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(1)
「今夜は盛り上がろうぜ!」
「おうよ!ここからは俺達の時代だ!」
誠と桐谷君が盛り上がっている。
いつもならカンナ達が注意するのに亜依さん達と固まって何か相談している。
あまり女性の話に割り込むのは悪いと思って石原君達と話をしていた。
しかしそれもわずかな間だった。
「瑛大!お前琴音に何を吹き込んだ!?」
亜依さんが立ち上がって桐谷君に怒鳴りつける。
しかし桐谷君には身に覚えがないらしい。
何のことだ?と亜依さんに聞いていた。
「とぼけるな!琴音にそんな事教えるのはお前しかいないだろ!孫娘の将来を何だと思ってるんだ!?」
「だから言ってる意味が全然わかんねーって!」
どうやら本当に桐谷君は知らないらしい。
毎年よくやってくれるよ。
「亜依さん。落ち着いて。多分桐谷君の言ってる事は間違ってない」
「片桐君!あんただって他人事じゃないでしょ!結莉達があんな風になったら心配するでしょ!」
「あんな風ってどんな風なの?」
「うぅ……」
愛莉が悩んでる。
美希も感づいたらしくて空に「ちょっと結達連れて向こうに行ってて」と言っていた。
つまり僕や空に知られたくない事なのだろう。
それだけで十分だったから亜依さんに説明した。
「もしそういう話だとしたらなおさら桐谷君は関係ないよ」
「なんでそうなるの?」
「僕の記憶が正しかったら琴音達は気持ち悪がって桐谷君に近づかないんだろ?」
そんな事教えられるわけないよ。
「じゃあ、琴音に教えたのは誰なの?」
「そもそも何を教えたの?」
「うぅ……」
愛莉はあまり話したくないらしい。
あんまり使いたくない手なんだけどな。
愛莉に耳打ちする。
「もしそんなに興味を持つような事なら愛莉にしてもらうからいいよ」
「……困った旦那様ですね」
嬉しそうににこりと笑って教えてくれた。
「冬夜さんは学生時代初めてラブホに入った時の事覚えてますか?」
「うん、意外と色々あって凄かったね」
「で、一緒にお風呂入ったでしょ?」
「それっていけない事なの?」
愛莉の家で愛莉と一緒にお風呂に入ったり親と旅行に行った時に愛莉と同室にされたりだったからそんなに珍しい事でもなかった。
「その時に冬夜さんはある物に興味を示していたじゃないですか」
「僕が?」
そういや椅子の形が変だったり空気を入れたマットがあったり謎だったな。
「もう一つあったんです」
「何かあったかな?」
僕が悩んでいると桐谷君と誠は気づいたみたいだ。
「……ま、まさか琴音のやつ……」
桐谷君が怯えた目をして亜依さんに言うと亜依さんは深くため息を吐き、琴音を睨みつける。
「そうか、片桐君はそういうの興味ないんだったね」
「そうなの。ラブホの部屋に入るなりすぐに食べ物を注文しようとする困った人だったの」
レンチンみたいな食事だったな。
空もホテルなのにもっといい食事が出ないのかと美希に言えずに僕に言ってたな。
「冬夜さんもそうでしたの?旦那様も本当にしょうもない事に気を取られてなかなか雰囲気作ってくれなくて」
「私もそうだった。結がどうしてホテルの部屋にスロットがあるのかずっと考えてた」
「お前の家の息子たちはどうなってるんだ?」
カンナと亜依さんがそう言って僕達を見る。
「で、何が問題だったの?」
「ほら、冬夜さんがおっしゃってたじゃないですか?」
体を洗うのにどうしてわざわざべたべたする液体を塗るのか?
ああ、あれか。
あれでマッサージをすると愛莉から教えてもらったけど、また洗うのが面倒だからと断ったっけ?
「お前まじか!?何のためにラブホ行ったんだよ!」
「そんなにいい物なの?」
恵美さんも不思議そうに聞いている。
すると美希が驚いていた。
「母さんも知らなかったの?」
「美希は知ってるの?」
「ええ、麗華たちと話をしてたから」
「……ってことは、翼も知ってるの?」
「い、言っておくけど僕は翼にそういうのはさせてないからね」
そんな事恵美さんに知れたら善明が殺されると必死に言い訳していた。
「ってことは遊の仕業か?」
「それはありません」
カンナが聞くとなずなが否定した。
なずなは亜依さんの顔を見ると、亜依さんが説明するようになずなに言う。
するとなずなは説明を始めた。
「パパ、たまには一緒にお風呂に入ろ?」
琴音がいつもの様に遊を誘っていた。
だが、遊もいい加減慣れている。
「いつも言ってるだろ?琴音の事を知ってるのは快だけ。そう思わせる事で快が喜ぶんだ」
そんな風に上手く返したつもりだった。
だけどその時の琴音は違う目的があったようだ。
「パパは私が恥をかいてもいいの?」
「なんでそうなるんだ?」
不思議に思った遊が聞いてみたらしい。
すると琴音は瓶を見せた。
何が入っているのかは言うまでもない。
驚いた遊が琴音に誰に聞いたのか聞いた。
すると琴音は正直に答えた。
「優奈達がそうすると彼氏が盛り上がるって言ってたから」
「ってことは優奈達が原因じゃないの?」
晶さんの言う通りだ。
すぐに学が優奈達にどこでそんな情報を聞いたのか聞いた。
まあ、いつもの事だ。
「茉莉が天音から聞いたらしいし、水奈も同じ事言ってたから」
それを聞いた愛莉が激怒して天音達を呼び出す。
「愛莉だってパパにしてたんだろ?」
「冬夜さんはそういうのは全然興味をしめしません!」
女体盛りだって「鮮度が落ちるからやめた方がいいんじゃない?」と言う僕だから絶対にないと愛莉が断定した。
それを聞いてカンナと亜依さんが落ち込むのもいつも通り。
しかし落ち込んでいる時間もそんなにない。
すぐに水奈と天音を叱りつける。
「お前達は娘を風俗嬢にでもするつもりか!」
「んな真似させたら大地が恵美さんに殺されるから絶対しねーよ!」
さすがの天音でも大地の命が大事らしい。
ただ、恋人を喜ばせる程度のテクニックくらい身に着けておけと言っただけだと2人は言う。
頃合いをみて空達が帰ってきた。
「話済んだ?」
「今取り込み中。そこで肉でも食べてて!」
「なんで美希はそんなに機嫌悪いの?」
「旦那様は知らなくてもいいです!」
「美希さ、あまり空をしばると浮気するぞ?」
天音がいつも通り美希を揶揄っていた。
しかし美希の味方には愛莉がいる。
「空に限ってそれはありません」
まあ、そうだろうな。
ラブホに行くのにコンビニで食料買い込んで食べて時間潰してたらしいからな。
その後美希の機嫌を取るのに時間がかかったと空が言っていた。
冬吾もあまりそういう所には行かなかった。
「お金がかかるから家ですればいいじゃない。あの部屋防音工事してるから」
それが母親の発言なのかと悩んでいたけど、結局僕は石原君達と飲んでいた。
愛莉には僕の母さんが「愛莉ちゃんの声結構響くからたまにはホテルにでも行ってきなさい」と言われたことは伝えてない。
空にも偶に「美希の声結構大きいんだけど大丈夫?」と聞かれた。
冬吾もなるべく夜愛莉と外に出たりして気を使っているけど帰ったら瞳子の声が聞こえてたりしていた。
冬眞と莉子もそうだ。
父さんの言った通り嫁に頭が上がらないのが片桐家の欠点。
嫁じゃなくても彼女に頭が上がらないのは今も同じだと結が証明していた。
「なんでそんなヌルヌルする物塗るんだ?」
「お、結も興味あるか?任せとけ。私が茉奈に仕込んでおくから」
「水奈はそういう事を自分の娘に教えるんじゃない!」
「でも学、結は多分草食だ。だったら茉奈がリードするしかないだろ?」
「俺がお前にそんなのを要求したことあったか!」
「へえ、そうだったんだ」
カンナが言うと誠司はにやりと笑った。
それを不思議に思ったカンナが理由を聞いていた。
「父さんの事嫌がってる様に見えて実は母さん喜んでたんだね」
誠があれやこれやと強要するをの嫌がっているようだけどカンナの理屈だと誠が主導権を持っている状態が良いと思ったらしい。
「そういえば望はそういう要求なかったわね」
「善君もそうだった」
恵美さんと晶さんが自分の夫を見て言う。
2人は慌てて弁解していた。
「いきなりゴム無しでやれなんて普通の高校生なら無理だよ!」
「じゃあ、つけ方くらい予習しておけばよかったじゃない」
「僕は彼女なんて恵美以外にいなかったし、恵美の家にいきなり連れて行かれて、そんな準備する暇なかったんだよ」
「善君はどういう言い訳するの?あなた泥酔して自棄になってやっとしてくれたわよ?」
「そ、そういう事は子供達の前で言うのは止めておくれ。あの時は本当に自棄だったんだ」
「もう少し良い言い訳思いつかないの?初めての相手が自棄で襲い掛かってきたなんて悲しい思い出じゃない」
「そ、それは大丈夫だよ晶ちゃん。善明も似たようなものだから」
「父さん。それは言わないでおくれ」
「そういえば善明さんもそうだったね」
翼がそう言って笑っていた。
空から話は聞いている。
中学生の時に翼に押し倒されたらしい。
大地も天音から襲い掛かったって聞いたな。
それを聞いた孫の結が空に聞いていた。
「彼女に任せておけばいいと思ったけど違うの?」
「結はそうだったの?」
美希が結に聞くと「今でもそうだよ」と答えていた。
「おい、冬吾!お前俺の息子にはちゃんと教育しておくから心配するな」
「そういうことを娘親に言うの?僕は誠司に文句言ってやろうと思ってたんだけど」
「冬吾さんもまだ早いですよ」
瞳子はそう言って笑っていた。
僕は話題を変えることにした。
結に話題を振る。
「最近リベリオンはどう?」
「なんでそこでリベリオンの話になるんだよ」
誠も分からなかったらしい。
もう少し視野を持てと何度も言ってるのに。
「……特に何もしてこないし、僕達も何もしない」
「解散したのか?」
天音が冬夜に聞くと冬夜は結を見る。
思った通りの様だ。
「解散はしてないけどあいつらも馬鹿じゃないみたい」
「どういう事?」
美希も気になったのだろう。
結は説明を始めた。
だからリベリオン対策にその持て余す能力を注ぎ込んでいた。
自分たちが直接手を出したらまずいという事は分かっている。
茉奈と共に行動している以上、茉奈を危険に晒すのも避けたい。
その為にエイリアスを茉奈に何体もつけているのだから。
そしてSHを守るエイリアス。
さらにリベリオンを狩り取るエイリアスを作り出した。
バルバトスと言うらしい。
リベリオンだと認識したら問答無用で襲撃する攻撃型エイリアス。
実際何度かSHの人間に手を出したメンバーがいた。
しかしエデンの監視の目は厳しい。
見つけると同時に始末する。
エイリアスは基本的に結の使う能力の殆どを使える。
相手が能力者だろうがただの武装集団だろうが関係ない。
片っ端から攻撃していく。
やがて何か対策を考えないとまずいとリベリオンは判断して攻撃を止めた。
それがチャンスだと結は理解していたので畳みかけるように狩りを楽しんでいる。
結の好きにさせていた。
「大丈夫なのか?」
渡辺君が僕を見る。
「大丈夫だろうけど、結。こんな言葉を知ってるか?」
「どんな言葉?」
「窮鼠猫を噛む」
手負いで追い詰められたリベリオンがどんな捨て身の攻撃を仕掛けるかわからない。
あまり遊び半分で舐めているとしっぺ返しを食らうよ。
それにそれこそ結にとって無駄な時間だ。
結は何も言わずに考え込んでいた。
そんな結を見て安心した。
やっぱり結は自分で気づいているようだ。
「今夜は盛り上がろうぜ!」
「おうよ!ここからは俺達の時代だ!」
誠と桐谷君が盛り上がっている。
いつもならカンナ達が注意するのに亜依さん達と固まって何か相談している。
あまり女性の話に割り込むのは悪いと思って石原君達と話をしていた。
しかしそれもわずかな間だった。
「瑛大!お前琴音に何を吹き込んだ!?」
亜依さんが立ち上がって桐谷君に怒鳴りつける。
しかし桐谷君には身に覚えがないらしい。
何のことだ?と亜依さんに聞いていた。
「とぼけるな!琴音にそんな事教えるのはお前しかいないだろ!孫娘の将来を何だと思ってるんだ!?」
「だから言ってる意味が全然わかんねーって!」
どうやら本当に桐谷君は知らないらしい。
毎年よくやってくれるよ。
「亜依さん。落ち着いて。多分桐谷君の言ってる事は間違ってない」
「片桐君!あんただって他人事じゃないでしょ!結莉達があんな風になったら心配するでしょ!」
「あんな風ってどんな風なの?」
「うぅ……」
愛莉が悩んでる。
美希も感づいたらしくて空に「ちょっと結達連れて向こうに行ってて」と言っていた。
つまり僕や空に知られたくない事なのだろう。
それだけで十分だったから亜依さんに説明した。
「もしそういう話だとしたらなおさら桐谷君は関係ないよ」
「なんでそうなるの?」
「僕の記憶が正しかったら琴音達は気持ち悪がって桐谷君に近づかないんだろ?」
そんな事教えられるわけないよ。
「じゃあ、琴音に教えたのは誰なの?」
「そもそも何を教えたの?」
「うぅ……」
愛莉はあまり話したくないらしい。
あんまり使いたくない手なんだけどな。
愛莉に耳打ちする。
「もしそんなに興味を持つような事なら愛莉にしてもらうからいいよ」
「……困った旦那様ですね」
嬉しそうににこりと笑って教えてくれた。
「冬夜さんは学生時代初めてラブホに入った時の事覚えてますか?」
「うん、意外と色々あって凄かったね」
「で、一緒にお風呂入ったでしょ?」
「それっていけない事なの?」
愛莉の家で愛莉と一緒にお風呂に入ったり親と旅行に行った時に愛莉と同室にされたりだったからそんなに珍しい事でもなかった。
「その時に冬夜さんはある物に興味を示していたじゃないですか」
「僕が?」
そういや椅子の形が変だったり空気を入れたマットがあったり謎だったな。
「もう一つあったんです」
「何かあったかな?」
僕が悩んでいると桐谷君と誠は気づいたみたいだ。
「……ま、まさか琴音のやつ……」
桐谷君が怯えた目をして亜依さんに言うと亜依さんは深くため息を吐き、琴音を睨みつける。
「そうか、片桐君はそういうの興味ないんだったね」
「そうなの。ラブホの部屋に入るなりすぐに食べ物を注文しようとする困った人だったの」
レンチンみたいな食事だったな。
空もホテルなのにもっといい食事が出ないのかと美希に言えずに僕に言ってたな。
「冬夜さんもそうでしたの?旦那様も本当にしょうもない事に気を取られてなかなか雰囲気作ってくれなくて」
「私もそうだった。結がどうしてホテルの部屋にスロットがあるのかずっと考えてた」
「お前の家の息子たちはどうなってるんだ?」
カンナと亜依さんがそう言って僕達を見る。
「で、何が問題だったの?」
「ほら、冬夜さんがおっしゃってたじゃないですか?」
体を洗うのにどうしてわざわざべたべたする液体を塗るのか?
ああ、あれか。
あれでマッサージをすると愛莉から教えてもらったけど、また洗うのが面倒だからと断ったっけ?
「お前まじか!?何のためにラブホ行ったんだよ!」
「そんなにいい物なの?」
恵美さんも不思議そうに聞いている。
すると美希が驚いていた。
「母さんも知らなかったの?」
「美希は知ってるの?」
「ええ、麗華たちと話をしてたから」
「……ってことは、翼も知ってるの?」
「い、言っておくけど僕は翼にそういうのはさせてないからね」
そんな事恵美さんに知れたら善明が殺されると必死に言い訳していた。
「ってことは遊の仕業か?」
「それはありません」
カンナが聞くとなずなが否定した。
なずなは亜依さんの顔を見ると、亜依さんが説明するようになずなに言う。
するとなずなは説明を始めた。
「パパ、たまには一緒にお風呂に入ろ?」
琴音がいつもの様に遊を誘っていた。
だが、遊もいい加減慣れている。
「いつも言ってるだろ?琴音の事を知ってるのは快だけ。そう思わせる事で快が喜ぶんだ」
そんな風に上手く返したつもりだった。
だけどその時の琴音は違う目的があったようだ。
「パパは私が恥をかいてもいいの?」
「なんでそうなるんだ?」
不思議に思った遊が聞いてみたらしい。
すると琴音は瓶を見せた。
何が入っているのかは言うまでもない。
驚いた遊が琴音に誰に聞いたのか聞いた。
すると琴音は正直に答えた。
「優奈達がそうすると彼氏が盛り上がるって言ってたから」
「ってことは優奈達が原因じゃないの?」
晶さんの言う通りだ。
すぐに学が優奈達にどこでそんな情報を聞いたのか聞いた。
まあ、いつもの事だ。
「茉莉が天音から聞いたらしいし、水奈も同じ事言ってたから」
それを聞いた愛莉が激怒して天音達を呼び出す。
「愛莉だってパパにしてたんだろ?」
「冬夜さんはそういうのは全然興味をしめしません!」
女体盛りだって「鮮度が落ちるからやめた方がいいんじゃない?」と言う僕だから絶対にないと愛莉が断定した。
それを聞いてカンナと亜依さんが落ち込むのもいつも通り。
しかし落ち込んでいる時間もそんなにない。
すぐに水奈と天音を叱りつける。
「お前達は娘を風俗嬢にでもするつもりか!」
「んな真似させたら大地が恵美さんに殺されるから絶対しねーよ!」
さすがの天音でも大地の命が大事らしい。
ただ、恋人を喜ばせる程度のテクニックくらい身に着けておけと言っただけだと2人は言う。
頃合いをみて空達が帰ってきた。
「話済んだ?」
「今取り込み中。そこで肉でも食べてて!」
「なんで美希はそんなに機嫌悪いの?」
「旦那様は知らなくてもいいです!」
「美希さ、あまり空をしばると浮気するぞ?」
天音がいつも通り美希を揶揄っていた。
しかし美希の味方には愛莉がいる。
「空に限ってそれはありません」
まあ、そうだろうな。
ラブホに行くのにコンビニで食料買い込んで食べて時間潰してたらしいからな。
その後美希の機嫌を取るのに時間がかかったと空が言っていた。
冬吾もあまりそういう所には行かなかった。
「お金がかかるから家ですればいいじゃない。あの部屋防音工事してるから」
それが母親の発言なのかと悩んでいたけど、結局僕は石原君達と飲んでいた。
愛莉には僕の母さんが「愛莉ちゃんの声結構響くからたまにはホテルにでも行ってきなさい」と言われたことは伝えてない。
空にも偶に「美希の声結構大きいんだけど大丈夫?」と聞かれた。
冬吾もなるべく夜愛莉と外に出たりして気を使っているけど帰ったら瞳子の声が聞こえてたりしていた。
冬眞と莉子もそうだ。
父さんの言った通り嫁に頭が上がらないのが片桐家の欠点。
嫁じゃなくても彼女に頭が上がらないのは今も同じだと結が証明していた。
「なんでそんなヌルヌルする物塗るんだ?」
「お、結も興味あるか?任せとけ。私が茉奈に仕込んでおくから」
「水奈はそういう事を自分の娘に教えるんじゃない!」
「でも学、結は多分草食だ。だったら茉奈がリードするしかないだろ?」
「俺がお前にそんなのを要求したことあったか!」
「へえ、そうだったんだ」
カンナが言うと誠司はにやりと笑った。
それを不思議に思ったカンナが理由を聞いていた。
「父さんの事嫌がってる様に見えて実は母さん喜んでたんだね」
誠があれやこれやと強要するをの嫌がっているようだけどカンナの理屈だと誠が主導権を持っている状態が良いと思ったらしい。
「そういえば望はそういう要求なかったわね」
「善君もそうだった」
恵美さんと晶さんが自分の夫を見て言う。
2人は慌てて弁解していた。
「いきなりゴム無しでやれなんて普通の高校生なら無理だよ!」
「じゃあ、つけ方くらい予習しておけばよかったじゃない」
「僕は彼女なんて恵美以外にいなかったし、恵美の家にいきなり連れて行かれて、そんな準備する暇なかったんだよ」
「善君はどういう言い訳するの?あなた泥酔して自棄になってやっとしてくれたわよ?」
「そ、そういう事は子供達の前で言うのは止めておくれ。あの時は本当に自棄だったんだ」
「もう少し良い言い訳思いつかないの?初めての相手が自棄で襲い掛かってきたなんて悲しい思い出じゃない」
「そ、それは大丈夫だよ晶ちゃん。善明も似たようなものだから」
「父さん。それは言わないでおくれ」
「そういえば善明さんもそうだったね」
翼がそう言って笑っていた。
空から話は聞いている。
中学生の時に翼に押し倒されたらしい。
大地も天音から襲い掛かったって聞いたな。
それを聞いた孫の結が空に聞いていた。
「彼女に任せておけばいいと思ったけど違うの?」
「結はそうだったの?」
美希が結に聞くと「今でもそうだよ」と答えていた。
「おい、冬吾!お前俺の息子にはちゃんと教育しておくから心配するな」
「そういうことを娘親に言うの?僕は誠司に文句言ってやろうと思ってたんだけど」
「冬吾さんもまだ早いですよ」
瞳子はそう言って笑っていた。
僕は話題を変えることにした。
結に話題を振る。
「最近リベリオンはどう?」
「なんでそこでリベリオンの話になるんだよ」
誠も分からなかったらしい。
もう少し視野を持てと何度も言ってるのに。
「……特に何もしてこないし、僕達も何もしない」
「解散したのか?」
天音が冬夜に聞くと冬夜は結を見る。
思った通りの様だ。
「解散はしてないけどあいつらも馬鹿じゃないみたい」
「どういう事?」
美希も気になったのだろう。
結は説明を始めた。
だからリベリオン対策にその持て余す能力を注ぎ込んでいた。
自分たちが直接手を出したらまずいという事は分かっている。
茉奈と共に行動している以上、茉奈を危険に晒すのも避けたい。
その為にエイリアスを茉奈に何体もつけているのだから。
そしてSHを守るエイリアス。
さらにリベリオンを狩り取るエイリアスを作り出した。
バルバトスと言うらしい。
リベリオンだと認識したら問答無用で襲撃する攻撃型エイリアス。
実際何度かSHの人間に手を出したメンバーがいた。
しかしエデンの監視の目は厳しい。
見つけると同時に始末する。
エイリアスは基本的に結の使う能力の殆どを使える。
相手が能力者だろうがただの武装集団だろうが関係ない。
片っ端から攻撃していく。
やがて何か対策を考えないとまずいとリベリオンは判断して攻撃を止めた。
それがチャンスだと結は理解していたので畳みかけるように狩りを楽しんでいる。
結の好きにさせていた。
「大丈夫なのか?」
渡辺君が僕を見る。
「大丈夫だろうけど、結。こんな言葉を知ってるか?」
「どんな言葉?」
「窮鼠猫を噛む」
手負いで追い詰められたリベリオンがどんな捨て身の攻撃を仕掛けるかわからない。
あまり遊び半分で舐めているとしっぺ返しを食らうよ。
それにそれこそ結にとって無駄な時間だ。
結は何も言わずに考え込んでいた。
そんな結を見て安心した。
やっぱり結は自分で気づいているようだ。
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