389 / 535
あおぞら
しおりを挟む
(1)
「んじゃ気をつけてな」
「いってきまーす」
茉莉が天音に言うと俺達は学校に向かった。
今日はランドセルじゃなくてリュックサックを背負っている。
中にはお弁当とお菓子と水筒。
水筒の中身で少し問題があった。
「冬夜、水筒の中身お茶とカルピスどっちがいい?」
母さんに言われて迷った。
お弁当を食べるだけならお茶だろう。
だけどお菓子を食べるとなるとカルピスをありかもしれない。
コーラでご飯を食べられる人がいるらしいからそんなに問題はない。
だけどカルピスだと余計に喉が渇くんじゃないか?
これは難しい問題だ。
すると比呂が解決策をだしてくれた。
「二つ持っていけばいいじゃん」
比呂の言う通りかもしれない。
しかしまた別の問題が出てくる。
この背負うリュックサックの中に二本も水筒を入れたらお弁当やお菓子が入るのだろうか?
弁当箱もかなりの大きさだ。
母さんもキャラ弁とか作る気はまったくないらしい。
愛莉は「子供なんだから見栄えも重要なんじゃないか?」と悩んでいるらしいが。
だけど天音が言っていた。
「見栄えで腹は膨れないんだよ!」
そう言って茉莉と結莉は現にお味噌汁も入る弁当箱を肩に下げていた。
その手があったのかと感心した。
あとで愛莉に怒られたらしいけど。
そうか、その手があった。
一本は肩に下げていけばいいんだ。
しかしカミルは違う考えだったようだ。
「あの公園自販機あったからジュースはそこで買えばいいじゃん」
カミルが言うと母さんが言う。
「確かに現金持たせたらいけないとは書いてなかったね」
だけど愛莉が反対した。
「そんなことして上級生から巻き上げられたら大変ですよ」
多分俺の心配じゃない。
「愛莉、結にカツアゲなんて殺してくださいって言ってるようなもんだよ」
じいじがそう言っている。
多分愛莉は問題が起きるのを嫌がっているのだろう。
比呂の案で行くことにした。
お茶が入ったのを肩に下げてカルピスが入ったのはリュックサックに入れている。
そうして俺が水筒を肩に下げている理由を結莉と茉莉に説明していた。
「結はそうなんだ。結莉と茉莉はお金もらったよ?」
どうせ、一本だけじゃ足りないだろうから現地で調達してこい。
天音は菫派だったようだ。
確かにカルピスだけじゃ物足りないのかもしれない。
「茉奈はどうしたの?」
「私はスポーツ飲料だけにしておいた」
ああ、その手があったか。
しかし結莉や茉莉の荷物を見て、茉奈も俺と同じことを考えたみたいだ。
「そんなに一杯食べるの?」
確か桜子がおやつはいくらまでと決まっているといったけど、2人ともどう考えてもそんなもん忘れたかのように買い物袋にお菓子を入れて持っていた。
学校に向かう途中で朔や菫達に会う。
結莉と茉莉のおやつの量を見て笑う。
「そんなに食っても膨れるのは腹だけだぞ」
「うっせぇ、胸しか取り柄のないホルスタインに言われたくねーよ」
ちなみにさすがに菫も胸が成長してるわけじゃない。
「胸まで筋肉の女に言われたくねーな。お前本当に女なのか?」
「なんだと?お前の牛乳なんて飲みたくねーから牛肉に変えてやろうか?」
「やれるもならやってみろ?このおもらし姫」
「んだと!?」
また始まった。
俺はため息を吐いて二人に言った。
「急がないと遅刻するよ?」
「そうだね」
結莉が言うと二人とも大人しくなる。
学校に着くと早速桜子に見つかった。
「結莉達は昨日言ったでしょ!?そのおやつの量は何!?」
「リュックの中に入らないんだから仕方ねーだろ!」
「そうじゃなくておやつはいくらまでって注意したでしょ!」
「ちゃんと守ってるから問題ないだろ!」
茉莉が説明する。
天音が家に買っておいたお菓子を持ってきただけだから実質タダだ。
茉莉の主張は一理あるかもしれない。
その手があったか。
しかしそういう問題じゃないらしい。
「それは没収します!素直に渡しなさい!」
「子供からお菓子巻き上げるって教師のやる事か!桜子もあのゴキブリの仲間か!?」
「そうじゃなくて預かるだけ。帰る時に返します!」
「それって子供からお年玉巻き上げる親みたいないいわけじゃないか!」
桜子が食べるつもりだろ!と茉莉達はおかしを渡さない。
すると中山瞳美先生が来た。
「石原さん達はお菓子一杯あっていいね。でもそうじゃない子供もいるんだよ」
ちゃんとルールを守ってる児童もいる。
両親が共働きでお弁当作る暇がなくてコンビニで買ってくる児童もいる。
お菓子を買いすぎてお弁当を用意できなかった児童もいるらしい。
俺達がどれだけ食べようとかまわない。
ただしここは学校。
皆公平に同じルールを守って生活する場所。
だから俺達だけ特例なんて認められない。
この先いろんな場所で限定されたルールがある。
その環境の中で生活しなければいけない。
教師が児童のお菓子を食べるなんてことは絶対ない。
たったそれだけのお菓子の為に人生を台無しになんてしない。
桜子はこう見えてもベテランの教師だ。
間違いなんて絶対にない。
だから教師を信用して欲しい。
そう言って中山先生が説得すると結莉達は大人しく桜子におやつを渡す。
後で桜子は愛莉に言ったらしい。
天音は愛莉からしっかり叱られたそうだ。
話はまだ続いた。
「で、どうして片桐君は水筒を持っているの?」
「これはお茶が入ってるやつ。リュックの中にはカルピスが入ってるから」
それはルールに書いてなかったから問題ないはずだ。と主張した。
しかし桜子もベテラン。
天音の担任もしたことがある。
桜子は結莉達を見る。
「あなた達はどうして二つ持ってないの?」
茉莉は平然と言う。
「自販機で好きなの買えって言われたから。まさか金まで没収か?」
すると桜子は笑って言う。
「さっきの話聞いてたよね。みんなルールを守って楽しむって」
「だったら何が問題なの?」
「茉莉はちゃんとルール読んだ?」
お金を持ってはいけないというルールはない。
ただ”行動範囲”という制限があった。
自販機はその行動範囲内に無い。
だからジュースは買えない。
「ふざけんな!天音は買いに行ったと言っていたぞ!」
「ええ、そうよ。そして乱闘事件を起こしたの」
そんなことまで親の真似をしないでと言っていた。
そうして皆整列すると諸注意や説明、挨拶なんかを聞いていた。
「話がなげーぞ!だから禿なんだよ!」
「子供を長時間立たせて貧血起こしたら禿が責任とるのか!?」
茉莉と菫が文句を言っていた。
桜子は頭が痛いと言っていた。
「天音がもしもの時はこれを桜子に渡せって言ってたの」
結莉は桜子に頭痛薬を渡していた。
(2)
「どんだけ歩かせるんだよ!」
「教室でいいじゃねーか!」
「そ、それは遠足じゃないだろ?」
秋久が茉莉と菫の不満を聞いていた。
一方茉奈は俺と一緒に歩いているのが楽しいらしい。
俺は正直しんどいけど父さんが言ってた。
「多少不満があっても絶対にそれを彼女に見せたらいけない」
そんな事を母さんの前で言ったら、母さんが怒ると思ったけどなぜか怒っていなかった。
「そういう気づかいを恋人にしてもらえるのが嬉しいの」
母さんはそう説明していた。
意外と恋人の取り扱い方というのは難しいらしい。
現地に着くとまたさっきと同じような注意を受けていた。
大人ってなんで同じことを何度も言うのが好きなんだろう。
何度聞かせても無駄な二人が文句をまた言っていた。
何度も同じことを言っても無駄なのに疲れないのだろうか?
「結、それは違うって天音が言ってたぞ」
茉莉が説明した。
日本人には言論の自由がある。
だから、自分の主張はしっかり伝えないといけない。
世間の波に飲み込まれてしまうような弱い人間になってはいけない。
自分の命を賭けて訴えなきゃ勝ち取れないんだと茉莉が言う。
「話がなげーから省略しろ!」
命を賭けて訴えなきゃいけないような主張なのかは俺には分からなかった。
だけど相手の言い分を認めるのも大事だとママが言ってた。
だから敢えて好きにさせていた。
ただ、俺の主張もちゃんと伝えないといけない。
「そうやって、時間長引かせると弁当が食べられないんだけど」
茉莉に伝えると大人しくなった。
そして俺達の班で集まって適当な場所に座ってお弁当を食べる。
結莉達の弁当もぎっしり米と肉が詰まっていた、
2段目には焼きそばが敷き詰められていた。
一方茉奈の弁当はミニトマトやレタスにロールサンドイッチとかが少量入ってるだけだった。
これだけで足りるのだろうか?
「美味しそうだね」
「本当?これ自分で作ったんだ」
俺のはどんなの?
茉奈が聞くと僕は僕の弁当箱を見せた。
もちろん量はすごい。
そしてキャラ弁なんて面倒くさいことをママはしない。
だけどだからといってただ敷き詰められているというわけではなかった。
色合いが大切だとあーりがママに教えていた。
適度な緑や赤いトマトが入れられたりして綺麗なお弁当になっていた。
「結のも綺麗だね。あ、卵焼き交換しよう?」
茉奈が言う。
ママのはただのだし巻き玉子。
茉奈のは中にニラを入れていた。
それは優翔に教えてもらったらしい。
「結はどっちが好き?」
「どうして?」
「だって結にお弁当作ってあげる時に参考になるから」
「そっか……。じゃあ、茉奈の方がいいかな」
茉奈の弁当は見た目重視だけど味もしっかりしてある。
そこは優翔が工夫したりしているんだそうだ。
切り干し大根なんかを入れたりもしてるらしい。
「あなた何作ってるの!?」
「おにぎりだけど?」
冬莉が高校生の時にそんなやりとりをしていたそうだ。
大きなまんまるのおにぎりの中に具沢山になっているらしい。
ただそれが女子高生が彼氏に作るお弁当なのかは冬莉と愛莉の間で差があったらしい。
母さんのお弁当はどんなのだろう?と思ったけど普通だった。
「二人ともすごいね」
藤原心音がそう言っていた。
「心音ちゃんのはどんなのなの?」
茉奈が聞くと心音が見せてくれた。
これっぽっちで足りるのだろうか?
二つくらいのミニトマトにロールサンドが何個かだけだった。
だからあまり運動出来ないんじゃないのか?
「それがこれ食べるのもきついくらいで……」
俺に分けてあげようか?と心音が言う。
それがまずい事は茉奈が寂しそうな目で俺を見ているから分かった。
「心音、僕が食べてもいいかい?」
秋久がそう言うと「どうぞ」と心音が渡す。
そう言えば皆サンドイッチの中身って何が一番好きなんだろう?
結莉は僕と同じカツサンドが好きだったみたいだ。
秋久もそうだった。
心音は玉子サンドが好きらしい。
菫や茉莉はどうなんだろう?
聞こうと思ったらいなかった。
朔や秋久に聞いてみた。
「あ、ああ。まあ、あの四人が大人しくしてるわけがないのは結だって分かるだろ?」
「やらかしたよ……」
秋久と朔が答える。
菫は気配を殺して行動することが出来る。
菫が出来るのに茉莉が出来ないはずがない。
だから誰もが心配していなかった。
だけど桜子は警告していた。
その警告の意味を二人は理解していなかった。
(3)
桜子が家の呼び鈴を鳴らしていた。
多分気づかないだろう。
私達には鍵を渡している。
だからゲームや音楽をガンガンに鳴らして子供が帰ってくるまで水奈と遊んでる。
何度も押す桜子。
面倒なので私がカギを開ける。
「話があるんだろ?あがれよ」
そう言って桜子をリビングに案内する。
笑い転げながらガンガンに音を鳴らしてゲームしている天音がいた。
「天音!何やってるの!?」
桜子が叫ぶと天音が気づいた。
「水奈!まずい!なぜかうちに桜子が来た!」
「分かった!私の事は内緒にしていてくれ」
桜子がそんなはずはない。
その晩水奈は学にしっかり叱られたらしい。
「で、どうしたんだ?桜子」
まだ、遠足の時間じゃないのか?
天音は時計を見ながら言っていた。
「そうです。遠足の時間です。ですが結莉と茉莉はルールを破ったから強制的に家に連れてきました」
「お前ら何ドジ踏んだんだ?」
「それが母親の言葉なの!?天音」
そう言って桜子は説明した。
桜子は私達に警告していた。
「自由行動の範囲の中にジュースの自販機はない」
その意味を理解しきれていなかった。
私と希美は気配を殺して静かにエリアの外にある自販機のジュースを買ってきた。
それが私達の致命的なミス。
待ち構えていた桜子が私達が手にしているジュースを見て言った。
「それ、どうしたの?」
「え?買ってきただけだぞ。別に誰かからふんだくったわけじゃない」
「……どこで買ってきたの?」
桜子は忠告していた。
自販機は自由行動の範囲の中にはないと。
つまりジュースを持っていた事がルールを破った証拠だった。
気づいた時には時すでに遅し。
私と結莉と陽葵と菫はそのまま家に連行された。
先に陽葵と菫の家に行って翼に注意していた。
菫達が先なのは天音を注意するのは手こずるからだろう。
「ああ、悪い。その場で飲めって注意しとくんだったな」
「そうじゃないでしょ!娘に何をやらせてるの!?」
「まあ、少しくらいやんちゃな方がいいだろ?」
「まだ1年生だよ!これから先どうするつもりなの!」
「私の娘だからいいじゃん」
「じゃあ聞くけど、水奈の娘の茉奈は大人しくしてたわよ?」
「それは結が一緒にいるからだろ?」
「おかしいわね、茉莉にも朔っていう彼氏がいたはずだけど?」
「桜子だって気づいているだろ?片桐家は特別なんだ」
「あなたも片桐家でしょ!」
そもそもなぜ持ってきてはいけないはずの現金を子供に持たせた?
そう、遠足に現金は持ってきたらいけないとは書いてない。
だけど学校に現金を持っていくこと自体が校則に触れた。
結が特別なのは私たちも知ってる。
「結の機嫌を絶対に損ねるな」
地球が壊れる。
そう天音から聞いていた。
「まあ、そんなに怒るなよ。ちょっと気づかなっただけだろ?後で私から言っておくよ」
たぶん”裏技を”ってのが抜けているんだろうな。
でもそんな事当然天音の担任をしてきた桜子が気づかないわけなかった。
「あのね天音。今回は愛莉先輩には言わないでおくけど考えて欲しい」
茉奈には結がいるからルールを守る。
そんな考えでこの先やっていくの?
何もかも結を言い訳にして二人を教育していくの?
いつかこんな問題だけでは済まなくなる。
その事を少しだけでいいから考えて欲しい。
結が彼氏で羨ましいという憎しみに変わったらもう取り返しがつかなくなる。
天音が子供の時にあーりとどんなやりとりをしたか思い出して。
「FGとリベリオンの事は聞いてる。だから多少は大目に見る」
だけど学校や社会でのルールの意味を少しは結莉や茉莉に教えてあげなさい。
そう言って桜子は帰っていた。
「ちょっとやりすぎたかな」
天音はそう言って笑っているけど結構堪えたらしい。
私のせいだ。
他人の為に泣くなんて初めてなんじゃないだろうか?
私は泣いていた。
「このくらいでめそめそするような娘に育てた覚えはねーぞ」
そう言って天音は私達の頭をポンと叩く。
「いいか、お前は何があっても私が守る。だから二人が生きたいように生きろ」
その為の障害物なんか天音が蹴とばしてやる。
そんなに惨めな人生を送らせるために産んだんじゃない。
もっと幸せが必ず待っている。
その為のかじ取りをするのが天音の仕事。
私が間違えていたら天音が修正する。
やってみないと分からない事もある。
今回だってそうだろ?
そうやって何度も間違えて道を進んでいけばいい。
その手助けくらいしてやる。
私のミスの後始末くらいどうってことない。
それが親の役目だ。
最初から完璧な子供なんて気味が悪いだろ?
結ですら欠点があるんだから。
天音はそう言って笑っていた。
じゃあ、買い物行ってくるから留守番頼むと言って家を出た。
その後朔から電話がかかってきた。
電話にでると不思議な事を言っていた。
「ごめんね」
本来なら庇ってやらないといけない立場が朔だと主張していた。
祖母にしれたら大事になる。
もっと茉莉を守ってやれと。
茉莉は女の子で僕の彼女だろ?
祈にそう言われたらしい。
「お互いまだ分からない事だらけなんだな」
「だから楽しいんだろ?」
答えが見えてる、オチが分かってる物語なんてつまらない。
先の見えない迷路を二人で一緒に解いていけばいい。
天音が帰って来たみたいなので電話を切った。
「あれ?茉莉寝てなくていいのか?」
天音は私達に勉強しろとは絶対言わない。
やりたくないならやらないでいい。
後で後悔するとかも言わない。
だって天音がそうだから。
朔の言葉を借りるなら「答えの見えてる問題なんて面白くもなんともない」って事だろう。
そう、先が見えてるから天音が言わなくても宿題をする。
授業を聞いてりゃ大体の事は理解できるから必要以上に必死にやらない。
それより家にいる間くらい頭を休めておけという。
菫も今日は遊ぼうぜと言ってこなかったから適当に大地の部屋から漫画を取って読んでいた。
大地が帰ってくる頃夕食が出来る。
天音と大地の話を聞きながら夕食を食べていた。
すると結莉が天音に話をしていた。
「ねえ、天音。天音は何歳くらいの時から料理していたの?」
「そうだな。結莉くらいの時には包丁持っていたぞ」
もちろんあーりの監視の下で。
2年生の頃には遠足の弁当を作ったりしてたそうだ。
「結莉も料理したいのか?」
「結と茉奈見てたら私も芳樹に作ってあげようかなって思って」
「なるほどな。私のやり方は厳しいから頑張ってついてこいよ」
「うん!」
「あの、天音……」
私も作ってあげたいと言ってみた。
「いいんじゃないか?きっと喜ぶぞ。となると決行日は月末の連休だな。大地」
「弁当を食べるならたまには違うとこ行ってみようか?」
空や善明達と相談しておくと大地が言っていた。
どうしてかわからない。
だけどそうしてあげたくなる人を恋人というんだと天音が笑顔で言った。
「んじゃ気をつけてな」
「いってきまーす」
茉莉が天音に言うと俺達は学校に向かった。
今日はランドセルじゃなくてリュックサックを背負っている。
中にはお弁当とお菓子と水筒。
水筒の中身で少し問題があった。
「冬夜、水筒の中身お茶とカルピスどっちがいい?」
母さんに言われて迷った。
お弁当を食べるだけならお茶だろう。
だけどお菓子を食べるとなるとカルピスをありかもしれない。
コーラでご飯を食べられる人がいるらしいからそんなに問題はない。
だけどカルピスだと余計に喉が渇くんじゃないか?
これは難しい問題だ。
すると比呂が解決策をだしてくれた。
「二つ持っていけばいいじゃん」
比呂の言う通りかもしれない。
しかしまた別の問題が出てくる。
この背負うリュックサックの中に二本も水筒を入れたらお弁当やお菓子が入るのだろうか?
弁当箱もかなりの大きさだ。
母さんもキャラ弁とか作る気はまったくないらしい。
愛莉は「子供なんだから見栄えも重要なんじゃないか?」と悩んでいるらしいが。
だけど天音が言っていた。
「見栄えで腹は膨れないんだよ!」
そう言って茉莉と結莉は現にお味噌汁も入る弁当箱を肩に下げていた。
その手があったのかと感心した。
あとで愛莉に怒られたらしいけど。
そうか、その手があった。
一本は肩に下げていけばいいんだ。
しかしカミルは違う考えだったようだ。
「あの公園自販機あったからジュースはそこで買えばいいじゃん」
カミルが言うと母さんが言う。
「確かに現金持たせたらいけないとは書いてなかったね」
だけど愛莉が反対した。
「そんなことして上級生から巻き上げられたら大変ですよ」
多分俺の心配じゃない。
「愛莉、結にカツアゲなんて殺してくださいって言ってるようなもんだよ」
じいじがそう言っている。
多分愛莉は問題が起きるのを嫌がっているのだろう。
比呂の案で行くことにした。
お茶が入ったのを肩に下げてカルピスが入ったのはリュックサックに入れている。
そうして俺が水筒を肩に下げている理由を結莉と茉莉に説明していた。
「結はそうなんだ。結莉と茉莉はお金もらったよ?」
どうせ、一本だけじゃ足りないだろうから現地で調達してこい。
天音は菫派だったようだ。
確かにカルピスだけじゃ物足りないのかもしれない。
「茉奈はどうしたの?」
「私はスポーツ飲料だけにしておいた」
ああ、その手があったか。
しかし結莉や茉莉の荷物を見て、茉奈も俺と同じことを考えたみたいだ。
「そんなに一杯食べるの?」
確か桜子がおやつはいくらまでと決まっているといったけど、2人ともどう考えてもそんなもん忘れたかのように買い物袋にお菓子を入れて持っていた。
学校に向かう途中で朔や菫達に会う。
結莉と茉莉のおやつの量を見て笑う。
「そんなに食っても膨れるのは腹だけだぞ」
「うっせぇ、胸しか取り柄のないホルスタインに言われたくねーよ」
ちなみにさすがに菫も胸が成長してるわけじゃない。
「胸まで筋肉の女に言われたくねーな。お前本当に女なのか?」
「なんだと?お前の牛乳なんて飲みたくねーから牛肉に変えてやろうか?」
「やれるもならやってみろ?このおもらし姫」
「んだと!?」
また始まった。
俺はため息を吐いて二人に言った。
「急がないと遅刻するよ?」
「そうだね」
結莉が言うと二人とも大人しくなる。
学校に着くと早速桜子に見つかった。
「結莉達は昨日言ったでしょ!?そのおやつの量は何!?」
「リュックの中に入らないんだから仕方ねーだろ!」
「そうじゃなくておやつはいくらまでって注意したでしょ!」
「ちゃんと守ってるから問題ないだろ!」
茉莉が説明する。
天音が家に買っておいたお菓子を持ってきただけだから実質タダだ。
茉莉の主張は一理あるかもしれない。
その手があったか。
しかしそういう問題じゃないらしい。
「それは没収します!素直に渡しなさい!」
「子供からお菓子巻き上げるって教師のやる事か!桜子もあのゴキブリの仲間か!?」
「そうじゃなくて預かるだけ。帰る時に返します!」
「それって子供からお年玉巻き上げる親みたいないいわけじゃないか!」
桜子が食べるつもりだろ!と茉莉達はおかしを渡さない。
すると中山瞳美先生が来た。
「石原さん達はお菓子一杯あっていいね。でもそうじゃない子供もいるんだよ」
ちゃんとルールを守ってる児童もいる。
両親が共働きでお弁当作る暇がなくてコンビニで買ってくる児童もいる。
お菓子を買いすぎてお弁当を用意できなかった児童もいるらしい。
俺達がどれだけ食べようとかまわない。
ただしここは学校。
皆公平に同じルールを守って生活する場所。
だから俺達だけ特例なんて認められない。
この先いろんな場所で限定されたルールがある。
その環境の中で生活しなければいけない。
教師が児童のお菓子を食べるなんてことは絶対ない。
たったそれだけのお菓子の為に人生を台無しになんてしない。
桜子はこう見えてもベテランの教師だ。
間違いなんて絶対にない。
だから教師を信用して欲しい。
そう言って中山先生が説得すると結莉達は大人しく桜子におやつを渡す。
後で桜子は愛莉に言ったらしい。
天音は愛莉からしっかり叱られたそうだ。
話はまだ続いた。
「で、どうして片桐君は水筒を持っているの?」
「これはお茶が入ってるやつ。リュックの中にはカルピスが入ってるから」
それはルールに書いてなかったから問題ないはずだ。と主張した。
しかし桜子もベテラン。
天音の担任もしたことがある。
桜子は結莉達を見る。
「あなた達はどうして二つ持ってないの?」
茉莉は平然と言う。
「自販機で好きなの買えって言われたから。まさか金まで没収か?」
すると桜子は笑って言う。
「さっきの話聞いてたよね。みんなルールを守って楽しむって」
「だったら何が問題なの?」
「茉莉はちゃんとルール読んだ?」
お金を持ってはいけないというルールはない。
ただ”行動範囲”という制限があった。
自販機はその行動範囲内に無い。
だからジュースは買えない。
「ふざけんな!天音は買いに行ったと言っていたぞ!」
「ええ、そうよ。そして乱闘事件を起こしたの」
そんなことまで親の真似をしないでと言っていた。
そうして皆整列すると諸注意や説明、挨拶なんかを聞いていた。
「話がなげーぞ!だから禿なんだよ!」
「子供を長時間立たせて貧血起こしたら禿が責任とるのか!?」
茉莉と菫が文句を言っていた。
桜子は頭が痛いと言っていた。
「天音がもしもの時はこれを桜子に渡せって言ってたの」
結莉は桜子に頭痛薬を渡していた。
(2)
「どんだけ歩かせるんだよ!」
「教室でいいじゃねーか!」
「そ、それは遠足じゃないだろ?」
秋久が茉莉と菫の不満を聞いていた。
一方茉奈は俺と一緒に歩いているのが楽しいらしい。
俺は正直しんどいけど父さんが言ってた。
「多少不満があっても絶対にそれを彼女に見せたらいけない」
そんな事を母さんの前で言ったら、母さんが怒ると思ったけどなぜか怒っていなかった。
「そういう気づかいを恋人にしてもらえるのが嬉しいの」
母さんはそう説明していた。
意外と恋人の取り扱い方というのは難しいらしい。
現地に着くとまたさっきと同じような注意を受けていた。
大人ってなんで同じことを何度も言うのが好きなんだろう。
何度聞かせても無駄な二人が文句をまた言っていた。
何度も同じことを言っても無駄なのに疲れないのだろうか?
「結、それは違うって天音が言ってたぞ」
茉莉が説明した。
日本人には言論の自由がある。
だから、自分の主張はしっかり伝えないといけない。
世間の波に飲み込まれてしまうような弱い人間になってはいけない。
自分の命を賭けて訴えなきゃ勝ち取れないんだと茉莉が言う。
「話がなげーから省略しろ!」
命を賭けて訴えなきゃいけないような主張なのかは俺には分からなかった。
だけど相手の言い分を認めるのも大事だとママが言ってた。
だから敢えて好きにさせていた。
ただ、俺の主張もちゃんと伝えないといけない。
「そうやって、時間長引かせると弁当が食べられないんだけど」
茉莉に伝えると大人しくなった。
そして俺達の班で集まって適当な場所に座ってお弁当を食べる。
結莉達の弁当もぎっしり米と肉が詰まっていた、
2段目には焼きそばが敷き詰められていた。
一方茉奈の弁当はミニトマトやレタスにロールサンドイッチとかが少量入ってるだけだった。
これだけで足りるのだろうか?
「美味しそうだね」
「本当?これ自分で作ったんだ」
俺のはどんなの?
茉奈が聞くと僕は僕の弁当箱を見せた。
もちろん量はすごい。
そしてキャラ弁なんて面倒くさいことをママはしない。
だけどだからといってただ敷き詰められているというわけではなかった。
色合いが大切だとあーりがママに教えていた。
適度な緑や赤いトマトが入れられたりして綺麗なお弁当になっていた。
「結のも綺麗だね。あ、卵焼き交換しよう?」
茉奈が言う。
ママのはただのだし巻き玉子。
茉奈のは中にニラを入れていた。
それは優翔に教えてもらったらしい。
「結はどっちが好き?」
「どうして?」
「だって結にお弁当作ってあげる時に参考になるから」
「そっか……。じゃあ、茉奈の方がいいかな」
茉奈の弁当は見た目重視だけど味もしっかりしてある。
そこは優翔が工夫したりしているんだそうだ。
切り干し大根なんかを入れたりもしてるらしい。
「あなた何作ってるの!?」
「おにぎりだけど?」
冬莉が高校生の時にそんなやりとりをしていたそうだ。
大きなまんまるのおにぎりの中に具沢山になっているらしい。
ただそれが女子高生が彼氏に作るお弁当なのかは冬莉と愛莉の間で差があったらしい。
母さんのお弁当はどんなのだろう?と思ったけど普通だった。
「二人ともすごいね」
藤原心音がそう言っていた。
「心音ちゃんのはどんなのなの?」
茉奈が聞くと心音が見せてくれた。
これっぽっちで足りるのだろうか?
二つくらいのミニトマトにロールサンドが何個かだけだった。
だからあまり運動出来ないんじゃないのか?
「それがこれ食べるのもきついくらいで……」
俺に分けてあげようか?と心音が言う。
それがまずい事は茉奈が寂しそうな目で俺を見ているから分かった。
「心音、僕が食べてもいいかい?」
秋久がそう言うと「どうぞ」と心音が渡す。
そう言えば皆サンドイッチの中身って何が一番好きなんだろう?
結莉は僕と同じカツサンドが好きだったみたいだ。
秋久もそうだった。
心音は玉子サンドが好きらしい。
菫や茉莉はどうなんだろう?
聞こうと思ったらいなかった。
朔や秋久に聞いてみた。
「あ、ああ。まあ、あの四人が大人しくしてるわけがないのは結だって分かるだろ?」
「やらかしたよ……」
秋久と朔が答える。
菫は気配を殺して行動することが出来る。
菫が出来るのに茉莉が出来ないはずがない。
だから誰もが心配していなかった。
だけど桜子は警告していた。
その警告の意味を二人は理解していなかった。
(3)
桜子が家の呼び鈴を鳴らしていた。
多分気づかないだろう。
私達には鍵を渡している。
だからゲームや音楽をガンガンに鳴らして子供が帰ってくるまで水奈と遊んでる。
何度も押す桜子。
面倒なので私がカギを開ける。
「話があるんだろ?あがれよ」
そう言って桜子をリビングに案内する。
笑い転げながらガンガンに音を鳴らしてゲームしている天音がいた。
「天音!何やってるの!?」
桜子が叫ぶと天音が気づいた。
「水奈!まずい!なぜかうちに桜子が来た!」
「分かった!私の事は内緒にしていてくれ」
桜子がそんなはずはない。
その晩水奈は学にしっかり叱られたらしい。
「で、どうしたんだ?桜子」
まだ、遠足の時間じゃないのか?
天音は時計を見ながら言っていた。
「そうです。遠足の時間です。ですが結莉と茉莉はルールを破ったから強制的に家に連れてきました」
「お前ら何ドジ踏んだんだ?」
「それが母親の言葉なの!?天音」
そう言って桜子は説明した。
桜子は私達に警告していた。
「自由行動の範囲の中にジュースの自販機はない」
その意味を理解しきれていなかった。
私と希美は気配を殺して静かにエリアの外にある自販機のジュースを買ってきた。
それが私達の致命的なミス。
待ち構えていた桜子が私達が手にしているジュースを見て言った。
「それ、どうしたの?」
「え?買ってきただけだぞ。別に誰かからふんだくったわけじゃない」
「……どこで買ってきたの?」
桜子は忠告していた。
自販機は自由行動の範囲の中にはないと。
つまりジュースを持っていた事がルールを破った証拠だった。
気づいた時には時すでに遅し。
私と結莉と陽葵と菫はそのまま家に連行された。
先に陽葵と菫の家に行って翼に注意していた。
菫達が先なのは天音を注意するのは手こずるからだろう。
「ああ、悪い。その場で飲めって注意しとくんだったな」
「そうじゃないでしょ!娘に何をやらせてるの!?」
「まあ、少しくらいやんちゃな方がいいだろ?」
「まだ1年生だよ!これから先どうするつもりなの!」
「私の娘だからいいじゃん」
「じゃあ聞くけど、水奈の娘の茉奈は大人しくしてたわよ?」
「それは結が一緒にいるからだろ?」
「おかしいわね、茉莉にも朔っていう彼氏がいたはずだけど?」
「桜子だって気づいているだろ?片桐家は特別なんだ」
「あなたも片桐家でしょ!」
そもそもなぜ持ってきてはいけないはずの現金を子供に持たせた?
そう、遠足に現金は持ってきたらいけないとは書いてない。
だけど学校に現金を持っていくこと自体が校則に触れた。
結が特別なのは私たちも知ってる。
「結の機嫌を絶対に損ねるな」
地球が壊れる。
そう天音から聞いていた。
「まあ、そんなに怒るなよ。ちょっと気づかなっただけだろ?後で私から言っておくよ」
たぶん”裏技を”ってのが抜けているんだろうな。
でもそんな事当然天音の担任をしてきた桜子が気づかないわけなかった。
「あのね天音。今回は愛莉先輩には言わないでおくけど考えて欲しい」
茉奈には結がいるからルールを守る。
そんな考えでこの先やっていくの?
何もかも結を言い訳にして二人を教育していくの?
いつかこんな問題だけでは済まなくなる。
その事を少しだけでいいから考えて欲しい。
結が彼氏で羨ましいという憎しみに変わったらもう取り返しがつかなくなる。
天音が子供の時にあーりとどんなやりとりをしたか思い出して。
「FGとリベリオンの事は聞いてる。だから多少は大目に見る」
だけど学校や社会でのルールの意味を少しは結莉や茉莉に教えてあげなさい。
そう言って桜子は帰っていた。
「ちょっとやりすぎたかな」
天音はそう言って笑っているけど結構堪えたらしい。
私のせいだ。
他人の為に泣くなんて初めてなんじゃないだろうか?
私は泣いていた。
「このくらいでめそめそするような娘に育てた覚えはねーぞ」
そう言って天音は私達の頭をポンと叩く。
「いいか、お前は何があっても私が守る。だから二人が生きたいように生きろ」
その為の障害物なんか天音が蹴とばしてやる。
そんなに惨めな人生を送らせるために産んだんじゃない。
もっと幸せが必ず待っている。
その為のかじ取りをするのが天音の仕事。
私が間違えていたら天音が修正する。
やってみないと分からない事もある。
今回だってそうだろ?
そうやって何度も間違えて道を進んでいけばいい。
その手助けくらいしてやる。
私のミスの後始末くらいどうってことない。
それが親の役目だ。
最初から完璧な子供なんて気味が悪いだろ?
結ですら欠点があるんだから。
天音はそう言って笑っていた。
じゃあ、買い物行ってくるから留守番頼むと言って家を出た。
その後朔から電話がかかってきた。
電話にでると不思議な事を言っていた。
「ごめんね」
本来なら庇ってやらないといけない立場が朔だと主張していた。
祖母にしれたら大事になる。
もっと茉莉を守ってやれと。
茉莉は女の子で僕の彼女だろ?
祈にそう言われたらしい。
「お互いまだ分からない事だらけなんだな」
「だから楽しいんだろ?」
答えが見えてる、オチが分かってる物語なんてつまらない。
先の見えない迷路を二人で一緒に解いていけばいい。
天音が帰って来たみたいなので電話を切った。
「あれ?茉莉寝てなくていいのか?」
天音は私達に勉強しろとは絶対言わない。
やりたくないならやらないでいい。
後で後悔するとかも言わない。
だって天音がそうだから。
朔の言葉を借りるなら「答えの見えてる問題なんて面白くもなんともない」って事だろう。
そう、先が見えてるから天音が言わなくても宿題をする。
授業を聞いてりゃ大体の事は理解できるから必要以上に必死にやらない。
それより家にいる間くらい頭を休めておけという。
菫も今日は遊ぼうぜと言ってこなかったから適当に大地の部屋から漫画を取って読んでいた。
大地が帰ってくる頃夕食が出来る。
天音と大地の話を聞きながら夕食を食べていた。
すると結莉が天音に話をしていた。
「ねえ、天音。天音は何歳くらいの時から料理していたの?」
「そうだな。結莉くらいの時には包丁持っていたぞ」
もちろんあーりの監視の下で。
2年生の頃には遠足の弁当を作ったりしてたそうだ。
「結莉も料理したいのか?」
「結と茉奈見てたら私も芳樹に作ってあげようかなって思って」
「なるほどな。私のやり方は厳しいから頑張ってついてこいよ」
「うん!」
「あの、天音……」
私も作ってあげたいと言ってみた。
「いいんじゃないか?きっと喜ぶぞ。となると決行日は月末の連休だな。大地」
「弁当を食べるならたまには違うとこ行ってみようか?」
空や善明達と相談しておくと大地が言っていた。
どうしてかわからない。
だけどそうしてあげたくなる人を恋人というんだと天音が笑顔で言った。
0
お気に入りに追加
36
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
オークションで競り落とされた巨乳エルフは少年の玩具となる。【完結】
ちゃむにい
恋愛
リリアナは奴隷商人に高く売られて、闇オークションで競りにかけられることになった。まるで踊り子のような露出の高い下着を身に着けたリリアナは手錠をされ、首輪をした。
※ムーンライトノベルにも掲載しています。
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
完結【R―18】様々な情事 短編集
秋刀魚妹子
恋愛
本作品は、過度な性的描写が有ります。 というか、性的描写しか有りません。
タイトルのお品書きにて、シチュエーションとジャンルが分かります。
好みで無いシチュエーションやジャンルを踏まないようご注意下さい。
基本的に、短編集なので登場人物やストーリーは繋がっておりません。
同じ名前、同じ容姿でも関係無い場合があります。
※ このキャラの情事が読みたいと要望の感想を頂いた場合は、同じキャラが登場する可能性があります。
※ 更新は不定期です。
それでは、楽しんで頂けたら幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる