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みじめでも
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(1)
「いや、災難だったな!さとり」
僕達は入院しているさとりのお見舞いに来ていた。
冴はベッドの側の椅子に座って誠司を睨んでいる。
冴は今のFGの物騒な世界に冴を巻き込めないとグループを抜けると言った。
その代償が今のさとりだ。
西松先生は「命に別状はない。何か異常があったらすぐに呼んで」と言っていた。
どのみち夏休みは病院で過ごすことになりそうだ。
さとりは冴を人質に取られて抵抗できずにいた。
冴が無事なのが奇跡だ。
馬鹿な事にコンビニの駐車場で暴行をして、発見者がすぐに警察に通報したらしい。
それでも骨折などはしている。
顔もほとんどが包帯を巻かれていた。
そんな誠司を見て「お前また派手にやられたな」と笑い飛ばす誠司を冴は許せなかったのだろう。
瞳子も止めようとしたけど僕が瞳子を抑えていた。
冬莉も志希も様子を見ている。
冬莉が志希に伝えたんだろう。
「でもいいじゃん。学校堂々と休めて羨ましいくらいだ。変わってくれよ」
言いたい放題の誠司に冴の我慢の限界が来た。
「いい加減にして!あんたやっぱり変わってないね!もう帰って」
どうせFGなんかに入ったからいい気味だと思ってるんでしょう。
あんたなんかにさとりの気持ちが分かるはずがない!
私の気持ちなんて分かるはずがない!
たださとりを馬鹿にするつもりで来たのなら出ていけ!
誠司は反論しなかった。
「そうだな、俺はさとりじゃないしな」
そう言って部屋を出ようとする誠司。
「じゃ、俺ら帰るけど……ここ病室だぞ。いちゃつくのもほどほどにしとけ」
「帰れ!」
冴がお見舞いに持って来た花束を投げつける。
誠司は何も言わずに病室を出ていった。
でも誠司一人じゃ危険すぎる事くらい分かっている。
誠司が何をするつもりかもわかっていた。
だから僕達も誠司の後を追う。
瞳子もついて来ようとしていたけどここに残るように言った。
「冬莉、悪いけど瞳子送ってやってくれないか?」
「……無理しないでね」
死人を出すな。
そういう意味だろう。
僕は志希と颯真と隼人を連れて病室を出る。
「誠司を追うよ?」
怖いなら気をつけて帰って。
そう言って大人しく帰る奴なんてここにはいなかった。
「さとりは入院だ。全員まとめて棺桶に直送してやる」
隼人が言う。
誠司が無茶をしないように後を追いかけた。
行先は決まっているから。
(2)
「なんなのあいつ。まるでさとりがやられたのを面白がってるみたい」
さとりが宥めようとするも冴の怒りは収まらない。
まあ、無理もないか。
冬莉もただ様子を見ているだけだった。
冴の怒りは私達にも向かう。
「SHだからよかったね!でもそのSHの居場所を奪われてFGに入って事件に巻き込まれた人の気持ちなんて冬莉達には分からない」
「そうだね」
冬莉は一言返した。
でも瞳子は反論があるようだった。
「そのSHが狙われてるんだよ。私達の恐怖は冴に分かる?」
SHである以上、戦えない瞳子でさえ冬吾に心配かけられないと恐怖と戦っている。
どっちにつこうと結局は危険と隣り合わせ。
それを守る彼氏がいてくれるから足を引っ張らないように支えている。
瞳子の主張も間違っていない。
すると冴は私を睨みつける。
「あんた誠司狙ってるんでしょ!?止めといた方がいいよ。あいつは薄情な奴だから」
「冴、言い過ぎだよ」
冬莉が言うけど私も我慢できなかった。
「そうだね……誠司と冴は付き合うべきじゃなかった事は今理解した」
「泉!?」
瞳子が私を見る。
これ以上誠司を馬鹿にするのは我慢できない。
「先に言っておくけど私は誠司と付き合うつもりはない。誠司は今それどころじゃないから」
「どういう意味?」
「冴は誠司と付き合っている間、誠司の何を見て来たの?」
女遊びをしている誠司?
趣味の悪い誠司?
それは確かに誠司の一部分なのは認める。
でも今の誠司もそうだと思ったの?
「今の誠司に彼女を作る余裕なんてない」
誠司の中にあるのは後悔と恐怖。
また同じ事を繰り返すだけじゃないのか?
それが怖くて新しい恋愛に興味を持てない。
だからそっと冴を見守っていた。
2人が幸せそうにしているのをずっと見守っていた。
気づくのは遅すぎたけどそれだけ冴を大事に思っていたんだ。
そんな冴が傷ついてるのを見てへらへら笑っているだけだと思った?
今さらより戻せとか言わないけど、少しは誠司の心配してあげてもいいんじゃないの?
「そんなに誠司の事知ってるなら、泉が誠司と付き合えば良いじゃない?」
「人の話を全然聞いてないんだね。私にとって初恋になるんだよ。私の事だけを考えてくれる人がいい」
誠司にはそんな余裕がない。
今だってきっと冴の事を心配してる。
だから許せない。
SHを甘く見ないで。
仲間を傷つける奴は絶対に許さない。
仲間がFGだろうがSHだろうが関係ない。
二度と馬鹿な真似ができないように徹底的に痛めつける。
「誠司の後を冬吾達が追って、瞳子は冬莉に任せると言った。その意味くらいも理解してあげられないの?」
私がそう言うと冴の表情が変わる。
「まさかあいつ……」
冴がそう言うと冬莉が「多分そうだと思う」と答えた。
「そこまで冴の事を心配している誠司の事を心配くらいしてあげてもいいんじゃないの?」
私がそう言うと冴の顔色が青ざめていく。
「あいつ……そんな素振り全然見せなかったよ?」
「それが誠司の本質なんだよ。冴に心配させたくないと思ったんだろうね」
悪趣味や女癖の悪さが全て包み隠していた。
それを取り除いたら、ひたすら彼女の事を想う誠司。
「泉、もういいでしょ?少し冴の頭を冷やす時間をあげよう?」
冬莉がそう言うと私達は病室を出る。
冬莉はスマホで姉の茜と連絡を取っている。
やはり冬吾達がFGの中学生組の拠点を聞いてきたらしい。
「私達どうする?」
頼子が聞いた。
「私が皆送るよ。誘拐も企んでるらしいから一人になんてさせられない」
「それなら冬莉に頼らなくても大丈夫。母さんに送迎頼むから」
頼子が言う。
頼子が手配した車に乗って家に送ってもらう。
「お帰り、冬吾は?」
母さんが聞いた。
「なんかやる事あるみたい」
「……FGの問題は母さん達も聞いてます」
「母さんお願いがある」
「どうしたの?」
「今回だけは母さん達は手を出さないで」
私達だけで片づける。
「それは無理です」
「どうして?」
「後始末は親がするものでしょ?」
母さんはそう言って笑った。
(3)
冴に心配させたくない。
怒りを抑えるのに必死だった。
馬鹿な話でもして笑ってる他に手が無かった。
案の定冴に怒られたけど。
本当に俺はダメな奴だな。
でも、冴はそれでいいよ。
今はさとりの事だけを案じてやれ。
俺は俺なりに償いをさせてやる。
我ながらダサいよな。
フラれた女の為に何かをしてやりたいなんてどうかしてる。
病院を出ると茜に連絡をとってた。
奴らはどこにいるか聞いておいた。
東中近くの神社の境内でたむろしてるらしい。
そんなに離れてない。
FGの中学生組は東中が拠点らしい。
そろそろ東中のエリアに入る。
俺も周りを警戒しながら歩いていた。
すぐ背後に誰かが来るのが分かった。
じゃあ、始めるとするか。
俺は後ろにいた奴に目掛けてまわし蹴りをする。
だけどそれを受け止めたのは冬吾だった。
「いきなり回し蹴りはやめたほうがいいよ」
冬吾はそう言って笑っていた。
「これはお前らには関係ない。俺の問題だから」
「関係ないね。目の前でふざけた真似をされて黙ってる程お人よしじゃないよ」
「誠司だけで格好つけるなんて許さないよ」
「そうだぞ、おいしい所独り占めなんて絶対に許さない」
冬吾と志希と隼人が言う。
「相手は何人いるか分からないんだぞ?」
「全員まとめて仏にしてやるさ」
颯真が言った。
「で、どこ行くの?」
「東中近くの神社にたむろしてるって」
「成仏したいんだね」
冬吾が言った。
「冬吾は特に気をつけろよ」
お前の兄弟は怒らせると何するか分からないって聞いたから。
「天音や空からはFGを名乗った馬鹿はぶっ殺せと言われてるんだ」
「……わーったよ」
そう言って東中近くの神社に向かった。
確かに学ラン姿の中学生がたむろしている。
ヴィジュアル系のバンドみたいな頭をしていた。
校則緩いのか?
その中の一人が俺達に気づく。
某RPGの主人公みたいな髪形の奴。
男なのに化粧している。
そっち系のやつなんだろうか?
「なんだお前?」
男が聞くと冬吾が有無も言わさず殴り飛ばした。
「冬吾!最初は俺に譲ってくれていいだろ!」
どうせお前が後は暴れるんだから。
「ごめん、顔見たらムカついて殴った」
けろっと答える冬吾。
すると全員立ち上がる。
「お前ら俺達が誰なのかわかってんのか!?」
そう威嚇するけど冬吾には通じない。
「俺達って事は君ら全員FGで間違いないんだね?」
じゃあ、悪いけど死んでよ。
そう言うと乱闘が始まった。
特に武装をしてる奴もいない。
誰も自分たちを狙ってくるなんて思っていなかったんだろう。
人数差は関係ない。
天音と翼のもつライド・ギグは当然のように冬吾と冬莉にもある。
それは頭に直接指示を出してくる。
そして自分の味方の能力を極限まで高める厄介な能力。
SHが無敵な理由はこのライド・ギグにあった。
泉みたいな戦えない奴でも同い年の相手くらいなら軽く殴り飛ばす能力。
しかももともと颯真達もそれなりの修羅場はくぐってる。
こんな雑魚ども何人いようと問題じゃない。
FGの奴らが全員倒れる。
冬吾がそのうちの一人に言う。
「さとりをやったのは誰?」
「誰だそれ?」
そいつが答えると思いっきり蹴り飛ばした。
冬吾の蹴りは空手家並みに凶器じみたものがある。
「人が真面目に聞いてるのにそういうふざけた回答いらないから。南中のメンバー袋にしたのお前等だろ?」
「あ、ああそれならここにいねーよ」
「今すぐ連れてこい」
冬吾は静かに語るけどかえってそれが恐怖を感じる。
やがて図体のでかい男がやってきた。
某RPGの片腕が銃の男みたいに色が黒い。
「お前がさとりやったの?」
冬吾が臆する事無く尋ねる。
「ああ、俺がやったぜ。女に手を出さなかっただけ感謝しろ。……で、俺になんか用があるのか?」
冬吾を睨みつける大男。
今は夏だからタンクトップでもいいんだろう。
冬吾は俺をちらりと見る。
「お前の本命だろうから譲ってやるよ」
長年一緒にサッカーをやって来た仲間だからそのくらい目を見れば伝わってくる。
俺はその男に近づくと無言で殴り飛ばした。
「なにすんだてめぇ……」
顔を思いっきり蹴りつける。
「勝手に喋るな。冴に手を出さなかった分だけ手加減してやる。……でもやっぱり死ね」
そう言って男がピクリとも動かなくなるまで蹴り続けた。
「今度俺らに舐めた真似してみろ。学校ごと燃やしてやる」
それをやりたくてうずうずしてる人間がSHに入る事を忘れるな。
ガタガタ震えながら学校生活を送れ。
学校生活が送れるだけありがたく思え。
やる事やったし帰るとするか。
だけど、冬吾はまだやり残したことがあるらしい。
「お前らの頭は誰?」
連中はざわつく。
「黙ってるならここにいるみんな殺すよ?」
その後に中学校に乗り込めばいい。
乗り込むのも面倒だ。
解体してやる。
俺や隼人がやっと気づいた。
とうに冬吾は怒っていたらしい。
「黙ってないで答えろ。お前ら自分が死なないと勘違いしてないか?」
冬吾は殺すつもりでやってきたらしい。
「す、すぐ呼びます」
「5分で来るように伝えろ。それから1分遅れる度に一人ずつ殺してやる」
連中も必死だった。
しかし結構離れているところに住んでいたらしい。
何人か叩きのめしているとやっと現れた。
言っとくけど俺達に冬吾を止める手段はない。
あるとすれば瞳子か冬吾の母さんくらいだろ。
「お前らFGに逆らってただで済むと思ってのか?」
その返事代わりに冬吾が頭を殴り飛ばす。
「遅れて来て何偉そうにしてんの?一々人をイライラさせやがって」
ただで済むと勘違いしてるのはお前の方じゃないのか?
そう言って一人で頭に暴行を加え続ける冬吾。
頭はぴくぴく動いてる。
「勘違いしないでね。気絶したら助かるなんて思い違いもいいところだよ?」
そう言って全く容赦のない冬吾。
さすがに志希たちが止めようとする。
「こんだけやったらさすがに馬鹿な真似しないって。これ以上やったら本当に死ぬよ」
「志希も何言ってるの?僕は殺すつもりでやってるんだけど」
やっぱり止める奴はいない。
しかし幸いにもここは神社。
パトカーが駆けつける。
警官が4人ついても冬吾の暴走はとまらない。
俺はパトカーが来る前に姉さんに連絡した。
本当に死にそうだ。
別に死んでも問題ないけど。
すると姉さんが冬吾の母さんに電話していたらしい。
警官4人に取り押さえられながら蹴り続ける冬吾の頭をポカッと叩いた。
「いい加減にしなさい。皆心配してますよ!」
するとようやく冬吾が大人しくなった。
「次は絶対殺すからね」
冬吾がそう言うとパトカーに押し込められた。
俺達も同様にパトカーに載せられて南署に送られた。
なお頭はかろうじて生きていたらしい。
ICUに搬送されたそうだ。
(4)
「冬吾も空に似てるのね。あまり愛莉や瞳子に心配かけたら駄目だよ」
翼にそう言われた。
こうなる事を見越して冬莉が頼子に頼んでいたらしい。
頼子も母親に知らせてありとあらゆる圧力をかけた。
結果厳重注意で済んだ。
刑事に見送られて警察署を出る。
確かこういう時こういうんだったな
「お世話になりました」
ぽかっ
母さんに頭を叩かれた。
「いい加減にしなさい!冬吾まで冬夜さんの真似をするんですか!?」
真似をするんだったらこのまま東中に乗り込んで皆殺しにするんだけどなあ。
ぽかっ
なぜか瞳子にも叩かれた。
「話は誠司君から聞いたよ。殺すつもりでやるなんてだめ!」
空と善明はそんな僕達をじっと見ていた。
空が言う。
「やっぱり彼女には逆らえないよね」
「空もやっぱりそうなのかい?」
空と善明が話している
美希と翼は子供の世話で来れないから空達がきたらしい。
空はSHのリーダーだから。
「志希もやるときはやるんだね」
冬莉は彼氏に「惚れなおした」と笑っている。
他の皆は彼女に怒られていた。
「流石俺の息子だ!」
「お前は父親だろ!少しは注意しろ!」
誠司は両親に怒られていた。
「加減くらいしろ。中学生で殺人なんてシャレにならないぞ」
「それは冬吾に言えよ」
そんなやりとりをしているところに冴が来た。
誠司は冴に気づく。
「お前一人でふらふらしてたらダメだろ」
まだFGはゴキブリみたい繁殖してるんだぞ。
「さっきは言い過ぎた。ごめん」
「気にするな。さとりの心配だけしとけ」
「うん、ありがとう」
「そんな大したことしてねーよ。フラれた彼女の事をいつまでも引きずってるダサい奴だよ」
「そんなことないよ……」
「じゃあ、俺これから母さんから説教受けなきゃいけないから帰るわ」
「お前は本当に反省してるのか!?」
誠司の母さんから怒られる誠司。
誠司の母さんは僕を見る。
「お前もトーヤの子なんだな。あんまり無茶するなよ。トーヤもそうだった。一番大事な人の事をすぐ忘れる困った奴だ」
そう言って誠司達は帰っていった。
冴も誠司の両親が送るらしい。
僕も家に帰って父さんに怒られると思った。
「冬吾、お前一つ忘れてないか?」
「え?」
何の事だろう?
「ちゃんと取調室に入る前に”オッス!!おらトーゴ!10歳、よろしくな!”て……」
ぽかっ
「冬夜さんは自分の息子に何を吹き込んでいるのですか!?」
「でも、相手死んでなかったんだから問題ないだろ」
「大ありです!」
父さんと母さんが喧嘩を始めると父さんが「部屋にもどりなさい」と目でサインを送って来た。
僕はそっと部屋に戻る。
すぐに夕食の時間になり僕の話題になる。
茜が聞いていた。
「冬吾次は学校を解体してやるって言ったんでしょ?」
「そうだけど?」
「天音がそれを私にやらせろって言ってたよ」
「あの子は自分がどういう状況なのか分かってるのかしら」
「愛莉~そんなに怒るとしわ増えるよ?最近目立って来たでしょ」
「うぅ……」
「しわがあっても愛莉は綺麗だよ」
「……えへへ~」
夕食が済むと風呂に入っていつもの茜と母さんの攻防を見ながら部屋に戻る。
そのあと瞳子から電話で叱られた。
「冴がそうなったときでそんなんだと私にもしもの事があったらどうするの?」
「そんな目にあわせないように注意するよ。それでもそんな事をしたやつがいたら……」
「いたら?」
「五体バラバラにして川に捨ててやるよ」
「……絶対ダメ!」
そう言って瞳子は笑っていた。
「いや、災難だったな!さとり」
僕達は入院しているさとりのお見舞いに来ていた。
冴はベッドの側の椅子に座って誠司を睨んでいる。
冴は今のFGの物騒な世界に冴を巻き込めないとグループを抜けると言った。
その代償が今のさとりだ。
西松先生は「命に別状はない。何か異常があったらすぐに呼んで」と言っていた。
どのみち夏休みは病院で過ごすことになりそうだ。
さとりは冴を人質に取られて抵抗できずにいた。
冴が無事なのが奇跡だ。
馬鹿な事にコンビニの駐車場で暴行をして、発見者がすぐに警察に通報したらしい。
それでも骨折などはしている。
顔もほとんどが包帯を巻かれていた。
そんな誠司を見て「お前また派手にやられたな」と笑い飛ばす誠司を冴は許せなかったのだろう。
瞳子も止めようとしたけど僕が瞳子を抑えていた。
冬莉も志希も様子を見ている。
冬莉が志希に伝えたんだろう。
「でもいいじゃん。学校堂々と休めて羨ましいくらいだ。変わってくれよ」
言いたい放題の誠司に冴の我慢の限界が来た。
「いい加減にして!あんたやっぱり変わってないね!もう帰って」
どうせFGなんかに入ったからいい気味だと思ってるんでしょう。
あんたなんかにさとりの気持ちが分かるはずがない!
私の気持ちなんて分かるはずがない!
たださとりを馬鹿にするつもりで来たのなら出ていけ!
誠司は反論しなかった。
「そうだな、俺はさとりじゃないしな」
そう言って部屋を出ようとする誠司。
「じゃ、俺ら帰るけど……ここ病室だぞ。いちゃつくのもほどほどにしとけ」
「帰れ!」
冴がお見舞いに持って来た花束を投げつける。
誠司は何も言わずに病室を出ていった。
でも誠司一人じゃ危険すぎる事くらい分かっている。
誠司が何をするつもりかもわかっていた。
だから僕達も誠司の後を追う。
瞳子もついて来ようとしていたけどここに残るように言った。
「冬莉、悪いけど瞳子送ってやってくれないか?」
「……無理しないでね」
死人を出すな。
そういう意味だろう。
僕は志希と颯真と隼人を連れて病室を出る。
「誠司を追うよ?」
怖いなら気をつけて帰って。
そう言って大人しく帰る奴なんてここにはいなかった。
「さとりは入院だ。全員まとめて棺桶に直送してやる」
隼人が言う。
誠司が無茶をしないように後を追いかけた。
行先は決まっているから。
(2)
「なんなのあいつ。まるでさとりがやられたのを面白がってるみたい」
さとりが宥めようとするも冴の怒りは収まらない。
まあ、無理もないか。
冬莉もただ様子を見ているだけだった。
冴の怒りは私達にも向かう。
「SHだからよかったね!でもそのSHの居場所を奪われてFGに入って事件に巻き込まれた人の気持ちなんて冬莉達には分からない」
「そうだね」
冬莉は一言返した。
でも瞳子は反論があるようだった。
「そのSHが狙われてるんだよ。私達の恐怖は冴に分かる?」
SHである以上、戦えない瞳子でさえ冬吾に心配かけられないと恐怖と戦っている。
どっちにつこうと結局は危険と隣り合わせ。
それを守る彼氏がいてくれるから足を引っ張らないように支えている。
瞳子の主張も間違っていない。
すると冴は私を睨みつける。
「あんた誠司狙ってるんでしょ!?止めといた方がいいよ。あいつは薄情な奴だから」
「冴、言い過ぎだよ」
冬莉が言うけど私も我慢できなかった。
「そうだね……誠司と冴は付き合うべきじゃなかった事は今理解した」
「泉!?」
瞳子が私を見る。
これ以上誠司を馬鹿にするのは我慢できない。
「先に言っておくけど私は誠司と付き合うつもりはない。誠司は今それどころじゃないから」
「どういう意味?」
「冴は誠司と付き合っている間、誠司の何を見て来たの?」
女遊びをしている誠司?
趣味の悪い誠司?
それは確かに誠司の一部分なのは認める。
でも今の誠司もそうだと思ったの?
「今の誠司に彼女を作る余裕なんてない」
誠司の中にあるのは後悔と恐怖。
また同じ事を繰り返すだけじゃないのか?
それが怖くて新しい恋愛に興味を持てない。
だからそっと冴を見守っていた。
2人が幸せそうにしているのをずっと見守っていた。
気づくのは遅すぎたけどそれだけ冴を大事に思っていたんだ。
そんな冴が傷ついてるのを見てへらへら笑っているだけだと思った?
今さらより戻せとか言わないけど、少しは誠司の心配してあげてもいいんじゃないの?
「そんなに誠司の事知ってるなら、泉が誠司と付き合えば良いじゃない?」
「人の話を全然聞いてないんだね。私にとって初恋になるんだよ。私の事だけを考えてくれる人がいい」
誠司にはそんな余裕がない。
今だってきっと冴の事を心配してる。
だから許せない。
SHを甘く見ないで。
仲間を傷つける奴は絶対に許さない。
仲間がFGだろうがSHだろうが関係ない。
二度と馬鹿な真似ができないように徹底的に痛めつける。
「誠司の後を冬吾達が追って、瞳子は冬莉に任せると言った。その意味くらいも理解してあげられないの?」
私がそう言うと冴の表情が変わる。
「まさかあいつ……」
冴がそう言うと冬莉が「多分そうだと思う」と答えた。
「そこまで冴の事を心配している誠司の事を心配くらいしてあげてもいいんじゃないの?」
私がそう言うと冴の顔色が青ざめていく。
「あいつ……そんな素振り全然見せなかったよ?」
「それが誠司の本質なんだよ。冴に心配させたくないと思ったんだろうね」
悪趣味や女癖の悪さが全て包み隠していた。
それを取り除いたら、ひたすら彼女の事を想う誠司。
「泉、もういいでしょ?少し冴の頭を冷やす時間をあげよう?」
冬莉がそう言うと私達は病室を出る。
冬莉はスマホで姉の茜と連絡を取っている。
やはり冬吾達がFGの中学生組の拠点を聞いてきたらしい。
「私達どうする?」
頼子が聞いた。
「私が皆送るよ。誘拐も企んでるらしいから一人になんてさせられない」
「それなら冬莉に頼らなくても大丈夫。母さんに送迎頼むから」
頼子が言う。
頼子が手配した車に乗って家に送ってもらう。
「お帰り、冬吾は?」
母さんが聞いた。
「なんかやる事あるみたい」
「……FGの問題は母さん達も聞いてます」
「母さんお願いがある」
「どうしたの?」
「今回だけは母さん達は手を出さないで」
私達だけで片づける。
「それは無理です」
「どうして?」
「後始末は親がするものでしょ?」
母さんはそう言って笑った。
(3)
冴に心配させたくない。
怒りを抑えるのに必死だった。
馬鹿な話でもして笑ってる他に手が無かった。
案の定冴に怒られたけど。
本当に俺はダメな奴だな。
でも、冴はそれでいいよ。
今はさとりの事だけを案じてやれ。
俺は俺なりに償いをさせてやる。
我ながらダサいよな。
フラれた女の為に何かをしてやりたいなんてどうかしてる。
病院を出ると茜に連絡をとってた。
奴らはどこにいるか聞いておいた。
東中近くの神社の境内でたむろしてるらしい。
そんなに離れてない。
FGの中学生組は東中が拠点らしい。
そろそろ東中のエリアに入る。
俺も周りを警戒しながら歩いていた。
すぐ背後に誰かが来るのが分かった。
じゃあ、始めるとするか。
俺は後ろにいた奴に目掛けてまわし蹴りをする。
だけどそれを受け止めたのは冬吾だった。
「いきなり回し蹴りはやめたほうがいいよ」
冬吾はそう言って笑っていた。
「これはお前らには関係ない。俺の問題だから」
「関係ないね。目の前でふざけた真似をされて黙ってる程お人よしじゃないよ」
「誠司だけで格好つけるなんて許さないよ」
「そうだぞ、おいしい所独り占めなんて絶対に許さない」
冬吾と志希と隼人が言う。
「相手は何人いるか分からないんだぞ?」
「全員まとめて仏にしてやるさ」
颯真が言った。
「で、どこ行くの?」
「東中近くの神社にたむろしてるって」
「成仏したいんだね」
冬吾が言った。
「冬吾は特に気をつけろよ」
お前の兄弟は怒らせると何するか分からないって聞いたから。
「天音や空からはFGを名乗った馬鹿はぶっ殺せと言われてるんだ」
「……わーったよ」
そう言って東中近くの神社に向かった。
確かに学ラン姿の中学生がたむろしている。
ヴィジュアル系のバンドみたいな頭をしていた。
校則緩いのか?
その中の一人が俺達に気づく。
某RPGの主人公みたいな髪形の奴。
男なのに化粧している。
そっち系のやつなんだろうか?
「なんだお前?」
男が聞くと冬吾が有無も言わさず殴り飛ばした。
「冬吾!最初は俺に譲ってくれていいだろ!」
どうせお前が後は暴れるんだから。
「ごめん、顔見たらムカついて殴った」
けろっと答える冬吾。
すると全員立ち上がる。
「お前ら俺達が誰なのかわかってんのか!?」
そう威嚇するけど冬吾には通じない。
「俺達って事は君ら全員FGで間違いないんだね?」
じゃあ、悪いけど死んでよ。
そう言うと乱闘が始まった。
特に武装をしてる奴もいない。
誰も自分たちを狙ってくるなんて思っていなかったんだろう。
人数差は関係ない。
天音と翼のもつライド・ギグは当然のように冬吾と冬莉にもある。
それは頭に直接指示を出してくる。
そして自分の味方の能力を極限まで高める厄介な能力。
SHが無敵な理由はこのライド・ギグにあった。
泉みたいな戦えない奴でも同い年の相手くらいなら軽く殴り飛ばす能力。
しかももともと颯真達もそれなりの修羅場はくぐってる。
こんな雑魚ども何人いようと問題じゃない。
FGの奴らが全員倒れる。
冬吾がそのうちの一人に言う。
「さとりをやったのは誰?」
「誰だそれ?」
そいつが答えると思いっきり蹴り飛ばした。
冬吾の蹴りは空手家並みに凶器じみたものがある。
「人が真面目に聞いてるのにそういうふざけた回答いらないから。南中のメンバー袋にしたのお前等だろ?」
「あ、ああそれならここにいねーよ」
「今すぐ連れてこい」
冬吾は静かに語るけどかえってそれが恐怖を感じる。
やがて図体のでかい男がやってきた。
某RPGの片腕が銃の男みたいに色が黒い。
「お前がさとりやったの?」
冬吾が臆する事無く尋ねる。
「ああ、俺がやったぜ。女に手を出さなかっただけ感謝しろ。……で、俺になんか用があるのか?」
冬吾を睨みつける大男。
今は夏だからタンクトップでもいいんだろう。
冬吾は俺をちらりと見る。
「お前の本命だろうから譲ってやるよ」
長年一緒にサッカーをやって来た仲間だからそのくらい目を見れば伝わってくる。
俺はその男に近づくと無言で殴り飛ばした。
「なにすんだてめぇ……」
顔を思いっきり蹴りつける。
「勝手に喋るな。冴に手を出さなかった分だけ手加減してやる。……でもやっぱり死ね」
そう言って男がピクリとも動かなくなるまで蹴り続けた。
「今度俺らに舐めた真似してみろ。学校ごと燃やしてやる」
それをやりたくてうずうずしてる人間がSHに入る事を忘れるな。
ガタガタ震えながら学校生活を送れ。
学校生活が送れるだけありがたく思え。
やる事やったし帰るとするか。
だけど、冬吾はまだやり残したことがあるらしい。
「お前らの頭は誰?」
連中はざわつく。
「黙ってるならここにいるみんな殺すよ?」
その後に中学校に乗り込めばいい。
乗り込むのも面倒だ。
解体してやる。
俺や隼人がやっと気づいた。
とうに冬吾は怒っていたらしい。
「黙ってないで答えろ。お前ら自分が死なないと勘違いしてないか?」
冬吾は殺すつもりでやってきたらしい。
「す、すぐ呼びます」
「5分で来るように伝えろ。それから1分遅れる度に一人ずつ殺してやる」
連中も必死だった。
しかし結構離れているところに住んでいたらしい。
何人か叩きのめしているとやっと現れた。
言っとくけど俺達に冬吾を止める手段はない。
あるとすれば瞳子か冬吾の母さんくらいだろ。
「お前らFGに逆らってただで済むと思ってのか?」
その返事代わりに冬吾が頭を殴り飛ばす。
「遅れて来て何偉そうにしてんの?一々人をイライラさせやがって」
ただで済むと勘違いしてるのはお前の方じゃないのか?
そう言って一人で頭に暴行を加え続ける冬吾。
頭はぴくぴく動いてる。
「勘違いしないでね。気絶したら助かるなんて思い違いもいいところだよ?」
そう言って全く容赦のない冬吾。
さすがに志希たちが止めようとする。
「こんだけやったらさすがに馬鹿な真似しないって。これ以上やったら本当に死ぬよ」
「志希も何言ってるの?僕は殺すつもりでやってるんだけど」
やっぱり止める奴はいない。
しかし幸いにもここは神社。
パトカーが駆けつける。
警官が4人ついても冬吾の暴走はとまらない。
俺はパトカーが来る前に姉さんに連絡した。
本当に死にそうだ。
別に死んでも問題ないけど。
すると姉さんが冬吾の母さんに電話していたらしい。
警官4人に取り押さえられながら蹴り続ける冬吾の頭をポカッと叩いた。
「いい加減にしなさい。皆心配してますよ!」
するとようやく冬吾が大人しくなった。
「次は絶対殺すからね」
冬吾がそう言うとパトカーに押し込められた。
俺達も同様にパトカーに載せられて南署に送られた。
なお頭はかろうじて生きていたらしい。
ICUに搬送されたそうだ。
(4)
「冬吾も空に似てるのね。あまり愛莉や瞳子に心配かけたら駄目だよ」
翼にそう言われた。
こうなる事を見越して冬莉が頼子に頼んでいたらしい。
頼子も母親に知らせてありとあらゆる圧力をかけた。
結果厳重注意で済んだ。
刑事に見送られて警察署を出る。
確かこういう時こういうんだったな
「お世話になりました」
ぽかっ
母さんに頭を叩かれた。
「いい加減にしなさい!冬吾まで冬夜さんの真似をするんですか!?」
真似をするんだったらこのまま東中に乗り込んで皆殺しにするんだけどなあ。
ぽかっ
なぜか瞳子にも叩かれた。
「話は誠司君から聞いたよ。殺すつもりでやるなんてだめ!」
空と善明はそんな僕達をじっと見ていた。
空が言う。
「やっぱり彼女には逆らえないよね」
「空もやっぱりそうなのかい?」
空と善明が話している
美希と翼は子供の世話で来れないから空達がきたらしい。
空はSHのリーダーだから。
「志希もやるときはやるんだね」
冬莉は彼氏に「惚れなおした」と笑っている。
他の皆は彼女に怒られていた。
「流石俺の息子だ!」
「お前は父親だろ!少しは注意しろ!」
誠司は両親に怒られていた。
「加減くらいしろ。中学生で殺人なんてシャレにならないぞ」
「それは冬吾に言えよ」
そんなやりとりをしているところに冴が来た。
誠司は冴に気づく。
「お前一人でふらふらしてたらダメだろ」
まだFGはゴキブリみたい繁殖してるんだぞ。
「さっきは言い過ぎた。ごめん」
「気にするな。さとりの心配だけしとけ」
「うん、ありがとう」
「そんな大したことしてねーよ。フラれた彼女の事をいつまでも引きずってるダサい奴だよ」
「そんなことないよ……」
「じゃあ、俺これから母さんから説教受けなきゃいけないから帰るわ」
「お前は本当に反省してるのか!?」
誠司の母さんから怒られる誠司。
誠司の母さんは僕を見る。
「お前もトーヤの子なんだな。あんまり無茶するなよ。トーヤもそうだった。一番大事な人の事をすぐ忘れる困った奴だ」
そう言って誠司達は帰っていった。
冴も誠司の両親が送るらしい。
僕も家に帰って父さんに怒られると思った。
「冬吾、お前一つ忘れてないか?」
「え?」
何の事だろう?
「ちゃんと取調室に入る前に”オッス!!おらトーゴ!10歳、よろしくな!”て……」
ぽかっ
「冬夜さんは自分の息子に何を吹き込んでいるのですか!?」
「でも、相手死んでなかったんだから問題ないだろ」
「大ありです!」
父さんと母さんが喧嘩を始めると父さんが「部屋にもどりなさい」と目でサインを送って来た。
僕はそっと部屋に戻る。
すぐに夕食の時間になり僕の話題になる。
茜が聞いていた。
「冬吾次は学校を解体してやるって言ったんでしょ?」
「そうだけど?」
「天音がそれを私にやらせろって言ってたよ」
「あの子は自分がどういう状況なのか分かってるのかしら」
「愛莉~そんなに怒るとしわ増えるよ?最近目立って来たでしょ」
「うぅ……」
「しわがあっても愛莉は綺麗だよ」
「……えへへ~」
夕食が済むと風呂に入っていつもの茜と母さんの攻防を見ながら部屋に戻る。
そのあと瞳子から電話で叱られた。
「冴がそうなったときでそんなんだと私にもしもの事があったらどうするの?」
「そんな目にあわせないように注意するよ。それでもそんな事をしたやつがいたら……」
「いたら?」
「五体バラバラにして川に捨ててやるよ」
「……絶対ダメ!」
そう言って瞳子は笑っていた。
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