60 / 66
引っ越しの真相
しおりを挟む
「で?ちゃんと説明して」
いくら穏やかな佑でもこんな横暴なことをされては少しはイラッとする。
樹の家に荷物を運び入れ、荷物を整理した佑は説明を求めた。
ソファに座った樹は飄々としている。
「まま、佑も座って」
言われるがままに座るのはしゃくだったが、確かに立ち話も何なのでおとなしく樹の隣に座る。
「オレが同棲しよって言ったの覚えてる?」
「うん」
二週間ほど前だっただろうか。
樹が突然同棲の誘いをしてきた。
もちろん佑はすぐさま断った。
「恋人同士だと会社に公表していないのに同居したら不自然だよ」
「じゃあ公表しよう。オレはいいよ。女の子も寄ってこなくなくてわずらわしくねーし」
「いや、それはちょっと……」
なんだかんだとしつこい樹をどうにか言い含め、その話は終わったと思った。のだが。
「恋人って公表したくない。公表はしてないのに同棲したくない。
じゃ家が無くなったからオレのとこに一時的に転がり込んだってことにすれば問題ないだろ?
だからオーナーと取り壊し交渉して、オレの取引先の不動産屋と話しつけて、ついでにオレはそこの不動産屋と契約とれてウィンウィン」
「そうなんだ……」
あまりに樹がにこやかなので、怒る気にもなれない。
佑と同棲するためにどれだけ手間暇かけているのだろう、と怒る前に呆れてしまう。自分の契約も取ってしまうのがさすがというかなんというか。
「もちろん周囲には”一時的に”って言っておくけど、ずっといてね?
あー、自分の部屋欲しかったら引っ越してもいいよ。2LDKに」
「いや、それはいいけど……僕、ここの家賃払えそうにないけど」
もう佑は抵抗するのを諦めた。
佑が逃げようとすれば樹はどこまでも追いかけてきそうな気がした。
だが、タワーマンションの家賃は樹と折半だとしても、佑には払えそうにない。同じ会社の同僚でも給料は倍以上違うと思われる。
「そんなに高くないよ?この部屋低層階だし」
樹が言った家賃は思ったよりは高くなかったが、折半しても佑の住んでいたアパートの家賃より高い。
「誘ったのオレだから家賃と生活費三分の一でいいよ」
「それは悪いよ」
確かに収入に格差はあるが、一応入社年数は先輩だというプライドもある。後輩である樹に多く出させるわけにはいかない。
貯金に回している分を減らせばどうにか……と佑は頭の中でやりくりする。
「じゃ佑がその分家事してくれればめっちゃ助かる。
食事作ってくれれば食費がだいぶ浮くからオレも得になるし。どう?」
「それなら……」
不承不承佑は頷いた。
佑のプライドを傷つけないよううまく誘導してくれたのだろうが、「佑の料理が毎日食べられる」と喜ぶ樹は可愛い。
腑に落ちない同棲の始まりだったが、樹がこんなに喜ぶならまぁいいかと思えるのだった。
いくら穏やかな佑でもこんな横暴なことをされては少しはイラッとする。
樹の家に荷物を運び入れ、荷物を整理した佑は説明を求めた。
ソファに座った樹は飄々としている。
「まま、佑も座って」
言われるがままに座るのはしゃくだったが、確かに立ち話も何なのでおとなしく樹の隣に座る。
「オレが同棲しよって言ったの覚えてる?」
「うん」
二週間ほど前だっただろうか。
樹が突然同棲の誘いをしてきた。
もちろん佑はすぐさま断った。
「恋人同士だと会社に公表していないのに同居したら不自然だよ」
「じゃあ公表しよう。オレはいいよ。女の子も寄ってこなくなくてわずらわしくねーし」
「いや、それはちょっと……」
なんだかんだとしつこい樹をどうにか言い含め、その話は終わったと思った。のだが。
「恋人って公表したくない。公表はしてないのに同棲したくない。
じゃ家が無くなったからオレのとこに一時的に転がり込んだってことにすれば問題ないだろ?
だからオーナーと取り壊し交渉して、オレの取引先の不動産屋と話しつけて、ついでにオレはそこの不動産屋と契約とれてウィンウィン」
「そうなんだ……」
あまりに樹がにこやかなので、怒る気にもなれない。
佑と同棲するためにどれだけ手間暇かけているのだろう、と怒る前に呆れてしまう。自分の契約も取ってしまうのがさすがというかなんというか。
「もちろん周囲には”一時的に”って言っておくけど、ずっといてね?
あー、自分の部屋欲しかったら引っ越してもいいよ。2LDKに」
「いや、それはいいけど……僕、ここの家賃払えそうにないけど」
もう佑は抵抗するのを諦めた。
佑が逃げようとすれば樹はどこまでも追いかけてきそうな気がした。
だが、タワーマンションの家賃は樹と折半だとしても、佑には払えそうにない。同じ会社の同僚でも給料は倍以上違うと思われる。
「そんなに高くないよ?この部屋低層階だし」
樹が言った家賃は思ったよりは高くなかったが、折半しても佑の住んでいたアパートの家賃より高い。
「誘ったのオレだから家賃と生活費三分の一でいいよ」
「それは悪いよ」
確かに収入に格差はあるが、一応入社年数は先輩だというプライドもある。後輩である樹に多く出させるわけにはいかない。
貯金に回している分を減らせばどうにか……と佑は頭の中でやりくりする。
「じゃ佑がその分家事してくれればめっちゃ助かる。
食事作ってくれれば食費がだいぶ浮くからオレも得になるし。どう?」
「それなら……」
不承不承佑は頷いた。
佑のプライドを傷つけないよううまく誘導してくれたのだろうが、「佑の料理が毎日食べられる」と喜ぶ樹は可愛い。
腑に落ちない同棲の始まりだったが、樹がこんなに喜ぶならまぁいいかと思えるのだった。
0
お気に入りに追加
463
あなたにおすすめの小説
イク♡ イク♡ 体育ッ♂
宗形オリヴァー
BL
金髪チャラ男の金城は、大好きな体育教師の獅子王先生にエロアプローチする毎日。
そのせいでついに、先生からえっちな体育の補習を受けさせられることに…!
☆むっつり絶倫体育教師×なんちゃってチャラ男DK☆
DKが調教メスイキセックスされる話
S_U
BL
R-18作品です
男子高校生がモブに脅されて痴漢プレイやら玩具使われたりセッする話
※注意※
・いつも以上に下品
・喘ぎあり
・過激、エッチな表現あり
他に書いた作品
【弟×兄】→近親相姦もの
【ノンケがメスにされる話】→変態×ノンケ
【3人で出来るわけない!】→3p、双子×幼馴染
【言葉攻め】→後輩×先輩(社会人)
などなど…
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる