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19話
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タウンハウスに来て8日。
初日以外ずっと何かを選んで過ごしていたわね・・・。予定は無くなったから帰る日までゆっくり出来るわ。
サラはドレスルームをメイドを連れて忙しそうに出入りしているわ。早いと帰る頃に届き始めるんですって。私はサロンでマダムに紹介して頂いた乗馬好きのご夫人に手紙を書いているの。
ちなみにドレスルームは激変よ・・・。
普段着は元々部屋のクローゼットだけど、ワンピースと普段使いの小物の部屋。アフタヌーンドレスとその小物の部屋。イブニングドレスとその小物の部屋。パリュールはイブニングドレスの部屋の金庫に入れられるわ。
金庫なんてあったのね・・・。というかドレスルームが3部屋って普通なの?サラはこれからどんどん増えるから必要だって言うの。
でも仮縫いをして、来年学園に入学してデビュタントを迎えるんだって少し実感したわ。
もう少しでコーヒーがブラックで飲めそうだけど・・・最近のお気に入りは温かいミルクコーヒーよ。
だって気温が下がってきたんだもの。寒くなったら飲みたくならない?カフェオレ。
*****
翌日。明日領地に帰るから以前サミュエルお兄様達と会ったカフェにサラと来ているわ。
「2階のテラスは気持ちいいわね」
「そうですね。前回は完全に密談でしたので」
「そうね・・・」
紅茶を飲みながらデザートの盛り合わせを2人で楽しむ。
「そうだわ。入学に合わせて専属侍女か従僕か増やした方が良いかしら?」
「お嬢様の専属をですか?」
「だってサラすっごく忙しそうでしょ?」
「お嬢様が成長され忙しくなったのは事実ですが、来年からは学園に入学されますし必要でしょうか?」
学園内は使用人を連れて歩けない。王族だけは護衛が許されているけど。
「卒業後を考えたら、今から増やして慣らしてもいいのかと思ったの。もし増やすならサラが一緒に仕事をしやすい人が良いわ」
「お気遣いありがとうございます。そうですね、3年あればしっかり教育出来るかと」
「じゃあ、お父様に話は通しておくから人選は任せるわ」
「畏まりました」
「それにしても、このカフェのブレンドティーはいつも美味しいわね」
「そうですね。サミュエル様が送って下さるので助かりますわ」
私が頼んだ期間限定ブレンドの茶葉は変わる度にサミュエルお兄様が送ってくれるの。
「学園に入ったら、帰りにこういう所に寄ったりするのかしら?」
「寄り道は構いませんが伝令を出して下さいね。それと、相応しくない場所への出入りは御者から旦那様に報告が上がりますから気をつけて下さい」
「わかったわ」
サラは使用人だけど生まれた時から一緒だから姉で母みたいなのよね。言われた事は基本素直に聞くわ。怒ると怖いもの。
前世みたいに街をぶらぶら歩くなんて貴族街でも簡単には出来ないのよね。この世界にも悪い人は居るもの。未亡人様と共謀してた商会も「悪の組織」というやつよ。
「お嬢様、あちらサミュエル様では?」
「本当ね。一緒に居るのは・・・誰かしら?」
サミュエルお兄様が笑顔でご令嬢と歩いているわ・・・。
「サラ、私とても疲れているのかしら?サミュエルお兄様がご令嬢と胡散臭くない笑顔で歩いている様に見えるわ・・・」
「お嬢様、現実でございます」
「天変地異の前触れかしら?」
「サミュエル様も年頃の男性ですからね」
「そうだけど・・・胡散臭い笑顔じゃないわよ?」
「確かに珍しい事ですわね」
「何処に行くのかしら?」
「このカフェに向かっているかと・・・」
このカフェはテーブルが衝立で仕切られ人目を気にせずゆっくり過ごせるようになっているの。
「2階に来るかしら?会話が聞こえると良いんだけど」
「お嬢様・・・はしたないですわ・・・」
だって気になるじゃない?1人だったら透明マントを出して堂々と立ち聞きするわ!
*****
幸運(?)な事に隣のテーブルよ!
「丁度テラスが空いて良かったわね」
「そうだな」
会話はよく聞こえるわ。近すぎて私達が話せないけど。声の感じは社交用ではないわね・・・本命かしら?サラが呆れた目で見てくるけど構わないわ!
30分程で2人は帰って行ったわ。予想していた様な甘い雰囲気にはならなくて残念ね。
わかった事は、ご令嬢は同じクラスの同級生。2人は卒業パーティのクラス委員。会話は・・・業務連絡みたいな感じだったわ。クラスメイト以上の関係は無さそうね。
「サラ、事件は起こらなかったわね」
「お嬢様がはしたない事をされた以外は・・・」
「だって気になるわ!」
2人がカフェを出た後、私達も馬車に戻ったわ。サミュエルお兄様が待ち構えていたけど・・・。
「サミュエルお兄様、こんな所でお会いするなんて奇遇ですわね。いつも茶葉をありがとうございます」
胡散臭い笑顔で無言・・・怖いのですが・・・。
「あれは礼だからな。少し話したい事がある。邸に行っても良いか?」
「良いかと聞きながら、すでに決定事項の様に聞こえますが・・・」
「覗いてた事は不問にしよう」
「たまたま、席が隣でしたから不可抗力ですのに」
何故でしょう・・・またドナドナが聞こえますわ・・・。
本当に腹黒は考えている事がわからないから嫌ですわね・・・私は基本的に裏表はありませんよ?ただの好き嫌いですもの。
初日以外ずっと何かを選んで過ごしていたわね・・・。予定は無くなったから帰る日までゆっくり出来るわ。
サラはドレスルームをメイドを連れて忙しそうに出入りしているわ。早いと帰る頃に届き始めるんですって。私はサロンでマダムに紹介して頂いた乗馬好きのご夫人に手紙を書いているの。
ちなみにドレスルームは激変よ・・・。
普段着は元々部屋のクローゼットだけど、ワンピースと普段使いの小物の部屋。アフタヌーンドレスとその小物の部屋。イブニングドレスとその小物の部屋。パリュールはイブニングドレスの部屋の金庫に入れられるわ。
金庫なんてあったのね・・・。というかドレスルームが3部屋って普通なの?サラはこれからどんどん増えるから必要だって言うの。
でも仮縫いをして、来年学園に入学してデビュタントを迎えるんだって少し実感したわ。
もう少しでコーヒーがブラックで飲めそうだけど・・・最近のお気に入りは温かいミルクコーヒーよ。
だって気温が下がってきたんだもの。寒くなったら飲みたくならない?カフェオレ。
*****
翌日。明日領地に帰るから以前サミュエルお兄様達と会ったカフェにサラと来ているわ。
「2階のテラスは気持ちいいわね」
「そうですね。前回は完全に密談でしたので」
「そうね・・・」
紅茶を飲みながらデザートの盛り合わせを2人で楽しむ。
「そうだわ。入学に合わせて専属侍女か従僕か増やした方が良いかしら?」
「お嬢様の専属をですか?」
「だってサラすっごく忙しそうでしょ?」
「お嬢様が成長され忙しくなったのは事実ですが、来年からは学園に入学されますし必要でしょうか?」
学園内は使用人を連れて歩けない。王族だけは護衛が許されているけど。
「卒業後を考えたら、今から増やして慣らしてもいいのかと思ったの。もし増やすならサラが一緒に仕事をしやすい人が良いわ」
「お気遣いありがとうございます。そうですね、3年あればしっかり教育出来るかと」
「じゃあ、お父様に話は通しておくから人選は任せるわ」
「畏まりました」
「それにしても、このカフェのブレンドティーはいつも美味しいわね」
「そうですね。サミュエル様が送って下さるので助かりますわ」
私が頼んだ期間限定ブレンドの茶葉は変わる度にサミュエルお兄様が送ってくれるの。
「学園に入ったら、帰りにこういう所に寄ったりするのかしら?」
「寄り道は構いませんが伝令を出して下さいね。それと、相応しくない場所への出入りは御者から旦那様に報告が上がりますから気をつけて下さい」
「わかったわ」
サラは使用人だけど生まれた時から一緒だから姉で母みたいなのよね。言われた事は基本素直に聞くわ。怒ると怖いもの。
前世みたいに街をぶらぶら歩くなんて貴族街でも簡単には出来ないのよね。この世界にも悪い人は居るもの。未亡人様と共謀してた商会も「悪の組織」というやつよ。
「お嬢様、あちらサミュエル様では?」
「本当ね。一緒に居るのは・・・誰かしら?」
サミュエルお兄様が笑顔でご令嬢と歩いているわ・・・。
「サラ、私とても疲れているのかしら?サミュエルお兄様がご令嬢と胡散臭くない笑顔で歩いている様に見えるわ・・・」
「お嬢様、現実でございます」
「天変地異の前触れかしら?」
「サミュエル様も年頃の男性ですからね」
「そうだけど・・・胡散臭い笑顔じゃないわよ?」
「確かに珍しい事ですわね」
「何処に行くのかしら?」
「このカフェに向かっているかと・・・」
このカフェはテーブルが衝立で仕切られ人目を気にせずゆっくり過ごせるようになっているの。
「2階に来るかしら?会話が聞こえると良いんだけど」
「お嬢様・・・はしたないですわ・・・」
だって気になるじゃない?1人だったら透明マントを出して堂々と立ち聞きするわ!
*****
幸運(?)な事に隣のテーブルよ!
「丁度テラスが空いて良かったわね」
「そうだな」
会話はよく聞こえるわ。近すぎて私達が話せないけど。声の感じは社交用ではないわね・・・本命かしら?サラが呆れた目で見てくるけど構わないわ!
30分程で2人は帰って行ったわ。予想していた様な甘い雰囲気にはならなくて残念ね。
わかった事は、ご令嬢は同じクラスの同級生。2人は卒業パーティのクラス委員。会話は・・・業務連絡みたいな感じだったわ。クラスメイト以上の関係は無さそうね。
「サラ、事件は起こらなかったわね」
「お嬢様がはしたない事をされた以外は・・・」
「だって気になるわ!」
2人がカフェを出た後、私達も馬車に戻ったわ。サミュエルお兄様が待ち構えていたけど・・・。
「サミュエルお兄様、こんな所でお会いするなんて奇遇ですわね。いつも茶葉をありがとうございます」
胡散臭い笑顔で無言・・・怖いのですが・・・。
「あれは礼だからな。少し話したい事がある。邸に行っても良いか?」
「良いかと聞きながら、すでに決定事項の様に聞こえますが・・・」
「覗いてた事は不問にしよう」
「たまたま、席が隣でしたから不可抗力ですのに」
何故でしょう・・・またドナドナが聞こえますわ・・・。
本当に腹黒は考えている事がわからないから嫌ですわね・・・私は基本的に裏表はありませんよ?ただの好き嫌いですもの。
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