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97話
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あれから早いもので10年が経った。
昨年お父様から爵位を譲り受け、リュドも伯爵代理として精力的に仕事をしてくれている。
幸いにも2人の男の子を授かり、現在3人目を妊娠中よ。
息子は2人共、金色の髪に青い瞳でリュドに似ているわ。長男のラファエルも次男のジュリアンも、小さなリュドみたいで可愛くて仕方がないの。
この10年で出生率が貴族平民問わずどんどん上がり、嬉しいけれど多少の混乱もあるわね。
貴族は家庭教師が足りなくて学園を12歳からにする案や、平民も教会では手狭になってきて、学校を作る事が議会で決まったわ。
貴族の学園はカリキュラム等、決める事がたくさんあるから早くても数年後になるだろうけれど。
平民の学校は領主に任される事になり、各街にすぐに校舎となる建物を建て、先生は各ギルドから出してもらっているわ。村は今まで通り教会に協力してもらって格差が出ないよう気をつけている。
サロンで休憩していると視察に出ていたリュドが帰ってきた。
「リリ、ただいま」
「お帰りなさい、リュド」
「体調はどう?」
「大丈夫よ。でも、このお腹だと執務机での仕事は少し大変ね」
臨月に入ったお腹を撫でながら言うと。
「はぁ・・・無理に仕事しなくても良いのに・・・」
「だって、暇なのよ。仕事はリュドがしてくれるから簡単な案件ばかりだし、子供達も授業があるし」
庭の散歩も、いつ産気づくかわからないか庭先しか許可が出ないのよね。
「もうすぐだからね」
「ふふ、早く会いたいわね」
それから1週間程で元気な女の子を産んだ。金色の髪に青い瞳の女の子はシャルロットと名付けられたわ。
*****
3ヶ月ほどたった頃、ティナとカティ様が子供達を連れて会いに来てくれたわ。
「ふふ、この子はリリ様にそっくりね」
カティ様は男の子2人のお母様よ。
子供達はどちらにも雰囲気が似ていて、すでに色気があるわ。長男のアルフォンスも次男のセレスタンも、将来はご令嬢が群がるんじゃないかしら?
「本当にリリそっくりだわ」
ティナは1男1女のお母様になったわ。
こちらも雰囲気は両親どちらにも似ていて、タレ目なところはティナ似ね。長男のエルネストも長女のジュリエットも、性格は真面目で優しいアンドリュー様に似ているわね。
「リュドが甘やかすから大変なのよ」
「アンディー様もジュリエットに甘くて困るわ・・・我儘になったらどうしようかしら?」
少し離れたテーブルで、マナーを守ったお茶会の練習に励む子供達を見つめる
「あら?リリ様も2人には甘いわよね」
「だって、小さなリュドよ?可愛くて仕方がないわ・・・男の子だから甘えてくれるのは今だけだろうし」
「ふふ、そうね。私もつい甘やかしてしまうわ」
カティ様から見ると、2人の性格はサミュエル様そっくりなんだとか。
「あの子達の誰かが学園の1期生になりそうね」
学園は12歳から3年間を中等部、15歳から3年間を高等部とする事が先日決まったわ。
校舎や寮を建てたりと、まだ先だけれど子供達が丁度1期生になりそうなのよね。中等部は最初は希望者だけとなっているけれど、将来的には中等部からが当たり前になりそう。
「アルフォンスは年齢的に合わないから、カリキュラム次第ではセレスタンは行かせてみようかと、サミュエルとは話し合っているわ」
「アンディー様は12歳のデビュー後を見てから、中等部に入れるか決めたいと言っていたから・・・入るなら2年からね」
「そうね。デビューすると人によっては調子に乗って変わるものね・・・我が子が馬鹿にならないよう気をつけなくちゃ」
「リリ・・・そういう所は変わらないわね・・・」
なぜ呆れた目で見るのよ。馬鹿は嫌いなんだから仕方ないわ。我が子といえど、そこは厳しくするわよ。
*****
湯浴みを済ませ夫婦の寝室に入る。
「お茶会は楽しかった?」
「ええ。久しぶりにティナとカティ様とゆっくり話せたわ」
ベッドに入るとリュドに優しく抱き寄せられる。
「そろそろ、仕事に復帰したいわ」
「もう少しゆっくりしても良いと思うよ。子供達もリリとのティータイムを楽しみにしているんだから」
「ラファエルとジュリアンも最近、リュドの真似をして食べさせようとするのよ・・・」
リュドが食べさせるの見て真似するようになったのよね・・・。
「リリにして良いのは俺だけなのに・・・2人と話し合わないとなぁ」
「リュド・・・まさか子供に嫉妬しているの?」
「リリの事になると心が狭いからね」
昔ヌイグルミに嫉妬していたけれど、とうとう子供にまで嫉妬するようになったのね・・・。
転生した時は何故転生したのかも、わからなかったけれど・・・きっと人生をやり直させてくれたのね。前世、本当は手に入れたかった幸せを・・・。
愛する旦那様と出会い結婚し、可愛い子供達にも恵まれたわ。領主としては、まだまだこれからだけれど、きっと2人で困難も乗り越えていけるわ。
「リュド、貴方と出会えて私幸せよ」
「リリ、俺もだよ」
変わらない優しい口付けをされ、幸福感が胸に広がる。
恋愛偏差値マイナスだけれど、リュドという最高のお婿さんを捕まえて・・・今世は本当に幸せよ。
昨年お父様から爵位を譲り受け、リュドも伯爵代理として精力的に仕事をしてくれている。
幸いにも2人の男の子を授かり、現在3人目を妊娠中よ。
息子は2人共、金色の髪に青い瞳でリュドに似ているわ。長男のラファエルも次男のジュリアンも、小さなリュドみたいで可愛くて仕方がないの。
この10年で出生率が貴族平民問わずどんどん上がり、嬉しいけれど多少の混乱もあるわね。
貴族は家庭教師が足りなくて学園を12歳からにする案や、平民も教会では手狭になってきて、学校を作る事が議会で決まったわ。
貴族の学園はカリキュラム等、決める事がたくさんあるから早くても数年後になるだろうけれど。
平民の学校は領主に任される事になり、各街にすぐに校舎となる建物を建て、先生は各ギルドから出してもらっているわ。村は今まで通り教会に協力してもらって格差が出ないよう気をつけている。
サロンで休憩していると視察に出ていたリュドが帰ってきた。
「リリ、ただいま」
「お帰りなさい、リュド」
「体調はどう?」
「大丈夫よ。でも、このお腹だと執務机での仕事は少し大変ね」
臨月に入ったお腹を撫でながら言うと。
「はぁ・・・無理に仕事しなくても良いのに・・・」
「だって、暇なのよ。仕事はリュドがしてくれるから簡単な案件ばかりだし、子供達も授業があるし」
庭の散歩も、いつ産気づくかわからないか庭先しか許可が出ないのよね。
「もうすぐだからね」
「ふふ、早く会いたいわね」
それから1週間程で元気な女の子を産んだ。金色の髪に青い瞳の女の子はシャルロットと名付けられたわ。
*****
3ヶ月ほどたった頃、ティナとカティ様が子供達を連れて会いに来てくれたわ。
「ふふ、この子はリリ様にそっくりね」
カティ様は男の子2人のお母様よ。
子供達はどちらにも雰囲気が似ていて、すでに色気があるわ。長男のアルフォンスも次男のセレスタンも、将来はご令嬢が群がるんじゃないかしら?
「本当にリリそっくりだわ」
ティナは1男1女のお母様になったわ。
こちらも雰囲気は両親どちらにも似ていて、タレ目なところはティナ似ね。長男のエルネストも長女のジュリエットも、性格は真面目で優しいアンドリュー様に似ているわね。
「リュドが甘やかすから大変なのよ」
「アンディー様もジュリエットに甘くて困るわ・・・我儘になったらどうしようかしら?」
少し離れたテーブルで、マナーを守ったお茶会の練習に励む子供達を見つめる
「あら?リリ様も2人には甘いわよね」
「だって、小さなリュドよ?可愛くて仕方がないわ・・・男の子だから甘えてくれるのは今だけだろうし」
「ふふ、そうね。私もつい甘やかしてしまうわ」
カティ様から見ると、2人の性格はサミュエル様そっくりなんだとか。
「あの子達の誰かが学園の1期生になりそうね」
学園は12歳から3年間を中等部、15歳から3年間を高等部とする事が先日決まったわ。
校舎や寮を建てたりと、まだ先だけれど子供達が丁度1期生になりそうなのよね。中等部は最初は希望者だけとなっているけれど、将来的には中等部からが当たり前になりそう。
「アルフォンスは年齢的に合わないから、カリキュラム次第ではセレスタンは行かせてみようかと、サミュエルとは話し合っているわ」
「アンディー様は12歳のデビュー後を見てから、中等部に入れるか決めたいと言っていたから・・・入るなら2年からね」
「そうね。デビューすると人によっては調子に乗って変わるものね・・・我が子が馬鹿にならないよう気をつけなくちゃ」
「リリ・・・そういう所は変わらないわね・・・」
なぜ呆れた目で見るのよ。馬鹿は嫌いなんだから仕方ないわ。我が子といえど、そこは厳しくするわよ。
*****
湯浴みを済ませ夫婦の寝室に入る。
「お茶会は楽しかった?」
「ええ。久しぶりにティナとカティ様とゆっくり話せたわ」
ベッドに入るとリュドに優しく抱き寄せられる。
「そろそろ、仕事に復帰したいわ」
「もう少しゆっくりしても良いと思うよ。子供達もリリとのティータイムを楽しみにしているんだから」
「ラファエルとジュリアンも最近、リュドの真似をして食べさせようとするのよ・・・」
リュドが食べさせるの見て真似するようになったのよね・・・。
「リリにして良いのは俺だけなのに・・・2人と話し合わないとなぁ」
「リュド・・・まさか子供に嫉妬しているの?」
「リリの事になると心が狭いからね」
昔ヌイグルミに嫉妬していたけれど、とうとう子供にまで嫉妬するようになったのね・・・。
転生した時は何故転生したのかも、わからなかったけれど・・・きっと人生をやり直させてくれたのね。前世、本当は手に入れたかった幸せを・・・。
愛する旦那様と出会い結婚し、可愛い子供達にも恵まれたわ。領主としては、まだまだこれからだけれど、きっと2人で困難も乗り越えていけるわ。
「リュド、貴方と出会えて私幸せよ」
「リリ、俺もだよ」
変わらない優しい口付けをされ、幸福感が胸に広がる。
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