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最果ての未来へ
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(1)
「なんだそのガキくせぇ水着は。だせーやつだな!」
「小便くせぇお前に言われたくねーよ!水着の下におむつでも穿いてるんじゃねーのか?」
「上等だ!今日こそ決着つけてやるこのクソガキ!」
「それはこっちのセリフだこの寝小便野郎!」
茉莉と菫は今日もいつもと変わらずいちゃついて遊んでいた。
秋久も止めようとはしない。
巻き込まれるのが関の山だから。
朔も同様だった。
俺は茉奈と一緒に波際で波を見ていた。
どうして波があるんだろう?
ママに聞いてみたけど説明が難しかったのであきらめた。
それにもう一つ気になることがある。
どうして寒い冬は海に入りたがらないのに、暑い夏は皆群がるのだろう。
暑いから海なのか。
その割には日焼けを嫌って上着を着ていたりわからない。
パパは女性の日焼けの下着や水着の跡が好きなんだそうだ。
それで菫が思いっきり焼いて善明に見せようとして翼にすごく怒られていた。
「善明、そんな趣味あったなんて私聞いてないよ!」
「ぼ、僕もないよ。空から聞いたみたいなんだよ」
「空!変な知恵を菫に教えないで!」
「父さんがあれはすごく綺麗だって言ってたから」
「冬夜さんは息子に何を教えてるんですか!?」
結局じいじが怒られる事件になっていた。
愛莉は日焼けしない代わりに火傷の跡みたいになるんだそうだ。
だから極力焼かないように木陰にいるけど翼が小さい時は一緒に海で遊んでいたらしい。
母さんと父さんは俺達と一緒にいる。
天音と大地は愛莉に呼び出されて怒られている。
「茉莉達の言葉遣いひどくなっていく一方じゃないの!?あれどうするつもりなの?」
「別に私達が教えたわけじゃねーよ」
「……菫と喧嘩しながらエスカレートしていくみたいで」
「ま、まあ愛莉ちゃん。まだ4歳だし」
「恵美はわかってない……あの二人を見てると天音と水奈を思い出すの」
「……確かに似たような感じがしてるな」
神奈もため息をついていた。
結莉はそんな事ないかと思ったら芳樹がいないときは凄いって天音が美希と相談してた。
「やっぱりああいうアニメ見るのやめた方がいいんじゃない?」
「それがさ、ネコ型ロボットのやつとか見せても飽きて寝てしまうんだよ」
どうして悩んでるのかわからないけど、まあいいや。
話を元に戻そう。
どうして日焼けしたい人と日焼けしたくない人っているんだろ?
思いっきり日焼けした次の年に菫は日焼けを止めた。
「若い時に日焼けすると大人になると苦労するんだって」
菫がそう説明していた。
「結は日焼けしてる女の方が好きなの?」
菫がそう聞いてきた。
でも幼稚園で言ってた。
髪の色や肌の色で人を差別したらいけない。
色が黒いと差別されるらしい。
どうしてだろう?
「結、また難しい事考えてるの?」
茉奈が愛菜や海翔と一緒に砂のお城を作りながら聞いてきた。
茉奈に説明する。
「うーん、差別する必要はないと思うけど。結自身はどう思ってるの?」
日焼けした女の子が好きなら日焼けするけど?
茉奈がそう言うと俺は茉奈を見る。
まだ子供だからそんなに俺と差はない。
わざわざ日焼けする必要もなくこんなにお日様に当たっていたら日焼けするんじゃないだろうか?
なのにさすがに「白い肌がいい」なんて言ったら茉奈が可哀そうに思える。
「……根本的に俺は不思議なことがあるんだ」
「どうしたの?」
「そんな腕とか顔とかだけしか見ないのにどうしてこだわるんだ?」
さすがに茉奈が俺に裸を見せるのが恥ずかしいことくらいは理解してる。
水着の上に上着を着てるくらいなのだから。
それを無理矢理見るってどうなんだ?
そもそもそれを見たらどうだっていうんだ?
思ったことたことをそのまま言ってみた。
すると茉奈が笑っていた。
「そっか、結はまだそういうのに興味ないんだね」
「普通はあるのか?」
誠や瑛大はあるみたいだけど。
「うーん、あれはちょっといやかも」
「だろ?」
「でも私じゃなくても白い女性と日焼けした女性、どっちが好きとかあるんじゃないの?」
茉奈以外の女性なんてどうでも良い気がしたんだけど。
「仮に茉奈が日焼けしたとするだろ?」
「うん」
「でも、大人になるとみんな白粉とかするんじゃないのか?」
母さんだってしてる。
テレビに出てくる女性は大体白い。
化粧をして白く見せることもあれば焼けてるようにする女性もいるってママが言ってた。
山姥というらしい。
茜にネットで調べてもらってタブレットを見ていた。
……何がいいのか訳が分からなかった、
これは綺麗とかそうじゃないとかそう言うレベルの問題じゃない。
同じ人間なのか分からなかった。
だから山姥なのか?
若いのにもったいないなあ。
そう言えば父さんの会社で会った大きな生き物がいた。
あれは日焼けの色じゃなくてどす黒い色の女性だった。
お化け屋敷とかいうところで出てくるような姿だった。
空高くから地上に落下させても生きてたすごい生き物。
善明でも手に負えない生き物らしい。
面倒だから埋めておいた。
今頃日本の裏側で元気に……してるのかな?
「それで?」
「どうせ白くするなら日焼けしない方が楽なんじゃないのか?」
どのみちあまり興味ない。
「結は日焼けした女性に興味ないの?」
「あるよ」
「なぜ?」
「美味しそうだから」
「え?」
ママがパンを焼いてるときに言ってた。
「ちょうどいい焼き加減が大事なの」
それは焦げ具合で判断するらしい。
「結は私を食べる気なの?」
「だったら茉奈に日焼けしてもらうよ」
「私も食べられないよ?」
「だよね」
でも遊達が言っていた。
「あの女おいしそうだよな。ああいう女性にありつきたいよ」
遊は人間を食べる気なのだろうか?
ぽかっ
そばにいた母さんに叩かれた。
「結にはまだ早いよ」
「大きくなったら食べられるの?」
そういやお米とかも育てて食べるって聞いたな。
「そうだね、大きくなって食べるって意味が理解出来たらそうしなさい」
「その時は茉奈を食べていいよ」
結莉は少し恥ずかしそうに言っていた。
「……どこが一番おいしいの?」
母さんに聞いてみたら父さんと母さんが笑っていた。
「将来意味が理解出来たらそれも分かるよ」
だから今は気にしなくていい。
世の中不思議なことばかりだ。
今は知らなくても成長すると分かることがあるらしい。
父さんも親になって親の役割を学んでいるらしい。
神様が連れて来た時に教えてくれないのだろうか?
「ママ!ちょっと聞いてよ!」
陽葵と雪菜がやってきた。
「どうしたの?」
「雪菜の奴私より胸大きいよ!」
「同い年なのに卑怯じゃない!?」
善明は聞こえないふりをしていた。
翼はため息をついて答える。
「そういう話を秋久達の前でしたらダメって言ったでしょ」
ただの気のせいだ。
まだ幼稚園児でしょ。
翼の言うことを不思議そうに聞いていると茉奈が肩を叩いた
「お城作ろう?」
茉奈がそういうから俺も手伝うことにした。
貝殻とかをくっつけて模様にしていた。
そんな作業をしながら翼たちの話を聞いていた。
「あのね、天音も同じこと言って愛莉を怒らせてたの」
私はちっぱいのままなのか!?愛莉の娘なのに卑怯じゃないか!
そんなことを言って愛莉と喧嘩していたらしい。
「翼!余計なこと言うな!お前だって美希の胸見て悔しがってたじゃないか!」
愛莉達から解放された天音がやってきた。
「あの……そういう話を結の前でしないで欲しいかな」
「美希にはわかんねーよ!いつまで経っても大きくならないんだぞ!」
「私は善明がいいって言ってくれたら平気だからいいよ」
「ふーん、じゃあパパに判断してもらえばいいんだね」
陽葵がそう言ってにやりと笑う。
善明も一緒に砂のお城を作ってた。
「こういう話に男が介入したらいけないよ」
父さんがこっそり教えてくれた。
でもなぜか茉奈が落ち込んでいる。
「どうしたの?」
聞いてみた。
「私はママの娘だから大きくならないかもしれない」
それってそんなにショックなんだろうか?
「女にしかわからないことがある」
天音が言っていたな。
こういう時に慰めてやるのが男の役割だって言ってたな。
「茉奈、小さいと何かいけないことがあるのか?」
「結は小さい方がいいの?」
「その方がいいんじゃないか」
「どうして?」
「テレビとかのモデルってそんなに大きい人いないだろ?」
それにまだ気にする年頃じゃないだろ?
そもそもあんなの赤ちゃんにミルクやる為のものじゃないのか?
すると茉奈がにっこりと笑った。
「結はまだまだだね」
機嫌が直ったようだ。
そろそろ夕食の時間らしい。
僕達もシャワーを浴びて着替えてBBQの準備が出来るのを待った。
(2)
「大地も苦労してるみたいだね」
僕は大地に話しかけていた。
「さすがに空の王でもこれはどうにもなりませんか?」
大地が返すと笑う。
まあ、結はとても大人しい子だ。
怒らせなかったら大丈夫。
結の質問に翼が困ってるけど、翼は「それはまだ早い」なんて言わずにちゃんと説明している。
そしてその翼が遊に文句を言っている。
「遊!あんたね、子供の前で女性が美味しいとか馬鹿なこと言うのやめて!」
「それは仕方ないだろ!なずなが不味いとか言ったら俺がなずなに怒られる!」
「そう言う話を結達の前ですることが間違いだって気づきなさい!」
なずなと翼で遊を叱っている。
粋はどうなんだろう?
「うちの子は普通に育ってるよ」
粋が答えた。
「粋は凄く子供の世話をしてくれるの」
花がそう答えた。
大きくなったら快と釣りに行ったりして一緒に遊びたいらしい。
「へえ、それは羨ましいわね」
麗華が言っていた。
「瑞穂はどうなんだ?」
光太が聞いていた。
「母さんが言ってたとおりだった。勝手に成長してる」
後は麗華の母さんが言ったとおりに目を離さないように気を付けてるらしい。
「瑞穂。今からが大変だよ?ハイハイをはじめたら本当に気が抜けないから」
麗華がアドバイスしてた。
「姉さんの言うことは、一応育児書見て覚悟してたんだけど……」
瑞穂が玄関に向かうときについてくるくらいであとは大人しくしてるらしい。
「うちも大丈夫。大人しくしてくれてる」
恋が言った。
手が空いた時に「お話聞かせて」とねだったりするそうだ。
「いや、優翔と茉奈が上の子で助かったよ……」
学が言う。
学は水奈を見張っておかないと何をしでかすかわからない。
だから神奈さんが様子を見に行くらしい。
亜依さんは遊の娘の琴音が大変だから。
「パパー見て」
「どうしたんだ琴音」
遊が見るとスカートをめくって下着を見せる。
さすがにまだ遊はそこまで残念な性癖を持ってない。
ただ遊の父さんがいる時にされたら大惨事だ。
「琴音、そういうのはやめなさい。恥ずかしいだろ」
「パパは私に興味ないの?」
「いや、そういう意味じゃなくてね」
「私の事嫌い?」
「そんなわけないだろ」
「じゃ、平気だね」
遊は笑うしかないらしい。
もちろんあとでなずながしっかり言い聞かせてる。
「これ、きもちいいよ!」
「待て!まだ体拭いてないから歩き回ったらだめ!」
裸でリビングを駆け回る琴音を遊が注意するが琴音は言うことを聞かない。
なんか話を聞いてると茜や冬莉が思い浮かんだんだけど……
「それで、遊が困ってるのは面白いからいいんだけどさ」
なずなが来た。
「ただやっぱり瑛大さんが来た時が怖いから私も注意してたんだけどね……」
その最悪の事態が訪れたらしい。
瑛大さんと遊が飲んでるときに裸でリビングに現れたらしい。
「琴音!待ちなさい!じいじが来てるんだから服をちゃんと着なさい!」
「私は子供だから平気だよ~」
そう言ってなずなから逃げ回る琴音。
しかし瑛大さんは関係ない。
こんなチャンスは二度とないかもしれないと写真を撮ったらしい。
「……その話本当か?遊」
亜依さんの耳に入ったようだ。
遊はただ笑っているだけだった。
「俺、恋の時もそんな意識してなかったからどう対処していいかわからなくて……」
「私も琴音に言い聞かせてるんだけど聞いてくれなくて」
「それはわかってる。私も何度か注意したから……それより」
亜依さんは誠さん達と気持ちよく飲んでる瑛大さんを呼び出した。
「お前は何を考えてるんだ!」
「あ、亜依が相手してくれないから……」
「そういう問題か!?」
「それにほら、記念ヌード写真っていうだろ?」
「どこの世界に4歳の子供が記念ヌード撮るんだ!?」
「東南アジアなんかで高く取引されるって誠が……」
「ば、馬鹿!瑛大!!」
誠さんが慌てて止めるけどもう遅い。
「誠……お前まさか優奈達で同じ事やってないだろうな?」
神奈さんが睨みつける。
「優奈たちはちゃんと服着てるだろ?」
誠さんはそう言って言い訳しているけど水奈は険しい顔をしている。
そして学がため息をついて言った。
「二人とも綺麗だね」
「ありがとう」
「今にしかない綺麗な優奈たちを写真にとっておいてもいいかな?」
「いいよ」
「じゃあ、服脱いで」
「なんで?」
「写真撮るから」
「人前で裸になったらいけないって水奈が言ってたよ?」
「それは知らない人だからだよ。お爺ちゃんなら問題ないよ」
「うーん……」
そういって悩むと二人は水奈に相談したらしい。
「いい加減にしろ!!」
水奈は誠さんに怒鳴りつけたらしい。
それを聞いた神奈さんは思いっきり誠さんをどつく。
「孫の記念くらいいいだろ!」
「いいわけあるか!お前は孫娘に何馬鹿な事やらせてるんだ!」
「大地!お前も同じ事企んでないだろうな!」
「それはないよ。天音にも相談しただろ?」
やっぱり天音の娘だった。
大地にどっちが魅力的かって二人で大地に見せていたらしい。
その結莉と茉莉は結や比呂と美嘉さんの前に陣取って次々と料理を受け皿に乗せてもらっている。
「確かに、あの二人はそうだったな……」
天音が言うと翼が何か感づいたらしい。
にやりと笑っている。
翼が気づくくらいだから母さんにも筒抜けだ。
「それで天音はどう対処したのですか?」
「そ、そりゃちゃんと注意したよ」
「そう……なんて言ったの?」
母さんが問い詰めると天音は笑ってごまかそうとしている。
だけど、片桐家の事情を知らない大地が普通に言った。
「結莉達はまだ小さいしそんなに魅力な刺激的な下着を穿けるわけじゃない。せめてあと10年我慢しろって」
「ば、馬鹿!!大地!!」
天音が慌ててるけどもう遅い。
「天音!!」
「結局空が一番楽してるみたいだな」
学が言う。
「学、覚えておきなさい。絶対に片桐家には勝てない」
亜依さんがそう言っていた。
そんなものなのだろうか?
「光太達のところはどうなんだ?」
光太と克樹に聞いてみた。
「まあ、大変と言えば大変だぜ」
光太が答えた。
「パパが帰ってくるまで寝ない!」
そう言いだすらしい。
麗華は慌てて飲んでいる光太を無理やり帰らせる。
光太もさすがにまずいと克樹と家に帰るそうだ。
それは遊も同じらしい。
遊が仕事でなく遊んでいるのを知った上で言っているみたいだ。
それで遊は普段はあまり飲まなくなった。
その代わり琴音が寝ると「おつかれさま」となずながビールを渡してくれるらしい。
今はそれでいいやって思ってるみたいだ。
「それはいいんだけど……そろそろ止めた方がいいんじゃないですか?」
美希が言う。
「何を?」
僕が聞いたら美希が食べることに夢中になってる結と比呂を指した。
「と、なると僕達もだね」
「大丈夫か?大地」
天音が心配している。
下手に食事を邪魔すると結莉達の機嫌を損ねる。
「そんなことで親が務まると思ってるの?」
「ま、待て愛莉!」
天音が制止するも母さんは結莉達のところに向かう。
「二人とも夜食も食べるんでしょ?その辺で止めときなさい」
すると結莉と茉莉は振り返って母さんを睨みつける。
「うっせぇ!ボケナス!邪魔するんじゃねえ!!」
母さんは何も言えなくなった。
頭を抱える大地。
とりあえず笑ってる天音。
そんな天音を差し置いて翼は菫と陽葵のもとに向かう。
「2人とも前に話した童話の話覚えてる?」
翼がそう言うと陽葵と菫は素直に食べるのをやめた。
「おじいちゃんたちと花火しようか?」
父さんがそう言うと「茉奈もいっしょにしないか?」と結が言う。
「いいの?」
「他に誘う奴いないしさ」
「ありがとう」
そう言って茉奈は結についていく。
「大地、どうしてこんなに差が出るのか説明しなさい!」
恵美さんが大地を睨みつける。
大地も望さんも困っていた。
今夜も大変なんだろうな。
でも今夜は月も太陽も静かにしている。
平和な夜だった。
「なんだそのガキくせぇ水着は。だせーやつだな!」
「小便くせぇお前に言われたくねーよ!水着の下におむつでも穿いてるんじゃねーのか?」
「上等だ!今日こそ決着つけてやるこのクソガキ!」
「それはこっちのセリフだこの寝小便野郎!」
茉莉と菫は今日もいつもと変わらずいちゃついて遊んでいた。
秋久も止めようとはしない。
巻き込まれるのが関の山だから。
朔も同様だった。
俺は茉奈と一緒に波際で波を見ていた。
どうして波があるんだろう?
ママに聞いてみたけど説明が難しかったのであきらめた。
それにもう一つ気になることがある。
どうして寒い冬は海に入りたがらないのに、暑い夏は皆群がるのだろう。
暑いから海なのか。
その割には日焼けを嫌って上着を着ていたりわからない。
パパは女性の日焼けの下着や水着の跡が好きなんだそうだ。
それで菫が思いっきり焼いて善明に見せようとして翼にすごく怒られていた。
「善明、そんな趣味あったなんて私聞いてないよ!」
「ぼ、僕もないよ。空から聞いたみたいなんだよ」
「空!変な知恵を菫に教えないで!」
「父さんがあれはすごく綺麗だって言ってたから」
「冬夜さんは息子に何を教えてるんですか!?」
結局じいじが怒られる事件になっていた。
愛莉は日焼けしない代わりに火傷の跡みたいになるんだそうだ。
だから極力焼かないように木陰にいるけど翼が小さい時は一緒に海で遊んでいたらしい。
母さんと父さんは俺達と一緒にいる。
天音と大地は愛莉に呼び出されて怒られている。
「茉莉達の言葉遣いひどくなっていく一方じゃないの!?あれどうするつもりなの?」
「別に私達が教えたわけじゃねーよ」
「……菫と喧嘩しながらエスカレートしていくみたいで」
「ま、まあ愛莉ちゃん。まだ4歳だし」
「恵美はわかってない……あの二人を見てると天音と水奈を思い出すの」
「……確かに似たような感じがしてるな」
神奈もため息をついていた。
結莉はそんな事ないかと思ったら芳樹がいないときは凄いって天音が美希と相談してた。
「やっぱりああいうアニメ見るのやめた方がいいんじゃない?」
「それがさ、ネコ型ロボットのやつとか見せても飽きて寝てしまうんだよ」
どうして悩んでるのかわからないけど、まあいいや。
話を元に戻そう。
どうして日焼けしたい人と日焼けしたくない人っているんだろ?
思いっきり日焼けした次の年に菫は日焼けを止めた。
「若い時に日焼けすると大人になると苦労するんだって」
菫がそう説明していた。
「結は日焼けしてる女の方が好きなの?」
菫がそう聞いてきた。
でも幼稚園で言ってた。
髪の色や肌の色で人を差別したらいけない。
色が黒いと差別されるらしい。
どうしてだろう?
「結、また難しい事考えてるの?」
茉奈が愛菜や海翔と一緒に砂のお城を作りながら聞いてきた。
茉奈に説明する。
「うーん、差別する必要はないと思うけど。結自身はどう思ってるの?」
日焼けした女の子が好きなら日焼けするけど?
茉奈がそう言うと俺は茉奈を見る。
まだ子供だからそんなに俺と差はない。
わざわざ日焼けする必要もなくこんなにお日様に当たっていたら日焼けするんじゃないだろうか?
なのにさすがに「白い肌がいい」なんて言ったら茉奈が可哀そうに思える。
「……根本的に俺は不思議なことがあるんだ」
「どうしたの?」
「そんな腕とか顔とかだけしか見ないのにどうしてこだわるんだ?」
さすがに茉奈が俺に裸を見せるのが恥ずかしいことくらいは理解してる。
水着の上に上着を着てるくらいなのだから。
それを無理矢理見るってどうなんだ?
そもそもそれを見たらどうだっていうんだ?
思ったことたことをそのまま言ってみた。
すると茉奈が笑っていた。
「そっか、結はまだそういうのに興味ないんだね」
「普通はあるのか?」
誠や瑛大はあるみたいだけど。
「うーん、あれはちょっといやかも」
「だろ?」
「でも私じゃなくても白い女性と日焼けした女性、どっちが好きとかあるんじゃないの?」
茉奈以外の女性なんてどうでも良い気がしたんだけど。
「仮に茉奈が日焼けしたとするだろ?」
「うん」
「でも、大人になるとみんな白粉とかするんじゃないのか?」
母さんだってしてる。
テレビに出てくる女性は大体白い。
化粧をして白く見せることもあれば焼けてるようにする女性もいるってママが言ってた。
山姥というらしい。
茜にネットで調べてもらってタブレットを見ていた。
……何がいいのか訳が分からなかった、
これは綺麗とかそうじゃないとかそう言うレベルの問題じゃない。
同じ人間なのか分からなかった。
だから山姥なのか?
若いのにもったいないなあ。
そう言えば父さんの会社で会った大きな生き物がいた。
あれは日焼けの色じゃなくてどす黒い色の女性だった。
お化け屋敷とかいうところで出てくるような姿だった。
空高くから地上に落下させても生きてたすごい生き物。
善明でも手に負えない生き物らしい。
面倒だから埋めておいた。
今頃日本の裏側で元気に……してるのかな?
「それで?」
「どうせ白くするなら日焼けしない方が楽なんじゃないのか?」
どのみちあまり興味ない。
「結は日焼けした女性に興味ないの?」
「あるよ」
「なぜ?」
「美味しそうだから」
「え?」
ママがパンを焼いてるときに言ってた。
「ちょうどいい焼き加減が大事なの」
それは焦げ具合で判断するらしい。
「結は私を食べる気なの?」
「だったら茉奈に日焼けしてもらうよ」
「私も食べられないよ?」
「だよね」
でも遊達が言っていた。
「あの女おいしそうだよな。ああいう女性にありつきたいよ」
遊は人間を食べる気なのだろうか?
ぽかっ
そばにいた母さんに叩かれた。
「結にはまだ早いよ」
「大きくなったら食べられるの?」
そういやお米とかも育てて食べるって聞いたな。
「そうだね、大きくなって食べるって意味が理解出来たらそうしなさい」
「その時は茉奈を食べていいよ」
結莉は少し恥ずかしそうに言っていた。
「……どこが一番おいしいの?」
母さんに聞いてみたら父さんと母さんが笑っていた。
「将来意味が理解出来たらそれも分かるよ」
だから今は気にしなくていい。
世の中不思議なことばかりだ。
今は知らなくても成長すると分かることがあるらしい。
父さんも親になって親の役割を学んでいるらしい。
神様が連れて来た時に教えてくれないのだろうか?
「ママ!ちょっと聞いてよ!」
陽葵と雪菜がやってきた。
「どうしたの?」
「雪菜の奴私より胸大きいよ!」
「同い年なのに卑怯じゃない!?」
善明は聞こえないふりをしていた。
翼はため息をついて答える。
「そういう話を秋久達の前でしたらダメって言ったでしょ」
ただの気のせいだ。
まだ幼稚園児でしょ。
翼の言うことを不思議そうに聞いていると茉奈が肩を叩いた
「お城作ろう?」
茉奈がそういうから俺も手伝うことにした。
貝殻とかをくっつけて模様にしていた。
そんな作業をしながら翼たちの話を聞いていた。
「あのね、天音も同じこと言って愛莉を怒らせてたの」
私はちっぱいのままなのか!?愛莉の娘なのに卑怯じゃないか!
そんなことを言って愛莉と喧嘩していたらしい。
「翼!余計なこと言うな!お前だって美希の胸見て悔しがってたじゃないか!」
愛莉達から解放された天音がやってきた。
「あの……そういう話を結の前でしないで欲しいかな」
「美希にはわかんねーよ!いつまで経っても大きくならないんだぞ!」
「私は善明がいいって言ってくれたら平気だからいいよ」
「ふーん、じゃあパパに判断してもらえばいいんだね」
陽葵がそう言ってにやりと笑う。
善明も一緒に砂のお城を作ってた。
「こういう話に男が介入したらいけないよ」
父さんがこっそり教えてくれた。
でもなぜか茉奈が落ち込んでいる。
「どうしたの?」
聞いてみた。
「私はママの娘だから大きくならないかもしれない」
それってそんなにショックなんだろうか?
「女にしかわからないことがある」
天音が言っていたな。
こういう時に慰めてやるのが男の役割だって言ってたな。
「茉奈、小さいと何かいけないことがあるのか?」
「結は小さい方がいいの?」
「その方がいいんじゃないか」
「どうして?」
「テレビとかのモデルってそんなに大きい人いないだろ?」
それにまだ気にする年頃じゃないだろ?
そもそもあんなの赤ちゃんにミルクやる為のものじゃないのか?
すると茉奈がにっこりと笑った。
「結はまだまだだね」
機嫌が直ったようだ。
そろそろ夕食の時間らしい。
僕達もシャワーを浴びて着替えてBBQの準備が出来るのを待った。
(2)
「大地も苦労してるみたいだね」
僕は大地に話しかけていた。
「さすがに空の王でもこれはどうにもなりませんか?」
大地が返すと笑う。
まあ、結はとても大人しい子だ。
怒らせなかったら大丈夫。
結の質問に翼が困ってるけど、翼は「それはまだ早い」なんて言わずにちゃんと説明している。
そしてその翼が遊に文句を言っている。
「遊!あんたね、子供の前で女性が美味しいとか馬鹿なこと言うのやめて!」
「それは仕方ないだろ!なずなが不味いとか言ったら俺がなずなに怒られる!」
「そう言う話を結達の前ですることが間違いだって気づきなさい!」
なずなと翼で遊を叱っている。
粋はどうなんだろう?
「うちの子は普通に育ってるよ」
粋が答えた。
「粋は凄く子供の世話をしてくれるの」
花がそう答えた。
大きくなったら快と釣りに行ったりして一緒に遊びたいらしい。
「へえ、それは羨ましいわね」
麗華が言っていた。
「瑞穂はどうなんだ?」
光太が聞いていた。
「母さんが言ってたとおりだった。勝手に成長してる」
後は麗華の母さんが言ったとおりに目を離さないように気を付けてるらしい。
「瑞穂。今からが大変だよ?ハイハイをはじめたら本当に気が抜けないから」
麗華がアドバイスしてた。
「姉さんの言うことは、一応育児書見て覚悟してたんだけど……」
瑞穂が玄関に向かうときについてくるくらいであとは大人しくしてるらしい。
「うちも大丈夫。大人しくしてくれてる」
恋が言った。
手が空いた時に「お話聞かせて」とねだったりするそうだ。
「いや、優翔と茉奈が上の子で助かったよ……」
学が言う。
学は水奈を見張っておかないと何をしでかすかわからない。
だから神奈さんが様子を見に行くらしい。
亜依さんは遊の娘の琴音が大変だから。
「パパー見て」
「どうしたんだ琴音」
遊が見るとスカートをめくって下着を見せる。
さすがにまだ遊はそこまで残念な性癖を持ってない。
ただ遊の父さんがいる時にされたら大惨事だ。
「琴音、そういうのはやめなさい。恥ずかしいだろ」
「パパは私に興味ないの?」
「いや、そういう意味じゃなくてね」
「私の事嫌い?」
「そんなわけないだろ」
「じゃ、平気だね」
遊は笑うしかないらしい。
もちろんあとでなずながしっかり言い聞かせてる。
「これ、きもちいいよ!」
「待て!まだ体拭いてないから歩き回ったらだめ!」
裸でリビングを駆け回る琴音を遊が注意するが琴音は言うことを聞かない。
なんか話を聞いてると茜や冬莉が思い浮かんだんだけど……
「それで、遊が困ってるのは面白いからいいんだけどさ」
なずなが来た。
「ただやっぱり瑛大さんが来た時が怖いから私も注意してたんだけどね……」
その最悪の事態が訪れたらしい。
瑛大さんと遊が飲んでるときに裸でリビングに現れたらしい。
「琴音!待ちなさい!じいじが来てるんだから服をちゃんと着なさい!」
「私は子供だから平気だよ~」
そう言ってなずなから逃げ回る琴音。
しかし瑛大さんは関係ない。
こんなチャンスは二度とないかもしれないと写真を撮ったらしい。
「……その話本当か?遊」
亜依さんの耳に入ったようだ。
遊はただ笑っているだけだった。
「俺、恋の時もそんな意識してなかったからどう対処していいかわからなくて……」
「私も琴音に言い聞かせてるんだけど聞いてくれなくて」
「それはわかってる。私も何度か注意したから……それより」
亜依さんは誠さん達と気持ちよく飲んでる瑛大さんを呼び出した。
「お前は何を考えてるんだ!」
「あ、亜依が相手してくれないから……」
「そういう問題か!?」
「それにほら、記念ヌード写真っていうだろ?」
「どこの世界に4歳の子供が記念ヌード撮るんだ!?」
「東南アジアなんかで高く取引されるって誠が……」
「ば、馬鹿!瑛大!!」
誠さんが慌てて止めるけどもう遅い。
「誠……お前まさか優奈達で同じ事やってないだろうな?」
神奈さんが睨みつける。
「優奈たちはちゃんと服着てるだろ?」
誠さんはそう言って言い訳しているけど水奈は険しい顔をしている。
そして学がため息をついて言った。
「二人とも綺麗だね」
「ありがとう」
「今にしかない綺麗な優奈たちを写真にとっておいてもいいかな?」
「いいよ」
「じゃあ、服脱いで」
「なんで?」
「写真撮るから」
「人前で裸になったらいけないって水奈が言ってたよ?」
「それは知らない人だからだよ。お爺ちゃんなら問題ないよ」
「うーん……」
そういって悩むと二人は水奈に相談したらしい。
「いい加減にしろ!!」
水奈は誠さんに怒鳴りつけたらしい。
それを聞いた神奈さんは思いっきり誠さんをどつく。
「孫の記念くらいいいだろ!」
「いいわけあるか!お前は孫娘に何馬鹿な事やらせてるんだ!」
「大地!お前も同じ事企んでないだろうな!」
「それはないよ。天音にも相談しただろ?」
やっぱり天音の娘だった。
大地にどっちが魅力的かって二人で大地に見せていたらしい。
その結莉と茉莉は結や比呂と美嘉さんの前に陣取って次々と料理を受け皿に乗せてもらっている。
「確かに、あの二人はそうだったな……」
天音が言うと翼が何か感づいたらしい。
にやりと笑っている。
翼が気づくくらいだから母さんにも筒抜けだ。
「それで天音はどう対処したのですか?」
「そ、そりゃちゃんと注意したよ」
「そう……なんて言ったの?」
母さんが問い詰めると天音は笑ってごまかそうとしている。
だけど、片桐家の事情を知らない大地が普通に言った。
「結莉達はまだ小さいしそんなに魅力な刺激的な下着を穿けるわけじゃない。せめてあと10年我慢しろって」
「ば、馬鹿!!大地!!」
天音が慌ててるけどもう遅い。
「天音!!」
「結局空が一番楽してるみたいだな」
学が言う。
「学、覚えておきなさい。絶対に片桐家には勝てない」
亜依さんがそう言っていた。
そんなものなのだろうか?
「光太達のところはどうなんだ?」
光太と克樹に聞いてみた。
「まあ、大変と言えば大変だぜ」
光太が答えた。
「パパが帰ってくるまで寝ない!」
そう言いだすらしい。
麗華は慌てて飲んでいる光太を無理やり帰らせる。
光太もさすがにまずいと克樹と家に帰るそうだ。
それは遊も同じらしい。
遊が仕事でなく遊んでいるのを知った上で言っているみたいだ。
それで遊は普段はあまり飲まなくなった。
その代わり琴音が寝ると「おつかれさま」となずながビールを渡してくれるらしい。
今はそれでいいやって思ってるみたいだ。
「それはいいんだけど……そろそろ止めた方がいいんじゃないですか?」
美希が言う。
「何を?」
僕が聞いたら美希が食べることに夢中になってる結と比呂を指した。
「と、なると僕達もだね」
「大丈夫か?大地」
天音が心配している。
下手に食事を邪魔すると結莉達の機嫌を損ねる。
「そんなことで親が務まると思ってるの?」
「ま、待て愛莉!」
天音が制止するも母さんは結莉達のところに向かう。
「二人とも夜食も食べるんでしょ?その辺で止めときなさい」
すると結莉と茉莉は振り返って母さんを睨みつける。
「うっせぇ!ボケナス!邪魔するんじゃねえ!!」
母さんは何も言えなくなった。
頭を抱える大地。
とりあえず笑ってる天音。
そんな天音を差し置いて翼は菫と陽葵のもとに向かう。
「2人とも前に話した童話の話覚えてる?」
翼がそう言うと陽葵と菫は素直に食べるのをやめた。
「おじいちゃんたちと花火しようか?」
父さんがそう言うと「茉奈もいっしょにしないか?」と結が言う。
「いいの?」
「他に誘う奴いないしさ」
「ありがとう」
そう言って茉奈は結についていく。
「大地、どうしてこんなに差が出るのか説明しなさい!」
恵美さんが大地を睨みつける。
大地も望さんも困っていた。
今夜も大変なんだろうな。
でも今夜は月も太陽も静かにしている。
平和な夜だった。
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