し抜かれた!!』と後悔するも、塩尻峠を眺めてみると自陣の目の前で小笠原長時と村上義清がいくさをしている。しかも村上義清が背を向けた状態で。よくよく目を凝らしてみると、小笠原長時と戦っているのは伝令の言う通り村上義清本隊のみ。諏訪や真田の衆は見当たらない。これを見た高遠頼継は村上義清からの伝令を無視。塩尻峠へ向け兵を動かすのでありました。
再び少し前の上原城。
私(村上義清)「1つ気になることが。」
真田幸隆「なんでしょうか。」
私(村上義清)「俺からの軍令を無視。もしくは届く前に頼継が兵を動かしたとしよう。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「兵を動かす以上、俺か小笠原かに付くことになると思うのだが。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「どちらに襲い掛かるにせよ。通る道は同じだよな。」
真田幸隆「そうなりますね。」
私(村上義清)「どうやって見分けるの。」
戻って塩尻峠へ向け一目散に兵を動かす高遠頼継。しばらく進み、村上小笠原両陣営の様子がハッキリとし始めたその時、1つの部隊が頼継の進軍を塞ぐ形で現れたのでありました。そこで……。
春日虎綱「此度のいくさは殿自らが小笠原長時を討ち果たす決意である!手出しは無用!!」
春日虎綱による大音声。これに対し、高遠頼継は緩めることなく進軍。
春日虎綱「高遠殿の忠節!この虎綱。しかと見届け申した!!故に兵を収めよ!!!」
しかし頼継は兵を止める気配はない。
春日虎綱「これが最後である!兵を収めよ!!収めねば裏切りとみなし攻撃する!!!」
最後通牒を突き付ける春日虎綱。しかし頼継は虎綱率いる隊目掛け突進。みるみるその距離を縮め。100mを切ろうかとなったその時。
「放て!!」
窪みに隠れていた種子島の部隊が立ち上がるや否や、春日虎綱号令のもと。高遠頼継の部隊目掛け一斉射撃を浴びせるのでありました。
その頃塩尻峠。
保科正俊「始まりましたな。」
私(村上義清)「そなたの言う通りであったか……。」
保科正俊「残念ながら。」
私(村上義清)「それで良かったのか……。」
保科正俊「私は武人故。仕事のあるところで働くだけであります。」
私(村上義清)「(……そうかぁ……?)」
保科正俊「それはそうと殿。目の前の敵は混乱しているとは言え、地の利は向こう(小笠原長時)にあります。加えて頼継の加勢を見て勇気づけられていることと思われます。油断ならさず。」
伝令「申し上げます。此度のいくさ。殿自らの手で小笠原長時を討ち果たすとのお達しあり。故に手出しは無用であります。」
『村上に出し抜かれた!!』と後悔するも、塩尻峠を眺めてみると自陣の目の前で小笠原長時と村上義清がいくさをしている。しかも村上義清が背を向けた状態で。よくよく目を凝らしてみると、小笠原長時と戦っているのは伝令の言う通り村上義清本隊のみ。諏訪や真田の衆は見当たらない。これを見た高遠頼継は村上義清からの伝令を無視。塩尻峠へ向け兵を動かすのでありました。
再び少し前の上原城。
私(村上義清)「1つ気になることが。」
真田幸隆「なんでしょうか。」
私(村上義清)「俺からの軍令を無視。もしくは届く前に頼継が兵を動かしたとしよう。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「兵を動かす以上、俺か小笠原かに付くことになると思うのだが。」
真田幸隆「はい。」
私(村上義清)「どちらに襲い掛かるにせよ。通る道は同じだよな。」
真田幸隆「そうなりますね。」
私(村上義清)「どうやって見分けるの。」
戻って塩尻峠へ向け一目散に兵を動かす高遠頼継。しばらく進み、村上小笠原両陣営の様子がハッキリとし始めたその時、1つの部隊が頼継の進軍を塞ぐ形で現れたのでありました。そこで……。
春日虎綱「此度のいくさは殿自らが小笠原長時を討ち果たす決意である!手出しは無用!!」
春日虎綱による大音声。これに対し、高遠頼継は緩めることなく進軍。
春日虎綱「高遠殿の忠節!この虎綱。しかと見届け申した!!故に兵を収めよ!!!」
しかし頼継は兵を止める気配はない。
春日虎綱「これが最後である!兵を収めよ!!収めねば裏切りとみなし攻撃する!!!」
最後通牒を突き付ける春日虎綱。しかし頼継は虎綱率いる隊目掛け突進。みるみるその距離を縮め。100mを切ろうかとなったその時。
「放て!!」
窪みに隠れていた種子島の部隊が立ち上がるや否や、春日虎綱号令のもと。高遠頼継の部隊目掛け一斉射撃を浴びせるのでありました。
その頃塩尻峠。
保科正俊「始まりましたな。」
私(村上義清)「そなたの言う通りであったか……。」
保科正俊「残念ながら。」
私(村上義清)「それで良かったのか……。」
保科正俊「私は武人故。仕事のあるところで働くだけであります。」
私(村上義清)「(……そうかぁ……?)」
保科正俊「それはそうと殿。目の前の敵は混乱しているとは言え、地の利は向こう(小笠原長時)にあります。加えて頼継の加勢を見て勇気づけられていることと思われます。油断ならさず。」
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました
フルーツパフェ
大衆娯楽
とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。
曰く、全校生徒はパンツを履くこと。
生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?
史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。
無職ニートの俺は気が付くと聯合艦隊司令長官になっていた
中七七三
ファンタジー
■■アルファポリス 第1回歴史・時代小説大賞 読者賞受賞■■
無職ニートで軍ヲタの俺が太平洋戦争時の聯合艦隊司令長官となっていた。
これは、別次元から来た女神のせいだった。
その次元では日本が勝利していたのだった。
女神は、神国日本が負けた歴史の世界が許せない。
なぜか、俺を真珠湾攻撃直前の時代に転移させ、聯合艦隊司令長官にした。
軍ヲタ知識で、歴史をどーにかできるのか?
日本勝たせるなんて、無理ゲーじゃねと思いつつ、このままでは自分が死ぬ。
ブーゲンビルで機上戦死か、戦争終わって、戦犯で死刑だ。
この運命を回避するため、必死の戦いが始まった。
参考文献は、各話の最後に掲載しています。完結後に纏めようかと思います。
使用している地図・画像は自作か、ライセンスで再利用可のものを検索し使用しています。
表紙イラストは、ヤングマガジンで賞をとった方が画いたものです。
大日本帝国領ハワイから始まる太平洋戦争〜真珠湾攻撃?そんなの知りません!〜
雨宮 徹
歴史・時代
1898年アメリカはスペインと戦争に敗れる。本来、アメリカが支配下に置くはずだったハワイを、大日本帝国は手中に収めることに成功する。
そして、時は1941年。太平洋戦争が始まると、大日本帝国はハワイを起点に太平洋全域への攻撃を開始する。
これは、史実とは異なる太平洋戦争の物語。
主要登場人物……山本五十六、南雲忠一、井上成美
※歴史考証は皆無です。中には現実性のない作戦もあります。ぶっ飛んだ物語をお楽しみください。
※根本から史実と異なるため、艦隊の動き、編成などは史実と大きく異なります。
※歴史初心者にも分かりやすいように、言葉などを現代風にしています。
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
信濃の大空
ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。
そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。
この小説はそんな妄想を書き綴ったものです!
前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!
高天神攻略の祝宴でしこたま飲まされた武田勝頼。翌朝、事の顛末を聞いた勝頼が採った行動とは?
俣彦
ファンタジー
高天神城攻略の祝宴が開かれた翌朝。武田勝頼が採った行動により、これまで疎遠となっていた武田四天王との関係が修復。一致団結し向かった先は長篠城。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる