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孫の誕生と息子の婚姻
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北近江国の長浜城から書状が届いた。
僕の娘、かすみが男の子を出産したらしい。
母子共に健康であるとも書かれていて、本当に良かったと思う。
さっそく秀晴と一緒にかすみに会いにいくことにした。
「かすみが母になるなんて……感無量だよ」
兵に護衛されつつ、隣の馬上の秀晴に話しかける。
秀晴は「ええ。まったくです」と応じた。
「秀晴。急だけど、出産祝いを届けたら京に向かうよ」
「本当に急ですね。何のためですか?」
「そりゃあ、君の婚姻相手と会うためだ。秀長さんが仲介してくれた」
秀晴は怪訝そうに「秀長さまが?」と訊ねた。
「それはまた……どんな人なんですか?」
「なんだ。勝手に決めるなとか言わないのか?」
「もう話が進んでいるのでしょう? それに俺にも覚悟がないわけじゃないんですよ」
嫡男としての心構えができているみたいだ。それは喜ばしいことだけど、親としては淋しい気がする。もちろん反発してほしいわけじゃないが。
「それにしても、これは流石に多すぎじゃないですか?」
苦言を呈するように秀晴は後ろを振り返る。
そこには山のように積まれた出産祝いが荷台で運ばれていた。
「そうかな? これでも少ないほうだけど」
「……父さまは本当にお優しいなあ」
呆れたように言う秀晴。
子どもや孫のためなら当然だと思う。
長浜城に着くと、お市さまが出迎えてくれた。隣には茶々も居た。
「お待ちしておりましたよ、雲之介さん」
「ありがとうございます。長政は? 忙しいですか?」
そう訊ねるとお市さまは曇った顔で「少し臥せっています」と答えた。
「長政が? 体調でも悪いのですか?」
「ええ。ここ最近、風邪を引いていまして。孫の顔が見られないのは残念だと嘆いています」
少し心配だったけど、口ぶりは軽かったので、ただの風邪だろうと思った。
「かすみと……孫はどこに?」
「こちらです。昭政も居ますよ」
城内の一室。確かねねさまのお部屋だったと記憶しているところに通された。
中に入ると昭政くんが僕の孫を抱きながら、かすみと話していた。
「あ、父さま!」
嬉しそうな顔で出迎えてくれたかすみ。出産直後だからか、少しだけ顔色が悪い。でも元気そうな声で安心した。それと母になったせいか、大人になったと思う。まるで志乃のようだった。
「かすみ。よく頑張ったね」
「ああ、よくやったぞ!」
僕と秀晴が声をかけると、にこりと微笑むかすみだった。
「先生……じゃなかった、義父さま。どうか抱いてあげてください」
僕に孫を差し出す昭政くん。
優しく抱きしめる。壊れそうで弱々しくて。だからこそ大切にしないといけないと思う大事な宝物。
僕の孫だった。
「名前は霧助(きりすけ)と名付けました」
「霧助か……」
それしか言えなかった。
胸が一杯になってしまったから。
霧助が僕の胸の中で笑っている。
「あはは。霧助はやっぱりおじいちゃんが好きなのね」
かすみがそう言うと周りがどっと湧いた。
本当に可愛らしいな。
「父さまは丹波国を任されているそうですが、大変ですよね」
秀晴に霧助を任せるとかすみがそんなことを言い出した。
珍しいなと思いつつ「まあ大変と言えば大変かな」と答えた。
「でもやりがいはあるよ。僕の内政で丹波国の民が豊かになってくれれば嬉しい」
僕の答えにかすみは「父さまなら大丈夫ですね」と微笑んだ。
「さてと。長政の見舞いでもするかな」
そう言って腰を上げる。
「秀晴はしばらく、ここに居てくれ」
「はい、分かりました」
僕は小姓に案内されて、長政が臥せっている部屋に向かった。
長政は寝巻き姿で布団の上で眠るでもなく、横になって寝ていた。
「長政。久しぶりだね」
「うん? ああ、雲之介か」
僕は長政の傍に座った。
「臥せっていると聞いたけど、どうなんだ?」
顔色が悪いので率直に訊ねると「正直、良くないな」と顔をしかめる長政。
「徐々に身体が弱っているのを感じている」
「……京から名医を呼ぼうか?」
「そこまでしなくてもいい。ただ一つだけ約束してくれないか?」
僕は長政に頷いた。
「昭政のことを頼む。あいつは未熟だが、拙者以上の武将になれると信じている」
「まるで遺言みたいじゃないか」
「そんなつもりはない。約束してくれるか?」
昭政くんは僕の義理の息子でもある。もちろん約束した。
「ああ。任せてくれ。というかさっさと身体を治してくれよ」
「ああ、もちろんだ」
長浜城を後にして、僕たちは京に向かった。
「父さま。霧助が次々代の浅井家当主になると思いますか?」
途中で秀晴が妙なことを言い出した。
「あのまますくすくと育ってくれれば、可能性はあると思うよ。それがどうしたんだ?」
「ということは、丹波国と北近江国は強固な関係で結ばれることになります」
「……秀吉は僕のことを信用してくれている」
暗に警戒されるのではないかと秀晴は言うけど、僕はそう返した。
それが全ての答えだった。
不安ではなく疑惑の目を向けてくる秀晴はそれっきり何も言わなかった。
京の公家屋敷。
勧修寺晴豊という亡き上様の武家伝奏で秀吉と親しい公家の養女を紹介してくれるとのことだった。
この場には僕と秀晴が正装をして待っていた。
「すまない。少し遅れた」
そう言いながら秀長さんが部屋に入ってきた。
僕は一礼して「このたびの婚姻の仲介、ありがとうございます」と言う。
秀晴も同じように頭を下げた。
「そんなにかしこまらないでくれ。私としても勧修寺家が嫁に出すとは思わなかった」
勧修寺家とは名家の一つで昇殿を許される堂上家の一つでもある。藤原北家の支流らしく、僕のような出自の怪しい人間とは雲泥の差のある由緒正しい名族だった。
「もしかして、山科家が関与していますか?」
秀晴は初めからそれを疑っていたらしい。
しかし秀長さんは「それはない」ときっぱり答えた。
「はっきり言えば、丹波国を治める大名と近づきたい公家は多い。でも、なんといえばいいのか……雨竜家は新しい家だ。伝統や由緒のない家に輿入れするとなると躊躇う者が多かった」
「それが何故、勧修寺家という名家になったのですか?」
秀晴がさらに訊くと「兄者が圧力をかけてな」と苦笑した。
「それで、仕方なく勧修寺家が名乗りを上げたというわけだ」
「まあ、公家は血筋が大事ですからね」
秀晴は何とも思っていないようだけど、僕の胸中は複雑だった。
それからすぐに、勧修寺晴豊が現れた。
中肉中背。それでいて威厳のある顔。口髭を生やしていて、それがまた威厳を醸し出している。僕と同年代かそれ以上の年齢だろう。
「勧修寺晴豊と申す。そなたらが雨竜秀昭と雨竜秀晴か?」
僕は「はい。そうです」と答えた。
晴豊殿は「こたびの婚姻。真に喜ばしい」と言った。
「さっそく、我が養女と会わせよう。なつ。こちらへ来なさい」
晴豊殿の呼びかけで部屋に入ってきたのは、秀晴と同年代の美しい女性だった。
面長で優しげな表情。目元が涼しげだった。煌びやかな着物を着ていて、公家の娘らしい。
「なつと申します」
平伏して顔を上げると、なつさんは秀晴の顔を見て――固まった。
うん? なんだ? そう思って秀晴の顔を見ると――同じく固まっていた。
「な、なっちゃん?」
秀晴の呟きになつさんは目を見開いた。
「せ、晴太郎くん……なんで……」
「なんだ。二人は知り合いだったのか」
僕の問いに二人はさあっと青ざめた。
何か変だと思った僕は晴豊殿の顔を見た。
二人以上に顔が青かった。というより白くなっている。
「……勧修寺晴豊殿。これはどういうことですかな」
秀長さんが物凄い顔で晴豊殿を問い詰める。
ここでようやく、僕は悟った。
「もしかして……公家の娘じゃない?」
僕の娘、かすみが男の子を出産したらしい。
母子共に健康であるとも書かれていて、本当に良かったと思う。
さっそく秀晴と一緒にかすみに会いにいくことにした。
「かすみが母になるなんて……感無量だよ」
兵に護衛されつつ、隣の馬上の秀晴に話しかける。
秀晴は「ええ。まったくです」と応じた。
「秀晴。急だけど、出産祝いを届けたら京に向かうよ」
「本当に急ですね。何のためですか?」
「そりゃあ、君の婚姻相手と会うためだ。秀長さんが仲介してくれた」
秀晴は怪訝そうに「秀長さまが?」と訊ねた。
「それはまた……どんな人なんですか?」
「なんだ。勝手に決めるなとか言わないのか?」
「もう話が進んでいるのでしょう? それに俺にも覚悟がないわけじゃないんですよ」
嫡男としての心構えができているみたいだ。それは喜ばしいことだけど、親としては淋しい気がする。もちろん反発してほしいわけじゃないが。
「それにしても、これは流石に多すぎじゃないですか?」
苦言を呈するように秀晴は後ろを振り返る。
そこには山のように積まれた出産祝いが荷台で運ばれていた。
「そうかな? これでも少ないほうだけど」
「……父さまは本当にお優しいなあ」
呆れたように言う秀晴。
子どもや孫のためなら当然だと思う。
長浜城に着くと、お市さまが出迎えてくれた。隣には茶々も居た。
「お待ちしておりましたよ、雲之介さん」
「ありがとうございます。長政は? 忙しいですか?」
そう訊ねるとお市さまは曇った顔で「少し臥せっています」と答えた。
「長政が? 体調でも悪いのですか?」
「ええ。ここ最近、風邪を引いていまして。孫の顔が見られないのは残念だと嘆いています」
少し心配だったけど、口ぶりは軽かったので、ただの風邪だろうと思った。
「かすみと……孫はどこに?」
「こちらです。昭政も居ますよ」
城内の一室。確かねねさまのお部屋だったと記憶しているところに通された。
中に入ると昭政くんが僕の孫を抱きながら、かすみと話していた。
「あ、父さま!」
嬉しそうな顔で出迎えてくれたかすみ。出産直後だからか、少しだけ顔色が悪い。でも元気そうな声で安心した。それと母になったせいか、大人になったと思う。まるで志乃のようだった。
「かすみ。よく頑張ったね」
「ああ、よくやったぞ!」
僕と秀晴が声をかけると、にこりと微笑むかすみだった。
「先生……じゃなかった、義父さま。どうか抱いてあげてください」
僕に孫を差し出す昭政くん。
優しく抱きしめる。壊れそうで弱々しくて。だからこそ大切にしないといけないと思う大事な宝物。
僕の孫だった。
「名前は霧助(きりすけ)と名付けました」
「霧助か……」
それしか言えなかった。
胸が一杯になってしまったから。
霧助が僕の胸の中で笑っている。
「あはは。霧助はやっぱりおじいちゃんが好きなのね」
かすみがそう言うと周りがどっと湧いた。
本当に可愛らしいな。
「父さまは丹波国を任されているそうですが、大変ですよね」
秀晴に霧助を任せるとかすみがそんなことを言い出した。
珍しいなと思いつつ「まあ大変と言えば大変かな」と答えた。
「でもやりがいはあるよ。僕の内政で丹波国の民が豊かになってくれれば嬉しい」
僕の答えにかすみは「父さまなら大丈夫ですね」と微笑んだ。
「さてと。長政の見舞いでもするかな」
そう言って腰を上げる。
「秀晴はしばらく、ここに居てくれ」
「はい、分かりました」
僕は小姓に案内されて、長政が臥せっている部屋に向かった。
長政は寝巻き姿で布団の上で眠るでもなく、横になって寝ていた。
「長政。久しぶりだね」
「うん? ああ、雲之介か」
僕は長政の傍に座った。
「臥せっていると聞いたけど、どうなんだ?」
顔色が悪いので率直に訊ねると「正直、良くないな」と顔をしかめる長政。
「徐々に身体が弱っているのを感じている」
「……京から名医を呼ぼうか?」
「そこまでしなくてもいい。ただ一つだけ約束してくれないか?」
僕は長政に頷いた。
「昭政のことを頼む。あいつは未熟だが、拙者以上の武将になれると信じている」
「まるで遺言みたいじゃないか」
「そんなつもりはない。約束してくれるか?」
昭政くんは僕の義理の息子でもある。もちろん約束した。
「ああ。任せてくれ。というかさっさと身体を治してくれよ」
「ああ、もちろんだ」
長浜城を後にして、僕たちは京に向かった。
「父さま。霧助が次々代の浅井家当主になると思いますか?」
途中で秀晴が妙なことを言い出した。
「あのまますくすくと育ってくれれば、可能性はあると思うよ。それがどうしたんだ?」
「ということは、丹波国と北近江国は強固な関係で結ばれることになります」
「……秀吉は僕のことを信用してくれている」
暗に警戒されるのではないかと秀晴は言うけど、僕はそう返した。
それが全ての答えだった。
不安ではなく疑惑の目を向けてくる秀晴はそれっきり何も言わなかった。
京の公家屋敷。
勧修寺晴豊という亡き上様の武家伝奏で秀吉と親しい公家の養女を紹介してくれるとのことだった。
この場には僕と秀晴が正装をして待っていた。
「すまない。少し遅れた」
そう言いながら秀長さんが部屋に入ってきた。
僕は一礼して「このたびの婚姻の仲介、ありがとうございます」と言う。
秀晴も同じように頭を下げた。
「そんなにかしこまらないでくれ。私としても勧修寺家が嫁に出すとは思わなかった」
勧修寺家とは名家の一つで昇殿を許される堂上家の一つでもある。藤原北家の支流らしく、僕のような出自の怪しい人間とは雲泥の差のある由緒正しい名族だった。
「もしかして、山科家が関与していますか?」
秀晴は初めからそれを疑っていたらしい。
しかし秀長さんは「それはない」ときっぱり答えた。
「はっきり言えば、丹波国を治める大名と近づきたい公家は多い。でも、なんといえばいいのか……雨竜家は新しい家だ。伝統や由緒のない家に輿入れするとなると躊躇う者が多かった」
「それが何故、勧修寺家という名家になったのですか?」
秀晴がさらに訊くと「兄者が圧力をかけてな」と苦笑した。
「それで、仕方なく勧修寺家が名乗りを上げたというわけだ」
「まあ、公家は血筋が大事ですからね」
秀晴は何とも思っていないようだけど、僕の胸中は複雑だった。
それからすぐに、勧修寺晴豊が現れた。
中肉中背。それでいて威厳のある顔。口髭を生やしていて、それがまた威厳を醸し出している。僕と同年代かそれ以上の年齢だろう。
「勧修寺晴豊と申す。そなたらが雨竜秀昭と雨竜秀晴か?」
僕は「はい。そうです」と答えた。
晴豊殿は「こたびの婚姻。真に喜ばしい」と言った。
「さっそく、我が養女と会わせよう。なつ。こちらへ来なさい」
晴豊殿の呼びかけで部屋に入ってきたのは、秀晴と同年代の美しい女性だった。
面長で優しげな表情。目元が涼しげだった。煌びやかな着物を着ていて、公家の娘らしい。
「なつと申します」
平伏して顔を上げると、なつさんは秀晴の顔を見て――固まった。
うん? なんだ? そう思って秀晴の顔を見ると――同じく固まっていた。
「な、なっちゃん?」
秀晴の呟きになつさんは目を見開いた。
「せ、晴太郎くん……なんで……」
「なんだ。二人は知り合いだったのか」
僕の問いに二人はさあっと青ざめた。
何か変だと思った僕は晴豊殿の顔を見た。
二人以上に顔が青かった。というより白くなっている。
「……勧修寺晴豊殿。これはどういうことですかな」
秀長さんが物凄い顔で晴豊殿を問い詰める。
ここでようやく、僕は悟った。
「もしかして……公家の娘じゃない?」
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