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邂逅 前編
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「佐々木氏、お久しぶり――何かありましたかな?」
カフェに到着して、樫川と深沢と再会した。
しかし俺の顔を見るなり心配そうな顔をする樫川。一応なんでもないと言っておく。
「そうですか……何かあればすぐに言ってください」
そうだ。なんでもないことなのだ。
祭りのことも、昨夜のことも。
「それで、佐々木先輩。何か分かったことはありますか?」
相変わらず黒ずくめの深沢がクールに言う。寝不足なのか、目の下に隈があった。
「いや、日記からは何も分からなかった。親父は年々、気が狂ってしまっていて、確かなことは何も書かれていなかった」
「そうですか……」
深沢は目に見えてがっかりしていた。
罵倒がないせいか、なんだか心が痛んでくる。
「お前らはどうなんだ? 何か分かったのか?」
樫川は深沢をちらりと見て「まずは僕から報告します」と言う。
「結論から言って、邪教は存在していました」
「……マジか。この街に存在しているのか?」
「いえ、なんと説明すればいいのか分かりませんが、邪教はありますけど、詳細は不明なのですよ」
あるのに詳細不明?
「もったいぶらずに言ってくれ。樫川、邪教って一体なんなんだ? 誰が行なっているんだ?」
「邪教は……邪神に生贄を捧げる儀式をしているそうです。まあ佐々木氏の父の日記に書かれているとおりのことをしているみたいです」
生贄だと?
この現代社会でそんな原始的で野蛮な行為をしている奴らが居るのか?
「親父の妄想や俺の幻想じゃなかったんだな……」
「それならば良かったのですが。いえ良くはありませんな」
「気を使わなくていい。狂人の妄想で話が済めば良かったと俺も思う」
すると深沢は「それが本当なら、私が調べたことに関係があるかもしれません」と元気なく言う。よく見てみると顔色も悪い。
「深沢、大丈夫か? 体調が悪いのか?」
「平気です。それに私の体調が悪いということは佐々木先輩には関係ないです」
「いや、それはそうだが……」
深沢は黒いバックの中からA4サイズの数十枚ずつの紙の束を三本取り出した。
「行方不明者の詳細を調べたら、奇妙なことが分かったんです」
「奇妙なこと?」
俺の問いに深沢は答えずに付箋に『A』と書かれた紙の束を見せる。
「こちらの紙に書かれた行方不明者を見てください。どうやら邪教と関係ありそうです」
紙を読んでいくとすぐに分かった。二、三人ずつ名字が同じだった。石川だったり、宮地だったり……
「写真は入手できませんでしたが、おそらく家族か親戚なのでしょう」
つまりもしも行方不明者が邪教と関係しているとしたら――
「同じ『血』を持つ人間たちを生贄に捧げているというわけですな」
背筋が寒くなる話だった。何年も何十年もかけて、邪教はまるでこの街を牧場のように管理している。牛や羊ではなく、人間を。
「同じ血筋の人間は三通りに分けることができました。A~Cに分類しています」
「もしかすると、そのABCの先祖は一緒かもしれませんな」
「やめろよ。そんな空想」
「佐々木氏。もはや空想とは言えませんぞ」
樫川は汗をかいている。暑いからではなく、冷や汗だろう。
俺も背中にじっとりとした汗が吹き出るのを感じた。
「それでどうするんだ? 警察にでも通報するのか?」
この時点でも俺はオカルトの脅威を分かっていなかった。だからこんな発言をしてしまったのだ。
樫川は首を横に振った。
「いえ、それはできません。邪教が実在するのか、そして生贄を捧げているのか、それらの証拠はまったくありません」
「じゃあ樫川。どうしてお前は分かったんだ?」
「大石氏や他のオカルトマニアに相談して調べてもらったのですが、その中の一人が断片的な情報を教えてくれたのです」
「そいつの名前とか知っているのか?」
「ええ。しかしその情報をもらってから音信不通になってしまいましてね。これから彼の自宅へと行くつもりです」
音信不通。嫌な予感がした。
「そいつと連絡が取れなくなって、どのくらいだ?」
「昨日からですな」
「そっか。じゃあ樫川、一緒に行こう」
俺は立ち上がり、深沢にも声をかけた。
「お前も一緒に来るか?」
「当たり前ですよ。ここまで調べて、別れるなんて嫌です」
深沢は紙の束をバックに仕舞った。
「……いえ、二人には他にやってほしいことがありまして」
樫川はそう言ってポケットから紙を取り出した。
「この住所――時峰公園で午前十一時に人と会う約束をしているのですが、先ほど言ったとおり、彼のことが心配でして、代わりに二人で行ってもらいたいのです」
時峰公園は行ったことはないが、住所には見覚えがある。確かシャッター通りの近くだ。
「どんな人なんだ? 代理で行っても大丈夫なのか?」
「どんな人かと言えば、オカルトに詳しい人としか分かりません。代理の件は既に先方に伝えてあります。お二人にはその人から情報を貰ってほしいのです」
俺の脳裏に髭面で汚らしい格好をしたおっさんが浮かんだ。
「おいおい。信用できるのかよ?」
「彼からの紹介です。信用できます」
樫川に強く言われてしまっては、こちらは何も言えない。
「分かったよ。それじゃあ、行くか、深沢」
「……佐々木先輩と一緒なのは嫌ですけど、仕方ないですね」
こいつ、いちいち嫌味を言わないと生きていけないのか?
「ああ、彼のハンドルネーム、『オウマガトキ』の知り合いだとお伝えください」
樫川もリュックサックを背負って立ち上がる。
俺は大事なことを聞くのを忘れていたので、樫川に訊ねる。
「そういえば、相手の名前は?」
樫川は端的に答えた。
「相手の名は『占い師』だそうです」
◆◇◆◇
「暑いな……溶けそうだ。深沢、アイスでも――」
「そのままなめくじのように溶けてください」
「…………」
そういうわけで深沢と一緒に『占い師』の元へ向かうのだが、会話にならなかった。
せっかくの機会だから、少しでも歩み寄ろうとしているのだが。
思い返せば深沢と二人っきりになるのは初めてだったな。
初めて会ったときを思い出す。いきなり「なんであなたがここに居るんですか?」と言われた。いや、部員だから居るんだと答えると「最低です」と追撃された。意味が分からない。
シャッター通りを歩きながら、俺はいよいよ核心を突こうと深沢に訊いた。
「なあ。どうしてそんなに俺を毛嫌いするんだ?」
「毛嫌いではなくて、嫌っているんです」
「……俺が何かしたか? ていうか初対面から嫌っていたよな」
すると前のほうを歩いていた深沢は言う。
「……どうして文芸部に入ったんですか?」
突然話が飛んだので、面食らったが、樫川に誘われたことを話した。
「進んで入ったわけじゃないんですね」
「まあな。やりたいこともなかったしな」
深沢は「やりたいことがなかった、ですか……」と呟いた。
その呟きは怒りと悲しみが込められていた気がした。
「佐々木先輩は高校のとき、何部でしたか?」
「うん? 野球部だけど、それがどうした?」
話が飛び飛びなので深沢が何を言いたいのか、分からなかった。
「どうして大学でも続けなかったんですか? 怪我でもしたんですか?」
「いや、別に。ただ俺は夢を叶えてしまったからな」
「…………」
深沢は俺の言葉に何も返してくれなかった。何故か気まずくなったので、俺は続けて言い訳をした。
「なんていうか、夢を叶えちまったからやる気が無くなったって、よくあることだけどよ、俺は――」
「やめてください。見苦しいですよ」
深沢は振り返って俺の瞳を覗きこんだ。まるで何かを探ろうとしているようだった。
俺も自然と深沢の瞳を見てしまう。そこには失望の色が映っていた。
何に失望しているのだろう。
もしかして、それは俺だろうか。
「ふ、深沢――」
「あれですね。時峰公園」
突然、振り返って、深沢は指を指した。
確かに公園らしき場所が見えた。
「行きましょう。『占い師』という方から情報を貰うんですよね」
「ああ、そうだが――」
「早く行きましょう。これ以上、佐々木先輩と一緒に居たくありませんから」
最後に嫌味を言って、深沢は早足で公園に向かう。
腹を割って話せなかった虚しさと何がなんだか分からない不思議さを覚えつつ、俺は後を追った。
公園の入り口には石碑があり、『時峰公園』と横文字で彫られていて、その上に『ときみね』とルビが振られていた。
滑り台。ブランコ。砂場。動物がモチーフの遊具。鬼ごっこはできるけど、かくれんぼはできないくらいの広さだ。
とりあえず、俺と深沢は公園を一望できるベンチに座った。そのとき、深沢はわざと間を空けるように座りやがった。
スマホに表示された時間を見る。午前十時五十二分。
「少し早く来すぎたな」
「相手の性格や格好を聞かされてないですから、これから入ってくる人に注目すればいいですよ。幸い、公園には私たち以外居ませんから」
夏休みなのに公園に誰もいないのは、今の子供たちは外で遊ばなくなってしまったからだろうか。昔の俺はどうだったかな? ゲームは今より綺麗じゃなかったから、外で遊んだ方が楽しかった記憶がある。
深沢は黒のハンカチを取り出して、首筋の汗を拭っている。黒ずくめのファッションをしているせいだ。
どうして黒を好むのか。良い機会だから訊いてみよう。
「どうして深沢は黒ずくめなんだ?」
「……セクハラで訴えますよ」
「服の趣味訊いただけで!? どんだけ男女の格差が広まってんだよ!」
こいつとは本当に会話にならないな……
仕方ない、気まずくなるが俺も黙ってやろう。
そう思ってスマホを見た――
「あひゃひゃ。なんだい、あんたとは『縁』が合うみたいだねえ」
カフェに到着して、樫川と深沢と再会した。
しかし俺の顔を見るなり心配そうな顔をする樫川。一応なんでもないと言っておく。
「そうですか……何かあればすぐに言ってください」
そうだ。なんでもないことなのだ。
祭りのことも、昨夜のことも。
「それで、佐々木先輩。何か分かったことはありますか?」
相変わらず黒ずくめの深沢がクールに言う。寝不足なのか、目の下に隈があった。
「いや、日記からは何も分からなかった。親父は年々、気が狂ってしまっていて、確かなことは何も書かれていなかった」
「そうですか……」
深沢は目に見えてがっかりしていた。
罵倒がないせいか、なんだか心が痛んでくる。
「お前らはどうなんだ? 何か分かったのか?」
樫川は深沢をちらりと見て「まずは僕から報告します」と言う。
「結論から言って、邪教は存在していました」
「……マジか。この街に存在しているのか?」
「いえ、なんと説明すればいいのか分かりませんが、邪教はありますけど、詳細は不明なのですよ」
あるのに詳細不明?
「もったいぶらずに言ってくれ。樫川、邪教って一体なんなんだ? 誰が行なっているんだ?」
「邪教は……邪神に生贄を捧げる儀式をしているそうです。まあ佐々木氏の父の日記に書かれているとおりのことをしているみたいです」
生贄だと?
この現代社会でそんな原始的で野蛮な行為をしている奴らが居るのか?
「親父の妄想や俺の幻想じゃなかったんだな……」
「それならば良かったのですが。いえ良くはありませんな」
「気を使わなくていい。狂人の妄想で話が済めば良かったと俺も思う」
すると深沢は「それが本当なら、私が調べたことに関係があるかもしれません」と元気なく言う。よく見てみると顔色も悪い。
「深沢、大丈夫か? 体調が悪いのか?」
「平気です。それに私の体調が悪いということは佐々木先輩には関係ないです」
「いや、それはそうだが……」
深沢は黒いバックの中からA4サイズの数十枚ずつの紙の束を三本取り出した。
「行方不明者の詳細を調べたら、奇妙なことが分かったんです」
「奇妙なこと?」
俺の問いに深沢は答えずに付箋に『A』と書かれた紙の束を見せる。
「こちらの紙に書かれた行方不明者を見てください。どうやら邪教と関係ありそうです」
紙を読んでいくとすぐに分かった。二、三人ずつ名字が同じだった。石川だったり、宮地だったり……
「写真は入手できませんでしたが、おそらく家族か親戚なのでしょう」
つまりもしも行方不明者が邪教と関係しているとしたら――
「同じ『血』を持つ人間たちを生贄に捧げているというわけですな」
背筋が寒くなる話だった。何年も何十年もかけて、邪教はまるでこの街を牧場のように管理している。牛や羊ではなく、人間を。
「同じ血筋の人間は三通りに分けることができました。A~Cに分類しています」
「もしかすると、そのABCの先祖は一緒かもしれませんな」
「やめろよ。そんな空想」
「佐々木氏。もはや空想とは言えませんぞ」
樫川は汗をかいている。暑いからではなく、冷や汗だろう。
俺も背中にじっとりとした汗が吹き出るのを感じた。
「それでどうするんだ? 警察にでも通報するのか?」
この時点でも俺はオカルトの脅威を分かっていなかった。だからこんな発言をしてしまったのだ。
樫川は首を横に振った。
「いえ、それはできません。邪教が実在するのか、そして生贄を捧げているのか、それらの証拠はまったくありません」
「じゃあ樫川。どうしてお前は分かったんだ?」
「大石氏や他のオカルトマニアに相談して調べてもらったのですが、その中の一人が断片的な情報を教えてくれたのです」
「そいつの名前とか知っているのか?」
「ええ。しかしその情報をもらってから音信不通になってしまいましてね。これから彼の自宅へと行くつもりです」
音信不通。嫌な予感がした。
「そいつと連絡が取れなくなって、どのくらいだ?」
「昨日からですな」
「そっか。じゃあ樫川、一緒に行こう」
俺は立ち上がり、深沢にも声をかけた。
「お前も一緒に来るか?」
「当たり前ですよ。ここまで調べて、別れるなんて嫌です」
深沢は紙の束をバックに仕舞った。
「……いえ、二人には他にやってほしいことがありまして」
樫川はそう言ってポケットから紙を取り出した。
「この住所――時峰公園で午前十一時に人と会う約束をしているのですが、先ほど言ったとおり、彼のことが心配でして、代わりに二人で行ってもらいたいのです」
時峰公園は行ったことはないが、住所には見覚えがある。確かシャッター通りの近くだ。
「どんな人なんだ? 代理で行っても大丈夫なのか?」
「どんな人かと言えば、オカルトに詳しい人としか分かりません。代理の件は既に先方に伝えてあります。お二人にはその人から情報を貰ってほしいのです」
俺の脳裏に髭面で汚らしい格好をしたおっさんが浮かんだ。
「おいおい。信用できるのかよ?」
「彼からの紹介です。信用できます」
樫川に強く言われてしまっては、こちらは何も言えない。
「分かったよ。それじゃあ、行くか、深沢」
「……佐々木先輩と一緒なのは嫌ですけど、仕方ないですね」
こいつ、いちいち嫌味を言わないと生きていけないのか?
「ああ、彼のハンドルネーム、『オウマガトキ』の知り合いだとお伝えください」
樫川もリュックサックを背負って立ち上がる。
俺は大事なことを聞くのを忘れていたので、樫川に訊ねる。
「そういえば、相手の名前は?」
樫川は端的に答えた。
「相手の名は『占い師』だそうです」
◆◇◆◇
「暑いな……溶けそうだ。深沢、アイスでも――」
「そのままなめくじのように溶けてください」
「…………」
そういうわけで深沢と一緒に『占い師』の元へ向かうのだが、会話にならなかった。
せっかくの機会だから、少しでも歩み寄ろうとしているのだが。
思い返せば深沢と二人っきりになるのは初めてだったな。
初めて会ったときを思い出す。いきなり「なんであなたがここに居るんですか?」と言われた。いや、部員だから居るんだと答えると「最低です」と追撃された。意味が分からない。
シャッター通りを歩きながら、俺はいよいよ核心を突こうと深沢に訊いた。
「なあ。どうしてそんなに俺を毛嫌いするんだ?」
「毛嫌いではなくて、嫌っているんです」
「……俺が何かしたか? ていうか初対面から嫌っていたよな」
すると前のほうを歩いていた深沢は言う。
「……どうして文芸部に入ったんですか?」
突然話が飛んだので、面食らったが、樫川に誘われたことを話した。
「進んで入ったわけじゃないんですね」
「まあな。やりたいこともなかったしな」
深沢は「やりたいことがなかった、ですか……」と呟いた。
その呟きは怒りと悲しみが込められていた気がした。
「佐々木先輩は高校のとき、何部でしたか?」
「うん? 野球部だけど、それがどうした?」
話が飛び飛びなので深沢が何を言いたいのか、分からなかった。
「どうして大学でも続けなかったんですか? 怪我でもしたんですか?」
「いや、別に。ただ俺は夢を叶えてしまったからな」
「…………」
深沢は俺の言葉に何も返してくれなかった。何故か気まずくなったので、俺は続けて言い訳をした。
「なんていうか、夢を叶えちまったからやる気が無くなったって、よくあることだけどよ、俺は――」
「やめてください。見苦しいですよ」
深沢は振り返って俺の瞳を覗きこんだ。まるで何かを探ろうとしているようだった。
俺も自然と深沢の瞳を見てしまう。そこには失望の色が映っていた。
何に失望しているのだろう。
もしかして、それは俺だろうか。
「ふ、深沢――」
「あれですね。時峰公園」
突然、振り返って、深沢は指を指した。
確かに公園らしき場所が見えた。
「行きましょう。『占い師』という方から情報を貰うんですよね」
「ああ、そうだが――」
「早く行きましょう。これ以上、佐々木先輩と一緒に居たくありませんから」
最後に嫌味を言って、深沢は早足で公園に向かう。
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滑り台。ブランコ。砂場。動物がモチーフの遊具。鬼ごっこはできるけど、かくれんぼはできないくらいの広さだ。
とりあえず、俺と深沢は公園を一望できるベンチに座った。そのとき、深沢はわざと間を空けるように座りやがった。
スマホに表示された時間を見る。午前十時五十二分。
「少し早く来すぎたな」
「相手の性格や格好を聞かされてないですから、これから入ってくる人に注目すればいいですよ。幸い、公園には私たち以外居ませんから」
夏休みなのに公園に誰もいないのは、今の子供たちは外で遊ばなくなってしまったからだろうか。昔の俺はどうだったかな? ゲームは今より綺麗じゃなかったから、外で遊んだ方が楽しかった記憶がある。
深沢は黒のハンカチを取り出して、首筋の汗を拭っている。黒ずくめのファッションをしているせいだ。
どうして黒を好むのか。良い機会だから訊いてみよう。
「どうして深沢は黒ずくめなんだ?」
「……セクハラで訴えますよ」
「服の趣味訊いただけで!? どんだけ男女の格差が広まってんだよ!」
こいつとは本当に会話にならないな……
仕方ない、気まずくなるが俺も黙ってやろう。
そう思ってスマホを見た――
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