33 / 91
第三章 先ずチームを創る
人づくり元年②人材育成は投資である
しおりを挟む
今日は、
担当の顧問税理士先生のボス
事務所の代表「所長先生」の
四半期一度の監査的な訪問日である。
いつも、会社の数値が記載された
試算表を前に、事業状況や業績見通し
など、情報交換、アドバイスをもらう
いわば、問診による健康診断
のようなものである。
なぜ、こうした事をしているのかと
言うと、遡ること今から10数年前。
ある大型投資を父が独断で敢行し、
倒産一歩手前まで、追い詰められた
経験があるからだ。
実は、そこで助けて頂いたのが
今、目の前にいる、所長先生である。
以来、父は、定期的に
経営をチェックしてもらう意味で、
こうした四半期ミーティングを
設定しているのだ。
その所長先生に、今日、達社長は
ある覚悟を伝えようとしている。
前回訪問頂いた際に
所長先生にも承認頂いた、
新年度の事業予算。
それを一旦破棄してでも
思いきって人材育成費を
増大する新たな予算に変更する
という決断である。
実は、これまで
人件費という科目はあったが、
人材育成費という科目は設定して
いなかった。
必要に応じて、教育や技能研修、
あるいは建築士などの資格支援は
実施してきたが、忙しさもあり、
付け焼き刃と言われても
仕方がない状況だった。
しかし、
売上という体格に相応しい
体質という組織を創るには、
人材育成から始める必要がある
そういう結論に至り、
予算科目を新たに設定し
経費の配分を変える。
正確に言えば経費増、
すなわち利益減少の判断を
しようと考えている。
危機を身を持って知る所長先生。
「利益なき経営はお遊戯以下」
と厳しく戒められてきた。
正直、それゆえ、
正面から反対されると思っていた。
達社長の説明を一通り聞いた
所長先生。
二、三質問は頂いたが、
回答に納得されると、
いつも通り、柔らかな口調で
「良くわかりました」
そう、意外や意外、
なんと笑顔で、達社長案に
賛成してくれたのだ。
但し、
一つだけ条件があると釘を刺された。
それは、
「人材育成は費用にあらず投資」
だとの視点が持てるかだと。
つまり、3~5年。
いや10年単位で人材育成を
計画的に行う覚悟があるか?
というアドバイスだ。
「経費でなく、投資」
なぜか、ズシンと
心に刺さるものがあった。
「人材育成の目的と目標を明確にし、
達社長が重要と考える、
リーダー育成から始めてみて下さい」
「焦らず、しかし、急いで」
やっぱり所長先生は素晴らしい。
元気な街を真に作りたいと考え
こうした意識と技術を持った
リーダー人材を沢山作りたい。
人が成長することで、
会社が成長する
この後、
達社長がリニューアルした
経営会議で変更予算の
承認が必要だが、
達社長、背中を押され、
俄然気持ちが高まってきた。
担当の顧問税理士先生のボス
事務所の代表「所長先生」の
四半期一度の監査的な訪問日である。
いつも、会社の数値が記載された
試算表を前に、事業状況や業績見通し
など、情報交換、アドバイスをもらう
いわば、問診による健康診断
のようなものである。
なぜ、こうした事をしているのかと
言うと、遡ること今から10数年前。
ある大型投資を父が独断で敢行し、
倒産一歩手前まで、追い詰められた
経験があるからだ。
実は、そこで助けて頂いたのが
今、目の前にいる、所長先生である。
以来、父は、定期的に
経営をチェックしてもらう意味で、
こうした四半期ミーティングを
設定しているのだ。
その所長先生に、今日、達社長は
ある覚悟を伝えようとしている。
前回訪問頂いた際に
所長先生にも承認頂いた、
新年度の事業予算。
それを一旦破棄してでも
思いきって人材育成費を
増大する新たな予算に変更する
という決断である。
実は、これまで
人件費という科目はあったが、
人材育成費という科目は設定して
いなかった。
必要に応じて、教育や技能研修、
あるいは建築士などの資格支援は
実施してきたが、忙しさもあり、
付け焼き刃と言われても
仕方がない状況だった。
しかし、
売上という体格に相応しい
体質という組織を創るには、
人材育成から始める必要がある
そういう結論に至り、
予算科目を新たに設定し
経費の配分を変える。
正確に言えば経費増、
すなわち利益減少の判断を
しようと考えている。
危機を身を持って知る所長先生。
「利益なき経営はお遊戯以下」
と厳しく戒められてきた。
正直、それゆえ、
正面から反対されると思っていた。
達社長の説明を一通り聞いた
所長先生。
二、三質問は頂いたが、
回答に納得されると、
いつも通り、柔らかな口調で
「良くわかりました」
そう、意外や意外、
なんと笑顔で、達社長案に
賛成してくれたのだ。
但し、
一つだけ条件があると釘を刺された。
それは、
「人材育成は費用にあらず投資」
だとの視点が持てるかだと。
つまり、3~5年。
いや10年単位で人材育成を
計画的に行う覚悟があるか?
というアドバイスだ。
「経費でなく、投資」
なぜか、ズシンと
心に刺さるものがあった。
「人材育成の目的と目標を明確にし、
達社長が重要と考える、
リーダー育成から始めてみて下さい」
「焦らず、しかし、急いで」
やっぱり所長先生は素晴らしい。
元気な街を真に作りたいと考え
こうした意識と技術を持った
リーダー人材を沢山作りたい。
人が成長することで、
会社が成長する
この後、
達社長がリニューアルした
経営会議で変更予算の
承認が必要だが、
達社長、背中を押され、
俄然気持ちが高まってきた。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
聖也と千尋の深い事情
フロイライン
BL
中学二年の奥田聖也と一条千尋はクラス替えで同じ組になる。
取り柄もなく凡庸な聖也と、イケメンで勉強もスポーツも出来て女子にモテモテの千尋という、まさに対照的な二人だったが、何故か気が合い、あっという間に仲良しになるが…
冬の水葬
束原ミヤコ
青春
夕霧七瀬(ユウギリナナセ)は、一つ年上の幼なじみ、凪蓮水(ナギハスミ)が好き。
凪が高校生になってから疎遠になってしまっていたけれど、ずっと好きだった。
高校一年生になった夕霧は、凪と同じ高校に通えることを楽しみにしていた。
美術部の凪を追いかけて美術部に入り、気安い幼なじみの間柄に戻ることができたと思っていた――
けれど、そのときにはすでに、凪の心には消えない傷ができてしまっていた。
ある女性に捕らわれた凪と、それを追いかける夕霧の、繰り返す冬の話。
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる