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第二章 巨星堕つ
4 タカマ高原(2)
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「どうやってあいつ等を鍛えてやろうかと考えると楽しみっ、あ、違った頭が痛くなるよ」
「ふふふ、本音が漏れていますわよトゥーレ様」
婚約式を経て今回の滞在を合わせても十日も一緒に過ごした期間がない二人だが、それでも冗談を言い合える程度には距離は縮まってきていた。
「ははは、おかしいな、隠したつもりだったが。まぁでも乗れないよりも乗れるに越したことはないから特訓は確定だよ。だけど騎馬で鳴らすウンダル兵と正面から張り合うのは無理だろうとは思ってる」
冗談めかしてそう言っているが、実際トゥーレの側近に比べるとウンダル側の彼らの技量は圧倒的だった。
兵力が少ないため、ある程度乗れれば戦力として数えられるカモフ軍に対して、幼いころから切磋琢磨して鍛えられているウンダル兵では数も質も大きく違っている。少し特訓したところで簡単に埋まるほどの実力差ではなかったのだ。
「しかし五月蠅い奴らだな」
眼下で繰り広げられる競馬とその後の舌戦に苦笑を浮かべる。大声で笑い、言い合う声が風に乗ってうんざりするほど聞こえてきていた。
競い合うほどヒートアップしていく彼らとは対照的に、二人の間にはのんびりとした時間が流れていた。棚引く雲が起伏に沿うようにゆっくりと流れ、木漏れ日越しに太陽が暖かな日差しを注いでいた。風が優しく頬を撫で、微かに花の甘い香りを運んできている。蝶や蜂が花の周りを飛び回り、小動物が牧草の合間から顔を覗かせ、それを狙って上空を猛禽類が旋回していた。
普段は見落としてしまうほどの穏やかな時間の中、二人はたくさんの話をした。
婚約式を終えたとはいえ、リーディアにとってはまだ幼児と言ってもよい時期にした結婚の約束だ。しばらく同じ時間を共有したとはいえその時間は多くなく、幼い頃のイメージが崩れ去ったとしてもおかしくはなかった。
それでも政略で決定した結婚だ。仮に幼い恋心が冷めたとしても、二人には反故にする選択肢はなかった。
婚姻に政治的な思惑が反映されることの多かったこの時代、領主の一族であるトゥーレやリーディアにとって、幼い頃に恋心を抱いた相手と結ばれることは何よりの幸運だった。
二人はゆったりと流れる時間の中、七年の隙間を埋めるように多くのことを語り合うのだった。
「流石、騎馬隊で勇名を馳せる方々だ! 我々の完敗でした!」
「ははは、我らは物心ついた頃より傍に馬がいましたからな。それに姫様の護衛騎士として御前で無様な姿を晒す訳には参りません。とはいえ内心は必死でしたよ」
ユーリとアレシュがお互いの馬を引き、談笑しながら丘を登って来る。
力の入った勝負を繰り広げ、人馬とも汗でびっしょりで全身から湯気が立ち上るほどだ。
「我らもカモフではそれなりに乗れているという自負があったのですが、井の中の蛙とはこのことです。全く勝負になりませんでした」
「それでもロウダ卿を始め、ほとんどの方が馬に乗って二年ほどとはとても信じられません。この調子で訓練に励まれれば我々もうかうかしてられません」
「次回までにはこの差を少しでも詰められるように精進します」
「我々も負けていられません。今度は完膚なきまでに叩きのめして差し上げましょう」
ユーリが次回こそはと腕をぶすが、アレシュも対抗して譲らない。二人とも笑顔を浮かべているが目は笑ってはいない。彼らの周りにバチバチと見えない火花が飛び交っているかのようだった。
「コウデラ卿にそこまで言っていただけると励みがいがあります。それと私のことはユーリで結構です。家名で呼ばれるのはまだ慣れていないため背中がムズムズします」
「それではユーリ殿と呼ばせていただきます。私の事もアレシュとお呼びください」
年が近いこともあり今回の勝負を得て意気投合したのか、今朝の出発時点まであったぎこちなさがなくなっていた。それぞれが健闘を称え合いながら、トゥーレたちの元へと登ってきていた。
アレシュにロウダ卿と呼ばれたように、ユーリは今回のフォレス行きの直前にルーベルトやオレクとともに騎士に叙せられていた。
ユーリに与えられたロウダ姓は随分と昔に途絶えて久しいが、サザンに伝わる古い家名のひとつだ。
もっとも叙任からひと月と経っていないため、ユーリは名の重さもさることながら馴染みのない家名を呼ばれることの方にまだまだ抵抗がある様子だった。
「完敗じゃないか!」
「ええ、相手になりませんでしたね」
トゥーレの皮肉にも、戻ってきたユーリは清々しいほど悪びれもせずに答える。
ユーリ自身は十三勝十一敗でギリギリ勝ち越していたが、あとはルーベルトが健闘した程度で、それ以外の者についてはほとんど勝負にまで持っていくことができなかったのだ。
「ルーベルト!」
「はっ!」
「貴様は、しばらくサトルトの出入り禁止な!」
「っ! ・・・・はい」
「なんだ、不服か?」
「いえ・・・・」
「毎朝、馬場にも顔出せよ!」
騎士として遇されながらこの結果しか残せないのであれば特訓もやむなし。
冗談めかしているがトゥーレの口調がどこか詰問調なのは、馬術訓練をサボってサトルトの鉄砲鍛冶の元に入り浸っていたからだ。
もっともそのお陰でエン攻めでは新兵器の可能性を確認することができたのだが、そんなことは関係ないとばかりにサトルトの出入り禁止を告げる。
ルーベルトは鉄砲のことなら寝食を忘れて没頭するほどだったが、馬術については騎士として必要最低限できればいいという考えなのだ。坊主頭から湯気を立ち上らせたまま、彼は無念そうに項垂れるしかなかった。
「オレクもだぞ!」
「はっ!」
「文官だからといって、馬に乗れなくてもいいという理由にはならんぞ!」
その名が示す通り騎士に叙せられた以上は、馬に乗りこなさなければ他の者への示しも付かない。普段馬に乗ることのないシルベストルですら、ああ見えて馬術レベルは高く現状のユーリと同等レベルで乗りこなすことができるのだ。
オレクはともかくユーリやルーベルトにいたっては、不安定な馬上から射撃をおこなう竜騎兵なのだ。馬術は必要不可欠といえた。
「他の者も戻ったら特訓だぞ!」
勝負にならず負け続けた者がビクッと肩を震わせて一斉に項垂れた。彼らはまだ騎士に叙されてはいないが竜騎隊の主力を担う者たちだ。馬術スキルがあがって困ることはない。
因みに、馬術の特訓に比重が置かれるようになる彼らだったが、数年後にトルスター軍は戦術転換によって騎兵の比率を下げていくことになるのは皮肉な話である。
「トゥーレ様、日も傾いてきました。そろそろガハラに戻りましょう!」
朝から始まった競馬も昼食を挟んですでに夕刻、最後まで競い合っていた者もすでに引き上げて来て今は汗を拭い喉を潤していた。
見上げれば太陽の位置が随分と地平線に近づいている。しばらくユーリと談笑を交わしていたアレシュがトゥーレに帰還を促してきた。
「わかった。引き上げよう」
トゥーレの声にセネイたちリーディアの側勤めが広げていた食器や敷物を手早く片付け始める。トゥーレは自分の側勤めにもセネイを手伝うように指示を出すと、リーディアを伴って馬を呼びに行った。
「貴様たちが気を利かせてくれたお陰で、ゆっくり姫と過ごすことができた。礼を言うぞ」
馬を連れて丘に戻ってきたトゥーレが、リーディアとともに皆に礼を述べると、ユーリたちは呆気にとられた表情を浮かべる。もちろん呆気にとられているのはアレシュたちリーディアの護衛も同様だ。
「いや、気を利かせるも何も、お二人とも『邪魔をするなよ』オーラが全開で近づくこともできませんでしたからね」
「そうですよ。お陰でくたくたになるまで競争するはめになったんですよ!」
ユーリたちがいつもの調子で口々に主に対して毒を吐く。
部下からのストレートな物言いに慣れていないリーディアは、呆気にとられていたがトゥーレの次のひと言に、彼女は顔を真っ赤に染めて素っ頓狂な声を上げるのだった。
「二人ともって、姫もか?」
「あ、あたしも!?」
彼女の狼狽えたそのひと言に、周りには笑顔の輪が広がるのだった。
「ふふふ、本音が漏れていますわよトゥーレ様」
婚約式を経て今回の滞在を合わせても十日も一緒に過ごした期間がない二人だが、それでも冗談を言い合える程度には距離は縮まってきていた。
「ははは、おかしいな、隠したつもりだったが。まぁでも乗れないよりも乗れるに越したことはないから特訓は確定だよ。だけど騎馬で鳴らすウンダル兵と正面から張り合うのは無理だろうとは思ってる」
冗談めかしてそう言っているが、実際トゥーレの側近に比べるとウンダル側の彼らの技量は圧倒的だった。
兵力が少ないため、ある程度乗れれば戦力として数えられるカモフ軍に対して、幼いころから切磋琢磨して鍛えられているウンダル兵では数も質も大きく違っている。少し特訓したところで簡単に埋まるほどの実力差ではなかったのだ。
「しかし五月蠅い奴らだな」
眼下で繰り広げられる競馬とその後の舌戦に苦笑を浮かべる。大声で笑い、言い合う声が風に乗ってうんざりするほど聞こえてきていた。
競い合うほどヒートアップしていく彼らとは対照的に、二人の間にはのんびりとした時間が流れていた。棚引く雲が起伏に沿うようにゆっくりと流れ、木漏れ日越しに太陽が暖かな日差しを注いでいた。風が優しく頬を撫で、微かに花の甘い香りを運んできている。蝶や蜂が花の周りを飛び回り、小動物が牧草の合間から顔を覗かせ、それを狙って上空を猛禽類が旋回していた。
普段は見落としてしまうほどの穏やかな時間の中、二人はたくさんの話をした。
婚約式を終えたとはいえ、リーディアにとってはまだ幼児と言ってもよい時期にした結婚の約束だ。しばらく同じ時間を共有したとはいえその時間は多くなく、幼い頃のイメージが崩れ去ったとしてもおかしくはなかった。
それでも政略で決定した結婚だ。仮に幼い恋心が冷めたとしても、二人には反故にする選択肢はなかった。
婚姻に政治的な思惑が反映されることの多かったこの時代、領主の一族であるトゥーレやリーディアにとって、幼い頃に恋心を抱いた相手と結ばれることは何よりの幸運だった。
二人はゆったりと流れる時間の中、七年の隙間を埋めるように多くのことを語り合うのだった。
「流石、騎馬隊で勇名を馳せる方々だ! 我々の完敗でした!」
「ははは、我らは物心ついた頃より傍に馬がいましたからな。それに姫様の護衛騎士として御前で無様な姿を晒す訳には参りません。とはいえ内心は必死でしたよ」
ユーリとアレシュがお互いの馬を引き、談笑しながら丘を登って来る。
力の入った勝負を繰り広げ、人馬とも汗でびっしょりで全身から湯気が立ち上るほどだ。
「我らもカモフではそれなりに乗れているという自負があったのですが、井の中の蛙とはこのことです。全く勝負になりませんでした」
「それでもロウダ卿を始め、ほとんどの方が馬に乗って二年ほどとはとても信じられません。この調子で訓練に励まれれば我々もうかうかしてられません」
「次回までにはこの差を少しでも詰められるように精進します」
「我々も負けていられません。今度は完膚なきまでに叩きのめして差し上げましょう」
ユーリが次回こそはと腕をぶすが、アレシュも対抗して譲らない。二人とも笑顔を浮かべているが目は笑ってはいない。彼らの周りにバチバチと見えない火花が飛び交っているかのようだった。
「コウデラ卿にそこまで言っていただけると励みがいがあります。それと私のことはユーリで結構です。家名で呼ばれるのはまだ慣れていないため背中がムズムズします」
「それではユーリ殿と呼ばせていただきます。私の事もアレシュとお呼びください」
年が近いこともあり今回の勝負を得て意気投合したのか、今朝の出発時点まであったぎこちなさがなくなっていた。それぞれが健闘を称え合いながら、トゥーレたちの元へと登ってきていた。
アレシュにロウダ卿と呼ばれたように、ユーリは今回のフォレス行きの直前にルーベルトやオレクとともに騎士に叙せられていた。
ユーリに与えられたロウダ姓は随分と昔に途絶えて久しいが、サザンに伝わる古い家名のひとつだ。
もっとも叙任からひと月と経っていないため、ユーリは名の重さもさることながら馴染みのない家名を呼ばれることの方にまだまだ抵抗がある様子だった。
「完敗じゃないか!」
「ええ、相手になりませんでしたね」
トゥーレの皮肉にも、戻ってきたユーリは清々しいほど悪びれもせずに答える。
ユーリ自身は十三勝十一敗でギリギリ勝ち越していたが、あとはルーベルトが健闘した程度で、それ以外の者についてはほとんど勝負にまで持っていくことができなかったのだ。
「ルーベルト!」
「はっ!」
「貴様は、しばらくサトルトの出入り禁止な!」
「っ! ・・・・はい」
「なんだ、不服か?」
「いえ・・・・」
「毎朝、馬場にも顔出せよ!」
騎士として遇されながらこの結果しか残せないのであれば特訓もやむなし。
冗談めかしているがトゥーレの口調がどこか詰問調なのは、馬術訓練をサボってサトルトの鉄砲鍛冶の元に入り浸っていたからだ。
もっともそのお陰でエン攻めでは新兵器の可能性を確認することができたのだが、そんなことは関係ないとばかりにサトルトの出入り禁止を告げる。
ルーベルトは鉄砲のことなら寝食を忘れて没頭するほどだったが、馬術については騎士として必要最低限できればいいという考えなのだ。坊主頭から湯気を立ち上らせたまま、彼は無念そうに項垂れるしかなかった。
「オレクもだぞ!」
「はっ!」
「文官だからといって、馬に乗れなくてもいいという理由にはならんぞ!」
その名が示す通り騎士に叙せられた以上は、馬に乗りこなさなければ他の者への示しも付かない。普段馬に乗ることのないシルベストルですら、ああ見えて馬術レベルは高く現状のユーリと同等レベルで乗りこなすことができるのだ。
オレクはともかくユーリやルーベルトにいたっては、不安定な馬上から射撃をおこなう竜騎兵なのだ。馬術は必要不可欠といえた。
「他の者も戻ったら特訓だぞ!」
勝負にならず負け続けた者がビクッと肩を震わせて一斉に項垂れた。彼らはまだ騎士に叙されてはいないが竜騎隊の主力を担う者たちだ。馬術スキルがあがって困ることはない。
因みに、馬術の特訓に比重が置かれるようになる彼らだったが、数年後にトルスター軍は戦術転換によって騎兵の比率を下げていくことになるのは皮肉な話である。
「トゥーレ様、日も傾いてきました。そろそろガハラに戻りましょう!」
朝から始まった競馬も昼食を挟んですでに夕刻、最後まで競い合っていた者もすでに引き上げて来て今は汗を拭い喉を潤していた。
見上げれば太陽の位置が随分と地平線に近づいている。しばらくユーリと談笑を交わしていたアレシュがトゥーレに帰還を促してきた。
「わかった。引き上げよう」
トゥーレの声にセネイたちリーディアの側勤めが広げていた食器や敷物を手早く片付け始める。トゥーレは自分の側勤めにもセネイを手伝うように指示を出すと、リーディアを伴って馬を呼びに行った。
「貴様たちが気を利かせてくれたお陰で、ゆっくり姫と過ごすことができた。礼を言うぞ」
馬を連れて丘に戻ってきたトゥーレが、リーディアとともに皆に礼を述べると、ユーリたちは呆気にとられた表情を浮かべる。もちろん呆気にとられているのはアレシュたちリーディアの護衛も同様だ。
「いや、気を利かせるも何も、お二人とも『邪魔をするなよ』オーラが全開で近づくこともできませんでしたからね」
「そうですよ。お陰でくたくたになるまで競争するはめになったんですよ!」
ユーリたちがいつもの調子で口々に主に対して毒を吐く。
部下からのストレートな物言いに慣れていないリーディアは、呆気にとられていたがトゥーレの次のひと言に、彼女は顔を真っ赤に染めて素っ頓狂な声を上げるのだった。
「二人ともって、姫もか?」
「あ、あたしも!?」
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