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第5章(後)
22.思いもよらず
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歓談は予想以上に長引いた。射し込む日差しはいつの間にか光量を落とし、室内の影も長くなってきている。
請われて話し続けるローゼが何杯目かの茶を飲み干した時、シグリの横に座っていたフロランがそっと声をかけた。
「シグリ。兄たちと仲良くしてくれるのはとても嬉しいのだけれど、そろそろ終わりにしよう。夕食に間に合わなくなりそうだ」
「あら。もうそんな時間?」
フロランから声をかけられて周囲を見回したシグリは「本当ね!」と言って笑う。
「つい時間を忘れてしまったわ。義兄上も義姉上もお話がとてもお上手なんですもの」
「我々の話で楽しんで頂けましたのなら幸いです」
微笑んだアーヴィンの視線を受けてローゼもうなずくと、正面のシグリは輝くような笑みを見せた。
「おかげで、とても楽しい時間を過ごすことができましたわ! よろしければお二方が滞在している間、またお話をしていただけると嬉しいのですけれど」
小さく首を傾げたシグリが問うようにフロランを見ると、彼はうなずき、立ち上がる。
「私と挙げる大事な結婚式を忘れないでいてくれるのなら、余暇はいかようにもお使い下さいませ、美しき我が婚約者殿」
「もちろんよ。お二方とお話できるのはとても楽しいけれど、あなたと家族になれるということも私は嬉しいのよ、フロラン」
明るい笑みを送り、シグリはフロランの手を取って立つ。ローゼとアーヴィンに向けて優雅に礼をした彼女は、護衛や侍女を従えて扉へと向かった。
しかしフロランは扉の手前で立ち止まり、シグリの手の甲に口付ける。
「すまないが、私はここで一度お別れをするよ。夕食の時にまたお会いしよう、シグリ」
「分かったわ、フロラン。また後でね」
「では姉上、私の代わりに頼みましたよ」
「任せてちょうだい。――さあ、お部屋へ案内するわ」
フロランに代わって先へ立つリュシーの後に続き、シグリは美しい微笑みを残して立ち去る。
何とも形容しがたい圧力から解放されて緊張の解けたローゼが大きく息を吐いた時、にこやかに婚約者を見送っていたフロランが笑みを消して室内を振り返った。
「兄上」
目で合図をし、フロランは部屋の隅へ移動する。呼ばれたアーヴィンが傍へ行くと、硬い表情でフロランは何事かを言い、聞いたアーヴィンは眉をひそめた。
以降の彼らは室内に背を向けて話し始めたので、ローゼは表情を窺い知ることはできなくなったが、明るい顔をしていないことだけはふたりの背中からでも容易に想像ができる。
「……なんだろう」
【さあな】
しばらくの後に話し終えた弟は護衛を従えて扉から出て行く。兄は室内へ向き直るが、やはり表情は浮かなかった。
「アーヴィン!」
ドレスの裾を持つローゼが小走りに彼の方へ寄ると、顔を上げたアーヴィンが微笑み、立ち止まって両腕を広げた。
「ええと……大丈夫?」
腕の中でローゼが問いかけると、アーヴィンは曖昧にうなずく。その様子が言葉を探して迷っているように見えたので、ローゼはアーヴィンの背に腕を回し、安心させるように笑って見せた。
「大丈夫だったらいいの。だけど、何かあった時はいつでも話して。あたしでも聞くことくらいはできるから」
フロランがあのように深刻な表情でアーヴィンを呼ぶということは、シャルトス家に関わることで何かあったのだろう。ならばきっとローゼに言えないことだってあるはずだ。
互いに隠し事をしないとの約束はしたが、すべてを曝け出すのが難しいことくらいローゼにも分かっていた。
ローゼの言葉を聞いてわずかに目を見開いたアーヴィンは、どこか安堵したような笑みを浮かべる。
「ありがとう」
しかし続いてわずかに逡巡する様子を見せた後、アーヴィンは小さな声で話しだした。
「ローゼ、それにレオンも聞いて下さい。……今後、重要なことを話す時は自室の中だけにして欲しいのです」
【なに? 俺もか?】
怪訝そうなレオンの声を聞き、アーヴィンは静かに告げた。
「はい。レオンもです。フィデル側は、シャルトス家が予想した以上の術士を連れてきていますから」
「え?」
思わず声を上げた声を潜め、ローゼは早口で尋ねる。
「どういうこと? なんでフィデルは術士を連れてこられるの? シャルトス領の誰かがジェーバー領に移住したの?」
「そういうわけではないよ。それに今回の術士はジェーバー領のほか、フィデルの王都からも来ている」
「嘘でしょ?」
思わず大きくなりそうな声を必死に抑えながらローゼは問いかける。
「だって、シャルトス領の人じゃないのに術士なんて、そんなことありえるの?」
「もちろん」
「もちろんって……」
基本的に術士がいるのは精霊が多い場所だ。辺りに満ちた精霊の力が人にも宿って術士という存在を生み出す。
だからこそシャルトス領には精霊に関する力を持つ者、術士が多く生まれるのだ。
「まさかフィデルにはたくさん精霊がいて、だから術士だっている。なんて言わないでしょうね?」
「言う。フィデルには精霊が存在しているんだ。それも数多くの。場所によってはおそらくシャルトス領より多い。だから術士も多い」
ローゼは目を見開いた。
聖剣の主になって以降、ローゼはアストランの西と中央、南へ行ったことがある。
しかし精霊の姿を多く見たのは、シャルトス領を除けばグラス村にある北の森くらい。
北方の地にほど近い中央部では見たことがあったが、あれはおそらくシャルトス領から出て来た精霊たち。
東にはまだ行ったことはないが、他の地と大きく差異はないだろうと、ローゼだけでなくレオンも考えている。
つまりアストランにはもう、精霊がほとんどいないのだ。
(だからこの大陸にはもう精霊がほとんど残ってないんだと思ってた。シャルトス領にいるのが最後の精霊たちで、術士もシャルトス領にしかいないんだって。……でもまさか、フィデルにはいたなんて……)
しかし考えてみれば、自国にいないからと言って他国にいない道理にはならないのだ。
「アストランの大神殿やグラス村の神殿に精霊の本があったね? あれはフィデルで書かれたものなんだよ」
「……知らなかった」
「公にはされていないからね」
呆然とするローゼの頬にそっと触れ、アーヴィンは淡々と語る。
「今までにも結婚の関連でシャルトス領に訪れた際、フィデル側は大精霊と話すための術士を4~5人連れていた。だが今回はいつもより多くの術士を連れてきているらしい。おそらく10人以上いる」
アーヴィンの言葉を聞いてローゼは思い出す。
先ほどの歓談中にシグリの背後にいた侍女がレオンの声を聞いて笑ったように見えた。気のせいかと思ったが、あれはきっと気のせいではなかったのだ。
「……どうして今回はたくさん術士を連れて来たの?」
「分からない。だからこそ、少し警戒をするつもりだ」
【なるほどな】
呟くレオンの声は重々しい。
【相手方の考えが分からん以上、余計な情報は与えない方が賢明ってことか。……よし、分かった。今後、部屋の外でするのは雑談程度にとどめておこう】
「お願いします」
聖剣に向かってうなずいたアーヴィンは、一度ローゼから体を離し、改めて手を差し出す。
「さあ、私たちも部屋へ戻ろうか」
沈む心のままローゼが大きな手を取ると、穏やかに微笑むアーヴィンはローゼを勇気づけるように微笑んだ。
「あまり気負う必要は無いよ。実は銀狼に挨拶をしたいと考えた人が多かっただけかもしれない」
「うん……」
【それに重要な話以外は別にしても構わないんだろ。だったら晩飯のことでも話すか。――さて、今日は何だと思う? ソースが跳ねにくい献立だといいよなあ、ローゼ?】
揶揄するような声のレオンに話を振られ、ローゼは言葉に詰まる。
(どう答えようか)
レオンはおそらく、ローゼの気分を変えさせようとしているのだろう。
シグリのことも気になる、アーヴィンから聞いた話も気になる。
今すぐにでもその話をしたいのだが、もし本当にフィデルの人々が何かを考えているのなら、ローゼも滅多なことを言わない方が良い。
(それに本当にまずいことが起きたら、アーヴィンはちゃんと教えてくれる。レオンだって何か勘づいたらきっと言ってくれるもの)
そう結論付けたローゼは、とりあえずレオンの話に乗ろうと決めた。
「どうしてそういう嫌みなことを言うわけ? だって、ドレスを汚したらって思うと怖いんだもの、ちょっとだけ不格好な食べ方になっちゃうのはしょうがないでしょ」
【ちょっとだけか?】
「うるさい、レオンの馬鹿! アーヴィンも笑わないで! ……もう、なんでこんな話題なのよ! ふたりとも嫌い!」
恥ずかしくなってきたローゼが顔を赤らめてそっぽを向くと、男性ふたりの朗らかな笑い声が聞こえた。
請われて話し続けるローゼが何杯目かの茶を飲み干した時、シグリの横に座っていたフロランがそっと声をかけた。
「シグリ。兄たちと仲良くしてくれるのはとても嬉しいのだけれど、そろそろ終わりにしよう。夕食に間に合わなくなりそうだ」
「あら。もうそんな時間?」
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「もちろんよ。お二方とお話できるのはとても楽しいけれど、あなたと家族になれるということも私は嬉しいのよ、フロラン」
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しかしフロランは扉の手前で立ち止まり、シグリの手の甲に口付ける。
「すまないが、私はここで一度お別れをするよ。夕食の時にまたお会いしよう、シグリ」
「分かったわ、フロラン。また後でね」
「では姉上、私の代わりに頼みましたよ」
「任せてちょうだい。――さあ、お部屋へ案内するわ」
フロランに代わって先へ立つリュシーの後に続き、シグリは美しい微笑みを残して立ち去る。
何とも形容しがたい圧力から解放されて緊張の解けたローゼが大きく息を吐いた時、にこやかに婚約者を見送っていたフロランが笑みを消して室内を振り返った。
「兄上」
目で合図をし、フロランは部屋の隅へ移動する。呼ばれたアーヴィンが傍へ行くと、硬い表情でフロランは何事かを言い、聞いたアーヴィンは眉をひそめた。
以降の彼らは室内に背を向けて話し始めたので、ローゼは表情を窺い知ることはできなくなったが、明るい顔をしていないことだけはふたりの背中からでも容易に想像ができる。
「……なんだろう」
【さあな】
しばらくの後に話し終えた弟は護衛を従えて扉から出て行く。兄は室内へ向き直るが、やはり表情は浮かなかった。
「アーヴィン!」
ドレスの裾を持つローゼが小走りに彼の方へ寄ると、顔を上げたアーヴィンが微笑み、立ち止まって両腕を広げた。
「ええと……大丈夫?」
腕の中でローゼが問いかけると、アーヴィンは曖昧にうなずく。その様子が言葉を探して迷っているように見えたので、ローゼはアーヴィンの背に腕を回し、安心させるように笑って見せた。
「大丈夫だったらいいの。だけど、何かあった時はいつでも話して。あたしでも聞くことくらいはできるから」
フロランがあのように深刻な表情でアーヴィンを呼ぶということは、シャルトス家に関わることで何かあったのだろう。ならばきっとローゼに言えないことだってあるはずだ。
互いに隠し事をしないとの約束はしたが、すべてを曝け出すのが難しいことくらいローゼにも分かっていた。
ローゼの言葉を聞いてわずかに目を見開いたアーヴィンは、どこか安堵したような笑みを浮かべる。
「ありがとう」
しかし続いてわずかに逡巡する様子を見せた後、アーヴィンは小さな声で話しだした。
「ローゼ、それにレオンも聞いて下さい。……今後、重要なことを話す時は自室の中だけにして欲しいのです」
【なに? 俺もか?】
怪訝そうなレオンの声を聞き、アーヴィンは静かに告げた。
「はい。レオンもです。フィデル側は、シャルトス家が予想した以上の術士を連れてきていますから」
「え?」
思わず声を上げた声を潜め、ローゼは早口で尋ねる。
「どういうこと? なんでフィデルは術士を連れてこられるの? シャルトス領の誰かがジェーバー領に移住したの?」
「そういうわけではないよ。それに今回の術士はジェーバー領のほか、フィデルの王都からも来ている」
「嘘でしょ?」
思わず大きくなりそうな声を必死に抑えながらローゼは問いかける。
「だって、シャルトス領の人じゃないのに術士なんて、そんなことありえるの?」
「もちろん」
「もちろんって……」
基本的に術士がいるのは精霊が多い場所だ。辺りに満ちた精霊の力が人にも宿って術士という存在を生み出す。
だからこそシャルトス領には精霊に関する力を持つ者、術士が多く生まれるのだ。
「まさかフィデルにはたくさん精霊がいて、だから術士だっている。なんて言わないでしょうね?」
「言う。フィデルには精霊が存在しているんだ。それも数多くの。場所によってはおそらくシャルトス領より多い。だから術士も多い」
ローゼは目を見開いた。
聖剣の主になって以降、ローゼはアストランの西と中央、南へ行ったことがある。
しかし精霊の姿を多く見たのは、シャルトス領を除けばグラス村にある北の森くらい。
北方の地にほど近い中央部では見たことがあったが、あれはおそらくシャルトス領から出て来た精霊たち。
東にはまだ行ったことはないが、他の地と大きく差異はないだろうと、ローゼだけでなくレオンも考えている。
つまりアストランにはもう、精霊がほとんどいないのだ。
(だからこの大陸にはもう精霊がほとんど残ってないんだと思ってた。シャルトス領にいるのが最後の精霊たちで、術士もシャルトス領にしかいないんだって。……でもまさか、フィデルにはいたなんて……)
しかし考えてみれば、自国にいないからと言って他国にいない道理にはならないのだ。
「アストランの大神殿やグラス村の神殿に精霊の本があったね? あれはフィデルで書かれたものなんだよ」
「……知らなかった」
「公にはされていないからね」
呆然とするローゼの頬にそっと触れ、アーヴィンは淡々と語る。
「今までにも結婚の関連でシャルトス領に訪れた際、フィデル側は大精霊と話すための術士を4~5人連れていた。だが今回はいつもより多くの術士を連れてきているらしい。おそらく10人以上いる」
アーヴィンの言葉を聞いてローゼは思い出す。
先ほどの歓談中にシグリの背後にいた侍女がレオンの声を聞いて笑ったように見えた。気のせいかと思ったが、あれはきっと気のせいではなかったのだ。
「……どうして今回はたくさん術士を連れて来たの?」
「分からない。だからこそ、少し警戒をするつもりだ」
【なるほどな】
呟くレオンの声は重々しい。
【相手方の考えが分からん以上、余計な情報は与えない方が賢明ってことか。……よし、分かった。今後、部屋の外でするのは雑談程度にとどめておこう】
「お願いします」
聖剣に向かってうなずいたアーヴィンは、一度ローゼから体を離し、改めて手を差し出す。
「さあ、私たちも部屋へ戻ろうか」
沈む心のままローゼが大きな手を取ると、穏やかに微笑むアーヴィンはローゼを勇気づけるように微笑んだ。
「あまり気負う必要は無いよ。実は銀狼に挨拶をしたいと考えた人が多かっただけかもしれない」
「うん……」
【それに重要な話以外は別にしても構わないんだろ。だったら晩飯のことでも話すか。――さて、今日は何だと思う? ソースが跳ねにくい献立だといいよなあ、ローゼ?】
揶揄するような声のレオンに話を振られ、ローゼは言葉に詰まる。
(どう答えようか)
レオンはおそらく、ローゼの気分を変えさせようとしているのだろう。
シグリのことも気になる、アーヴィンから聞いた話も気になる。
今すぐにでもその話をしたいのだが、もし本当にフィデルの人々が何かを考えているのなら、ローゼも滅多なことを言わない方が良い。
(それに本当にまずいことが起きたら、アーヴィンはちゃんと教えてくれる。レオンだって何か勘づいたらきっと言ってくれるもの)
そう結論付けたローゼは、とりあえずレオンの話に乗ろうと決めた。
「どうしてそういう嫌みなことを言うわけ? だって、ドレスを汚したらって思うと怖いんだもの、ちょっとだけ不格好な食べ方になっちゃうのはしょうがないでしょ」
【ちょっとだけか?】
「うるさい、レオンの馬鹿! アーヴィンも笑わないで! ……もう、なんでこんな話題なのよ! ふたりとも嫌い!」
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