後継社長奮闘す

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第三章 先ずチームを創る

人づくり元年⑥「教える」は「学ぶ」に繋がる

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先輩社長にご教示頂いた
「アカデミアプログラム」

先輩社長の部品メーカーで
このプログラムを立ち上げた
人事部長に、
わざわざ会社にご招待頂き
丁寧にご説明頂いた。

第一工場見学の後、
先方の本社事務所に戻り、
社長室で
先輩社長も交え、人事部長、
そして、達社長の三名で
人材育成ディスカッションを
することになった。

冒頭、
人材育成体系や先に工場で見た
動画教育の実際を見せて頂いた。

達社長、
良くここまで見せて頂けるなと
感謝しながらも
その中身にやや圧倒されていた。

すると、先輩社長。笑いながら
「うちだってここまで来るのに
四年以上の歳月を要したんだ」

「人材育成は投資。
そう腹を括らないと
できなかったと思うよ」

税理士の所長先生と
全く同じフレーズを聞かされ、

達社長、改めて
最大の財産は「人」を実感している。

すると、
先輩社長から質問が飛んできた。

「やって見る価値ありそうかな」

「はい。もちろんです」
達社長。即座に返答した。

すると、先輩社長
「頭の良い達社長には
釈迦に説法かもしれないが」

と、
経験から3つのアドバイス
を頂いた。

①欲張らず小さく始める
②デジタル技術を上手に活用する
③長い目で、根気よく取り組む

である。

一つ一つ言葉だけ聞けば
ある意味当たり前に聞こえる。

しかし、
直接現地で、責任者の方の苦労話を
聞いた後、このポイントを聞くと、
凄く理解が深まるように感じた。

「すぐやる」が真骨頂の達社長。
しかし、それは、ある面では
早合点となるリスクと背中合わせ。

それを良く知る先輩社長だからこそ
わざわざ、現場・現物を見せて
理解を促したのだろう。

「本当に助けてもらってばかり」
達社長、心の中で最敬礼していた。

「どこから始められる
ご予定ですか」
人事部長さんが、達社長に見せていた
人材資料や動画機材を片付けながら
質問頂いた。

「建設現場の若手を一人前にする」
「この一点から始めて見ます」

達社長は明快に解答した。

「そうか、楽しみだ」
先輩社長から激励をもらい、
その日は、お開きとなった。

2日後。

達社長は、夕暮れ押し迫るなか
建築部長と総務課長を呼び出した。

二人は、また達社長が何か始める
と嫌な予感が働いていたのだろう。

やや疲れた顔で、達社長のデスクに
現れた。

「忙しい中、今度は何ですか?」
相変わらず、口が悪い建築部長が
切り出した。

「実はアカデミアプログラムを
始動させようと考えている」

達社長。そう、きり出した。

「私達がプロジェクトリーダー
になるのですか?」
恐る恐る、総務課長が質問した。

「いや、違う」
「二人にプロジェクトメンバー
候補を推薦して欲しい」
達社長は笑顔でそう答えた。

現場で働く新人を一人前にする
それをやるのは、新しい職制の
リーダークラスがやるべきだと
考えているからだ。

若手リーダーに
「教えることで学んでもらう」
ことも狙いなのだ。

意図を汲んだ二人は
大きく頷いてくれた。

教え学び合う風土は
若手リーダーの活躍で決まる。

若手リーダーの人選も順調に進み

アカデミアプロジェクト
いよいよスタートである。
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