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3.天才的自由人

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彼は私の友人の中でも最も自由であると感じる。結して、その自由でいるのに代償がないわけではなく、社会的な評価はまったく高くない。だか、いずれにしろ彼の潜在的価値とユーモアは特筆すべきものだと思う。


まず、容姿がすでに自由である。天性の猫背で背が高いのに少し損をしている。
体型は不健康なほど細く、極度の『もやし』シルエットだ。よって、運動は球技、陸上etc…オールジャンルまったくできない。髪型には特にこれといって自由さを見出すことはない。年相応の普遍的な髪型で、毛量、増加傾向、色もいずれも日本人らしいと言えるだろう。(強いて言えば髪がたまにボサボサなのは自由的だろう。)顔も髪しかりである。日本人的、アジア人的と一言で片付けてしまえる。声についても、特段高かったり、低かったりはしない。ただ彼のシルエットはやはり自由的なのである。


しかしながら、諸君の想像よりは少々「普遍的」だったかもしれない。だが、その先入観はすぐにでも取り払うべきだろう。彼はとことん自由人だ。はたから見れば異端者と言われる行為をしらっとやってのける。その行為によって誰かから怒られたり、罵声(帰れ!出てけ!等のとにかく強い罵声)を浴びせられても彼はほとんど大抵ケロっとしている。(ように見える)規律なんて、知らん顔で彼は過ごす。

そしてまた、ユーモアセンスに長けているのだ。彼は言う。
「私は違反に違反を重ねてきた、そういう風に生きてきた。でもどうせ、黒に黒を重ねても黒のままだからいいのだ。」
この発言から分かるように、彼は本当にどこまでも自由で比喩とブラックジョークのセンスに長けているのだ。友人として彼を見ていると少々危なっかしく感じるし、自身にも不利益が回ってこないか
と危惧することもある。だが、それでも彼と友人でいるというスリルと不思議な楽しさには変え難いのだ。


また、彼はポーカーフェイスである。私の前で嫌いと評していた相手にことごとくいじられても、彼はまったく動じず、いつもの冷静な人格を保っている。それでもやはり自由人である。よって発言が自由奔放すぎてその発言によってより一層いじりを深めさせてしまうのである。

自由といってもそれは自由そうに見えるだけで彼にはそうでないかもしれない。
だが、そのように見える生き方をするだけでも、常人には難しい。
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