2 / 262
第1章
2.青の衣
しおりを挟む
呼び出しと聞いて、ローゼは首をひねる。
「また何かやったの?」
ディアナに尋ねられるが、むしろローゼの方がそれを知りたかった。
「考えてるんだけど、何も思い浮かばないなー……いや待ってよ、またって何、またって」
「だってあんた、アーヴィン様が初めて村にいらした際に、会いたくないってしばらく逃げ回ってたことがあったでしょ?」
「えー……あれはそういうんじゃなくて……」
他の人は知らない話だが、実はローゼがアーヴィンと初めて会った際、少しばかり問題が起きた。彼は気にしていないようだが、ローゼにとっては思い出したくない話である。
気まずそうに声が小さくなるローゼを見て、ディアナは鼻で笑った。
「ほら、やっぱり心当たりあるんでしょ? 早く行って叱られてきなさいよ」
言い返せないのが悔しくて、潔白を証明すべくローゼは村長の妻に用件を尋ねてみるが、どうやら彼女も聞いていないらしい。
仕方なく本を袋に入れて持つと、ローゼは集会所を出た。
神殿には書庫が併設されており、許可を得れば誰でも借りることができる。ローゼが読んでいた本もそこにあったものだ。
さすがに娯楽系の本は無いが、神話関係の話や聖剣の主の伝説などは充実しているし、読んでいて意外と面白い。
精霊はあまり神殿と関係ない気はするが、置いてあるのだから構わないのだろう。ローゼとしては割と興味深い内容なので、先ほどのようにときおり読んでいる。
(まあどっちにせよ、あたしは何もしてないから、叱られるわけじゃないだろうし。用事がなんなのか聞いたら、ついでにまた何か借りよう。そして集会所に戻って読もう)
と思いながら歩いていると、神殿の前にローゼを呼びだした本人が立っている。てっきり中にいると思ったので、外にいるのは意外だった。
さらに意外だったのはアーヴィンの着ている服がいつもと違い、遠目でも分かるほど豪華だということだ。
彼がいつも着ているのは白地に青の縁取りの神官服だが、今着ているものは地の色が鮮やかな青色をしている。そこに金糸をふんだんに使って豪華な刺繍が施されていた。
なめらかな光沢はきっと絹なのだろう。とても高価なものだということは、高級品と無縁のローゼにも良く分かった。
美しい衣に惚れ惚れしつつ、呼びかけようとしたところで、アーヴィンの方が先に声をかけてくる。
「急に呼び出して悪かったね、ローゼ」
その様子を見てローゼは内心首をかしげる。
いつもと同じ表情と声色のようだが、雰囲気がいつもと違う気がするのだ。
良く考えてみれば、こんな豪華な衣装を着ているところは今まで見たことがない。
今回ローゼが呼び出されたことと関係しているんだろうか?
「別にいいんだけど……何かあった?」
「ローゼに会いたいというお客様をお連れしたんだ」
「あたしにお客様? 誰?」
村の外に知り合いはいないので、自分を訪ねてくる客と言っても心当たりなどない。
聞かれて、アーヴィンはわずかに言い淀んだ。
「アストラン大神殿の大神官様だよ」
「……は?」
ローゼの思考が停止する。
* * *
この大陸には5つの国があるが、どの国も宗教は基本的に同じものを信仰している。
光の10柱と呼ばれる神々を敬うこの宗教は、主神の名をとってウォルス教と呼ばれていた。
大神官とは、そんなウォルス教の神官たちを束ねる役目を負っている人物のことだ。
各国にそれぞれ5人だけしかいない。
国と神殿は密接に関わっているので、国内というくくりで見ても、かなり身分の高い人物だった。
* * *
「……え、嘘でしょ? そんな偉い人がなんであたしなんかに会いたいの? っていうか、どうしてあたしのことを知ってるわけ?」
問いかけられたアーヴィンは困ったように笑う。
「悪いけど、すべては大神官様から直接お話を伺って欲しい」
「だって、急に言われても……」
そもそも大神官などという人物にどんな風にして会えばいいのか分からない。
このまま内容を伝えてもらえばすむ話なのに、どうしてそれでは駄目なのだろうか。
しかも、と自分の普段着を見下ろす。
こんな服で偉い人に会うなんて考えられない。
顔を上げてアーヴィンを睨みつけながらローゼは言い切った。
「嫌よ、絶対会わない」
それを受けて彼は穏やかに微笑みながら言う。
「そう言うと思ったよ」
こうして、グラス村にある神殿の前で押し問答が始まった。というより、ローゼが会いたくない言い訳をひたすら並べ立てているだけだったが。
しかしローゼがどれだけ言葉を尽くして断っても、アーヴィンは頑として大神官が来た理由を答えず、会ってくれという姿勢も崩さない。
帰ろうとすれば、なだめすかしてくる。
態度から察するに、彼は大神官がこの村まで来た理由を知らないわけではない。知っているのに言わない。
それが分かってローゼはため息をついた。
(これは『何か』あるわ……)
アーヴィンは優しげな雰囲気の男性だ。本人もそのようにふるまっているし、周囲の人々もそう思っている。
しかしローゼとしては、どうもそれだけではない気がしていた。実は頑固だし、意外と計算高い面もある。教義には割と真面目だが、権力のようなものは嫌っている節もあった。
そんな彼だが、村人たちに対して親しみを持っていることは分かっている。もちろん、ローゼに対しても。
ということは、大神官に会うことがローゼにとって必要なことだと判断したのだろう。
(……しょうがない、会うしかないみたいね……)
ローゼは嫌々ながら首を縦に振った。
聞けば大神官は村を出た先にある草原にいるらしい。それなりに距離のある場所だ。
何故そんな所にいるのだろうかと尋ねてみれば、これには答えがあった。
「人数が多いし、他に荷物もあるからね」
「そうなの?」
グラス村の土地は広い。
道幅は広いし、それなりに舗装もされているから、馬車だって平気だ。
家と家の間も十分間隔があいている。
それでも村に入るのは難しいと判断したのだろうか。いったい何人で来たのだろうか。
(10人や20人じゃないってことかしら)
大神官ほどの人物ともなれば護衛の数もそれなりにいるのかもしれない。と、そこまで考えてローゼは気が付いた。
「そっか。この綺麗な神官服って、大神官様がいらしてるから着てたのね」
大神官は自分より身分のある人物なのだから、いつもの服では失礼に当たるということなのかもしれない。
遠目に見ても豪華な衣装は、近くで見れば一層美しかった。
「それもあるかな」
「……なんだか微妙な言い方ね」
これには答えが無かった。
持って来た本は、ひとまず神殿の入り口にいた神官補佐に預け、草原へと向かう。
その道すがらローゼが質問しても、アーヴィンからの答えはほとんどない。仕方がないので今は黙って歩いている。
意味の分からない呼び出しを受けたかと思ったら、その相手はこの先で待っている偉い人なのだ。正直に言えばいたたまれない。
早く草原につかないかなと思いつつ歩いていると、村の外へ出るという辺りで、アーヴィンは足を止めた。
「どうしたの?」
「ローゼ」
真剣な表情で向き直られて、ローゼは少したじろぐ。
「……雰囲気に飲まれないように。慌てず、落ち着いて、良く考えて。そして堂々としているんだよ」
夕方が近い。少し冷たい風がローゼの赤い髪と、アーヴィンの褐色の髪を揺らす。
「この後どんな選択をしても、私は必ずローゼの味方をするから」
どういう意味なのかは分からないが、おそらくこれから大神官と会うことに関係するのだろう。
少し考えて、ローゼはうなずく。
「……うん、分かった」
それを聞いてアーヴィンは改めて促す。
「じゃあ、行こうか」
言って彼は微笑むが、どこか心配そうな雰囲気だった。
「また何かやったの?」
ディアナに尋ねられるが、むしろローゼの方がそれを知りたかった。
「考えてるんだけど、何も思い浮かばないなー……いや待ってよ、またって何、またって」
「だってあんた、アーヴィン様が初めて村にいらした際に、会いたくないってしばらく逃げ回ってたことがあったでしょ?」
「えー……あれはそういうんじゃなくて……」
他の人は知らない話だが、実はローゼがアーヴィンと初めて会った際、少しばかり問題が起きた。彼は気にしていないようだが、ローゼにとっては思い出したくない話である。
気まずそうに声が小さくなるローゼを見て、ディアナは鼻で笑った。
「ほら、やっぱり心当たりあるんでしょ? 早く行って叱られてきなさいよ」
言い返せないのが悔しくて、潔白を証明すべくローゼは村長の妻に用件を尋ねてみるが、どうやら彼女も聞いていないらしい。
仕方なく本を袋に入れて持つと、ローゼは集会所を出た。
神殿には書庫が併設されており、許可を得れば誰でも借りることができる。ローゼが読んでいた本もそこにあったものだ。
さすがに娯楽系の本は無いが、神話関係の話や聖剣の主の伝説などは充実しているし、読んでいて意外と面白い。
精霊はあまり神殿と関係ない気はするが、置いてあるのだから構わないのだろう。ローゼとしては割と興味深い内容なので、先ほどのようにときおり読んでいる。
(まあどっちにせよ、あたしは何もしてないから、叱られるわけじゃないだろうし。用事がなんなのか聞いたら、ついでにまた何か借りよう。そして集会所に戻って読もう)
と思いながら歩いていると、神殿の前にローゼを呼びだした本人が立っている。てっきり中にいると思ったので、外にいるのは意外だった。
さらに意外だったのはアーヴィンの着ている服がいつもと違い、遠目でも分かるほど豪華だということだ。
彼がいつも着ているのは白地に青の縁取りの神官服だが、今着ているものは地の色が鮮やかな青色をしている。そこに金糸をふんだんに使って豪華な刺繍が施されていた。
なめらかな光沢はきっと絹なのだろう。とても高価なものだということは、高級品と無縁のローゼにも良く分かった。
美しい衣に惚れ惚れしつつ、呼びかけようとしたところで、アーヴィンの方が先に声をかけてくる。
「急に呼び出して悪かったね、ローゼ」
その様子を見てローゼは内心首をかしげる。
いつもと同じ表情と声色のようだが、雰囲気がいつもと違う気がするのだ。
良く考えてみれば、こんな豪華な衣装を着ているところは今まで見たことがない。
今回ローゼが呼び出されたことと関係しているんだろうか?
「別にいいんだけど……何かあった?」
「ローゼに会いたいというお客様をお連れしたんだ」
「あたしにお客様? 誰?」
村の外に知り合いはいないので、自分を訪ねてくる客と言っても心当たりなどない。
聞かれて、アーヴィンはわずかに言い淀んだ。
「アストラン大神殿の大神官様だよ」
「……は?」
ローゼの思考が停止する。
* * *
この大陸には5つの国があるが、どの国も宗教は基本的に同じものを信仰している。
光の10柱と呼ばれる神々を敬うこの宗教は、主神の名をとってウォルス教と呼ばれていた。
大神官とは、そんなウォルス教の神官たちを束ねる役目を負っている人物のことだ。
各国にそれぞれ5人だけしかいない。
国と神殿は密接に関わっているので、国内というくくりで見ても、かなり身分の高い人物だった。
* * *
「……え、嘘でしょ? そんな偉い人がなんであたしなんかに会いたいの? っていうか、どうしてあたしのことを知ってるわけ?」
問いかけられたアーヴィンは困ったように笑う。
「悪いけど、すべては大神官様から直接お話を伺って欲しい」
「だって、急に言われても……」
そもそも大神官などという人物にどんな風にして会えばいいのか分からない。
このまま内容を伝えてもらえばすむ話なのに、どうしてそれでは駄目なのだろうか。
しかも、と自分の普段着を見下ろす。
こんな服で偉い人に会うなんて考えられない。
顔を上げてアーヴィンを睨みつけながらローゼは言い切った。
「嫌よ、絶対会わない」
それを受けて彼は穏やかに微笑みながら言う。
「そう言うと思ったよ」
こうして、グラス村にある神殿の前で押し問答が始まった。というより、ローゼが会いたくない言い訳をひたすら並べ立てているだけだったが。
しかしローゼがどれだけ言葉を尽くして断っても、アーヴィンは頑として大神官が来た理由を答えず、会ってくれという姿勢も崩さない。
帰ろうとすれば、なだめすかしてくる。
態度から察するに、彼は大神官がこの村まで来た理由を知らないわけではない。知っているのに言わない。
それが分かってローゼはため息をついた。
(これは『何か』あるわ……)
アーヴィンは優しげな雰囲気の男性だ。本人もそのようにふるまっているし、周囲の人々もそう思っている。
しかしローゼとしては、どうもそれだけではない気がしていた。実は頑固だし、意外と計算高い面もある。教義には割と真面目だが、権力のようなものは嫌っている節もあった。
そんな彼だが、村人たちに対して親しみを持っていることは分かっている。もちろん、ローゼに対しても。
ということは、大神官に会うことがローゼにとって必要なことだと判断したのだろう。
(……しょうがない、会うしかないみたいね……)
ローゼは嫌々ながら首を縦に振った。
聞けば大神官は村を出た先にある草原にいるらしい。それなりに距離のある場所だ。
何故そんな所にいるのだろうかと尋ねてみれば、これには答えがあった。
「人数が多いし、他に荷物もあるからね」
「そうなの?」
グラス村の土地は広い。
道幅は広いし、それなりに舗装もされているから、馬車だって平気だ。
家と家の間も十分間隔があいている。
それでも村に入るのは難しいと判断したのだろうか。いったい何人で来たのだろうか。
(10人や20人じゃないってことかしら)
大神官ほどの人物ともなれば護衛の数もそれなりにいるのかもしれない。と、そこまで考えてローゼは気が付いた。
「そっか。この綺麗な神官服って、大神官様がいらしてるから着てたのね」
大神官は自分より身分のある人物なのだから、いつもの服では失礼に当たるということなのかもしれない。
遠目に見ても豪華な衣装は、近くで見れば一層美しかった。
「それもあるかな」
「……なんだか微妙な言い方ね」
これには答えが無かった。
持って来た本は、ひとまず神殿の入り口にいた神官補佐に預け、草原へと向かう。
その道すがらローゼが質問しても、アーヴィンからの答えはほとんどない。仕方がないので今は黙って歩いている。
意味の分からない呼び出しを受けたかと思ったら、その相手はこの先で待っている偉い人なのだ。正直に言えばいたたまれない。
早く草原につかないかなと思いつつ歩いていると、村の外へ出るという辺りで、アーヴィンは足を止めた。
「どうしたの?」
「ローゼ」
真剣な表情で向き直られて、ローゼは少したじろぐ。
「……雰囲気に飲まれないように。慌てず、落ち着いて、良く考えて。そして堂々としているんだよ」
夕方が近い。少し冷たい風がローゼの赤い髪と、アーヴィンの褐色の髪を揺らす。
「この後どんな選択をしても、私は必ずローゼの味方をするから」
どういう意味なのかは分からないが、おそらくこれから大神官と会うことに関係するのだろう。
少し考えて、ローゼはうなずく。
「……うん、分かった」
それを聞いてアーヴィンは改めて促す。
「じゃあ、行こうか」
言って彼は微笑むが、どこか心配そうな雰囲気だった。
0
お気に入りに追加
91
あなたにおすすめの小説
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
最後に言い残した事は
白羽鳥(扇つくも)
ファンタジー
どうして、こんな事になったんだろう……
断頭台の上で、元王妃リテラシーは呆然と己を罵倒する民衆を見下ろしていた。世界中から尊敬を集めていた宰相である父の暗殺。全てが狂い出したのはそこから……いや、もっと前だったかもしれない。
本日、リテラシーは公開処刑される。家族ぐるみで悪魔崇拝を行っていたという謂れなき罪のために王妃の位を剥奪され、邪悪な魔女として。
「最後に、言い残した事はあるか?」
かつての夫だった若き国王の言葉に、リテラシーは父から教えられていた『呪文』を発する。
※ファンタジーです。ややグロ表現注意。
※「小説家になろう」にも掲載。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
【完】愛していますよ。だから幸せになってくださいね!
さこの
恋愛
「僕の事愛してる?」
「はい、愛しています」
「ごめん。僕は……婚約が決まりそうなんだ、何度も何度も説得しようと試みたけれど、本当にごめん」
「はい。その件はお聞きしました。どうかお幸せになってください」
「え……?」
「さようなら、どうかお元気で」
愛しているから身を引きます。
*全22話【執筆済み】です( .ˬ.)"
ホットランキング入りありがとうございます
2021/09/12
※頂いた感想欄にはネタバレが含まれていますので、ご覧の際にはお気をつけください!
2021/09/20
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】烏公爵の後妻〜旦那様は亡き前妻を想い、一生喪に服すらしい〜
七瀬菜々
恋愛
------ウィンターソン公爵の元に嫁ぎなさい。
ある日突然、兄がそう言った。
魔力がなく魔術師にもなれなければ、女というだけで父と同じ医者にもなれないシャロンは『自分にできることは家のためになる結婚をすること』と、日々婚活を頑張っていた。
しかし、表情を作ることが苦手な彼女の婚活はそううまくいくはずも無く…。
そろそろ諦めて修道院にで入ろうかと思っていた矢先、突然にウィンターソン公爵との縁談が持ち上がる。
ウィンターソン公爵といえば、亡き妻エミリアのことが忘れられず、5年間ずっと喪に服したままで有名な男だ。
前妻を今でも愛している公爵は、シャロンに対して予め『自分に愛されないことを受け入れろ』という誓約書を書かせるほどに徹底していた。
これはそんなウィンターソン公爵の後妻シャロンの愛されないはずの結婚の物語である。
※基本的にちょっと残念な夫婦のお話です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる