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14.絶対的女性権力の中心、女帝

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私はこの人物について、男勝りであり、また猛脈の権力者であると思っていた。
しかしながら、私の見立ては少し曇っていたのかもしれない。


あの当時、彼女の女子界隈での影響力は絶対的なものと言えるような強大さであり、男子界を含めてもそれは通ずるものがあった。男勝りでガツガツしていて、ボーイッシュなように感じる面が多いと思いきや、意外にも女子特有の繊細な気性の激しさを持ち合わせている。


背は低く、前の方である。(しかし彼女の場合は覇気があった。)彼女の鼻は丸っこいような鼻で高めの位置にあり、この点は西欧的で少し特徴的だと言える。
目はキリッとした眼力の強い、攻撃的で狡猾的で蠱惑なものだ。あの目で睨まれようものなら大抵の人は萎縮する。髪は少し茶色みがかっているように見え、きっとどんな髪型でも不自然にはならないだろう。足や腕は身長の低さもあってか
細めである。しかし、肩を叩くときの力や男子衆を攻撃するときの力はその足腕の細さからは考えられない力が発揮される。(イタイイタイと叫ぶ男子に気の毒に思う。)


さて、彼女はあの当時絶対的な権力を有していた。小さな社会の友好関係は彼女の思いのままに動いていたと言っても過言ではない。彼女の凄いところは、指示しないにもかかわらず周囲の女子衆を取り込んでいわゆる「仲間外し」なんかをやってのけたところである。彼女一人の私怨が徐々に社会体全体(この時はクラスだった)を覆い、最後にはその対象者はほとんど孤独になる。(そしてこの孤独の後に出てくるのが手を差し伸べる偽善的ヒーローである。)私はこのような状況を深く考察し、面白がっていたが、さすがに不快であった。それは多くの人もおなじだったようで、結局最後にはレジスタンスによって彼女の小さな帝国は崩壊した。



大きな声で笑い、体を大きく反らして笑う。私はこのような大胆な笑い方が信用ならなくなった。声は低く、大きい。(少々品格がないように感じる。)
しかしながら、彼女にも評価されるべき点は幾つかある。あの真面目さ、そして実直な努力の精神は見習うべきものがあるし、あの剛情な女帝らしからぬギャップに驚かされた。常識的な優しさ、気配りは備わっているし、社会的な品格は上品である。(この点は非常に貴重な良い点だ。)でも、私の中にはあの当時の、私怨が浸透していく様子が離れないのである。



諸行無常。
必ず力は弱まる。
必ずいつかは終わりが来る。

しかしながら記憶は 
      記録は残るのである。


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