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甲斐を攻め取るメリット
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真田幸隆「殿は先程『乾いた大地が欲しい』と仰られておりましたよね。」
私(村上義清)「千曲川の機嫌に左右される場所にあるからな。」
村上義清が治める埴科郡は古くから千曲川の水運を享受することが出来た反面、水害に悩まされ続けた地域。村上義清治世化の1543年にも大洪水が発生し、領内の船山郷が流出。
真田幸隆「これと同じ悩みを実は武田晴信も抱えております。武田家はもともと甲斐の国中央にある盆地の東部を拠点に置いておりましたが、晴信の父信虎が甲斐の国を統一。国全体を統治するのに便利な場所として盆地中央部に甲府を開設しました。晴信の代になった現在も甲府を拠点に活動を続けております。」
私(村上義清)「そうだな。」
真田幸隆「甲斐の東と南は今川北条との同盟により安泰。北部の佐久。西部の諏訪に兵を展開することにより甲斐の国を脅かす勢力が居なくなりました。『いくさが無い』と言うことは、腰を据えて内政に取り組むことが出来るようになります。ここで問題となったのが盆地西部に流れる釜無川と支流の御勅使川。」
私(村上義清)「千曲川同様に暴れ川。」
真田幸隆「はい。大雨の度に流れを変え、その水の被害は政庁がある甲府にも及んでおります。信虎の時代から堤防の築造が始まり、晴信の代にも受け継がれております。」
私(村上義清)「外交方針も同じであって欲しかったものであるが。」
真田幸隆「そうなりますと私の管轄地は諏訪と武田。そして殿の三者によって解体の憂き目に遭うことになったのでありますが……。」
私(村上義清)「いやいや信虎追放の混乱に乗じ乱入して来た山内上杉からお前の土地を守ったのは私であるぞ。」
真田幸隆「その時私は山内上杉の家臣として奪い返しに向かったのでありましたが……。」
私(村上義清)「そうだったな。」
真田幸隆「(……小県目前で諏訪と(山内上杉重臣の)長野が和睦しなければ、今頃こんな奴に頭を下げるハメには……。)」
私(村上義清)「声にならない声が聞こえているぞ。」
真田幸隆「なんのことでしょうか。」
私(村上義清)「まぁ……今こうやって任せておるのだから。」
真田幸隆「……えぇ……。」
私(村上義清)「どこで脱線したんだ……。外交方針の変化のところか。」
真田幸隆「そうでしたね。話を戻しますと、堤防のほか実情に合わせ、分水や水の流入を制限することにより、田畑を守ることは勿論のこと。交通の便に支障が来さないよう水量の調整も出来る仕組みの構築に取り掛かっているところであります。」
私(村上義清)「信濃への侵攻と同時並行で……か。」
真田幸隆「はい。現段階では計画でありますが、堤の日常的な管理や補修並びに水害発生時の労働力を確保するべく宿場の整備もあるとか。」
私(村上義清)「専業で雇うと言うことか。」
真田幸隆「はい。しかも彼らを武田は税免除で迎え入れるそうであります。」
私(村上義清)「手当も武田から?」
真田幸隆「勿論そうなることと思われますし、今の段階においてもそれに近い形が採用されているものがいることかと思われます。それだけ川の制御に長けた、価値を持った集団が甲斐にはいます。」
私(村上義清)「武田を滅ぼすことが出来れば彼らを手に入れることが出来。」
真田幸隆「殿が千曲川の機嫌に左右されることも無くなるのであります。」
私(村上義清)「そんな金。うちには無い……。」
私(村上義清)「千曲川の機嫌に左右される場所にあるからな。」
村上義清が治める埴科郡は古くから千曲川の水運を享受することが出来た反面、水害に悩まされ続けた地域。村上義清治世化の1543年にも大洪水が発生し、領内の船山郷が流出。
真田幸隆「これと同じ悩みを実は武田晴信も抱えております。武田家はもともと甲斐の国中央にある盆地の東部を拠点に置いておりましたが、晴信の父信虎が甲斐の国を統一。国全体を統治するのに便利な場所として盆地中央部に甲府を開設しました。晴信の代になった現在も甲府を拠点に活動を続けております。」
私(村上義清)「そうだな。」
真田幸隆「甲斐の東と南は今川北条との同盟により安泰。北部の佐久。西部の諏訪に兵を展開することにより甲斐の国を脅かす勢力が居なくなりました。『いくさが無い』と言うことは、腰を据えて内政に取り組むことが出来るようになります。ここで問題となったのが盆地西部に流れる釜無川と支流の御勅使川。」
私(村上義清)「千曲川同様に暴れ川。」
真田幸隆「はい。大雨の度に流れを変え、その水の被害は政庁がある甲府にも及んでおります。信虎の時代から堤防の築造が始まり、晴信の代にも受け継がれております。」
私(村上義清)「外交方針も同じであって欲しかったものであるが。」
真田幸隆「そうなりますと私の管轄地は諏訪と武田。そして殿の三者によって解体の憂き目に遭うことになったのでありますが……。」
私(村上義清)「いやいや信虎追放の混乱に乗じ乱入して来た山内上杉からお前の土地を守ったのは私であるぞ。」
真田幸隆「その時私は山内上杉の家臣として奪い返しに向かったのでありましたが……。」
私(村上義清)「そうだったな。」
真田幸隆「(……小県目前で諏訪と(山内上杉重臣の)長野が和睦しなければ、今頃こんな奴に頭を下げるハメには……。)」
私(村上義清)「声にならない声が聞こえているぞ。」
真田幸隆「なんのことでしょうか。」
私(村上義清)「まぁ……今こうやって任せておるのだから。」
真田幸隆「……えぇ……。」
私(村上義清)「どこで脱線したんだ……。外交方針の変化のところか。」
真田幸隆「そうでしたね。話を戻しますと、堤防のほか実情に合わせ、分水や水の流入を制限することにより、田畑を守ることは勿論のこと。交通の便に支障が来さないよう水量の調整も出来る仕組みの構築に取り掛かっているところであります。」
私(村上義清)「信濃への侵攻と同時並行で……か。」
真田幸隆「はい。現段階では計画でありますが、堤の日常的な管理や補修並びに水害発生時の労働力を確保するべく宿場の整備もあるとか。」
私(村上義清)「専業で雇うと言うことか。」
真田幸隆「はい。しかも彼らを武田は税免除で迎え入れるそうであります。」
私(村上義清)「手当も武田から?」
真田幸隆「勿論そうなることと思われますし、今の段階においてもそれに近い形が採用されているものがいることかと思われます。それだけ川の制御に長けた、価値を持った集団が甲斐にはいます。」
私(村上義清)「武田を滅ぼすことが出来れば彼らを手に入れることが出来。」
真田幸隆「殿が千曲川の機嫌に左右されることも無くなるのであります。」
私(村上義清)「そんな金。うちには無い……。」
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