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一章 出会い編
借金耳をそろえて返します
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その翌日。
ドウェインはブラックコーヒーを飲みながら、山ほどの札束をきっちり一枚一枚確認した。こんな大金初めて見た。
小切手の方が面倒がなくてよかったのでは、と思ったけれど、確認の手間があったとしても、現金の方がいろいろと都合がいいのだと言う。
後ろ暗いところがある人はそうなのかもしれない。銀行に行って手続きするのも手間がかかるし。
特に何も言ってないのに、現金で用意してくれる辺り、アンセル様もその辺をよく分かっているのだろう。
「急に5000万なんて大金耳そろえて返せ」なんて言ってくるの、真っ当な金貸しじゃあり得ないもの。
私はその様子を見ながら、お茶を飲んでケーキを食べるだけだけど、それだけでも疲れた。
「おー。確かに。
よくこんだけきっちり集めたな。
きたねー後ろ暗いことでもやったのか?」
ドウェインは確認し終えたお金を、またカバンに戻した。
いきなりこんな大金そろえたら、それはそう思うわよね。
契約結婚で得たお金だから、近いと言えば近いけど。
「あなたには関係ないじゃないですか」
不遜な態度で私がふん、と顔を背けても、気にも留めていない様子だ。
「ま、こっちはなんでもいいよ。綺麗でも汚れてても、金は金だ」
ドウェインはこういう人だ。
「お嬢ちゃんとこのコーヒーも飲み収めか」
何杯目かのコーヒーを一気に飲み干して、ドウェインはカバンを担いだ。
(あなたが返済期限狭めなければ、もっとかなーり長く飲めたんですけど)
もちろん口に出して機嫌をそこねるとめんどうくさいことになるので、言わない。
「私もドウェインさんに会えなくなるの、寂しいです」
ソファーから立ち上がるドウェインに、ウフフと私は愛想笑いした。
「ふーん。そーかそーか。オレもお嬢ちゃんは、貴族の娘の割に肝が据わってて気に入ってんだよな」
「そ、そうですか」
ドウェインはまんざらでもなさそうな顔だったけれど、こういう人に好かれても特に嬉しくない。
ドウェインがポケットからメモ用紙と万年筆を出すと、何かさらさらっと書き付けて一枚破った。それを私に差し出す。
「これ、オレの連絡先だからよ。何か困ったことあれば言ってくれよ。あぶねー金貸しから金借りたとかよ」
そう言って、ドウェインはけたけた笑ったけど、その冗談笑えない。
「あ、ありがとうございます……」
一応何か役に立つかもしれないから持っておこう。こういう裏業界の人と関わらないことを願うけれど。
ドウェインはブラックコーヒーを飲みながら、山ほどの札束をきっちり一枚一枚確認した。こんな大金初めて見た。
小切手の方が面倒がなくてよかったのでは、と思ったけれど、確認の手間があったとしても、現金の方がいろいろと都合がいいのだと言う。
後ろ暗いところがある人はそうなのかもしれない。銀行に行って手続きするのも手間がかかるし。
特に何も言ってないのに、現金で用意してくれる辺り、アンセル様もその辺をよく分かっているのだろう。
「急に5000万なんて大金耳そろえて返せ」なんて言ってくるの、真っ当な金貸しじゃあり得ないもの。
私はその様子を見ながら、お茶を飲んでケーキを食べるだけだけど、それだけでも疲れた。
「おー。確かに。
よくこんだけきっちり集めたな。
きたねー後ろ暗いことでもやったのか?」
ドウェインは確認し終えたお金を、またカバンに戻した。
いきなりこんな大金そろえたら、それはそう思うわよね。
契約結婚で得たお金だから、近いと言えば近いけど。
「あなたには関係ないじゃないですか」
不遜な態度で私がふん、と顔を背けても、気にも留めていない様子だ。
「ま、こっちはなんでもいいよ。綺麗でも汚れてても、金は金だ」
ドウェインはこういう人だ。
「お嬢ちゃんとこのコーヒーも飲み収めか」
何杯目かのコーヒーを一気に飲み干して、ドウェインはカバンを担いだ。
(あなたが返済期限狭めなければ、もっとかなーり長く飲めたんですけど)
もちろん口に出して機嫌をそこねるとめんどうくさいことになるので、言わない。
「私もドウェインさんに会えなくなるの、寂しいです」
ソファーから立ち上がるドウェインに、ウフフと私は愛想笑いした。
「ふーん。そーかそーか。オレもお嬢ちゃんは、貴族の娘の割に肝が据わってて気に入ってんだよな」
「そ、そうですか」
ドウェインはまんざらでもなさそうな顔だったけれど、こういう人に好かれても特に嬉しくない。
ドウェインがポケットからメモ用紙と万年筆を出すと、何かさらさらっと書き付けて一枚破った。それを私に差し出す。
「これ、オレの連絡先だからよ。何か困ったことあれば言ってくれよ。あぶねー金貸しから金借りたとかよ」
そう言って、ドウェインはけたけた笑ったけど、その冗談笑えない。
「あ、ありがとうございます……」
一応何か役に立つかもしれないから持っておこう。こういう裏業界の人と関わらないことを願うけれど。
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