上 下
14 / 17
波乱の学園生活

決着

しおりを挟む
 帝国諜報部特務少佐。これがルージュことルージュリアの本当の姿だ。

一瞬警戒を見せたルージュだったがすぐに平静を装う。

「おいおい何の話だ?俺はこの通りこの王国のただの平民だぜ?」

「うちの騎士団と暗部を甘く見ないでもらいたいね。

君はやりすぎたんだ。何があったか知らないがある時期から急に行動が大胆になった。

何か確信を持っているかのように動くようになった。おかげでこちらは楽に証拠を押さえることができた。」

そう言いながら王城から送られてきた書状の写しを彼に見せる。

「王国、山の国、砂の国の3国の連名で帝国に抗議させて貰ったよ。その解答がこれだ。」

そこに書かれているのはルージュリアという者と帝国の関係性の否定。

帝国は彼と彼の部下達を切り捨てたのだ。

「あぁ、帝国はこうして否定しているから自称・・帝国諜報部特務少佐かな?

君には国家転覆罪の容疑がかかっている。」

手で合図をするといつ間にか中庭を囲むように潜んでいた騎士団が現れ、一斉に彼に向かって槍を向けた。

「いいのかよ。俺に何かあったらそこの嬢ちゃん達の家族に危険が及ぶぞ?」

「彼女らの両親を狙っていた君の部下は既に捕らえている。この学園に潜んでいた者も全てね。

残っているのは君だけだよ。ルージュリア。」

取り押さえられたルージュリアを騎士団が連行し、その場は僕達とリゲルだけとなった。

「さて、これで君の野望は潰えたことになるかな?リゲル殿。」

僕が現れてから状況についていけず動けなかったリゲルに声をかけると、途端に彼女は僕を睨みつけた。

「どこまでも私の邪魔をするのね、偽物王子。」

「まだその妄想に囚われているのか。何度もいっているだろう。ここは君の言うルミファン?の世界では無い。

いい加減現実を受け入れるんだ。」

しかし僕の言葉は彼女には届かない。彼女は黙って僕を睨みつけるとそのまま去って行った。

ルージュと違って彼女には罪はない。前世なら脅迫罪幇助とかになるかもしれないがこの世界にはそんなものはない。

しかしもう彼女にはこの学園に居場所はないだろう。

「ブランシュ様・・・」

そんな事を考えていると後ろからキュリテに声をかけられた。

「「申し訳ございません。そして、両親を助けていただきありがとうございます、殿下。」」

リッタとロッタが声を揃えて謝罪と感謝に頭を下げる。

「いや、こちらこそご両親を危険な目に合わせてしまい申し訳なかった。

全員無事で何よりだよ。」

リッタとロッタの両親には監視がついており、彼女達の人質となっていた。

それが彼女達が彼らに従わされた理由だった。

「キュリテも。辛い思いをさせたね。すまなかった。」

すると彼女は涙を浮かべて首を振る。

「いえ、いえ。一人で抱え込もうとした私が悪いんです。」

後悔の念を漏らす彼女を僕は抱き寄せた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうぞ二人の愛を貫いてください。悪役令嬢の私は一抜けしますね。

kana
恋愛
私の目の前でブルブルと震えている、愛らく庇護欲をそそる令嬢の名前を呼んだ瞬間、頭の中でパチパチと火花が散ったかと思えば、突然前世の記憶が流れ込んできた。 前世で読んだ小説の登場人物に転生しちゃっていることに気付いたメイジェーン。 やばい!やばい!やばい! 確かに私の婚約者である王太子と親しすぎる男爵令嬢に物申したところで問題にはならないだろう。 だが!小説の中で悪役令嬢である私はここのままで行くと断罪されてしまう。 前世の記憶を思い出したことで冷静になると、私の努力も認めない、見向きもしない、笑顔も見せない、そして不貞を犯す⋯⋯そんな婚約者なら要らないよね! うんうん! 要らない!要らない! さっさと婚約解消して2人を応援するよ! だから私に遠慮なく愛を貫いてくださいね。 ※気を付けているのですが誤字脱字が多いです。長い目で見守ってください。

訳あり侯爵様に嫁いで白い結婚をした虐げられ姫が逃亡を目指した、その結果

柴野
恋愛
国王の側妃の娘として生まれた故に虐げられ続けていた王女アグネス・エル・シェブーリエ。 彼女は父に命じられ、半ば厄介払いのような形で訳あり侯爵様に嫁がされることになる。 しかしそこでも不要とされているようで、「きみを愛することはない」と言われてしまったアグネスは、ニヤリと口角を吊り上げた。 「どうせいてもいなくてもいいような存在なんですもの、さっさと逃げてしまいましょう!」 逃亡して自由の身になる――それが彼女の長年の夢だったのだ。 あらゆる手段を使って脱走を実行しようとするアグネス。だがなぜか毎度毎度侯爵様にめざとく見つかってしまい、その度失敗してしまう。 しかも日に日に彼の態度は温かみを帯びたものになっていった。 気づけば一日中彼と同じ部屋で過ごすという軟禁状態になり、溺愛という名の雁字搦めにされていて……? 虐げられ姫と女性不信な侯爵によるラブストーリー。 ※小説家になろうに重複投稿しています。

私は婚約破棄を回避するため王家直属「マルサ」を作って王国財政を握ることにしました

中七七三
ファンタジー
王立貴族学校卒業の年の夏―― 私は自分が転生者であることに気づいた、というか思い出した。 王子と婚約している公爵令嬢であり、ご他聞に漏れず「悪役令嬢」というやつだった このまま行くと卒業パーティで婚約破棄され破滅する。 私はそれを回避するため、王国の財政を握ることにした。

【完結】護衛騎士と令嬢の恋物語は美しい・・・傍から見ている分には

月白ヤトヒコ
恋愛
没落寸前の伯爵令嬢が、成金商人に金で買われるように望まぬ婚約させられ、悲嘆に暮れていたとき、商人が雇った護衛騎士と許されない恋に落ちた。 令嬢は屋敷のみんなに応援され、ある日恋する護衛騎士がさる高位貴族の息子だと判明した。 愛で結ばれた令嬢と護衛騎士は、商人に婚約を解消してほしいと告げ―――― 婚約は解消となった。 物語のような展開。されど、物語のようにめでたしめでたしとはならなかった話。 視点は、成金の商人視点。 設定はふわっと。

聖女は妹ではありません。本物の聖女は、私の方です

光子
恋愛
私の双子の妹の《エミル》は、聖女として産まれた。 特別な力を持ち、心優しく、いつも愛を囁く妹は、何の力も持たない、出来損ないの双子の姉である私にも優しかった。 「《ユウナ》お姉様、大好きです。ずっと、仲良しの姉妹でいましょうね」 傍から見れば、エミルは姉想いの可愛い妹で、『あんな素敵な妹がいて良かったわね』なんて、皆から声を掛けられた。 でも違う、私と同じ顔をした双子の妹は、私を好きと言いながら、執着に近い感情を向けて、私を独り占めしようと、全てを私に似せ、奪い、閉じ込めた。 冷たく突き放せば、妹はシクシクと泣き、聖女である妹を溺愛する両親、婚約者、町の人達に、酷い姉だと責められる。 私は妹が大嫌いだった。 でも、それでも家族だから、たった一人の、双子の片割れだからと、ずっと我慢してきた。 「ユウナお姉様、私、ユウナお姉様の婚約者を好きになってしまいました。《ルキ》様は、私の想いに応えて、ユウナお姉様よりも私を好きだと言ってくれました。だから、ユウナお姉様の婚約者を、私に下さいね。ユウナお姉様、大好きです」  ――――ずっと我慢してたけど、もう限界。 好きって言えば何でも許される免罪符じゃないのよ? 今まで家族だからって、双子の片割れだからって我慢してたけど、もう無理。 丁度良いことに、両親から家を出て行けと追い出されたので、このまま家を出ることにします。 さようなら、もう二度と貴女達を家族だなんて思わない。 泣いて助けを求めて来ても、絶対に助けてあげない。 本物の聖女は私の方なのに、馬鹿な人達。 不定期更新。 この作品は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

悪役令嬢の悪行とやらって正直なにも悪くなくない?ってお話

下菊みこと
恋愛
多分微ざまぁ? 小説家になろう様でも投稿しています。

私のバラ色ではない人生

野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。 だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。 そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。 ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。 だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、 既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。 ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。

氷の貴婦人

恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。 呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。 感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。 毒の強めなお話で、大人向けテイストです。

処理中です...