年下彼氏の策略

男同士のやり方

「水持ってこようか？」
　飲んで害はないだろうが、美味しいはずがない。
「大丈夫」
　狼狽する佑を見て樹は面白がっている様子だ。
　敬語じゃなくなってより距離が近くなったようで嬉しい。
　樹がサイドテーブルからチューブのようなものを取り出した。
｢男同士のやり方知ってる？｣
　男女ならおぼろげに知識があるが、男同士となると全くない。
｢出して終わりじゃないの？｣
　質問で返すと、樹はチューブの中身を手のひらに出した。ワセリンらしいが何に使うのだろう。
｢男同士も入れるんだけど、どこかわかる？｣
｢口？｣
　女性には受け入れるところがあるが男にはない。
　現に樹も先ほどそうしてくれたし、そこしかないはずだ。
　佑もお返しするべきなのだろうが、樹はたぶん身長が高いのでものも大きい気がする。口に収まるだろうか。
「あんた本当に可愛い」
　樹はふっと笑って、佑を優しくベッドに押し倒した。
「今日は口でさせるつもりないから大丈夫。入れるのは口じゃなくて」
　「ここ」と樹がワセリンのついた指でそこを軽くつつくと、十分潤った指はツプ、と簡単に入ってしまった。
「う……うそでしょ？」
「本当。どう？」
「どう……って。……変な感じ」
　本来受け入れるようにはできていない部分なので、痛くはないものの違和感しかない。
「いきなり気持ちよくはならないか。慣れたみたいだから、入れてもいい？」
「う、うん」
　ちょっと怖かったが、樹にも気持ちよくなってもらいたかったので頷いた。
「痛かったら言って。止める」
　入口にゴムをつけた樹の物が当てられ、そろそろと侵入してくる。
「……んん」
　指と違う圧倒的な存在感に佑は思わず声を漏らした。
　正直痛い。
　だが、最初はこんなものだろうと思ったので我慢する。
「……入った？」
「今半分くらい」
「これで半分？」
　すでに結構な痛みなのに、全部納めたらどのくらいの痛みになるのだろう。
「あんた痛いんでしょ？」
　樹が佑の頭を軽くなでた途端、痛みが引いた。
「痛かったら言ってって、言ったのに」
「なんで」
　口に出していないのになぜわかったのだろう。
「だって汗すっげぇ」
　樹が優しく佑の額を撫でて汗をぬぐってくれる。
「……僕も千堂君に気持ちよくなってもらいたかったのに。ごめんね？」
「一緒に気持ちよくならないと意味ないから。最初だし、女と違うから最後までは無理かなーって思ってたから大丈夫」
「でも」
　佑は樹の物に目を落とした。
　達していないので当然だが、まだ萎えていない。このままでは辛そうだ。
「ださないと辛いよね？」
「佑の手で出してくれればいいよ」
　樹は佑を座らせると手を重ねて、自分のモノと佑のモノを一緒に握りこんだ。