後継社長奮闘す

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第二章 新たな未来を考える

絞るから勝てる、勝てるから拡がる

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建設業は、
請け負いが中心の商売ゆえ、
あらゆる案件を担当している。

達社長の会社も例外ではない。
工場、店舗、倉庫、マンション・・
官の仕事から、薬品メーカー、
小売り事業者、時には、
付き合いのある
会社役員の住宅まで・・

全国展開ではないし、
地域とともにある事業ゆえ
それが当たり前だと考えてきた。

しかし、
大手が参入してくるプロジェクトでは

中々勝てず、
悔しい思いをする事も何度もあった。

そんな時、
大手に負けず、指名受注を勝ち取る
建設会社の事例を知る機会があった。

その会社は、
食品工場建設のプロを謳い、

ホームページなど会社紹介は無論
建設業ではほとんどない、
食品業界向けの展示会出展から
食品衛生雑誌への投稿、

自社で開催する
食品メーカー勉強会・・

あらゆる機会を利用し、
自社の強みを全面に押し出す事で
指名を得ているようだ。

しかし、
達社長と同じ、地域の中堅建設会社。

食品工場受注だけで、
経費を賄い利益が出せるのか?

つまり、経営が成り立つのか。
正直、疑問のほうが
先にたってしまった。

「都市部に隣接した建設会社とは言え
いくら何でも、毎年一つの地域に
食品工場ばかり建たないだろう」。

どうしても話が聞きたいと思い、
ある人を介して、
直接その社長に話を聞いてみた。

お会いした、社長は三代目。
達社長と同じ、オーナー社長である。

建設会社らしくない、
おしゃれな事務所で、
社長は、こう話された。

「おっしゃる通りです。食品工場
建築は、大手との付き合いもあり
数は多いですが、多くても受注は
全体の2割程度です」。

やはり、想像通りだった。
しかし、ここから、
ある意味、達社長の想像を
越えた話を聞かされた。

「でも、この形をとるようになって
から紹介が劇的に増えてきたのです」

建築した、大手食品メーカーは勿論、
取引金融機関や
付き合いのある士業の方々からも
紹介を頂いているのだそうだ。

それも、
食品工場とは違う案件が中心である。

「食品工場のプロとしての
専門追及力、高い品質と確実な納期、
誠実な人材、現場管理」

これらが評価されている。
つまり、「食品に強い」があるから
紹介しやすいようだ。

良かったり、悪かったりの
ノコギリ型業績からの脱皮。

つまりいかに指名が取れるかを
考えた結果、
「何でもあるは、何もない」
ではいけない。

強みであった、
食品工場建設を際立たせよう。

そう考え、
舵を切ったのだと話して頂いた。

結果、食品工場の指名受注で
利益率が高まると同時に

食品以外の紹介受注も増え、
業績は以前より
安定してきていると言う。

「絞るから勝てる、
         勝てるから拡がる」

つまり「絞るから拡がる」のだ。

私達の個性とは何か?
その絞りこみが、
結果として顧客拡大に繋がる。

「絞る」
社長のやるべき大切な
仕事だと思った。

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