後継社長奮闘す

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第三章 先ずチームを創る

人づくり元年②人材育成は投資である

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今日は、
担当の顧問税理士先生のボス
事務所の代表「所長先生」の
四半期一度の監査的な訪問日である。

いつも、会社の数値が記載された
試算表を前に、事業状況や業績見通し
など、情報交換、アドバイスをもらう
いわば、問診による健康診断
のようなものである。

なぜ、こうした事をしているのかと
言うと、遡ること今から10数年前。

ある大型投資を父が独断で敢行し、
倒産一歩手前まで、追い詰められた
経験があるからだ。

実は、そこで助けて頂いたのが
今、目の前にいる、所長先生である。

以来、父は、定期的に
経営をチェックしてもらう意味で、
こうした四半期ミーティングを
設定しているのだ。

その所長先生に、今日、達社長は
ある覚悟を伝えようとしている。

前回訪問頂いた際に
所長先生にも承認頂いた、
新年度の事業予算。

それを一旦破棄してでも
思いきって人材育成費を
増大する新たな予算に変更する

という決断である。

実は、これまで
人件費という科目はあったが、
人材育成費という科目は設定して
いなかった。

必要に応じて、教育や技能研修、
あるいは建築士などの資格支援は
実施してきたが、忙しさもあり、
付け焼き刃と言われても
仕方がない状況だった。

しかし、
売上という体格に相応しい
体質という組織を創るには、

人材育成から始める必要がある

そういう結論に至り、
予算科目を新たに設定し
経費の配分を変える。

正確に言えば経費増、
すなわち利益減少の判断を
しようと考えている。

危機を身を持って知る所長先生。
「利益なき経営はお遊戯以下」
と厳しく戒められてきた。

正直、それゆえ、
正面から反対されると思っていた。

達社長の説明を一通り聞いた
所長先生。

二、三質問は頂いたが、
回答に納得されると、

いつも通り、柔らかな口調で

「良くわかりました」

そう、意外や意外、
なんと笑顔で、達社長案に
賛成してくれたのだ。

但し、
一つだけ条件があると釘を刺された。
それは、
「人材育成は費用にあらず投資」
だとの視点が持てるかだと。

つまり、3~5年。
いや10年単位で人材育成を
計画的に行う覚悟があるか?
というアドバイスだ。

「経費でなく、投資」
なぜか、ズシンと
心に刺さるものがあった。

「人材育成の目的と目標を明確にし、
達社長が重要と考える、
リーダー育成から始めてみて下さい」

「焦らず、しかし、急いで」

やっぱり所長先生は素晴らしい。

元気な街を真に作りたいと考え
こうした意識と技術を持った
リーダー人材を沢山作りたい。

人が成長することで、
会社が成長する

この後、
達社長がリニューアルした
経営会議で変更予算の
承認が必要だが、

達社長、背中を押され、
俄然気持ちが高まってきた。
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