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3.モサモサとしたリアリスト
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私にはこの一年、数多くの出会いがあったが、その中でも特筆すべきは彼との出会いだと思う。それくらい私は彼について、非常に興味深い人物たと思っている。
では、そんな彼とはどんな人物なのか。
全体として彼を一見して、思うのは
どこか「脱力」した雰囲気である。
覇気がないというか、屈託がないというかそんな印象がまずある。
それは雰囲気だけに留まらず、彼は適当であるべきところはすべて適当であろうとする。しかしながら、やるべきところにはしっかりと注力する。
一見この特徴は現代人なら誰しもそうであるように思えるかもしれないが、その程度の甚だしさと、極端なリアリズムを持った彼のその特徴は他とは一線を画す。
つまり、常人よりもメリハリの度合いが強いということである。
だから、彼はモサッとした青年と
キリッとした先鋭で頭脳明晰な青年を
行き来する。
そもそも、彼はモサッとした雰囲気うんぬん以前に、講義中であろうが、休憩中でさえも眠りについていることが多い。
だから、たとえ目を開いていたとしても
我々としては眠りのイメージが強すぎて、どこか彼が常に睡眠の延長線上にいるように感じてしまう。
おそらく、モサモサ感はそこから来ているのだろう。
だが、そんなモサモサも幻のように消えてしまう。特に数学に取り組むときの彼にはそれが顕著である。常時半開きの眼が全開になり、ペンを持った手先はスルスラと快調に動きを進める。その躍動は彼のメリハリを端的に表すもっともな表象であろう。
また、講義のときにだけ、メガネをかけるというのも、これまたズルい行為なのである。普段とは違うぞ、という気概をその容姿からも感じ取れる。
このように、彼のメリハリはその様子や姿勢によく現れていることがわかると思うが、実はそれだけではない。
彼の言動。ここにもまたメリハリが聞いている。
彼はユーモラスな発言をよくする。
それが常時大ウケかといえばそうではないかもしれないが、言動がなかなかに享楽に富んだ、ユーモラスな人なのである。
そして、よく笑う。ツボに入ると長い!授業中なんかに彼を間違っても笑わせてしまうと、そのツボの長さから教室内で目立ってしまうのは必然で、少々恥ずかしくなる。
こんなにユーモラスでゲラゲラ男の彼だが、急に冷えて、リアリズムを呈した言動が発せられることがある。
なかなかにそれは鋭い洞察と論理があって、同一人物から発せられた言動とは思えないものも多い。
このようにして、彼には言動までにも
メリハリというこの特異な性質が作用しているのである。
この予測不能な彼の起伏、切り替わり、
(すなわちメリハリ)は本当に面白い。
笑いが絶えないながらも、常々現実的な
世界観が纏わりつく彼という人物は、不可解でありながら、離れられない味を持っている。
全力を発揮する場なんて
人生で一つや二つでいいのかもしれない。
彼を見ていると、全力というものの美学がそれほど重要なものではないことが、よくわかる。
では、そんな彼とはどんな人物なのか。
全体として彼を一見して、思うのは
どこか「脱力」した雰囲気である。
覇気がないというか、屈託がないというかそんな印象がまずある。
それは雰囲気だけに留まらず、彼は適当であるべきところはすべて適当であろうとする。しかしながら、やるべきところにはしっかりと注力する。
一見この特徴は現代人なら誰しもそうであるように思えるかもしれないが、その程度の甚だしさと、極端なリアリズムを持った彼のその特徴は他とは一線を画す。
つまり、常人よりもメリハリの度合いが強いということである。
だから、彼はモサッとした青年と
キリッとした先鋭で頭脳明晰な青年を
行き来する。
そもそも、彼はモサッとした雰囲気うんぬん以前に、講義中であろうが、休憩中でさえも眠りについていることが多い。
だから、たとえ目を開いていたとしても
我々としては眠りのイメージが強すぎて、どこか彼が常に睡眠の延長線上にいるように感じてしまう。
おそらく、モサモサ感はそこから来ているのだろう。
だが、そんなモサモサも幻のように消えてしまう。特に数学に取り組むときの彼にはそれが顕著である。常時半開きの眼が全開になり、ペンを持った手先はスルスラと快調に動きを進める。その躍動は彼のメリハリを端的に表すもっともな表象であろう。
また、講義のときにだけ、メガネをかけるというのも、これまたズルい行為なのである。普段とは違うぞ、という気概をその容姿からも感じ取れる。
このように、彼のメリハリはその様子や姿勢によく現れていることがわかると思うが、実はそれだけではない。
彼の言動。ここにもまたメリハリが聞いている。
彼はユーモラスな発言をよくする。
それが常時大ウケかといえばそうではないかもしれないが、言動がなかなかに享楽に富んだ、ユーモラスな人なのである。
そして、よく笑う。ツボに入ると長い!授業中なんかに彼を間違っても笑わせてしまうと、そのツボの長さから教室内で目立ってしまうのは必然で、少々恥ずかしくなる。
こんなにユーモラスでゲラゲラ男の彼だが、急に冷えて、リアリズムを呈した言動が発せられることがある。
なかなかにそれは鋭い洞察と論理があって、同一人物から発せられた言動とは思えないものも多い。
このようにして、彼には言動までにも
メリハリというこの特異な性質が作用しているのである。
この予測不能な彼の起伏、切り替わり、
(すなわちメリハリ)は本当に面白い。
笑いが絶えないながらも、常々現実的な
世界観が纏わりつく彼という人物は、不可解でありながら、離れられない味を持っている。
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彼を見ていると、全力というものの美学がそれほど重要なものではないことが、よくわかる。
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