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 モンスターにとっては危険地帯であり、腕に覚えのある者が徒党を組んで襲撃したこともあったらしいが、どれも失敗したらしい。

 『俺ならヤれそうだけど面倒くさいしなぁ…… そもそも、恨みとかなんも無いし』

 結局、無視して先を急ぐことにした。
 同様のセーフゾーンは20階層にもあり、21階層では冒険者らしきパーティとモンスターが戦闘をしていた。
 しかし、それより下の階層には人間はおらず、すんなりと最下層である30階層にまで到達できた。

 『着いた』

 辺りは静まり返り、生物の気配はまったくしない。
 ダンジョンの造りは上層と差ほど変わらないが、一番の違いは何も無い黒い空間が存在していることであった。

 『造りかけ…… かな?』

 どちらかと言えば、黒い空間に構造物を配置している途中のように思えた。
 そして、不思議そうに周囲を見ている時だった!

 『誰だ?』

 『うわぁぉっ!?』

 突然、後ろから声を掛けられてビックリした。


 慌てて、現在は後ろにしている方の目を開いて見ると、そこには緑色のゼリー状の生物が居た。
 そう、グリーンスライムである。

 『なんだスライムか……』

 為次は振り向かずに前後を入れ替えて呟いた。

 『スライムだぞ』

 出逢ってしまった二匹の軟体系モンスター。
 お互い観察するように見つめ合う。

 『お前バグってんな』

 『え? あっ、うん。ステータスね…… バグってるかも』

 『どこから来たんだ?』

 『よそ者だって分かるの?』

 『ああ、触手モンスターなんてリストに無いし生産した覚えもないから』

 『生産? スライムがモンスター造ってるのん?』

 『う~ん…… スライム、ってよりはダンジョンマスターだな』

 『え~っと…… ダンマスなんだ……』

 『だな。で、お前は?』

 『俺は為次。宇宙人だよ』

 『宇宙…… 宇宙から来たのか?』

 と、スライムはゼリーで天井を指した。

 『どうして上を? って言うか、モンスターに宇宙が分かるんだ』

 『……ああ。まあいいか、お前には話してもいい気がするな』

 『?』

 『僕は元々人間で転生者だ。名前はジェル助』

 『へぇ』

 『ちょっとした事故で命を落として、気がつけばこの成りってな』

 『そうすか』

 『今は訳あってダンジョンを造ってる』

 『あ。ちょっと待って。とりあえず現状…… そう…… ねぇ。今居るのは異世界って認識かな?』

 『ん? まあ、そうだな』

 『んで、こっちが空で宇宙って認識かな?』

 と、為次は触手で天井を指した。

 『そうだな』

 『じゃあ、惑星の地表から地下に穴を掘ってるって認識と』

 『掘るのとは少し違う気もするけど、概ねそうだな。で、何が言いたいんだ?』

 『ん~…… まずは現状を把握しよう、そうしよう』

 『?』

 為次は何故かジェム助が答えに近づく存在に思えた。

 『ダイソン球』

 『!?』

 なので、まずは今居る場所の説明をすることにした。
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