姉妹チート

和希

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罪人の群れ

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(1)

「空、ちょっと来てくれ」

 日曜日学に呼び出された。
 いつものファミレスに向かうと頭に包帯を巻いた小泉優がいた。
 
「何かあったの?」
「お前の想像通りの結果だよ」

 学はそう言った。
 優のバイト先のコンビニを襲撃したらしい。
 いよいよ動いたか。
 SHの中に反乱分子がいる。
 そしてそれを先導する男・白鳥和志の行動は大体茜が把握していた。
 僕の勤めてる事務所にも白鳥グループからの圧力がかかっていた。
 だけど誰も気にも留めてなかった。
 そんな事をすれば後悔するのは白鳥グループだ。
 父さんが「子供が勝手なことしてるだけだから子供に処理させよう」と渡辺班の皆を止めていた。
 
「大地は?」
「すいません、遅れました」

 そう言って大地が入って来た。
 大地は優を見た途端顔つきが変わる。

「空、どうする?」
「僕が責任とります」

 大地がそう言う。

「そうだね」

 僕が答えた。
 大学生組の事だからとりあえずは大地に任せよう。
 そう言って学達を説得した。

「空や、まだ駄目なのかい?」
 
 善明が聞いてきた。

「まだ我慢するべき」

 和志一人を潰したところでまた一からやり直しだ。
 もう少しの我慢だ。
 そう皆を説得する。
 警察も過剰になっている。
 下手に動いたら捕まるのは僕達だ。

「空がそう言うなら我慢するが」

 水奈はもう墓場に送り込んでやる気でいるらしい。
 天音が暴走しないのが奇跡なくらいだ。
 天音が身重でよかった。
 大地はスマホで和志に連絡を取ってる。
 連絡がついたのだろう。
 大地は「片付けてくる」と言って店を出た。

「大地に任せて大丈夫か?」

 下手をすれば天音が暴れ出すぞ?

「天音も馬鹿じゃないよ。自分の状態くらい弁えてるよ」
「それもそうか……」

 多分大地が始末してその後に……。
 僕は計画通りに事が運んでいると思っていた。
 しかし思い上がっていた部分もあるようだ。
 和志という人間を少し侮っていたと後悔することになる。

(3)

 俺は夜公園に和志を呼び出した。
 和志は俺を見ると「やあ」と挨拶する。
 俺は無言で和志に近づく。
 その様子を変に思ったのだろう?
 和志の表情が変わる。
 
「どうしたの?」
「あんまりがっかりさせないでね。和志君」

 そう言ってファミレスから持って来たフォークを和志の肩に突き刺した。
 和志はにやりと笑っている。

「あのくらいで怖気つくようなチームなの?」
「何勘違いしてるのお前?」

 空は俺に任せると言った。
 つまりこの程度なら俺で十分対処できるだろうという意味だ。
 これ以上馬鹿な真似をするならお前の人生を保証しない。
 
「そんな力があるのにつかわないなんて怖気ついてるのか、それともただのこけおどし?」
「そんなのお前に関係ない。上に逆らうなら今この場所をお前の墓地にしてやってもいいぞ?」
「出来るの?お前みたいにチビに」

 俺は思いっきり和志を殴り飛ばす。
 和志は思いっきり吹き飛んだ。

「調子に乗ってると本当に死ぬよ?和志君」
 
 しかし騒ぎを見ていた女性が悲鳴を上げる。
 ……ちっ。

「次はないぞ」

 そう言って家に帰った。

「お、大地今日は遅かったな。まさか浮気でもしてたんじゃないだろうな?」
「最愛の妻がいるのにするわけないだろ」

 天音には黙っておこうと思ったけど無駄だったようだ。
 天音は僕の表情を見てすぐに何かあったことを気取る。

「SH絡みか?」

 天音が聞くと僕は和志の事を話した。

「空がお前に任せたという事は、空の中ではまだ物足りないって事なんだろうな」

 天音は意外に冷静なようだ。
 驚いた僕を見て天音は笑う。

「私だってさすがにしんどくて暴れる気力すらねーよ」

 そう言って僕の頭を小突いた。

「でも空の狙いがいまいちわからないな」

 すでにSH同士の抗争が始まってる。
 まだ物足りないって何を考えてるのだろうか。

「考えてもしょうがないから夕食温めるから着替えてこい」
「……わかったよ」

 そう言って寝室に向かう。
 しかし勢いがつき過ぎたようだ。
 和志は調子に乗り過ぎた。
 SHの絶対に触れてはいけないものに触れようとしていた。
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