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第1章 異世界へようこそ

迷い込み

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「初めまして、私はニコラス・グリーンです。改めて、助けて頂いてお礼を述べます。」




「いえ、僕はフレディ・マーガーです。恐縮ですが、グリーン家の・・・?」



「はい、先ほどの醜態晒し、失礼しました。」




フレディ曰く、グリーン家って言うのは、隣国の最上貴族らしい。
主に政治に関わっている、まあ言ってしまえば、国の最高権力とのこと。
政治の進め方には定評があるらしく、俺らがいた国でも、見習っていく政経が建てられているらしい。









「あ、俺はミチルです。よろしくお願いします。」





自分も忘れていた自己紹介を済ます。





ニコラスさんは、フレディの見た目を少し穏やかにして、優しさをプラスしたような顔だ。

貴族ともあって、礼儀正しく、容姿も風貌もしっかりとしている。
透き通った銀の髪と青い目のコントラストに目を奪われる。




取り敢えず、イケメンだ。


この世界はみんなイケメン。知らん、俺はイケメンと巡り会う運命でも背負ってるのか?




そんなことを考えていると、ニコラスさんが優しい表情でふふっと笑った。




「ミチル君、凄い。表情が豊かだね。」







何だろう、バカにされてる感。

きっとニコラスさんにはそう言った意図は含んでいないと信じたいが、小さな子供を見るかの目線を向けられると、やはり無意識にもバカにされていると感じてしまう。
物凄く不快な訳じゃないけど、俺も男だし、ちょっと傷付くなって毎回思うのだった。












「それは置いといて、ニコラスさんも迷い込んだのですか?」



「そう見たいです。私は森で果実を集めていただけなんですけど・・・」







やっぱりか・・・とフレディが困ったような顔をする。


俺が何もわからなそうな表情だったのが伝わったらしく、フレディは順を追って説明してくれた。





「まず、僕たちは街へ帰れてない。ニコラスさんも訳も分からず迷い込んだ。そもそも、ニコラスさんは隣国にいるのに、国を一つ飛び越えて僕たちと遭遇している。この時点で、何者かのスキルか魔法が発動されているんだ。考えられるのは、ワープ系の空間魔法を操る人物。僕には検討も付かないけどね。そして、➀僕たちを狙って誰かが魔法を発動させた。➁僕たちじゃない誰かを狙っていたが、たまたまその場に遭遇した僕らも巻き添えを食らった。おそらく考えられるのはこの2パターンね。」




「俺らが狙われる理由って何?」



「そう、その通り。狙われる理由が見当たらないんだ。だから後者である可能性が高い。」




「成程」






フレディの考察は全て的を得ていると思えた。

ニコラスさんが単体で狙われることはあっても、そこに俺たちが関与している事に辻褄が合わない。
その為に➁であるだろうと推測が建てられるらしい。




この考察についてはニコラスさんも感嘆の声をあげていた。




「だが、ここが何処だか検討もつかない以上、僕らはどうすることもできない。野宿か・・・一生この森で過ごすことになるか・・・」






そんな怖いことをフレディは呟いた。


ひぇ、やめてよ!!!!!平穏な生活が嘘のようにひっくり返るじゃん!!!!!


心の声も虚しく、俺もどうすることもできずに落胆していた。






すると、






「あの、今更で悪いのですけれど、私、スキル【道導みちしるべ】を持っております。現在地と私の国との距離はおよそ5kmとなります。」



「おお!そうだったのですか。思ったより離れていなくて助かりました。今日は暗いので、明日にでも向かうとしましょう」







フレディはそう言うと、川を探し出した。


ちなみに今日は野宿らしい。こんな訳も分からない森で野宿だってさ、はは。

川は身体を流すのに必要なんだって。
俺、川の水風呂に入らないといけないの?
何の拷問???


自分の作り出す水じゃダメなのか・・・と思ったが、川の方が雰囲気出るじゃんって言われた。

意味がわからない。

まぁ、ニコラスさんが水属性じゃない限り、他人に自分の裸体を晒す羽目になるからな・・・
その考慮はわからんでもないけど・・・






あ、ニコラスさんの属性見ればいいや、魔眼。







ステータス

名前:ニコラス・グリーン
レベル:57
年齢:23
職業:グリーン家長男 貴族
スキル:道導みちしるべ、魔力消費軽減
魔法:火属性魔法、結界魔法




スキル

道導みちしるべ
現在地から目的地への距離がわかる。また、目的地へ迷いなく進む事ができる。








スキル【道導みちしるべ】はそう言うことか、みんな個性豊かで面白いスキルを持っているなぁ・・・







俺が勝手に人の個人情報を盗み見ている間に川を探していたフレディから声がした。




「ここにあった、川だよ。この辺にしようか」





と言うことで、俺たちは近くで休むことになった。



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