16 / 66
嫉妬2
しおりを挟む
「いいですよね?」
とニコッと微笑まれれば、大抵休日の予定が真っ白な祐に断る理由はない。
むしろ自宅に誘われるのは新密度が増したようで嬉しい。
樹は気づかいがうまいので、祐のほうは一緒にいて気兼ねないし楽しく過ごせるが、樹と休日過ごしたい相手など引く手あまただろうし、その中の誰かのほうが一緒にいて楽しいのだろうと思うので、何故自分にこんなに構ってくれるのだろうとは不思議に思うが。
ほどなくすると樹の自宅マンションに到着した。マンションの地下にある駐車場に停めると、そのまま広いロビーに出る。荷物はさりげなく樹が持ってくれた。
シャンデリアに落ち着いた絵画。よく分からない壺などの置物。待ち合わせに休めそうなソファ。
奥行きがあり高級のある内装は、高級ホテルのロビーのようだ。
「千堂様、お帰りなさいませ」
「ただいま帰りました。お疲れ様っす」
コンシェルジュがうやうやしく挨拶してくれるのを慣れた様子で片手をあげて樹が応える。
すたすたと迷いなく樹がエレベーターに乗り込むのを小走りで祐も着いていく。
「何これ?千堂くん、僕と違う会社だった?」
「俺と会社で過ごした時間消去するとか小鳩さんひでぇ。確かに社内でそんな絡みないですけど」
けたけたと樹が笑う。
樹の自宅は会社に程近いタワーマンションだった。会社は都心にあるのでその近くのタワーマンションということは当然家賃も高いだろう。
「電車通勤嫌なので徒歩通勤できるとこにしました。終電逃したときのタクシーけっこーでかいし。
あと瀬奈じゃないけど、俺もセキュリティちゃんとしてないと色々面倒なんで」
軽い口調で言っているが、下手したら家賃は祐の給料半月、もしくは一月分くらいだと思われる。
女の子じゃなくてもイケメンはストーカーやらなにやらあるのかもしれない。祐には今後も縁のない苦労だと思われるが、イケメンも大変なのだろう。
「あれ?そういえば」
祐はふと疑問に思い当たる。
初めてイメチェンに付き合ってくれたとき、改札の中まで送ってくれたが、樹は入る必要はなかったのではないか。電車に乗らなくてもホームに入ってしまえばお金を取られたはずだ。数百円くらいの話だが。
その事を祐が口にすると、
「駅からそのままマンション入れるしついでです」
「今度は改札手前まででいいから」
祐が念を押すと樹は渋々といった様子で頷いた。
リア充なので送ってくれるのに慣れているのだろう。相手が女の子だったら基本的に家まで送ってくれるのかもしれない。
だが祐は女の子ではないし、数百円とは言え使わなくてもいいお金を使わせるのは申し訳ない。
「こっちです」
エレベーターが止まり、樹に続いて降りると樹の部屋に着くまでにちらほら住人とすれ違った。
普通に暮らしていたら都心のタワーマンションなど、祐が足を踏み入れることは到底なかっただろう。すれ違う他の住人も祐と関わりなさそうな雰囲気の人ばかりだ。スーツをびしっと決めている初老の男性がいると思えば、夜の香り漂う妖艶なお姉さんがにこっと微笑んでくれたりする。
とニコッと微笑まれれば、大抵休日の予定が真っ白な祐に断る理由はない。
むしろ自宅に誘われるのは新密度が増したようで嬉しい。
樹は気づかいがうまいので、祐のほうは一緒にいて気兼ねないし楽しく過ごせるが、樹と休日過ごしたい相手など引く手あまただろうし、その中の誰かのほうが一緒にいて楽しいのだろうと思うので、何故自分にこんなに構ってくれるのだろうとは不思議に思うが。
ほどなくすると樹の自宅マンションに到着した。マンションの地下にある駐車場に停めると、そのまま広いロビーに出る。荷物はさりげなく樹が持ってくれた。
シャンデリアに落ち着いた絵画。よく分からない壺などの置物。待ち合わせに休めそうなソファ。
奥行きがあり高級のある内装は、高級ホテルのロビーのようだ。
「千堂様、お帰りなさいませ」
「ただいま帰りました。お疲れ様っす」
コンシェルジュがうやうやしく挨拶してくれるのを慣れた様子で片手をあげて樹が応える。
すたすたと迷いなく樹がエレベーターに乗り込むのを小走りで祐も着いていく。
「何これ?千堂くん、僕と違う会社だった?」
「俺と会社で過ごした時間消去するとか小鳩さんひでぇ。確かに社内でそんな絡みないですけど」
けたけたと樹が笑う。
樹の自宅は会社に程近いタワーマンションだった。会社は都心にあるのでその近くのタワーマンションということは当然家賃も高いだろう。
「電車通勤嫌なので徒歩通勤できるとこにしました。終電逃したときのタクシーけっこーでかいし。
あと瀬奈じゃないけど、俺もセキュリティちゃんとしてないと色々面倒なんで」
軽い口調で言っているが、下手したら家賃は祐の給料半月、もしくは一月分くらいだと思われる。
女の子じゃなくてもイケメンはストーカーやらなにやらあるのかもしれない。祐には今後も縁のない苦労だと思われるが、イケメンも大変なのだろう。
「あれ?そういえば」
祐はふと疑問に思い当たる。
初めてイメチェンに付き合ってくれたとき、改札の中まで送ってくれたが、樹は入る必要はなかったのではないか。電車に乗らなくてもホームに入ってしまえばお金を取られたはずだ。数百円くらいの話だが。
その事を祐が口にすると、
「駅からそのままマンション入れるしついでです」
「今度は改札手前まででいいから」
祐が念を押すと樹は渋々といった様子で頷いた。
リア充なので送ってくれるのに慣れているのだろう。相手が女の子だったら基本的に家まで送ってくれるのかもしれない。
だが祐は女の子ではないし、数百円とは言え使わなくてもいいお金を使わせるのは申し訳ない。
「こっちです」
エレベーターが止まり、樹に続いて降りると樹の部屋に着くまでにちらほら住人とすれ違った。
普通に暮らしていたら都心のタワーマンションなど、祐が足を踏み入れることは到底なかっただろう。すれ違う他の住人も祐と関わりなさそうな雰囲気の人ばかりだ。スーツをびしっと決めている初老の男性がいると思えば、夜の香り漂う妖艶なお姉さんがにこっと微笑んでくれたりする。
5
お気に入りに追加
469
あなたにおすすめの小説
童貞が建設会社に就職したらメスにされちゃった
なる
BL
主人公の高梨優(男)は18歳で高校卒業後、小さな建設会社に就職した。しかし、そこはおじさんばかりの職場だった。
ストレスや性欲が溜まったおじさん達は、優にエッチな視線を浴びせ…
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
受け付けの全裸お兄さんが店主に客の前で公開プレイされる大人の玩具専門店
ミクリ21 (新)
BL
大人の玩具専門店【ラブシモン】を営む執事服の店主レイザーと、受け付けの全裸お兄さんシモンが毎日公開プレイしている話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる