後継社長奮闘す

tathufuntou

文字の大きさ
上 下
72 / 91
第六章 次代を創る

10年先を託す10人の社長を創る

しおりを挟む
未来永劫
会社に発展し続けてもらいたい。
その鍵は、
次の経営者を創ることにある。

達社長、
今一番頭を悩ませている事だ。

「社長業、最大にして最後の大仕事」
である。

達社長はまだ若い。

しかし、
今から出来うる限りの万全の
備えをしておこうと考えている。

なぜなら
「後継育成は10年事業が如く」

尊敬する先輩経営者や
税理士の所長先生に
繰り返し言われているからだ。

一方
「経営にはまさかの坂がある」

この意識も高くなってきた。
ある事件があったからだ。

業績が順調だったある専門工事会社。
実は今、銀行管理下にあるという。

理由は、組織の派閥構想を起点にした
顧客離れである。

まるで、ドラマのような事が
達社長の隣で起きてしまったのだ。

中興の祖と言われ、
会社を大きく成長させた
専門工事会社社長。

課題は一つ、後継者問題であった。

実は、「管理が得意な長男」と
「攻めに強い次男」のどちらを
後継者にするか決めかね、
両者を常務取締役と横並びにし、
思案を重ねていたようだ。

その最中、
なんと社長が不慮の事故で死去。

直後から兄弟の派閥争いが勃発。
経営不在で顧客離れが起き、
業績が傾いてしまったようだ。

「創業は大胆に、
事業を受け継ぐには小心であたれ」

三菱の創始者、
岩崎弥太郎の言葉である。

10年単位の視点で
承継を準備する一方、
万が一の場合を想定したシナリオを
用意しておく必要がある。

さて、どうするか?

父が自分を後継者にしたように
息子を次の社長に据えることも
あるかもしれない。

しかし、息子は余りにもまだ若い。
しかも、経営センスなど未知数。

そもそも、継ぎたい意志が
あるかもわからない中で、
選択肢としての優先順位は低い。

それは、社員から次の社長を生み出す
必要があることを示している。

就任当初から
ぼんやり考えていたことだが、
正直、真正面から
向き合って来なかった。

次の社長をいかに創るか?

結論は
「社長を創るプログラム」
の立ち上げである。

社長にならなければ
わからない事がある。

しかし、
社長と同じ景色を見ることは出来る

そう考え、
そういう機会を創ることにしたのだ。

ベテラン専務の
「勉強してなれるモノではない」
という言葉が、聞こえてきそうだが

覚悟と意志を創ることは
必ず出来ると、信じている。

一方、
「10人の社長を創る」

という目標も明確にした。

建設だけでなく
住宅や不動産、商業施設運営など
事業領域が拡がり、
一人のエンジンでなく、
複数のエンジンで経営する事が
会社発展につながると考えたからだ。

「何をやるかは誰がやるかで決まる」

達社長、
一層気合いが入ってきたようだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

聖也と千尋の深い事情

フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。 取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…

冬の水葬

束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。 凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。 高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。 美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた―― けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。 ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

処理中です...