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海 3

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「それではメンバーも増えたので、『ビーチでドキドキ!ときめきバレー』をはじめまーす!
という訳で、進行かつ審判をさせて頂きます香奈です!」


「これただのビーチバレーでしょ?」

「メンバーは公正にクジで決めました!」

無視か!

香奈は運動音痴の為、自ら審判を名乗り出た。
試合は3対3で、

Aチームが律、優希、茉由実。
Bチームが私、柳瀬、秋元君だ。


「男対女でいいじゃん。女の子いないの寂しいよー。」

「それじゃ力の差がついちゃうでしょ?ダメです!」

「大丈夫だ桃原。俺が守ってやるから!」

「いや、私バレー得意だし、第一私の実力知ってんじゃん。」

散々男女と言ってきた癖に何を言うか。


「俺は姫と一緒がいい。」

「はは、そりゃダメだ。くじ運悪くて残念だったなー、諦めろ。桃原のパートナーは俺だ。」

俺もいるぞー。って秋元君が呟いてる。
 

「何だと?」

「安心しろって。桃原は俺がサポートするからさ。」

「律は2人を助けてあげてね!まぁ、優希はバレー得意だから大丈夫だと思うけど。」

「よろしくね律くん!」

「頼りにしてるよ律さん!」

「…ふん。」


「それじゃ始めるよー!」


ーーー


それからは大接戦…と言えるのか。
何故か律と柳瀬しかボールに触れていない。

律もいつになくやる気だし、というか柳瀬にばかり強烈なボールを打ち付けている。
あのボールも良く耐えてるよ。

そして同じく柳瀬も律にばかりだ。

「ねぇー!私達にもボール!」

「そうだよ、2人だけで楽しんでないで、皆で楽しもうよー!」

「そうだそうだ!」
 
「そうだそうだー。」

秋元君もっと元気よく!


「「別に楽しんでない!」」


「じゃあなんで2人でやってんの。」

そして優希にボールがいった。


「よし来た!桃、私のアタックを受けてみろ!」

「望むところよ!こい!」


バシッ!!

こんなのチョロ…

余裕で取れると思ったけど、一歩出した瞬間にまんまと砂に足を取られた。

あ、ヤバ転ぶ。
まぁ、砂だし痛くないからいいか。

なんて事をコンマ何秒かで考えた。

しかし、


「危ねぇ!」

そんな声と共に、私の体の下に何かが滑り込んで来た。


「えっ⁈」


ドサッ、

「あたた、何…」



「……うわ、これが噂のラッキースケベ…」

「は…?」


っ!!?

私の下にスライディングしてきたのは柳瀬だった。
しかし、胸辺りがなんかおかしい。
恐る恐るそこを見ると、うつ伏せに倒れた私の胸にはしっかりと柳瀬の両の手が。


「っちょっと!これを狙ってたの⁈最低!」

慌てて起き上がって胸を庇う。
しかもなに両手で鷲掴んでんのよ!こういう時は片手で済ませるもんでしょ⁈


「ち、違う!つい本音が!」

「…柳瀬、それは言っちゃダメだろ。」

「そうだよ柳瀬君。審判的にもアウトだね。」

「はい、アウトー!柳瀬退場なー。」

「えー!悪かったよ、桃原!」

悪かったで済むか!なんで柳瀬に胸掴まれないといけないのよ!律にも触られた事無いのに!
ってか律は⁈なんで冷静に見て…

ん?律…?


いや冷静じゃなかった、手!手が燃えてるーー!!



「…おい、お前。今何をした?」

「いや、だからわざとじゃないんだって、事故!すげぇ柔らかかったけどすまん!
つーか手大丈夫か?燃えてるぞ?」

そんな悠長な!
普通手が燃えてたらヤバいでしょ⁈

「事故⁈ふざけんな、俺だってまだ触ってねぇんだぞ!燃やすぞ!」

あ、律も同じ事思ってたんだ。

「え、まじ⁈よっしゃ!桃原の初めてを俺が!?」

「喜ぶな柳瀬。殺されるぞ!」

もう遅いよ秋元君、柳瀬は律に殴られた。
もうバレーどころじゃなくなったのもあるけど、小腹も空いてきたし、スイカ割りをする事にした。その後も泳いだりして、騒がしいながらも結構満喫出来たと思う。

ただスイカ割りの時に目隠しした私に柳瀬が「エロっ」って呟いてまた律に殴られていたけど。
あの2人いつの間にあんなに仲良くなってたんだろう。


という訳でなんだかんだありながらも、楽しい夏休みを過ごしたのだった。


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