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襲来1
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「……来るなら連絡くらい」
「急に予定が開いたから……」
玄関ホールが騒がしい。
自室にいたヴィオレットは玄関ホールに降りて行った。
「お客様ですか?」
集まっていた使用人に囲まれていても、頭一つ二つ分くらい背の高い男がヴィオレットを見た。
初対面ではあるが、どことなく見覚えがあるような顔立ちだ。肌は褐色で、黒髪黒目だった。この国の一般的な外見なので、マルス国民なのだろう。腰まで届く長い髪はポニーテールにしている。
「君がヴィー?」
使用人たちの間をすり抜けて、男がヴィオレットの目の前にやってきた。
自分は知らないのに名前を知られていることに戸惑いながら、ヴィオレットは頷いた。
会ったことがあるだろうかと脳をフル回転させるが、思い当たらない。
「はい。私がヴィオレットです、けど?」
「うわーさすがすっげー可愛い。背ぇ低ぅー。アルのやつ幼児趣味だったわけ?
ほっそー!オレはもうちょっと肉付きいいほうが好みだけどなー。まぁ肉感的なエルフってイメージじゃないけど。
ちゃんと食わせてもらってんの?」
「は、はい。十分すぎるほど食事はいただいてます」
男が誰か問おうとするより先にいきなり脇の下に手を入れられ、そのまま持ち上げられて思わず声をあげた。
「きゃ!」
「すっげー軽いなー。んー。大人のオーロラアマントリスくらいかな?」
「おろ、降ろしてください!」
ジタバタ暴れるが、ヴィオレットが暴れたくらいでは何ともないらしく、一向に降ろしてくれない。それどころかヴィオレットを持ち上げたまま子供をあやすときのようにその場をくるくると回り始めた。
「名乗りもしないでいい加減にしてください。あんた完全に不審者ですよ」
見かねたコンラッドがたしなめてくれ、ヴィオレットはようやく降ろしてもらえた。
男の顔を不躾とは思いながらもじっと見つめていると、ある人物に思い当たった。
間違っていたら申し訳ないので、こそっとコンラッドに小声で聞いてみる。
顔は似ているが、性格が全く違うというより真反対だ。
「あの、もしかしてこの方は」
「はい。アーノルド様のお兄様のテオドール様です」
コンラッドは頷いて肯定した。
「気軽にテオお兄ちゃんって呼んでね、ヴィー?」
テオドールがにっこり微笑んでウインクした。アーノルドなら絶対しない仕草がやり慣れているのか様になっている。
本人も肯定したのにいまいち信じられず、ヴィオレットはもう一度聞いた。
「あの、本当に……?」
「残念ながら本当です」
コンラッドは渋い顔で重々しく頷いた。
「急に予定が開いたから……」
玄関ホールが騒がしい。
自室にいたヴィオレットは玄関ホールに降りて行った。
「お客様ですか?」
集まっていた使用人に囲まれていても、頭一つ二つ分くらい背の高い男がヴィオレットを見た。
初対面ではあるが、どことなく見覚えがあるような顔立ちだ。肌は褐色で、黒髪黒目だった。この国の一般的な外見なので、マルス国民なのだろう。腰まで届く長い髪はポニーテールにしている。
「君がヴィー?」
使用人たちの間をすり抜けて、男がヴィオレットの目の前にやってきた。
自分は知らないのに名前を知られていることに戸惑いながら、ヴィオレットは頷いた。
会ったことがあるだろうかと脳をフル回転させるが、思い当たらない。
「はい。私がヴィオレットです、けど?」
「うわーさすがすっげー可愛い。背ぇ低ぅー。アルのやつ幼児趣味だったわけ?
ほっそー!オレはもうちょっと肉付きいいほうが好みだけどなー。まぁ肉感的なエルフってイメージじゃないけど。
ちゃんと食わせてもらってんの?」
「は、はい。十分すぎるほど食事はいただいてます」
男が誰か問おうとするより先にいきなり脇の下に手を入れられ、そのまま持ち上げられて思わず声をあげた。
「きゃ!」
「すっげー軽いなー。んー。大人のオーロラアマントリスくらいかな?」
「おろ、降ろしてください!」
ジタバタ暴れるが、ヴィオレットが暴れたくらいでは何ともないらしく、一向に降ろしてくれない。それどころかヴィオレットを持ち上げたまま子供をあやすときのようにその場をくるくると回り始めた。
「名乗りもしないでいい加減にしてください。あんた完全に不審者ですよ」
見かねたコンラッドがたしなめてくれ、ヴィオレットはようやく降ろしてもらえた。
男の顔を不躾とは思いながらもじっと見つめていると、ある人物に思い当たった。
間違っていたら申し訳ないので、こそっとコンラッドに小声で聞いてみる。
顔は似ているが、性格が全く違うというより真反対だ。
「あの、もしかしてこの方は」
「はい。アーノルド様のお兄様のテオドール様です」
コンラッドは頷いて肯定した。
「気軽にテオお兄ちゃんって呼んでね、ヴィー?」
テオドールがにっこり微笑んでウインクした。アーノルドなら絶対しない仕草がやり慣れているのか様になっている。
本人も肯定したのにいまいち信じられず、ヴィオレットはもう一度聞いた。
「あの、本当に……?」
「残念ながら本当です」
コンラッドは渋い顔で重々しく頷いた。
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