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2章 王国の闇を暴け
ただいま
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あの後、俺は疲れたのか、フレディに寄りかかって寝てしまった。
耳元で「おやすみ、ミチル」って言われたのは少なからず覚えている。
次に俺の意識が戻ったのは、ギルドの前に着いた時だった。
「ミチル~~~~起きて、着いたよ」
身体を揺さぶられる感覚によって目を覚ます。
「んー、おはよ」
「あ~もうかわいいな」
そう言うとフレディは、ちゅっと俺に軽く触れるだけのキスをした。
寝ぼけて判断鈍ってるからってなんでもやっていいわけじゃないからな!!
って言いたかったんだけど、口が動きませんでした。
実際、車内でそれ以上のことをしてしまったせいか、許容範囲なるものが存在してきている気がする・・・
絆されるなよ俺・・・
ギルド前に馬車がついた時、中は混乱状態だった。
昨日から、フレディと俺が消息不明でバタバタしていたのに加えて、見知らぬ高級な馬車がこの街に来ていたからである。
街の皆がその馬車に注目している中、俺たちは降りることとなっていたのだ。
フレディをあしらいながら馬車を降りる。
鈍感と言われる俺でも、大勢の目線には少し応えたので、ささっとギルドの扉を開け、フレディの腕を引っ張って入って行った。
ガチャ
扉を開けて俺は気づいた。
ギルド内も外と同じように自分たちは注目の的であったのだ。
みんなが俺らを見ながらひそひそしており、変な気分になっていたその時、
「ミチル!!!!!!フレディ!!!!!!!!」
無表情冷徹クイーンのフィンさんが大きな声で走り寄ってきた。
あ、冷徹って言う称号は改めてあげたんだっけ。
しかし、珍しく焦った様子で、心配げな顔をしていた。
「フィン、落ち着け。事情はあとで説明するから。」
全て分かったようにフレディがフィンさんをなだめる。
「・・・すまん、準備ができたら俺の部屋に来てくれ」
そう言い残すと俺たちから離れて去っていった。
「じゃあ、僕たちは部屋に戻ろうか。適当な時間に僕がミチルの部屋に迎え行くよ。」
俺たちは各自部屋に戻るため、一旦別れた。
ふぅ
俺は部屋に戻ると、何かひと段落した気がして、大きな溜息をついた。
ここ数日が濃すぎて、俺には抱え切れないものばかりだった。
その度にフレディが支えてくれて・・・
何だかんだ言って、優しく頭の良い彼を一番頼りにしていることに気づいた。
あとでお礼言っとこ・・・
自分でも珍しくそう思ったのだった。
フレディから借りていた服は土で汚れてしまっており、彼から教わった水属性魔法の『クリーン』を施してから、ハンガーに掛けた。
自分もスッキリしたかったので、そのまま風呂に入ることにした。
俺は爽快な気持ちで風呂は上がった。
四次元バッグから先日フレディから買ってもらった洋服に着替える。
髪の毛が濡れていたので、適当に髪を乾かす程度のイメージを魔法にのせたら、なんか勝手に乾いていた。
様々な魔法が、日常生活で案外便利に使えることが分かり、今後の暮らしが楽になるなぁと呑気に想像する。
すると、丁度よく扉をノックする音が聞こえた。
コンコン
「ミチル、行くよ~」
フレディの完璧な時間計算に感動しながら、俺は部屋を後にした。
「あ、ミチル服着てくれたんだ。かわいー」
こいつは可愛いしか言えないのか。俺に会う度うるさいほど連呼してくる。
自分の選んだ服をミチルが着てると、僕のものって感じがするよね。って言っていた。
聞こえない。
しかしこれもまた耐性なのか、最初の感情とは変わって、嫌な気はしなくなっていた。
やっぱり慣れって怖い。
「あれ、ミチル風呂入ったよね?何で髪の毛乾いてるの?」
そろそろフレディの鋭さに驚かなくなってきたような気がする。
そのため、普通に受け答えできるよう成長していた。
「風属性魔法だよ、適当にやったの」
そう言うと、フレディは驚いたような顔をこちらへ向けてくる。
「え!?風属性の人でも細かい空気の流れは動かすの難しいんだよ・・・それ、人前でやらないでね・・・」
その後に説明してくれたフレディの話によると、風属性魔法は他の魔法に比べて操るのが難しく、細かい風の動きの調整はしにくいらしい。日常生活に使用する、と言うよりは戦闘での使用が主であるとのこと。その程度の繊細な風を操るようになるには、長い魔法訓練を積んで、やっとの思いで手に入れるため、限られた高レベルの人しか持っていない能力らしい。
フレディ的には、無意識ながらに、教わってもない難しい魔法を普通に繰り出すのは、流石に想像もつかなかったとのこと。
「う、ごめん・・・」
俺の生命の危機に関わることであり、フレディはそれを自分ごとのように捉えてくれていた。
俺のことを気にしてくれているのがひしひしと伝わったせいか、少しの罪悪感を覚える。
尚且つ、自分の得体の知れない能力に恐怖を感じた。
国に捕まる心配も含め、『自分』と言うものが何であるのか、どこからきたのか、そんな恐怖に包まれた。
その後、俺の顔に感情が出ていたのか「大丈夫だよ、不安にさせてごめんね」と言って優しく頭を撫でてくれるフレディの手に、心地よい安心感が芽生えていたのだ。
耳元で「おやすみ、ミチル」って言われたのは少なからず覚えている。
次に俺の意識が戻ったのは、ギルドの前に着いた時だった。
「ミチル~~~~起きて、着いたよ」
身体を揺さぶられる感覚によって目を覚ます。
「んー、おはよ」
「あ~もうかわいいな」
そう言うとフレディは、ちゅっと俺に軽く触れるだけのキスをした。
寝ぼけて判断鈍ってるからってなんでもやっていいわけじゃないからな!!
って言いたかったんだけど、口が動きませんでした。
実際、車内でそれ以上のことをしてしまったせいか、許容範囲なるものが存在してきている気がする・・・
絆されるなよ俺・・・
ギルド前に馬車がついた時、中は混乱状態だった。
昨日から、フレディと俺が消息不明でバタバタしていたのに加えて、見知らぬ高級な馬車がこの街に来ていたからである。
街の皆がその馬車に注目している中、俺たちは降りることとなっていたのだ。
フレディをあしらいながら馬車を降りる。
鈍感と言われる俺でも、大勢の目線には少し応えたので、ささっとギルドの扉を開け、フレディの腕を引っ張って入って行った。
ガチャ
扉を開けて俺は気づいた。
ギルド内も外と同じように自分たちは注目の的であったのだ。
みんなが俺らを見ながらひそひそしており、変な気分になっていたその時、
「ミチル!!!!!!フレディ!!!!!!!!」
無表情冷徹クイーンのフィンさんが大きな声で走り寄ってきた。
あ、冷徹って言う称号は改めてあげたんだっけ。
しかし、珍しく焦った様子で、心配げな顔をしていた。
「フィン、落ち着け。事情はあとで説明するから。」
全て分かったようにフレディがフィンさんをなだめる。
「・・・すまん、準備ができたら俺の部屋に来てくれ」
そう言い残すと俺たちから離れて去っていった。
「じゃあ、僕たちは部屋に戻ろうか。適当な時間に僕がミチルの部屋に迎え行くよ。」
俺たちは各自部屋に戻るため、一旦別れた。
ふぅ
俺は部屋に戻ると、何かひと段落した気がして、大きな溜息をついた。
ここ数日が濃すぎて、俺には抱え切れないものばかりだった。
その度にフレディが支えてくれて・・・
何だかんだ言って、優しく頭の良い彼を一番頼りにしていることに気づいた。
あとでお礼言っとこ・・・
自分でも珍しくそう思ったのだった。
フレディから借りていた服は土で汚れてしまっており、彼から教わった水属性魔法の『クリーン』を施してから、ハンガーに掛けた。
自分もスッキリしたかったので、そのまま風呂に入ることにした。
俺は爽快な気持ちで風呂は上がった。
四次元バッグから先日フレディから買ってもらった洋服に着替える。
髪の毛が濡れていたので、適当に髪を乾かす程度のイメージを魔法にのせたら、なんか勝手に乾いていた。
様々な魔法が、日常生活で案外便利に使えることが分かり、今後の暮らしが楽になるなぁと呑気に想像する。
すると、丁度よく扉をノックする音が聞こえた。
コンコン
「ミチル、行くよ~」
フレディの完璧な時間計算に感動しながら、俺は部屋を後にした。
「あ、ミチル服着てくれたんだ。かわいー」
こいつは可愛いしか言えないのか。俺に会う度うるさいほど連呼してくる。
自分の選んだ服をミチルが着てると、僕のものって感じがするよね。って言っていた。
聞こえない。
しかしこれもまた耐性なのか、最初の感情とは変わって、嫌な気はしなくなっていた。
やっぱり慣れって怖い。
「あれ、ミチル風呂入ったよね?何で髪の毛乾いてるの?」
そろそろフレディの鋭さに驚かなくなってきたような気がする。
そのため、普通に受け答えできるよう成長していた。
「風属性魔法だよ、適当にやったの」
そう言うと、フレディは驚いたような顔をこちらへ向けてくる。
「え!?風属性の人でも細かい空気の流れは動かすの難しいんだよ・・・それ、人前でやらないでね・・・」
その後に説明してくれたフレディの話によると、風属性魔法は他の魔法に比べて操るのが難しく、細かい風の動きの調整はしにくいらしい。日常生活に使用する、と言うよりは戦闘での使用が主であるとのこと。その程度の繊細な風を操るようになるには、長い魔法訓練を積んで、やっとの思いで手に入れるため、限られた高レベルの人しか持っていない能力らしい。
フレディ的には、無意識ながらに、教わってもない難しい魔法を普通に繰り出すのは、流石に想像もつかなかったとのこと。
「う、ごめん・・・」
俺の生命の危機に関わることであり、フレディはそれを自分ごとのように捉えてくれていた。
俺のことを気にしてくれているのがひしひしと伝わったせいか、少しの罪悪感を覚える。
尚且つ、自分の得体の知れない能力に恐怖を感じた。
国に捕まる心配も含め、『自分』と言うものが何であるのか、どこからきたのか、そんな恐怖に包まれた。
その後、俺の顔に感情が出ていたのか「大丈夫だよ、不安にさせてごめんね」と言って優しく頭を撫でてくれるフレディの手に、心地よい安心感が芽生えていたのだ。
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