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Good Enough
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(1)
「やっぱりタンにはビールだよな!!」
そう言って天音は上機嫌でビールを飲んでいた。
喜一が律義に仙台牛のタンを送って来たのでそれを食べていた。
別に普通の事だと思う。
今日がクリスマスイブだという事を除けば。
「んなもん。ケーキ食っとけばいいだろ」
天音にとってクリスマスはその程度の認識だ。
「大地。あなた天音ちゃんにプレゼント渡してないの!?」
母さんが突然電話をしてきた。
そう言えば結婚してから渡してなかったな。
「そういう所まで望に似なくていい!あなたも釣った魚に餌はやらないなんてふざけた思考もってるんじゃないでしょうね!?」
突然どうしたんだろう?
理由は簡単だった。
天音が愛莉さんの家に挨拶に行くなり言ったそうだ。
「可愛い娘が帰って来たんだからクリスマスプレゼントくらい用意してるんだろうな!?」
「天音はいくつになったと思ってるの!いい加減にしなさい!」
「んなこと言っても大地もくれないんだぞ!妻にはプレゼントあげないってルールでもあるのか!?」
「……そう言えば冬夜さんもそうですね」
で、母さんに聞いてみたらしい。
そんな連絡を受けてはみたものの善明や空達と悩んでいた。
美希はともかく翼と天音のプレゼントは難しい。
下手に宝石なんかをプレゼントしても「私はこんな物より肉が食いたい!」と言い出す天音だ。
考えた末天音に相談することにした。
デートで彼女に欲しい物を聞くくらいだから別にいいだろうと思った。
すると天音は意外な事を言った。
「いらない」
え?
驚く僕を見て天音は笑っていた。
「私は大地という一生分のプレゼントをもらったからこれ以上もらおうなんて罰が当たるだろ?」
そうでなくても結莉達や海翔を授かった。
それだけで充分だと言っていた。
「でも母さんが言ってたんだけど」
「あれは、愛莉をぼけ老人にさせないように揶揄っただけだ」
愛莉さんだって気づいている。
無事に冬夜さんが帰ってくることが何よりの幸せだって。
「でも子育ても少し楽になったな」
結莉と茉莉は今日は家に帰ってこないらしい。
聖夜だから恋人と過ごすんじゃない。
街で友達と徹夜で遊ぶつもりらしい。
「勉強は徹夜を許しても、遊ぶのは許さないっておかしいだろ」
それが片桐家の常識だったそうだ。
で、さすがに海翔はまだ早いと思ったから家で肉を食べている。
「こいつもそのうち彼女と過ごすようになるんだろうな」
「そうだね」
そうなったら僕達も少し肩の荷が降りたかな。
「あ、早く食べて風呂入ろうぜ」
「なんでそんなに急いでるの?」
「美希と翼から聞いたんだ」
姉さんからは「イブのテレビは面白い方が良い」と聞いている。
だけど翼は「絶対にテレビはやめとけ」と言っていたらしい。
実は善明からも「地元のテレビ局は悪意しか感じない」と聞いていた。
翼が嫌がるのは多分ホラーとかそう言うのを嫌がるからだろう。
指の骨を折ったりヒールを使って手に穴をあける翼が彼氏を刺殺するのを嫌がるらしい。
天音と全く正反対の性格みたいだ。
しかし善明が言ってた。
こういう時は下手に抵抗しても無駄。
なるようになるしかない。
風呂を済ませて天音が風呂に入るのを終えるのを待ってテレビを見ていた。
毎回クリスマスをぶち壊すかのようなネタを準備しているらしい。
テレビをつけるとどうやら洋画の様だ。
「あれ?」
「どうした大地?」
天音が聞いてきた。
僕はこの洋画を知っている。
借金の返済を迫られ家を明け渡す期日が明日に決まっていた親たち。
子供達は家の中で宝の地図を見つける。
伝説の隻眼の海賊が残した財宝。
決して「この世の全て」みたいな大層な物じゃない。
普通の金銀財宝。
だが、ギャングにも目をつけられ追っ手から逃れながら洞窟を進んでいく。
最後は財宝を手に入れて借金の返済に充てられる。
伝説の船が海に再び出て行くのを見守る子供達。
割と普通の洋画だった。
クリスマスにやる映画なのかはわからないけど。
「なあ、大地」
やっぱり天音には不満だったのだろうか?
「いやさ、なんかSHも最初はこんな感じだったんだろうなって思ってさ」
小学校の友達だけで集まったSH。
いつの間にか世界を相手にする凶悪なグループになってしまった。
空の様な絶対的な力を持つ者じゃないと、とっくに分裂しているはずだ。
だから光太は空にリーダーを譲ったのだろう。
どこで間違えたのかは大体わかる。
喜一の仕業だ。
だけどその喜一もFGの存在が馬鹿馬鹿しくなって勝次に譲る。
そして勝次はFGの規模の大きさに目をつけれられた暴力団などに目をつけられ勝次はリーダーの座を奪われる。
子供の世代になっても終わることのない構図。
またFGは愚かな選択を取ろうとしていた。
SHは同じ過ちを繰り返さない。
SHの名前を使って馬鹿な真似をすれば純也や天音が始末する。
空は手を下さない。
空が手を下すまでもないと皆が空が出てくるのを嫌う。
「そんなにしょぼいグループじゃないだろ?」
そう言って天音達は空より先に始末する。
それでもFGは諦めない。
また同じ愚行を繰り返そうとしていた。
この映画の様に結束が固く、そして圧倒的な力を誇るSH。
親の加護もあるせいかSHを支配しようとする馬鹿はいない。
片桐家の強さは僕達とはけた違いだ。
怒らせると手に負えない。
空や冬夜は世界を粉々にする力を持つ。
そして神々は片桐家に最後の切り札を持たせた。
それが片桐雪。
すでに空ですら「雪を敵にはしたくないね」と言わしめる程。
「やっぱり、普通の歌番組の方がよかったかな?」
天音が聞いてきた。
「ごめん、考え込んでた」
「気にするな。そろそろケーキ用意するよ」
ケーキを食べるまで海翔は寝るつもりがないらしい。
ケーキを食べると海翔はさっさと部屋に戻っていった。
「あいつちゃんと優奈の相手してるのかな?」
「天音は聞いてないの?」
「大地は何か聞いたのか?」
そっか、男同士の相談ってところか。
「クリスマスプレゼントって何がいいんだろう?」
そんな子供みたいな質問を僕にしていた。
「で、大地はなんて答えたんだ」
「……自分で悩んでみたらいいよ。優奈の事を考えていたら答えは出るはずだからって」
「へえ、パパは望さんに相談された時にさ」
そんな話をしながら久しぶりに天音と聖夜を過ごした。
(2)
「空や、聞いたかい?」
「何を?」
久しぶりに見るな、善明の悩んでるところ。
「大地と天音の話を翼から聞いたんだけどね」
ああ、その話なら翼から聞いた。
「……とても素敵な夜だったそうだね」
「神様というのはとても不公平な存在に思えて来たよ」
「あら?善明さんは私との聖夜は楽しくないの?」
そばで聞いていた翼が善明に聞いている。
まあ、善明の気持ちも分かる。
毎年酷い映画を取り上げる地元のテレビ局。
だったらテレビを見なかったらいいと旅館に泊まれば隣の部屋が不倫現場だったらしい。
やっぱり美希も若い男の方が良いのかな……
ぽかっ
「旦那様はそういうことをどうしていつも考えるのですか?」
美希に怒られた。
「空達は相変わらずみたいだね」
父さんがやって来た。
今日は渡辺班とSHの年越しパーティ。
光太も克樹も子供が高校生だからもう友達と勝手に騒いでるだろうとやって来た。
SHもそろそろ代替わりかな。
結にバトンタッチするのがいいんだろうか?
だけど結はまだ中学生。
荷が重いかもしれない。
と、なるとやっぱりまだ続けなければダメか。
次の代になる前にどちらかを壊滅させておきたいところだけど。
「空、しんどいからって丸投げするのはだめだよ」
父さんは僕が考えてることなどお見通しの様だ。
「冬夜さんは空に仕事を押し付けてるじゃないですか?」
母さんがそう言うと父さんは笑っていた。
「愛莉、僕が空の頃にはもう事務所を開いていたよ」
だからもういいだろ?という。
「本当に困った父親ですね」
「空、しんどいなら私に任せろ!最近水奈も勉強してるから暇なんだ」
海翔達も勝手に遊んでるだけだし暇だから天音がやると言い出した。
「絶対だめ。FG以上に最悪のグループになるから」
翼が反対していた。
「まあ、結がもう少し大きくなるまで待つのが賢明でないかい?」
善明がそう言っていた。
「タイミング的にも今はだめだろ?我慢しなさい」
父さんが言う。
「それともう一つ言う事があった」
何だろう。
すると父さんが飛んでもないことを言いだした。
「SHの王座を明け渡したから隠居できるなんて勘違いしたらダメだよ」
「ってパパまさか……」
翼は気づいたようだ。
僕も気づいてしまった。
「SHの王の座を降りたら渡辺班の代表任せるから」
「お前は面倒事を全部空に押し付ける気か?」
そう言って神奈さんが来た。
渡辺さんもいるようだ。
「お前自分の息子をこきつかいすぎだろ?」
「本来なら渡辺君が後任を考えるべきだろ?」
渡辺さんの班なんだからそれが普通じゃないのかと父さんは言う。
「お前は人に面倒事を押し付けて自分はやりたい放題したいだけじゃないのか?」
「そんな事言ったら酒井君も石原君も同じだよ」
二人とももう仕事を殆ど大地や善明に押し付けてるそうだ。
その分恵美さんや晶さんの相手をしているから結果的には重荷が減ったみたいだけど。
「片桐君もそうしたらいいんじゃないのかい?」
母さんの機嫌をとっておかないと大変だよと望さんが言う。
美希もそうなんだろうか?
ぽかっ
「旦那様が家にいる方が私の仕事が増えるからいけません!」
「美希、どういうことですか?」
母さんが聞くと翼が答えた。
「今日は休みだからいいだろ?」って朝から抱き着いてくる。
「食べながら歩くと掃除が大変だからやめて」と言っても止めない。
「スナック菓子をベッドの上で食べるのは止めて」といっても布団に食べかすをまき散らす。
母さんの表情が険しくなってきた。
「空!どういうことか説明しなさい!」
僕は休みでも主婦に休みはない。
なのに労わるどころか苦労を増やす。
何を考えてるんですか!?と叱られていた。
「でも朝から抱き着いてくるんだろ?まだラブラブじゃないか」
天音が言う。
すると母さんが代弁した。
「天音。覚えておきなさい。そういう時に甘えてくるのは単にいちゃつきたいからじゃないの」
起きるのが嫌だからそうやって美希が動かないように抑えてるだけ。
さすが母さんだな。
って事は父さんもそうだったんだろうか?
「亜依、年明けたら飲み行こうぜ」
「分かってる神奈。片桐君達の話を聞いたらだいたいこういうオチだから」
亜依さん達は毎年落ち込んでいる。
それを母さんは不思議そうに見ていた。
「学も同じだぞ!最近私に構ってくれないじゃないか」
「いいか水奈。仕事をして帰ってきて夕飯の支度をしている茉奈を手伝って風呂まで終わらせたら最後にお前の勉強だ。俺をこれ以上こき使うのか?」
水奈の学力はどんどん暴露されていくにつれて酷いことになっていた。
悠翔達もアルファベットどころか英単語くらいは覚える。
最近の小学生はそうだ。
そして水奈はアルファベットを言ってみたらしい。
「……HIJKLSM……」
「そこはSじゃなくてNだし順番も逆だ!」
それが夫婦の会話らしい。
それを聞いていた神奈さんが頭を抱えていた。
「水奈……お前学校で何してたんだ?」
「退屈だから寝てた」
水奈がそう言うと神奈さんは何も言えなかった。
「水奈、神奈だって学校の勉強をしながらバイトしてたんだよ」
亜依さんが説得していた。
「どうせこの先主婦なんだから大丈夫だろ?」
「なあ、不思議に思ったんだけど」
僕が水奈に聞いていた。
「なんでそこまではちゃんと言えるんだ?」
すると水奈は答えた。
「覚えやすいから」
「どうして?」
「あれ?空達は知らないのか?」
アルファベットの順番は恋愛の順番に置き換えるらしい。
ABCの意味は聞いたことがある。
だけどHIJKなんて初めて聞いた。
驚いたのはその内容。
Jはジュニアで子供を指してKは結婚。
普通逆じゃないか?
HIの意味は良くわかない。
ぽかっ
「旦那様は知らなくていいのですよ」
「でもさ……」
「気にしなくていいですから」
……まあいいか。
「……で、そのいらない知恵をお前に教えたのは誰だ?」
神奈さんが言うと水奈はステージにかじりついてる誠さんと瑛大さんを指した。
「あの馬鹿は……最近大人しいと思ったら……」
ステージではちょうどF・SEASONが歌っている。
冬莉はボーカル兼ドラマーという位置になったらしい。
ドンドンパン!と足踏みと手拍子で遊達が盛り上がっている。
この歌は志希と冬莉が歌っている。
相変わらず冬莉に合せて過激な歌を歌っている。
育児に影響がでると恵美さんが一応歌詞をチェックしている。
その時は問題なかった。
しかし、茉莉や菫は容赦を知らない。
「HEY,SINGIN!!」
志希が観客を煽ると遊や天も一緒に叫ぶ。
「……FxxKYOU!!」
そんな歌を歌っている孫をみて頭を抱える母さん達。
「大丈夫、僕はフレーズの方が好きなんだ」
「そのフレーズだってこの前のライブで思い切ってたよ」
スカートを穿いてハイキックをしていたみたいだ。
あまり美希以外の下着には興味ないんだけどな。
そういや、最近翼の美希地味になったな。
ぽかっ
「だからどうしてそういう事を考えるのですか!」
「空もまだまだだね」
父さんが言っていた。
女性だって大変なんだ。
だから下着以外で気づいてやらないといけない。
いつもと違って夕食の気合の入れ方が違ったりするからそういうのに気づいてやればいい。
なるほど。
「冬夜さんも息子に余計な事を吹き込まないでください」
「何かあったの?」
父さんが聞くと母さんが答えた。
問題は冬吾だった。
冬吾はアウェーから帰るとかならず瞳子の相手をする。
別にいいじゃないか?
だけどそこからが問題だった。
「瞳子って偶に凄い地味な下着だね」
もうそういう年じゃなくなった?
すると瞳子は答えた。
「それもあるんだけど、私も歳を取ったから」
あまり派手なのはつけたくない。
もちろん冬吾と寝るときの準備くらいしてる。
だけどタイミングが悪い時がある。
そういう時はそれとなく冬吾に伝えるらしい。
冬吾も瞳子を困らせるつもりはないから「分かった」と言うらしい。
「なんで片桐家の男子はみんなそうなんだ!?」
神奈さんと亜依さんが騒ぎ出す。
「私もそうだ!正志の野郎!私の裸を見ても何とも思ってないんだ!」
美嘉さんも不満がたまっているようだった。
しかし渡辺さんにも言い分があった。
「美嘉は何度言えば家の中では責めて下着くらいつけるんだ!?」
「どうせ正志と私だけだからいいだろ!」
「そういう問題じゃないだろ!」
「なんだ。美嘉さんが良いなら私達も別に直す必要なくない?」
茜と泉が言っていた。
「あなた達はそれで今娘が大変な事になってるでしょ!」
結局母親を引っ掻き回すのが片桐家の娘なんだろう。
「あの、恵美さん。こんなものが届いていまして」
スタッフが恵美さんに小包を渡した。
恵美さんは父さんを見る。
別に危険な物は入ってなさそうだと言った。
恵美さんに伝えると恵美さんは箱の中を調べる。
スマホが入っていた。
それを取るとタイミングをはかったかのようにスマホが鳴る。
スピーカーにしてもらって電話に出ると知らない男の声がした。
「初めましてかな?石原恵美さん」
「あなた何者?」
「ざっくばらんに話しましょう。私はFGの新しい頭です」
父さんがしっかりと聞きながら茜に合図を送る。
茜は早速ノートPCを取り出す。
「最初に言っておきます。この連絡先をたどっても我々には届かない」
「ざっくばらんと言ってる割には随分こそこそしてるのね」
「まだ我々は動かない。精々最後の年を迎えてください」
「どういう意味?」
するとホールの花瓶がいくつか破裂した。
ホールの中に動揺が走る。
大地達が落ち着かせていた。
「これが挨拶?」
父さんが恵美さんから電話を受け取っていた。
「あなたが片桐冬夜?」
「そうだけど」
「悪いけど渡辺班にまで手を出すつもりはないから引っ込んでてくれませんか?」
「お前、何言ってるんだ?」
それだったら空達に連絡すればいい。
渡辺班主催のパーティの阻害をしたんだ。
渡辺班への挑戦と受け取るのが普通だ。
戦闘機にレーザー照射をうけても文句も言えない情けない国と一緒にするなよ。
子供の喧嘩に手を出すのも面倒だけどそんなに死にたいなら叶えてやる。
言っとくけど土下座したくらいで許されると思うなよ。
「悪いが戦争は変わったんだ」
男はそう言っていた。
特殊な能力を駆使して相手の手段を潰して始末する。
確かにそういう戦闘が続いた。
「やっぱりお前大丈夫か?」
父さんは徹底的に挑発する。
そこまで分かっていながらお前らは雪や結を挑発して二人失った。
残りの5人もそんなに長生きできると思うな。
結が怒り出したら止められるのは多分茉奈だけ。
その茉奈に手を出したら一瞬でお前ら壊滅するぞ。
「まあ、いいや。どっちが最後の年になるか楽しみにしてるよ」
「後悔するなよ?おっさん」
「お前トーヤにそんな口叩いて無事で済むと思うなよ」
「その威勢がいつまで続くか楽しみにしてるよ」
そう言って電話は終わった。
父さんは茜を見る。
茜は親指を立ててた。
前も使った手段。
プリベだろうが偽名だろうが発信した電話は特定できる。
そしてどんな情報だろうと茜は電話会社に侵入して全部抜き取る。
偽名でやっていたとしても引き落とし先の口座なんかを調べたらすぐにわかる。
どうして?
だって本人がその口座に入金しないとダメだろ?
「ああは言ったけど、わかってるね?」
父さんが僕に言う。
あんな挑戦状をたたきつけてきたんだ。
どんな年になるか楽しみにしていた。
「やっぱりタンにはビールだよな!!」
そう言って天音は上機嫌でビールを飲んでいた。
喜一が律義に仙台牛のタンを送って来たのでそれを食べていた。
別に普通の事だと思う。
今日がクリスマスイブだという事を除けば。
「んなもん。ケーキ食っとけばいいだろ」
天音にとってクリスマスはその程度の認識だ。
「大地。あなた天音ちゃんにプレゼント渡してないの!?」
母さんが突然電話をしてきた。
そう言えば結婚してから渡してなかったな。
「そういう所まで望に似なくていい!あなたも釣った魚に餌はやらないなんてふざけた思考もってるんじゃないでしょうね!?」
突然どうしたんだろう?
理由は簡単だった。
天音が愛莉さんの家に挨拶に行くなり言ったそうだ。
「可愛い娘が帰って来たんだからクリスマスプレゼントくらい用意してるんだろうな!?」
「天音はいくつになったと思ってるの!いい加減にしなさい!」
「んなこと言っても大地もくれないんだぞ!妻にはプレゼントあげないってルールでもあるのか!?」
「……そう言えば冬夜さんもそうですね」
で、母さんに聞いてみたらしい。
そんな連絡を受けてはみたものの善明や空達と悩んでいた。
美希はともかく翼と天音のプレゼントは難しい。
下手に宝石なんかをプレゼントしても「私はこんな物より肉が食いたい!」と言い出す天音だ。
考えた末天音に相談することにした。
デートで彼女に欲しい物を聞くくらいだから別にいいだろうと思った。
すると天音は意外な事を言った。
「いらない」
え?
驚く僕を見て天音は笑っていた。
「私は大地という一生分のプレゼントをもらったからこれ以上もらおうなんて罰が当たるだろ?」
そうでなくても結莉達や海翔を授かった。
それだけで充分だと言っていた。
「でも母さんが言ってたんだけど」
「あれは、愛莉をぼけ老人にさせないように揶揄っただけだ」
愛莉さんだって気づいている。
無事に冬夜さんが帰ってくることが何よりの幸せだって。
「でも子育ても少し楽になったな」
結莉と茉莉は今日は家に帰ってこないらしい。
聖夜だから恋人と過ごすんじゃない。
街で友達と徹夜で遊ぶつもりらしい。
「勉強は徹夜を許しても、遊ぶのは許さないっておかしいだろ」
それが片桐家の常識だったそうだ。
で、さすがに海翔はまだ早いと思ったから家で肉を食べている。
「こいつもそのうち彼女と過ごすようになるんだろうな」
「そうだね」
そうなったら僕達も少し肩の荷が降りたかな。
「あ、早く食べて風呂入ろうぜ」
「なんでそんなに急いでるの?」
「美希と翼から聞いたんだ」
姉さんからは「イブのテレビは面白い方が良い」と聞いている。
だけど翼は「絶対にテレビはやめとけ」と言っていたらしい。
実は善明からも「地元のテレビ局は悪意しか感じない」と聞いていた。
翼が嫌がるのは多分ホラーとかそう言うのを嫌がるからだろう。
指の骨を折ったりヒールを使って手に穴をあける翼が彼氏を刺殺するのを嫌がるらしい。
天音と全く正反対の性格みたいだ。
しかし善明が言ってた。
こういう時は下手に抵抗しても無駄。
なるようになるしかない。
風呂を済ませて天音が風呂に入るのを終えるのを待ってテレビを見ていた。
毎回クリスマスをぶち壊すかのようなネタを準備しているらしい。
テレビをつけるとどうやら洋画の様だ。
「あれ?」
「どうした大地?」
天音が聞いてきた。
僕はこの洋画を知っている。
借金の返済を迫られ家を明け渡す期日が明日に決まっていた親たち。
子供達は家の中で宝の地図を見つける。
伝説の隻眼の海賊が残した財宝。
決して「この世の全て」みたいな大層な物じゃない。
普通の金銀財宝。
だが、ギャングにも目をつけられ追っ手から逃れながら洞窟を進んでいく。
最後は財宝を手に入れて借金の返済に充てられる。
伝説の船が海に再び出て行くのを見守る子供達。
割と普通の洋画だった。
クリスマスにやる映画なのかはわからないけど。
「なあ、大地」
やっぱり天音には不満だったのだろうか?
「いやさ、なんかSHも最初はこんな感じだったんだろうなって思ってさ」
小学校の友達だけで集まったSH。
いつの間にか世界を相手にする凶悪なグループになってしまった。
空の様な絶対的な力を持つ者じゃないと、とっくに分裂しているはずだ。
だから光太は空にリーダーを譲ったのだろう。
どこで間違えたのかは大体わかる。
喜一の仕業だ。
だけどその喜一もFGの存在が馬鹿馬鹿しくなって勝次に譲る。
そして勝次はFGの規模の大きさに目をつけれられた暴力団などに目をつけられ勝次はリーダーの座を奪われる。
子供の世代になっても終わることのない構図。
またFGは愚かな選択を取ろうとしていた。
SHは同じ過ちを繰り返さない。
SHの名前を使って馬鹿な真似をすれば純也や天音が始末する。
空は手を下さない。
空が手を下すまでもないと皆が空が出てくるのを嫌う。
「そんなにしょぼいグループじゃないだろ?」
そう言って天音達は空より先に始末する。
それでもFGは諦めない。
また同じ愚行を繰り返そうとしていた。
この映画の様に結束が固く、そして圧倒的な力を誇るSH。
親の加護もあるせいかSHを支配しようとする馬鹿はいない。
片桐家の強さは僕達とはけた違いだ。
怒らせると手に負えない。
空や冬夜は世界を粉々にする力を持つ。
そして神々は片桐家に最後の切り札を持たせた。
それが片桐雪。
すでに空ですら「雪を敵にはしたくないね」と言わしめる程。
「やっぱり、普通の歌番組の方がよかったかな?」
天音が聞いてきた。
「ごめん、考え込んでた」
「気にするな。そろそろケーキ用意するよ」
ケーキを食べるまで海翔は寝るつもりがないらしい。
ケーキを食べると海翔はさっさと部屋に戻っていった。
「あいつちゃんと優奈の相手してるのかな?」
「天音は聞いてないの?」
「大地は何か聞いたのか?」
そっか、男同士の相談ってところか。
「クリスマスプレゼントって何がいいんだろう?」
そんな子供みたいな質問を僕にしていた。
「で、大地はなんて答えたんだ」
「……自分で悩んでみたらいいよ。優奈の事を考えていたら答えは出るはずだからって」
「へえ、パパは望さんに相談された時にさ」
そんな話をしながら久しぶりに天音と聖夜を過ごした。
(2)
「空や、聞いたかい?」
「何を?」
久しぶりに見るな、善明の悩んでるところ。
「大地と天音の話を翼から聞いたんだけどね」
ああ、その話なら翼から聞いた。
「……とても素敵な夜だったそうだね」
「神様というのはとても不公平な存在に思えて来たよ」
「あら?善明さんは私との聖夜は楽しくないの?」
そばで聞いていた翼が善明に聞いている。
まあ、善明の気持ちも分かる。
毎年酷い映画を取り上げる地元のテレビ局。
だったらテレビを見なかったらいいと旅館に泊まれば隣の部屋が不倫現場だったらしい。
やっぱり美希も若い男の方が良いのかな……
ぽかっ
「旦那様はそういうことをどうしていつも考えるのですか?」
美希に怒られた。
「空達は相変わらずみたいだね」
父さんがやって来た。
今日は渡辺班とSHの年越しパーティ。
光太も克樹も子供が高校生だからもう友達と勝手に騒いでるだろうとやって来た。
SHもそろそろ代替わりかな。
結にバトンタッチするのがいいんだろうか?
だけど結はまだ中学生。
荷が重いかもしれない。
と、なるとやっぱりまだ続けなければダメか。
次の代になる前にどちらかを壊滅させておきたいところだけど。
「空、しんどいからって丸投げするのはだめだよ」
父さんは僕が考えてることなどお見通しの様だ。
「冬夜さんは空に仕事を押し付けてるじゃないですか?」
母さんがそう言うと父さんは笑っていた。
「愛莉、僕が空の頃にはもう事務所を開いていたよ」
だからもういいだろ?という。
「本当に困った父親ですね」
「空、しんどいなら私に任せろ!最近水奈も勉強してるから暇なんだ」
海翔達も勝手に遊んでるだけだし暇だから天音がやると言い出した。
「絶対だめ。FG以上に最悪のグループになるから」
翼が反対していた。
「まあ、結がもう少し大きくなるまで待つのが賢明でないかい?」
善明がそう言っていた。
「タイミング的にも今はだめだろ?我慢しなさい」
父さんが言う。
「それともう一つ言う事があった」
何だろう。
すると父さんが飛んでもないことを言いだした。
「SHの王座を明け渡したから隠居できるなんて勘違いしたらダメだよ」
「ってパパまさか……」
翼は気づいたようだ。
僕も気づいてしまった。
「SHの王の座を降りたら渡辺班の代表任せるから」
「お前は面倒事を全部空に押し付ける気か?」
そう言って神奈さんが来た。
渡辺さんもいるようだ。
「お前自分の息子をこきつかいすぎだろ?」
「本来なら渡辺君が後任を考えるべきだろ?」
渡辺さんの班なんだからそれが普通じゃないのかと父さんは言う。
「お前は人に面倒事を押し付けて自分はやりたい放題したいだけじゃないのか?」
「そんな事言ったら酒井君も石原君も同じだよ」
二人とももう仕事を殆ど大地や善明に押し付けてるそうだ。
その分恵美さんや晶さんの相手をしているから結果的には重荷が減ったみたいだけど。
「片桐君もそうしたらいいんじゃないのかい?」
母さんの機嫌をとっておかないと大変だよと望さんが言う。
美希もそうなんだろうか?
ぽかっ
「旦那様が家にいる方が私の仕事が増えるからいけません!」
「美希、どういうことですか?」
母さんが聞くと翼が答えた。
「今日は休みだからいいだろ?」って朝から抱き着いてくる。
「食べながら歩くと掃除が大変だからやめて」と言っても止めない。
「スナック菓子をベッドの上で食べるのは止めて」といっても布団に食べかすをまき散らす。
母さんの表情が険しくなってきた。
「空!どういうことか説明しなさい!」
僕は休みでも主婦に休みはない。
なのに労わるどころか苦労を増やす。
何を考えてるんですか!?と叱られていた。
「でも朝から抱き着いてくるんだろ?まだラブラブじゃないか」
天音が言う。
すると母さんが代弁した。
「天音。覚えておきなさい。そういう時に甘えてくるのは単にいちゃつきたいからじゃないの」
起きるのが嫌だからそうやって美希が動かないように抑えてるだけ。
さすが母さんだな。
って事は父さんもそうだったんだろうか?
「亜依、年明けたら飲み行こうぜ」
「分かってる神奈。片桐君達の話を聞いたらだいたいこういうオチだから」
亜依さん達は毎年落ち込んでいる。
それを母さんは不思議そうに見ていた。
「学も同じだぞ!最近私に構ってくれないじゃないか」
「いいか水奈。仕事をして帰ってきて夕飯の支度をしている茉奈を手伝って風呂まで終わらせたら最後にお前の勉強だ。俺をこれ以上こき使うのか?」
水奈の学力はどんどん暴露されていくにつれて酷いことになっていた。
悠翔達もアルファベットどころか英単語くらいは覚える。
最近の小学生はそうだ。
そして水奈はアルファベットを言ってみたらしい。
「……HIJKLSM……」
「そこはSじゃなくてNだし順番も逆だ!」
それが夫婦の会話らしい。
それを聞いていた神奈さんが頭を抱えていた。
「水奈……お前学校で何してたんだ?」
「退屈だから寝てた」
水奈がそう言うと神奈さんは何も言えなかった。
「水奈、神奈だって学校の勉強をしながらバイトしてたんだよ」
亜依さんが説得していた。
「どうせこの先主婦なんだから大丈夫だろ?」
「なあ、不思議に思ったんだけど」
僕が水奈に聞いていた。
「なんでそこまではちゃんと言えるんだ?」
すると水奈は答えた。
「覚えやすいから」
「どうして?」
「あれ?空達は知らないのか?」
アルファベットの順番は恋愛の順番に置き換えるらしい。
ABCの意味は聞いたことがある。
だけどHIJKなんて初めて聞いた。
驚いたのはその内容。
Jはジュニアで子供を指してKは結婚。
普通逆じゃないか?
HIの意味は良くわかない。
ぽかっ
「旦那様は知らなくていいのですよ」
「でもさ……」
「気にしなくていいですから」
……まあいいか。
「……で、そのいらない知恵をお前に教えたのは誰だ?」
神奈さんが言うと水奈はステージにかじりついてる誠さんと瑛大さんを指した。
「あの馬鹿は……最近大人しいと思ったら……」
ステージではちょうどF・SEASONが歌っている。
冬莉はボーカル兼ドラマーという位置になったらしい。
ドンドンパン!と足踏みと手拍子で遊達が盛り上がっている。
この歌は志希と冬莉が歌っている。
相変わらず冬莉に合せて過激な歌を歌っている。
育児に影響がでると恵美さんが一応歌詞をチェックしている。
その時は問題なかった。
しかし、茉莉や菫は容赦を知らない。
「HEY,SINGIN!!」
志希が観客を煽ると遊や天も一緒に叫ぶ。
「……FxxKYOU!!」
そんな歌を歌っている孫をみて頭を抱える母さん達。
「大丈夫、僕はフレーズの方が好きなんだ」
「そのフレーズだってこの前のライブで思い切ってたよ」
スカートを穿いてハイキックをしていたみたいだ。
あまり美希以外の下着には興味ないんだけどな。
そういや、最近翼の美希地味になったな。
ぽかっ
「だからどうしてそういう事を考えるのですか!」
「空もまだまだだね」
父さんが言っていた。
女性だって大変なんだ。
だから下着以外で気づいてやらないといけない。
いつもと違って夕食の気合の入れ方が違ったりするからそういうのに気づいてやればいい。
なるほど。
「冬夜さんも息子に余計な事を吹き込まないでください」
「何かあったの?」
父さんが聞くと母さんが答えた。
問題は冬吾だった。
冬吾はアウェーから帰るとかならず瞳子の相手をする。
別にいいじゃないか?
だけどそこからが問題だった。
「瞳子って偶に凄い地味な下着だね」
もうそういう年じゃなくなった?
すると瞳子は答えた。
「それもあるんだけど、私も歳を取ったから」
あまり派手なのはつけたくない。
もちろん冬吾と寝るときの準備くらいしてる。
だけどタイミングが悪い時がある。
そういう時はそれとなく冬吾に伝えるらしい。
冬吾も瞳子を困らせるつもりはないから「分かった」と言うらしい。
「なんで片桐家の男子はみんなそうなんだ!?」
神奈さんと亜依さんが騒ぎ出す。
「私もそうだ!正志の野郎!私の裸を見ても何とも思ってないんだ!」
美嘉さんも不満がたまっているようだった。
しかし渡辺さんにも言い分があった。
「美嘉は何度言えば家の中では責めて下着くらいつけるんだ!?」
「どうせ正志と私だけだからいいだろ!」
「そういう問題じゃないだろ!」
「なんだ。美嘉さんが良いなら私達も別に直す必要なくない?」
茜と泉が言っていた。
「あなた達はそれで今娘が大変な事になってるでしょ!」
結局母親を引っ掻き回すのが片桐家の娘なんだろう。
「あの、恵美さん。こんなものが届いていまして」
スタッフが恵美さんに小包を渡した。
恵美さんは父さんを見る。
別に危険な物は入ってなさそうだと言った。
恵美さんに伝えると恵美さんは箱の中を調べる。
スマホが入っていた。
それを取るとタイミングをはかったかのようにスマホが鳴る。
スピーカーにしてもらって電話に出ると知らない男の声がした。
「初めましてかな?石原恵美さん」
「あなた何者?」
「ざっくばらんに話しましょう。私はFGの新しい頭です」
父さんがしっかりと聞きながら茜に合図を送る。
茜は早速ノートPCを取り出す。
「最初に言っておきます。この連絡先をたどっても我々には届かない」
「ざっくばらんと言ってる割には随分こそこそしてるのね」
「まだ我々は動かない。精々最後の年を迎えてください」
「どういう意味?」
するとホールの花瓶がいくつか破裂した。
ホールの中に動揺が走る。
大地達が落ち着かせていた。
「これが挨拶?」
父さんが恵美さんから電話を受け取っていた。
「あなたが片桐冬夜?」
「そうだけど」
「悪いけど渡辺班にまで手を出すつもりはないから引っ込んでてくれませんか?」
「お前、何言ってるんだ?」
それだったら空達に連絡すればいい。
渡辺班主催のパーティの阻害をしたんだ。
渡辺班への挑戦と受け取るのが普通だ。
戦闘機にレーザー照射をうけても文句も言えない情けない国と一緒にするなよ。
子供の喧嘩に手を出すのも面倒だけどそんなに死にたいなら叶えてやる。
言っとくけど土下座したくらいで許されると思うなよ。
「悪いが戦争は変わったんだ」
男はそう言っていた。
特殊な能力を駆使して相手の手段を潰して始末する。
確かにそういう戦闘が続いた。
「やっぱりお前大丈夫か?」
父さんは徹底的に挑発する。
そこまで分かっていながらお前らは雪や結を挑発して二人失った。
残りの5人もそんなに長生きできると思うな。
結が怒り出したら止められるのは多分茉奈だけ。
その茉奈に手を出したら一瞬でお前ら壊滅するぞ。
「まあ、いいや。どっちが最後の年になるか楽しみにしてるよ」
「後悔するなよ?おっさん」
「お前トーヤにそんな口叩いて無事で済むと思うなよ」
「その威勢がいつまで続くか楽しみにしてるよ」
そう言って電話は終わった。
父さんは茜を見る。
茜は親指を立ててた。
前も使った手段。
プリベだろうが偽名だろうが発信した電話は特定できる。
そしてどんな情報だろうと茜は電話会社に侵入して全部抜き取る。
偽名でやっていたとしても引き落とし先の口座なんかを調べたらすぐにわかる。
どうして?
だって本人がその口座に入金しないとダメだろ?
「ああは言ったけど、わかってるね?」
父さんが僕に言う。
あんな挑戦状をたたきつけてきたんだ。
どんな年になるか楽しみにしていた。
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